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簡単なあいさつから手話を覚えてみませんか?

手話は、手や身体の動き、表情、そして空間の利用によって情報を伝える言語です。音声言語と同様に、手話も文法や構文を持ち、豊かな表現力を持っています。手の形、位置、動き、そして表情の変化などが重要な役割を果たします。 また手話は表情も重要です。喜怒哀楽を意識して行うことでさらに相手に伝わりやすくなります。 本記事で挨拶から気持ちを伝えるジェスチャーを学んでみましょう。   「挨拶」の手話 挨拶は人差し指を向き合わせて、曲げると「挨拶」という意味の手話になります。 こんにちは 二本の指を顔の前に持ってきた後、人差し指を向き合わせて曲げます。 こんばんは 手を顔の前で振った後、人差し指を向き合わせて曲げます。 おはよう 手を握り上から下に下ろした後、人差し指を向き合わせて曲げます。 気持ちを伝えてみよう 次は簡単な気持ちを伝えるジェスチャーです。 ありがとう 左手を横にして、右手でトンと叩くようにします。 頑張って 手を握り胸の前で細かく上下します。 すみません 眉間の前でつまむ動作をした後、手を開いてまっすぐ下ろします。 大丈夫? 手のひらを胸の左から右に動かします。 分かりません 肩を外側へ二回払います。 分かりました 手を開いて胸を短く払います。 何? 人差し指を左右に振る動作をします。 お疲れさま 左手首を右手でトントンと軽く叩きます。 いかがでしたでしょうか?簡単なジェスチャーなのでぜひご家族や周囲の方と一緒に練習したり、実際に使ってみてください。   言葉の音を超えたコミュニケーション 手話は、聴覚障害者のコミュニケーション手段として広く知られていますが、それは単なる言葉の代替手段に留まりません。手話は、独自の文化、歴史、そして表現方法を持つ、豊かな言語です。   手話の起源と歴史 手話は、聴覚障害者同士がコミュニケーションを取るために自然発生的に発展してきました。古代から手話的なジェスチャーが存在したとされ、古代ギリシャやローマの時代にも手話が使われていたという証言があります。しかし、手話が近代的な形を取るのは比較的新しい現象です。 手話が公式に認識されるようになったのは、18世紀後半から19世紀初頭のフランスでのことです。フランスの教育者であるアベ・シャルル・ミシェル・ド・ル・エペが、聴覚障害者のための教育プログラムを開発し、手話を教育の手段として採用しました。これが、手話が教育的な用途にも使われるようになった最初の例です。   手話の特徴 手話には、地域や文化によって異なる多くのバリエーションがあります。例えば、アメリカ手話(ASL)、イギリス手話(BSL)、日本手話(JSL)などが挙げられます。これらの手話は、異なる言語として発展し、それぞれ独自の表現方法や文化的な特徴を持っています。 手話の重要性 手話は、聴覚障害者にとって重要なコミュニケーション手段であり、彼らの社会参加を支援します。しかし、手話の重要性はそれだけに留まりません。手話は、聴覚の制約がない人々にも開かれたコミュニケーションの手段として価値があります。手話を学ぶことは、言葉の壁を超え、異なる文化や人々とのつながりを築くことに役立ちます。 さらに、手話は言葉だけでは表現しづらい感情や概念を豊かに表現する手段としても機能します。手話を通じて、身体の動きや表情が加わることで、言葉単体では伝えきれない豊かなニュアンスや感情が表現されます。これにより、コミュニケーションの深みや多様性が増し、より豊かな対話が可能となります。   新たなコミュニケーションの可能性 手話の美しい表現力は、言葉が及ばない領域で新たな理解と洞察をもたらします。音声言語にはない視覚的な要素が加わることで、新たな感性や文化的な価値が生まれます。このような手話の特性は、言語や文化の多様性を尊重し、相互理解を深める上で貴重な役割を果たします。 そのため、手話の学習や普及は、単に障害者支援に留まらず、社会全体の包括性や対話の促進にも役立ちます。手話を通じて、私たちは新たなコミュニケーションの可能性を探求し、より多様で豊かな社会を築くための一歩を踏み出すことができます。 まとめ 手話は、言葉の音を超え、身体と空間を通じて情報を伝える美しい言語です。その起源は古く、歴史的にも重要な役割を果たしてきました。手話は、聴覚障害者のコミュニケーション手段としてのみならず、広く社会においても重要な存在です。その豊かな表現力と文化的な価値は、私たちに新たな視点をもたらし、より包括的で豊かな社会を築くための一助となるでしょう。   参考 手話を覚えてみよう!/阿賀野市

障がい者と健常者が共に学び、考える場:障がい者差別解消法に向けて

駅舎や車両を活用したプログラム 長与駅(長崎県長与町)では、障がい者と健常者が共に学び、考える場が提供されています。主催は社会福祉法人「ながよ光彩会」で、駅舎や車両を活用したプログラムが注目を浴びています。   障がい者が直面する日常の課題 このプログラムでは、重症筋無力症を抱えながらも、遠隔操作可能な分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」を介して活躍する山本順子さんが講師を務めて、この日もOriHimeを介して進行を務めました。彼女の講義を通じて、参加者は目に見えない障壁に気づき、実際の駅での歩行体験を通じて、障がい者が直面する日常の課題に思いをはせました。   身近な環境で起こりうる障壁や困難について考える このプログラムは、障がい者と健常者が共に学び、相互理解を深める貴重な機会となっています。参加者は、身近な環境で起こりうる障壁や困難について考えることで、より包括的な視点を身につけることができます。 さらに、実践的なアプローチを通じて、障がい者の日常生活に対する理解が深まり、より支援的な社会の実現に向けた一歩となることが期待されます。 また、障がい者と健常者の間でのコミュニケーションや連帯を促進する重要な役割を果たしています。そのため、今後もこのような取り組みが積極的に支援され、広く展開されることが望まれます。   地域の助け合いを促進する障がい者支援プログラム:長与駅での取り組み 長与駅(長崎県長与町)で展開されている障がい者支援プログラムは、地域社会の助け合いを促進する重要な一環として、障がい者と非障がい者が共に学び、考えることで、相互理解と支援の架け橋となることが期待されています。 参加者の一人である花村ゆかりさんは、このプログラムを通じて得た知識が、他者に寄り添うきっかけとなることを感じています。彼女の感想は、このプログラムが地域の助け合いを促進し、日常的なものとして定着させる一助になる可能性を示唆しています。   「助け合いを日常に」 ながよ光彩会の貞松徹理事長も、「助け合いを日常に」という理念を掲げ、このプログラムの普及を模索しています。次回の開催は3月1日で、午後1時半から4時までの予定です。参加は無料ですが、事前予約が必要となっています。詳細については、ながよ光彩会までお問い合わせください。 このようなプログラムの普及により、地域社会全体が障がい者支援に対する理解を深め、積極的な参加と支援を提供することが期待されています。   分身ロボット「OriHime」:遠隔操作による障がい者支援の革新 山本順子さんが活用している分身ロボット「OriHime」は、近年の技術の進化がもたらす障がい者支援の革新的な解決策の一つで、遠隔操作が可能でありながら、障がいを抱える人々に自立と活動の機会を提供しています。   制約がある人々でも自由に社会参加することが可能になる 分身ロボット「OriHime」は、その名の通り、遠隔地からの操作によって別の場所に存在するかのように行動できます。具体的には、操作者がロボットを介して遠隔地の環境を視覚や音声で感知し、ロボットを移動させ、対話や活動を行うことができます。これにより、移動やコミュニケーションの制約がある人々でも、自由に社会参加することが可能となります。   安全性や効率性 障がい者が「OriHime」を利用することで家庭や学校、職場など、日常生活のさまざまな場面で活動できるようになります。これは、障がい者が自らの意思で行動し、社会とのつながりを深めるための有力な手段となります。また、「OriHime」は、高度な技術を駆使しており、操作者がロボットを介して環境をリアルタイムで把握し、適切に行動することができるため、安全性や効率性も確保されます。   医療や介護の現場でも活用されている さらに、「OriHime」は、医療や介護の現場でも活用されており、医師や介護士が遠隔から患者や利用者とコミュニケーションを取り、必要なケアや支援を提供することが可能です。これにより、地理的な制約や時間的な制約を乗り越えて、障がい者や高齢者に最適なケアを提供することができます。 「OriHime」は、技術の進化がもたらす障がい者支援の新たな展開を象徴する存在であり、障がい者の自立と社会参加の推進に大きく貢献しています。 障がい者差別解消法改正 障がい者差別解消法改正が4月1日に施行されることで、法律の枠組みが一新され、社会全体に重要な影響を与えることが予想されます。 従来、行政機関に課せられていた「合理的配慮」の義務が、民間事業者にも拡大されることで、障がい者の社会参加に対するアプローチが変わることが予想されます。 この改正は、障がい者の人権保護と社会的包摂を促進するための重要な一歩であり、障がい者がより平等な機会を享受し、自己実現を図ることが期待されます。 企業や地域社会は、これに伴い障がい者のニーズに対応するための具体的な施策や取り組みを積極的に推進し、社会の多様性と包括性を高めるための努力を継続する必要があります。 この法改正は、社会全体が障壁を取り除き、多様性を尊重する姿勢を示す重要な一歩として位置づけられています。   社会全体への影響 この法改正は、社会全体が障壁を取り除き、多様性を尊重する姿勢を示す重要な一歩です。障がい者に対する配慮が、企業や地域社会の責務として認識されることで、彼らの日常生活や労働環境が改善されることが期待されます。 これは、障がい者がより平等な機会を享受し、社会の一員として自己実現を図ることができるようになる重要な一歩です。 障がい者が職場や地域社会でより活発に参加し、その能力を最大限に発揮できるようになることで、社会全体の活力と多様性が高まることが期待されます。企業や地域社会は、障がい者のニーズに応えるために積極的な施策や取り組みを推進し、障がい者が安心して暮らせる環境を整備することが求められます。 これにより、社会全体がより包括的で公正なものとなり、障がい者と非障がい者が共に共生する社会の実現に向けた一歩が踏み出されることでしょう。   自立と参加の促進 法律の改正により、障がい者がより自立して生活し、社会に参加することが容易になると期待されています。これは、障がい者が自らの能力を最大限に発揮し、社会の一員として活動することを支援するものです。 具体的には、障がい者が必要な支援を受けながら、自立した生活を送るための支援制度や施策が強化されることが期待されます。また、障がい者が職場や地域社会で積極的に参加できる環境が整備されることで、彼らの社会的包摂が促進されます。 障がい者の個々の能力やニーズに応じた支援が提供されることで、彼らが自己実現を図ることができ、社会全体の多様性と活力が高まることが期待されます。企業や地域社会は、障がい者のニーズに対応するための施策や取り組みを積極的に推進し、障がい者が安心して暮らせる環境を整備することが求められます。 これにより、社会全体がより包括的で公正なものとなり、障がい者と非障がい者が共に共生する社会の実現に向けた一歩が踏み出されることでしょう。   企業と地域の役割 企業や地域社会は、障がい者のニーズに応えるための具体的な施策や取り組みを積極的に推進する必要があります。障がい者と非障がい者が共に働き、学び、生活する社会を実現するためには、個々の意識改革と制度の整備が欠かせません。 具体的には、企業が障がい者雇用の促進やバリアフリーな職場環境の整備を行うことが重要です。障がい者がスキルを活かし、フルに参加できるような環境を整えることで、多様性を尊重する企業文化が育まれます。 また、地域社会も、障がい者の移動や生活の支援を含む包括的なサービスを提供することで、障がい者の自立と地域の活性化に寄与します。そのためには、地域住民の理解と協力が不可欠です。 地域全体で障がい者支援に取り組むことで、より包括的で支え合いのある社会を築いていくことが期待されます。このような取り組みにより、障がい者が自己実現を果たし、社会全体が豊かな多様性を享受できる未来が描かれます。   未来への展望 障がい者差別解消法の改正は、より包括的で多様性を尊重する社会の実現に向けた一歩となるでしょう。障がい者と非障がい者が共に活躍し、支え合う社会の実現を目指して、今後も取り組みを続けることが大切です。 この法改正により、社会全体がより包括的で公正なものとなり、障がい者と非障がい者が共に共生する社会の実現が促進されるでしょう。障がい者の多様な能力や価値が認められ、彼らが自らの目標を達成し、社会に貢献する機会が増えることで、社会全体の豊かさが生まれると期待されます。 さらに、多様性を尊重する社会では、障がい者だけでなく、さまざまな人々が自分らしく生きることができる環境が整備されることが予想されます。これにより、社会全体が持続可能な発展を遂げ、誰もが幸せを追求できる社会が実現されるでしょう。障がい者差別解消法の改正は、未来に向けた希望と活力を与えるものとして、大きな期待を寄せられています。   まとめ 障がいの有無に関わらずすべての人が障がいについて学び、環境やシステムを柔軟に変えられる社会になって欲しいと思います。ぜひ全国で障がいについて学べる場を設けて、多くの人に知っていただきたいですね。   参考 障がいってなに?駅舎使って当事者と考えるプログラム:朝日新聞デジタル

能登半島地震:障がい者支援の新たな光

1月1日に起こった能登半島地震は、多くの人々に深刻な被害をもたらしました。しかし、その中でも特に注目すべきは、障がい者コミュニティの支援が不十分であることが露呈した点です。地震発生後2日目に立ち上がった特設サイト「#障がい者を消さない」は、この問題に光を当てる取り組みとして、インターネット上で注目を集めました。   障がい者の声を届ける 能登半島地震で被災した障がい者を支援するために開設された特設サイトは、避難所での障がい者の存在が見過ごされがちであることに警鐘を鳴らしています。地震をはじめとする過去の災害でも、障がい者やその家族が避難所で支援を受けることが難しいという実情があります。こうした現状に対して、特設サイトは積極的に声を上げ、問題提起を行っています。   アートを通じた支援の手法 特設サイトの制作には、「ヘラルボニー」という盛岡市を拠点に活動する障がいのある作家のグループが関わっています。このグループの代表取締役である松田文登さんは、自らも被災地での支援活動に関わり、その経験を活かして特設サイトを立ち上げました。彼らの目指すのは、アートを通じて障がい者コミュニティに希望と支援を届けることです。 過去の経験からの学び 松田さんは、自身が東日本大震災の際に被災地で学生として活動していた経験を振り返りながら、今回の支援活動に取り組んでいます。その経験から得た教訓が、今回の地震での支援活動に生かされています。過去の災害からの学びを活かし、より効果的な支援を実現するために、松田さん達は積極的に行動しています。   未来への希望を繋ぐ 能登半島地震によって露呈した障がい者支援の課題は大きいものの、特設サイトの登場は未来への希望を繋ぐ一石となりました。障がい者の声がしっかりと届く社会を目指し、声を消さないための取り組みが広がることを願ってやみません。   障がい者の苦悩を乗り越えて 能登半島地震が発生した際、松田さんの心に浮かんでいたのは、母親から聞いていた障がいのある人やその家族が震災時に直面する苦悩でした。日常とは異なる状況に置かれることで、精神的な不安が高まり、障がい者やその家族が大きな声を発したり、過剰に動き回ったりすることがあることを理解していました。その結果、障がい者が避難所に行かない、あるいは行けない状況に陥ってしまうことがありました。   障がい者支援の重要性を認識 松田さんは、障がいがあることが避難所に行けない、あるいは転々とする理由の一つであることを深く理解しています。この状況は非常につらく、悲しいものであり、解決するためには情報を知ることが極めて重要であると考えました。松田さんは、怖れや不安が無知から生じることを理解し、その知識の欠如を埋めるために、ヘラルボニーという活動を通じて情報を提供することの重要性を強調しています。   知識の共有と理解の促進 松田さんは、怖れや不安は知識の不足から生じると考えています。そのため、ヘラルボニーを通じて、障がい者やその家族が直面する問題についての情報を共有し、理解を促進することを目指しています。彼の活動は、社会全体における理解と共感を深め、より包括的で支援の行き届いた社会を実現するための一歩となっています。   未来への希望と活動の継続 松田さんの活動には、未来への希望と社会の変革を求める強い意志が込められています。松田さんは、知識の普及と理解の促進を通じて、障がい者やその家族が安心して避難所に行ける環境を作り出すことを願っています。そのために、彼の活動は今後も継続され、社会にポジティブな変化をもたらすことでしょう。   障がい者の声を聞く 能登半島地震や過去の災害における障がい者やその家族の経験は、従来表に出てこなかった部分でした。しかし、松田さんは特設サイトを通じて、SNSを活用して障がい者コミュニティからの声を募集しました。そこには、避難所へのアクセスの困難さや避難所での居場所の不安定さなど、さまざまな思いが寄せられました。     障がい者の家族の体験:街からの消失 田崎實さんは、東日本大震災で自宅を失い、知的障がいを持つ息子と共に避難所での経験をしました。しかし、彼は障がいのある家族を持つ知人から、一般の避難所が利用しにくい状況や、家に留まる選択肢があることを聞きました。その結果、障がいのある人々が避難所から消えてしまったという実態が浮かび上がりました。   障がい者の精神的な苦悩と家族の選択 田崎さんは、障がいのある人々が災害によって精神的に参ってしまい、避難所で奇声を発したり、多動的になったりすることを認識しています。そのため、障がい者の家族は周囲に迷惑をかけたくないと考え、避難所への行動を避けたり、転々とした生活を送ることを選択してきました。   社会の理解と支援の必要性 田崎さんのお話は、障がい者とその家族が災害時に直面する困難さを浮き彫りにしています。このような状況に直面する人々に対して、社会全体が理解と支援を提供することが必要です。松田さんの取り組みは、こうした認識を広め、障がい者コミュニティの声を世に伝える一翼を担っています。   障がい者と健常者の共生を目指して 田崎さんは、能登半島地震においても同様の事態が生じる可能性を心配しています。彼は、このような状況を変えるためには、障がいのある人とない人が互いに歩み寄ることが必要であると訴えています。   分断を超えた共感と理解 田崎さんは、障がい者と健常者の間に存在する壁を感じています。健常者が知らないことがたくさんあり、障がい者が一歩引いて生活しているため、互いに理解し合うことが困難であると指摘しています。しかし、田崎さんはこれまでの状況を打破し、お互いに歩み寄ってつながることが重要であると主張しています。   お互いに理解し合う必要性 田崎さんは、お互いに知ろうとせず、つながろうとしなかった過去の状況を指摘しています。しかし、このような分断を超え、互いに一歩踏み出して繋がっていく必要があると強調しています。障がい者と健常者がお互いを理解し合い、共に社会を築いていくためには、このような積極的な行動が不可欠であるというのが彼の主張です。   共生社会の実現への希望 田崎さんの訴えは、共生社会を実現するための重要なメッセージを含んでいます。田崎さんは、お互いに理解し合い、支え合うことで、障がい者と健常者が共に生きる社会を築くことが可能であると信じています。このような理念に基づいた行動が、より包括的で包容力のある社会を実現する鍵であると彼は信じています。   障がい者の声を届けるための取り組み 松田さんは、災害時の問題が特別なものではなく、日常から存在する問題や関係性が露呈される機会であると考えています。そのため、こうした機会を通じて社会がどのように変わるべきかを考えるきっかけを提供することが重要だと訴えています。   情報発信とサイトの見直し 今回立ち上げたサイトについても、今後も情報発信を続けながら、障がい者が必要とする情報によりアクセスしやすくなるよう見直しを行うとしています。災害時に障がい者が活用できる形を目指していくことを目指しています。   マイノリティの声の重要性 松田さんは、マジョリティが前提となっている社会において、障がい者の声がアクセスされにくいという現状を指摘しています。しかし、障がい者は災害時でも存在し、その声が届く必要性があると強調しています。障がい者の声が届くことで、無関心だったものに関心を寄せ、必要な支援や整備を進めることができると述べています。 まとめ 彼らの取り組みは、障がい者の声や権利が社会全体に届くことで、社会の関心を喚起し、積極的な行動を促進することができると信じています。彼らはこれからも、障がい者の声が社会に反映されるよう努めることが重要だと考えています。   参考 障がい者の声を消さない~能登半島地震支援特設サイト|NHK能登半島地震でのあと被災した障がい者支援のための特設サイトが立ち上がった。そこに込めた思いとは。障がい者のあるアート作家を支援しているヘラルボニーの代表者に聞いた。

麻疹にかかり4歳で最重度知的障がいに…苦悩と奇跡の物語

80代になっても「不安はない」 内閣府が明らかにした「高齢社会白書(令和3年版)」によれば、日本の世帯の49.4%が65歳以上の者を含んでいます。その中で、夫婦のみで構成される世帯が最も多く、約3割を占めています。また、高齢者のみで構成される単独世帯を含めると、約6割が頼れる同居者のいない状況にあることが分かっています。 北九州の郊外に住む多良久美子さんは、夫と知的障がいを持つ息子の3人で生活しています。8年前にはがんで娘を亡くし、頼れる子どもや孫がいない彼女は、80代に差し掛かった今でも不安を感じることなく、楽しく毎日を過ごしています。しかし、息子が4歳の頃、麻疹に罹患し最重度の知的障がいを持つようになった過去を持ちます。   麻疹を患い… 久美子さんは、高校卒業後に勤めた会社で出会った夫と結婚し、24歳の時に息子が誕生しました。息子は非常に賢く、トイレに貼ったカレンダーで数字を覚えるなど、自立した行動が見られました。しかし、入園準備をしていたその時、麻疹により彼の命と知能が脅かされました。   「命だけは助けてください」 病院での診断では、肺炎にかかっているという診断が下り、急速に意識を失ってしまいました。その後、2週間の間、息子は植物状態になり、医師からは生存の見込みが薄いと告げられました。久美子さんは必死に祈り、「どんな状態でもいいから、命だけは助けてください」と願いましたが、同時に葬儀の準備も進めていました。   奇跡的に意識が戻る しかし、奇跡的に息子の意識は戻り、体も動くようになりました。しかし、知能は失われたままであり、医師からは回復の見込みがないと告げられました。入院から4ヵ月後、退院を余儀なくされた久美子さんは、息子の将来に対する不安と苦悩に立ち向かっていくことになります。   「障がい児・者の親の会」との出会い 息子が障がい児となって3年が経ち、治るかもしれないという希望を捨てることができませんでした。病院に行けば治るのではないかと、必死に考えていました。しかし、その思いが変わったのは、「障がい児・者の親の会」との出会いがきっかけでした。 会に参加することで、久美子さんはたくさんのお母さんたちと出会いました。彼らはとてもたくましく、明るく、前向きでした。   理解者が心を救う 彼らの姿勢は、障がいを持つ子どもをただの数字ではなく、1人の人間として扱うことの大切さを教えてくれました。その中で、私も自らの心の葛藤を打ち明けることができました。そして、他の参加者たちからの支えや理解が、久美子さんの心を救ってくれたのです。 その経験から、久美子さんは息子の障がいを受け入れ、彼との新しい生活を歩むことを決意しました。姉からの助言や福祉の講演会での言葉も、私の心に深く響きました。これらの出来事を通じて、久美子さんは前向きな未来への道を見つけました。   勇気を与えてもらえる 会員のお母さんたちの、子どもたちを「1人の人間」として育てる思いに触れ、久美子さんも彼らと共に前進したいと感じました。彼らの積極的な姿勢は、久美子さんに勇気と希望を与えました。そして、この仲間たちと共に過ごす時間が、久美子さんの心に深い影響を与えました。 その中で、「何度も線路に飛び込もうと思った」というエピソードを聞き、久美子さんも同じような絶望感に襲われたことがあったと明かします。しかし、他の参加者たちの共感と理解が、久美子さんを救ってくれました。お母さんたちの支えに触れることで、新たな希望が湧きました。   姉の助言 また、母親代わりである姉からの「福祉の世界で育てなさい」という助言や、福祉の講演会での「障がいを認め、新しいスタートを切る」という言葉も、久美子さんの心に深く響きました。これらの経験を通じて、息子の障がいを受け入れ、前向きなスタートを切ることができました。息子と共に生きる覚悟を決めたとき、久美子さんの中には不思議なほどの元気と希望が湧き出ました。 幸せな日々の発見 息子が養護学校に通うようになってからの生活は、時間の負担こそあったものの、久美子さんにとって大きな安堵でした。毎日24時間息子にぴったりと張り付く必要がなくなり、ひとり息抜きする時間も持てました。 初めて養護学校に通い始めた頃は、息子の障がいに沈み込んでいました。何もかもできない彼に対して、謝罪の言葉ばかりが口をついて出ていました。   「いいことだけを書こう」 しかし、ある日、担任の先生からの一言が久美子さんの考え方を変えました。「連絡帳にはいいことだけを書こう」という提案でした。これまで否定的な視点に囚われていた久美子さんにとって、その言葉は目から鱗でした。 以来、必死になって息子の良いところを見つけ、連絡帳に記すようになりました。先生からの褒め言葉が、久美子さんの心に希望を与えてくれました。   前向きに考える 悪い部分やできないことにばかり目を向けるのではなく、前向きに、改善の余地や可能性を見出すようになりました。息子もその変化に応え、次第に成長していきました。 彼は中学や高校、通園施設を経て、現在は生活介護事業所に入所しています。週末には家に戻り、久美子さんたちと共に過ごします。彼の存在は、久美子さんたちにとって大きな喜びであり、心の支えです。   尊重し合える仲に 今では、息子との関係は対等であり、お互いに尊重し合っているとのことです。彼の言葉がなくとも、久美子さんたちは彼の気持ちを理解し、共に笑い合える関係が築けています。 息子の存在は、久美子さんたちにとってかけがえのない宝物です。彼が帰ってくると、家の中が一気に明るくなり、おだやかな日々を過ごすことができています。 まとめ 麻疹の後遺症は深刻で、知的障がいや神経疾患を引き起こすことがあるため、予防接種などの重要性を改めて感じます。 生活介護事業所は、障がい者や高齢者などの支援を提供し、自立した生活をサポート、日常生活の支援や医療的ケア、社会参加の支援など、個々のニーズに応じたサービスを提供します。これにより、利用者は安心して自宅での生活を続けることができ、家族も介護負担が軽減されます。生活介護事業所は、利用者の自立を促し、地域社会の一員として積極的に参加する支援を行うことで、より豊かな生活を実現する場所になります。 重度認知症などで大変な思いをしている方々の力になれる施設などに相談して、一人で抱え込まずに誰かに相談してほしいと思います。   参考 麻疹にかかった息子が4歳で最重度知的障がい者に…「飛び降りたら楽になるかも」思いつめていた私の目を覚ました姉のある一言とは(婦人公論.jp)Yahooニュース

公共交通機関の“障がい者”「心のバリアフリー」 公共交通機関の新たな挑戦

国土交通省が掲げる「心のバリアフリー」とは 障がい者の社会的包摂を目指すため、国土交通省が「心のバリアフリー」をスローガンに掲げ、公共交通機関の利用における障がい者支援の重要性を提唱しています。この取り組みは、障がい者の社会参加を促進し、差別や不平等を解消することを目指しています。具体的には、以下の3点が重要視されています。   差別や不平等を解消するため 障がい者の社会的バリアーを取り除くことが社会全体の責任であるという考え方があります。障がい者やその家族が合理的配慮を受け、差別を受けずに暮らせる社会を構築することが求められています。 障がい者の困難や痛みを理解し、適切なコミュニケーションを持つことが重要で、障がい者が自立して生活するためには、周囲の理解と支援が必要不可欠です。 障がい者の生活の質を向上させるためには、心のバリアフリーだけでなく、身体的なバリアフリーも重要であるとしています。公共交通機関が、車椅子やベビーカーなどの利用者に対応したバリアフリースペースを確保することが必要です。   多くの課題 しかし、現実にはこれらの取り組みが不十分であり、多くの障がい者やその家族が日常生活で困難に直面しています。例えば、知的障がいを持つ子供を育てる親の声が挙げられます。 支援学校に通う子供やその親は、公共交通機関を利用する際に多くの困難に直面し、周囲の目線や理解の不足によって、ストレスや不安を感じることがあります。 このような課題に対処するためには、公共交通機関がより包括的な支援を提供する必要があります。   社会全体の責務 今後も、公共交通機関の利用がより多様なニーズに対応するための取り組みが求められますが、心のバリアフリーを実現し、障がい者やその家族が安心して利用できる環境を整備することが、社会全体の責務であるという認識を共有し、改善に取り組むことが重要です。   公共交通機関の課題 2021年3月、国土交通省が主催した「知的・発達障害者等に対する公共交通機関の利用支援に関する検討会」では、知的障がい者や発達障がい者に対する次のような課題が明らかにされました。   公共交通機関の利用支援に関する検討会の課題 不慣れな環境での当事者の困りごと:「できない、わからない、一人では不安」 当事者に対する事業所の困りごと:「対応の仕方が分からない」 周囲の方々の困りごと:「知的・発達障がい者の特性に対し、理解が進んでいない」 当事者が直面する問題として、切符購入や改札入場、ホームや車内のルールが理解できず混乱することが挙げられます。実際の声からも、その課題が明らかになっています。 利用体験実施マニュアルの作成 これらの課題に対処するために、国土交通省は「公共交通機関の利用体験実施マニュアル(案)」を作成し、利用者の体験を通して公共交通機関の利用促進を図っています。このマニュアルは、利用者が公共交通機関全体を理解するためのサポートを提供するものです。支援者は、常に危険性を認識し、支援対象者の特性を踏まえた関わり方について理解を深める必要があります。   事業者向けのコミュニケーションハンドブック 一方で、事業者が障がい者の特性を理解しにくいという問題も指摘されています。このため、国土交通省は事業者や一般向けに「発達障害、知的障害、精神障害のある方とのコミュニケーションハンドブック」を作成し、配布しています。このハンドブックには、障がいの特性、対応の基本、実際のトラブル場面での対応などが記載されており、分かりやすくまとめられています。   利用者と事業者の理解を促進する取り組み これらの取り組みを通じて、利用者と事業者の理解を促進し、公共交通機関の利用支援を強化することが期待されます。特に、事業者が障がい者のニーズに適切に対応するためには、障がい者とのコミュニケーションにおける理解を深めることが不可欠です。この取り組みが、より包括的で包摂的な社会の実現に向けて一歩前進することを期待しています。   緊急時の対応と臨機応変なサポート 「発達障害、知的障害、精神障害のある方とのコミュニケーションハンドブック」では、緊急時の対応や臨機応変なサポートの重要性が強調されています。具体的な状況としては以下のような場面が挙げられています。 急に奇声を発し、走り回ったりしている人がいる。 自分の興味のある他人の物や公共物に触り、トラブルになる。 困っていることを説明できず、モジモジしてウロウロとしている。 フラフラ、ぼんやりしていて、人にぶつかっている。 パニックになっている。 こうした場面に遭遇した際には、「笑顔でゆっくり、短く、具体的に優しい口調で話しかける」ことが求められます。   緊急時の対応 特に、バスや電車が遅れているなどの状況下では、障がい者が状況を理解することが難しい場合があります。このような状況では、臨機応変な対応が求められます。特に、パニックになっている障がい者に対しては、命の危険を感じる場面では危険の回避を最優先に実行し、「落ち着ける環境に誘導する」ことが重要です。具体的には、静かで他人の目を遮る空間が適しています。   安全と理解の両立 緊急時の対応では、障がい者の安全を確保すると同時に、理解と配慮を示すことが重要です。そのためには、支援者や関係者が障がい者の特性や個々のニーズを理解し、適切な対応を行うことが不可欠です。さらに、周囲の理解と協力も必要であり、安全で包括的な支援体制の構築が求められます。   声のかけ方とコミュニケーション 障がい者とのコミュニケーションにおいて、声のかけ方は非常に重要です。ここでは、「声かけ変換表」からいくつかの例を抜粋してみます。 「早くしてください」 → 「あと何分かかりますか?」 「静かにしてください」 → 「声を『これくらいの大きさ』にしてもらえますか?」 「走ってはいけません」 → 「歩きましょうか」 これらの例からもわかるように、否定的な言葉を使わずに、具体的な行動を示すことが大切です。説得や危険回避の場面では、興奮や大声はパニックを助長する可能性があるため、ゆっくりと落ち着いて話すことが重要です。   周囲の理解の重要性 このようなコミュニケーションのポイントを理解するためには、周囲の理解が極めて重要です。児童発達支援の現場で保育士として働くトミさん(仮名)は、バスの遅れがパニックを引き起こすことについて次のように述べています。「バスが遅れると、理由が分からずパニックになります。違う時間にバスが来ると、自分が乗るバスと別だと認識し乗れません。その時の関わり方、知らせ方が課題です」 周囲の理解がなければ、障がい者が安心して行動することが難しくなります。そのため、興味本位で集まったり、目線を向けたりすることを控え、障がい者が落ち着ける空間や時間、雰囲気づくりに協力することが重要です。   ハンドブックの効果と認知度 こうしたコミュニケーションの手法を理解し、実践するために、国土交通省が作成した「発達障害、知的障害、精神障害のある方とのコミュニケーションハンドブック」は効果的なツールとなっています。しかしながら、その認知度はどの程度であるかについては調査が必要です。 駅・バス停での対策:認知度向上と配慮の必要性 現在の駅やバス停における対策は、まだまだ改善の余地があります。実際、当事者の支援者36人にハンドブックの認知度を尋ねたところ、36人中5人しか知らなかったという結果が示されました。   ハンドブックとヘルプマークの認知度 ハンドブックにはヘルプマークも紹介されていますが、その認知度も不十分です。精神障がい者施設を運営するスタッフが目撃した、「ヘルプマークなどはあるが、周りの人の認識が不明で、つい先日もぶつかって転んでしまった」というような事故が起こっています。   必要な対策と配慮 駅やバス停では、ポスターの設置や心のバリアフリー席の設置など、公共交通機関が積極的に配慮すべき課題があります。当事者やその家族が心労を感じることなく、安心して移動できる環境を提供することが重要です。   まとめ 社会全体が、当事者やその家族のニーズに配慮し、心のバリアフリーを実現するために協力する必要があります。心のバリアフリーを実現するためには、単なる施策だけでなく、社会全体の意識改革や教育も必要です。当たり前のように配慮し、理解し合う社会の実現に向けて、一歩一歩前進していくことが重要です。   参考 「叫ぶ、走り回る、飛び跳ねる」 公共交通機関の“障がい者”に向けられる冷たい視線! 今必要なのは、迅速な支援・啓発である(Merkmal)

発達障がいの理解と支援の重要性「がんばれ」と言ってはいけない?

発達障がいの人へのサポートにおいて、言葉の選び方や接し方が重要です。ただ頑張ればいいというわけではなく、彼らの特性を理解し、それに適した環境やサポートを提供することが肝要です。発達障がいは病気ではなく、脳の特性であり、その特性に合わせたサポートが必要です。 本記事では、特にADHDやASDの人が抱える問題や特性に焦点を当て、適切な支援方法や仕組みづくりについて解説します。彼らとの関わり方を工夫することで、彼らがより良い生活を送れるように支援することが可能です。周囲の人々が理解を深め、適切なサポートを提供することで、発達障がいの人が自己実現しやすい社会を築くことができるでしょう。   問題や困難を理解し、それに対応する支援が必要 発達障がいの人は、周囲からさまざまなレッテルを貼られることがあります。しかし様々な特性があるため、「がんばれ」といった励ましの言葉よりも、彼らが抱える問題や困難を理解し、それに対応する支援が求められます。   環境や仕組みを整える 特性に基づいた支援を行うためには、彼らの行動や言動の背景にある理由を理解することが不可欠です。例えば、ミスが多い、忘れ物が多い、空気を読まずに発言してしまうなどの特性は、彼らが持つ脳の特性によるものです。そのため、彼らが成功するための環境や仕組みを整えることが大切です。   ADHDの人への理解とサポート方法 ADHDの人が書類に誤字脱字や計算間違いを犯して上司から叱責されるケースは、特性である注意欠如に起因する可能性が高いです。常に別のことに気を取られたり、マインド・ワンダリングと呼ばれる状態に陥りやすいため、集中して作業を行うことが難しいのです。 このような状況下で叱責が行われると、本人はますます焦り、ミスを連発する可能性があります。さらに、自己責任感や恥ずかしさを感じることも少なくありません。 このような状況において、ADHDの人を支援するためには、ミスを減らすための環境を整えることが重要です。   ミスしやすいポイントを把握 具体的な支援策としては、専用のチェックシートを作成し、毎回の作業で確認を促すことが挙げられます。また、先輩社員をペアとしてつけて、作業をチェックする仕組みを作ることも有効です。 このような取り組みにより、ADHDの人自身がミスしやすいポイントを把握し、周囲の理解も深まるでしょう。   ASDの人への理解とサポート方法 いわゆる「空気を読めない」発言をしてしまうのは、ASDの特性によるものです。ASDの人は常に事実を重視し、人間関係や社交性には無頓着な傾向があります。 そのため、他人の自慢話を率直に批判したり、相手の反応を考慮せずに発言することがあります。   上下関係や社交性にこだわらず、事実を伝えることが重要 ASDの人への適切な支援には、彼らの特性を理解し、適切なコミュニケーションの方法を考えることが不可欠です。上下関係や社交性にこだわらず、事実を伝えることが重要であり、彼らの行動を誤解せずに接することが大切です。 発達障がいの人へのサポートとコミュニケーションの重要性 発達障がいの人々に対する理解とサポートは、彼らの生活や仕事の質を向上させる上で極めて重要です。 彼らが抱える特性によって、日常生活や職場でのコミュニケーションにおいて様々な困難が生じますが、理解ある支援と適切なコミュニケーションの手法を用いることで、彼らの課題を克服しやすくなります。   ASDの人々は論理的な思考の場合が多い まず、ASDの人々は通常、論理的な思考を重視しており、真実を重んじる傾向があります。したがって、彼らとのコミュニケーションにおいては、論理的かつ明確な説明を行うことが重要です。 また、彼らが自分の特性や行動について理解してもらえることは、彼らにとって心強い支えとなります。   ADHDの人々は物事の優先順位をつけるのが苦手 ADHDの人々は、約束を守ることが難しい場合があります。彼らは物事の優先順位をつけるのが苦手であり、簡単な仕事に手をつけたり、重要な予定を忘れたりすることがあります。 そのため、彼らには約束や予定をスマートフォンなどに登録し、リマインドする仕組みを整えることが重要です。さらに、特に重要な約束に関しては、本人が自覚できるようにメモを渡すなど、サポートを行うことが効果的です。   相手の言葉を字義通りに受け取る傾向 さらに、ASDの人々は相手の言葉を字義通りに受け取る傾向があります。そのため、彼らとのコミュニケーションでは、言葉の裏に隠れた意味やニュアンスを理解し、適切な反応を示すことが重要です。 特に感情的な言葉や表現を使う際には、彼らが理解できるように注意深くコミュニケーションを行うことが求められます。 発達障がいの人々とのコミュニケーションにおいては、相手の特性やニーズを理解し、適切なサポートや対応を行うことが不可欠です。彼らがより良い社会生活や職場環境を築くためには、理解ある支援と適切なコミュニケーションが欠かせません。   発達障がいの人へのコミュニケーションとサポートの重要性 発達障がいの人々はメタメッセージを読み取るのが苦手であり、言葉の裏の意味や感情を理解しにくいことがあります。 特に皮肉や嫌味、あるいは社交辞令のような間接的な表現は、彼らにとって理解しにくいものです。そのため、彼らとのコミュニケーションにおいては、ストレートかつ明確な言葉を用いることが重要です。   必要なものをまとめて一か所に置く さらに、ADHDの人々は物事の優先順位をつけるのが苦手であり、片付けや整頓が苦手な場合があります。ADHDの人々は注意散漫であり、出したものをそのままにしてしまったり、他のことに気を取られてしまったりすることがあります。 このような場合、単に「片付けろ」と言うだけでは理解しにくいかもしれません。彼らには手を付けるべき場所や方法がわからない場合がありますので、まずは必要なものをまとめて一か所に置くことから始めることが重要です。   ASDとADHDが併発している場合 特にASDとADHDが併発している場合、優先順位をつけるのがさらに難しくなるため、物を溜め込んでしまうこともあります。そのため、具体的な指示やサポートが必要です。 例えば、不用品の処分や物の分類方法を指導することで、整頓された環境で生活できるよう支援することが重要です。 発達障がいの人々とのコミュニケーションやサポートにおいて、特性やニーズを理解し、適切な対応を行うことが欠かせません。より良い生活や職場環境を築くためには、理解ある支援と適切なコミュニケーションが不可欠です。 発達障がいにおける片付けのアプローチ 片付けの習慣を身につけることは、発達障がいの人々にとっても重要です。しかし、片付けのやり方や環境について独自のルールを持っていることがあります。本人が心地よい状態を保つことが重要であり、無理に片付ける必要はありません。 ただし、公共のスペースでは最低限の配慮が必要です。片付けのアプローチについては、ブロックごとに分けて1日1カ所ずつ片付ける習慣を促すなど、特性に合わせた方法が有効です。   有名人も発達障がいの可能性を持つ 発達障がいは決して能力や人間性に問題があるわけではありません。実際、有名人の中にも発達障がい的な傾向を持つ人が少なくありません。 例えば、ニトリホールディングスの会長である似鳥昭雄さんは70歳を過ぎてからADHDと診断されました。彼は注意散漫で整理整頓も苦手でしたが、「発達障がいのおかげで、私は成功できた」と語っています。他にも経済評論家の勝間和代さんや、テスラのイーロン・マスクさんなども、発達障がいの可能性を口にしています。   まとめ 発達障がいの人々にとって、周囲の理解と手助けは何よりも重要です。彼らの特性やニーズを理解し、適切なサポートを行うことで、彼らが持つ大きな可能性を引き出すことができます。 また、発達障がいの診断にとらわれず、脳の特性や傾向からくる困りごと解決ツールとして考えることも大切です。定型発達の人々でも、発達障がいの特性に似た傾向を持つ人が少なくないため、多くの人がサポートを必要としていることを知り、助け合える社会にしていくことが大切だと思います。   参考 発達障がいの人に「がんばれ」言ってはいけないワケ#東洋経済オンライン

大人の発達障がい2:ASD(自閉スペクトラム症)

大人になってから診断される発達障がいの向き合い方や治療法などをご紹介します。 後編(本記事)はASD(自閉スペクトラム症)についてです。前編のADHD(注意欠如・多動症)についてもぜひご覧ください。   大人の発達障がい: 個性の多様性と新たな挑戦 「発達障がい」とは、生まれながらに脳機能に偏りがみられる、さまざまな疾患の総称です。例えば、「ADHD(注意欠如・多動症)」や「ASD(自閉スペクトラム症)」、「LD(限局性学習障がい)」などが含まれます。 これらの特性は、単なる障がいや疾患ではなく、むしろ個々の特色や個性としてとらえられるべきものです。近年では、これらの特性が子どもだけでなく大人にも影響を与えることが注目されています。 しかし、発達障がいは生まれつきのものであり、大人になってから急に発症するわけではありません。むしろ、大人になるにつれてその特性が浮き彫りになり、適切な支援や理解がますます重要になっています。   特性が障がいとして浮き彫りに 発達障がいがあっても、子どもの頃はそれほど目立たなかったり、サポートがあったりして、それほど大きな問題にはならないことがあります。 しかし、大人になってからは、仕事やビジネスの場面で多くの困難が生じることがあります。特に、多様な作業をこなす必要があるビジネス環境では、その特性が障がいとして浮き彫りになることがあります。 自らの特性に気付かず、周囲からの適切なサポートも得られない場合、トラブルや深刻な問題が生じることもあります。したがって、本人が自らの特性を理解し、適切に対処することはもちろんのこと、周囲の理解とサポートが重要です。 ASD(自閉スペクトラム症)とは? ASD(自閉スペクトラム症)は、成人の1%程度に見られる疾患であり、一般的に男性よりも女性に多くみられます。 ASDには、知的障害を伴う重症なものから軽度なものまで様々なレベルがありますが、大人で問題となるのは、ほとんどが知的障害のない軽度のもので、「アスペルガー症候群」も含まれます。   ASDの特徴と影響 ASDは、社会的な相互作用やコミュニケーション、興味・活動の制限、反復的な行動・興味に関する特徴を示します。 これにより、日常生活や社会生活においてさまざまな困難が生じることがあります。たとえば、人間関係の構築や維持、適切なコミュニケーションの取り方、柔軟な行動の展開などが難しい場合があります。   ASDの診断と支援 ASDの診断は、専門の医師や心理学者によって行われます。診断後は、個々のニーズに応じたサポートや介入が重要です。 カウンセリングや療法を通じて、社会的なスキルや自己認識を向上させ、日常生活や仕事での適応力を高めることが目指されます。   ASDへの理解と支援 ASDへの理解と適切な支援が、患者やその家族にとって重要です。教育や職場環境の調整、コミュニケーションのサポート、社会参加の促進など、多角的なアプローチが求められます。 また、一般の人々に対する情報提供や啓発活動も、ASDに対する理解と共生を促進するために重要です。   特性1:コミュニケーションの困難 ASDの大きな特性として、人との関わり方に困難が生じます。多くの場合、人に対する関心が薄く、コミュニケーションの円滑な進行が難しいです。 特に、人と目を合わせることが苦手であり、婉曲な言い回しを理解することが難しく、相手の表情や身振り手振りを適切に読み取ることもできません。   コミュニケーションの課題 「場の空気が読めない」「人との距離感がつかめない」といった状況が生じ、周囲とのコミュニケーションが困難になることがあります。特に職場などでのコミュニケーションにおいて、孤立してしまうことがあります。   コミュニケーション上の特性 他人に興味がない 興味や関心が無いことには参加しない 人の話を聞かず、自分が関心のあることだけをしゃべり続ける   これらの特性は、社会的な相互作用や人間関係の構築において困難を引き起こす可能性があります。適切なサポートと理解を通じて、コミュニケーションスキルの向上や社会参加の促進が重要です。   特性2:反復的な行動とこだわり ASDの特性の一つとして、変化に対する不安や興味の強いこだわりが挙げられます。自分の興味がある領域に強い関心を示し、特定の趣味や関心事に没頭することがあります。 これは、子どもの頃から現れることが多く、大人になっても持続する傾向があります。また、日々の行動にも自分なりのルールや習慣があり、同じことを同じ順番で繰り返すことに強いこだわりを示します。   行動パターンの特徴 同じ習慣にこだわる 毎日同じ順番でないと気が済まない 自分なりのルール(食べる順、道順など)がある   これらの特性は、日常生活や社会的な活動において、柔軟性や適応能力の不足を引き起こす可能性があります。支援者や関係者は、個々のニーズや好みに対応したアプローチを検討し、安定感や安心感を提供することが重要です。   特性3:感覚過敏または鈍感 ASDでは、音や光など特定の刺激に敏感で、日常生活に支障をきたすことがよくあります。個々の人によって異なりますが、苦手な刺激の種類や程度は様々です。 例えば、周囲の話し声や店内のBGM、赤ちゃんの泣き声、掃除機や換気扇の音などが挙げられます。また、蛍光灯やLED照明、太陽光、さらにはパソコンやスマホの画面の光なども、苦手な刺激として感じることがあります。   感覚過敏と鈍感の両面 一方で、感覚が鈍感な場合もあります。痛みや空腹に気付かない、あるいは感覚の遅れが見られることもあります。これらの感覚の変化は、日常生活や社会的な活動において、さまざまな困難をもたらす可能性があります。   具体的な特性 肌ざわりが気になり、同じシャツだけを着る 特定の高音が苦手 芳香剤が嫌でトイレを使えない 強い光が苦手で帽子とサングラスをつける 光が突然当たるとパニックになる   これらの特性は、個々のニーズに合わせた環境の調整や支援が重要です。感覚過敏や鈍感に対する理解と適切な対処法を提供することで、日常生活の質を向上させることができます。   特性4:感情の制御困難と自傷行為 感情のコントロールが苦手で、予期せぬ出来事や思い通りにならないことがあると、暴言を吐いたり、かんしゃくを起こしたりすることがあります。 特にストレスや刺激が強い場面で、感情が高ぶってコントロールが難しくなることがあります。   自傷行為の発現 壁に頭を打ちつけたり、皮膚をかきむしったりするなどの自傷行為が見られることがあります。これは、感情の不安定さやストレスによって引き起こされる場合があります。 感覚過敏によるイライラや不快感が積み重なり、自傷行為が発現することもあります。   過去の記憶とパニック ASDの人の中には、非常に高い記憶力を持つ人もいます。そのため、過去の嫌な記憶が頻繁に思い出され、パニック状態に陥ることがあります。このような状況下では、感情のコントロールがますます困難になることがあります。   具体的な行動特性 かんしゃくを起こす 自分の肌をかきむしる 過去の嫌な記憶を頻繁に思い出してパニックになる 壁に頭を打ちつける   これらの特性は、個々のニーズに合わせた支援や対処法が必要であり、感情の安定やストレス管理のサポートが重要です。また、感情や行動に理解と寛容さを示すことが、ASDの人々とのコミュニケーションや関係の構築にとって不可欠です。   特性 5:言語の特異性 大人のASDではそれほど多くありませんが、独特の話し方や言葉の使い方がみられることがあります。この特性は、個人のコミュニケーションスタイルや認知パターンによって影響を受けます。   話し方の特徴 抑揚のない調子で話す 自分特有の言葉を使う 必要以上に大きな声で話す   ASDの人は、抑揚や表情豊かな話し方が苦手な場合があります。そのため、話し方には一般的なパターンとは異なる特徴が見られることがあります。また、自分だけが理解する独自の言葉や語彙を使用することもあります。   コミュニケーションへの影響 この特性は、ASDの人が他者とのコミュニケーションで理解されにくい場合があることを意味します。周囲の人々にとっては、この特性を理解し、受け入れることが重要です。 対話や意思疎通が円滑に行われるためには、双方が互いのコミュニケーションスタイルに適応することが求められます。   仕事や私生活での対処法 ケアレスミスが多い人は… メモを取る習慣を身につける メモを書いた後は、1日に2回以上見返す   デスク周りのものをよく無くす人は… ものの置き場所を決めて、使ったら元の場所に戻す デスク周りのアイテムにはラベルを貼る   私物をよく無くす人は… バッグインバッグを使用して、必要なものをまとめて携行する バッグの中身を1日に1回確認する   焦ってしまい、ミスが多くなる人へは… 冷静さを保つためのサポートを提供する 叱責や非難ではなく、落ち着くように声をかける まとめ これらの対処法は、個々のニーズや状況に合わせて調整されるものですが、周囲の理解とサポートがあれば、日常の課題に対処しやすくなるため、周囲の人へのアドバイスやサポートをする際にぜひ参考にしてみてください。   参考 専門医が答える「大人の発達障害」~周囲ができるサポートとは【別冊NHKきょうの健康】 | NHK出版デジタルマガジン

強度行動障がいの家族の苦悩:支える場の不足

自分や他者に対する傷つけや物の破壊など、しばしば問題行動が見られる「強度行動障がい」。全国には約7万8000人がその影響を受けているとされますが、その支援は容易ではありません。福祉サービスの利用が制限されることも多いなか、その家族たちはどのような状況にあるのでしょうか。   頼れる場所がない 自閉症と知的障がいを抱える10歳のひろきさん(仮名)は、食事を口にすることを拒否するなどのこだわりや自傷行為があります。母親のあかりさん(仮名)は看護師としての職を退職し、息子のケアに専念してきました。 ひろきさんの自傷行為は2年前から夜通し続き、顔面が大きく腫れあがり、大きなあざができるほどにエスカレートしました。あかりさんは幼少期から障がいに関する知識を積み重ね、工夫を凝らしながら子育てを行ってきましたが、自傷行為の変化に対処するのは難航しました。   深まる孤立 自傷行為が止まらず、あかりさんも精神的な負担が増大しました。児童相談所に連絡しても適切な対応が得られず、学校やデイサービスへの通学も難しくなり、親子の孤立感は深まっていきました。 家族の間で支え合う仕組みが不足している中、強度行動障がいを抱える人々とその家族は日々孤独と苦闘を強いられています。このような事例が増える中、地域社会や福祉サービスの改善が求められます。   虚偽の支援による信頼の崩壊 あかりさんは、SNSで障がいのある子どもを支援するとあるNPOの理事長を紹介されます。専門的な支援を提供する人物との出会いに期待を寄せつつ、その支援が始まると、家庭に訪れた瞬間はまるで「悪魔払いが始まったみたいな感覚」だったと振り返ります。息子の手が緊張で握りしめていたのがほぐれ、状況が少しでも改善されることに安堵しました。しかしこの支援は、信じられないほどの裏切りとなりました。   施設の理事長の逮捕 支援が始まってからわずか3か月後、その理事長の施設が警察の捜索を受け監禁などの容疑で逮捕されたのです。理事長の施設での実態が明るみに出ると、手足の拘束、脅迫や暴言など、恐るべき虐待の実態が浮かび上がりました。そして、理事長には懲役3年の判決が下され、その結果、あかりさんの息子への支援が突然打ち切られました。   状況の悪化 これにより、ひろきさんの状態は再び悪化し、食事を取ることもままならなくなりました。あかりさんは、唯一の頼みの綱だった理事長の支援が途絶えたことで、ますます絶望感に苛まれました。行政や児童相談所など、あらゆる手段を尽くしても支援を得ることができなかった彼女にとって、これは非常に厳しい状況でした。 事件の後、理事長を頼っていた保護者たちを中心に、情状酌量を求める署名活動が展開されました。この活動には、大勢の賛同者が集まり、その中には、自閉症と知的障がいを抱える子どもを持つ保護者も含まれていました。 虚偽の支援を受けた家族たちの信頼は完全に崩壊し、再び信頼できる支援を見つけることが難しくなりました。   家庭内での安全確保と行動障がい 大野さんは、息子の創平さん(10)が室内での飛び跳ねや飛び降りなどの行動障がいに苦しんでいる実情を明かします。飛び降り防止のためベランダに猫よけを設置し、家庭内での安全確保に努め、下階からの苦情に対応するために対策を講じました。しかし、コロナ禍の外出自粛により、家庭内での行動が一層激しくなりました。   家族に「他害行為」 創平さんの行動はますますエスカレートし、家族に「他害行為」を及ぼすようになりました。特に、家の近くの交差点を危険な状況に関わらず走り去る行動には、大きな懸念があります。家庭内だけの支援に限界を感じた大野さんは、2021年の終わりに理事長に支援を求めました。 理事長からの返答には、初めて支援者の理解を感じたといいます。しかし、その後の理事長の逮捕により、複雑な思いが生まれました。事件に関しては非難されるべきであると認識しつつも、家族にとっては唯一の頼みの綱であった理事長がいたことは事実です。 現在、大野さんは自力で学びながら、支援を見つけるために奮闘しています。これまでの経験から、信頼できる支援を見つけることの難しさを痛感していますが、創平さんとの向き合い方を模索し続けています。 絵カードを活用した支援:自立への一歩 大野さんは現在、自ら勉強を積み重ねながら、息子の創平さんへの支援を整えようと模索しています。その取り組みの一環として、力を入れているのが「絵カード」を使ったコミュニケーションの練習です。これは、創平さんが言葉に頼らずに自分の意思を伝える手段として有効です。   自分の欲求や意思を的確に表現できるようになる 絵カードを用いたコミュニケーションの訓練では、創平さんが手に取った絵カードを通じて、自分が食べたいものを示すことができました。このような手法によって、創平さんが自分の欲求や意思を的確に表現できるようになりつつあります。   コミュニケーションの向上が自立への一歩 現在、創平さんは以前に比べ、より落ち着いた日常生活を送れるようになっています。絵カードを通じたコミュニケーションの向上が、彼の自立への一歩となっています。早織さんは、これからも息子の成長を支えるために、様々な方法を試しながら前進していくことでしょう。   支援が受けられない状況が多い強度行動障がい 強度行動障がいは、自身や他者に対する傷つけや物の破壊などの行動が頻繁に見られる状態を指し、その背景にはさまざまな要因があります。この問題に詳しい鳥取大学大学院教授である井上雅彦さんは、その要因についての見解を述べています。   倫理的に疑問のある支援にも頼らざるを得ないというのが現状 井上さんによれば、元理事長が行っていた支援アプローチには、身体的な拘束の要素が含まれており、倫理的にも問題があると指摘されています。 しかしながら、地域に頼るべき機関や人が不足しており、支援を求める家族は孤立してしまい、結果的にそのような問題の支援に頼るしかない状況に追い込まれていると述べています。 このような状況下で、親は何とか支援を受けるために必死であり、その結果として倫理的に疑問のある支援にも頼らざるを得ないというのが現状です。   支援の必要性と家族の取り組み 井上さんは、支援を親だけに依存させない仕組みが重要であると指摘し、地域の中でチームを作り、支援者や学校の先生と連携し合うことが必要だと主張しています。 また、井上さんは、絵カードなどの手段を使って意思を伝えることも重要であると述べています。これは、言葉で表現できない場合に役立ち、地域の支援者や学校の先生との連携を強化することが重要であると説明しています。   福祉サービスにつながりにくい事例が多く存在 自身の息子に強度行動障がいがある家族会で活動する小島幸子さんも、同様の問題を指摘しています。福祉サービスにつながりにくい事例が多く存在し、これが本人や家族にとって大きな負担となっていると述べています。小島さんは、施設や事業所の受け入れが困難であることや、環境の変化に対する苦手意識を持つ人々が施設に通う際に混乱するという問題についても言及しています。   強度行動障がいの要因 強度行動障がいが生じる背景には、さまざまな要因が関与しています。鳥取大学大学院教授である井上雅彦さんは、その要因について詳しく説明しています。   自閉症や知的障がいの重さからくる障がい特性と環境要因の相互作用 井上教授によれば、強度行動障がいの根本的な要因は、自閉症や知的障がいの重さからくる障がい特性と環境要因の相互作用にあると言われています。例えば、本人が特定の刺激に対して強いこだわりを持つ場合があります。また、コミュニケーションの困難さから、本人が自らのニーズを言葉で表現できない状況もあります。   頭を叩くことは、大切なコミュニケーションの手段 井上教授は、具体的な例を挙げて説明しています。例えば、お母さんにかまってほしいときに言葉で要求できない場合、本人は他の手段を使ってコミュニケーションをとることがあります。 頭を叩くと音がすることで、お母さんが来てくれるという結果を得ることがあります。そのため、本人にとって頭を叩くことは、大切なコミュニケーションの手段となり、強度行動障がいとして現れることがあります。 外から見れば行動障がいと思われる行動も、本人にとっては特定のニーズや手段を表現する方法となっていることがあります。このような視点から、強度行動障がいを理解することが重要です。それによって、本人のニーズに適切に対応し、支援を提供することが可能となります。 まとめ 地域の支援に繋がることが難しい親御さんが増えていることが最近の国の調査で明らかになりました。このような状況に直面している親御さんたちが、地域に声を上げることができないケースが多いことが指摘されています。しかし、井上さんは親御さんたちに勇気を出して支援を求めることを促しています。1か所でうまくいかなくても、諦めずに2か所、3か所と頼ってみることが大切だと強調しています。また、地域社会もそのような声に応え、支援体制を強化していく必要があると指摘しています。 孤立を感じている親御さんたちは、一人で抱え込まずに、ぜひ周囲の施設や人々を頼っていただきたいと思います。   参考 強度行動障がい(1)孤立する親子たち-記事|NHKハートネット

大人の発達障がい1:ADHD(注意欠如・多動症)

大人になってから診断される発達障がいの向き合い方や治療法などを二本に分けてご紹介します。 前編(本記事)はADHD(注意欠如・多動症)について、後編はASD(自閉スペクトラム症)についてになります。ぜひ後編もご覧ください。   大人の発達障がい: 個性の多様性と新たな挑戦 「発達障がい」とは、生まれながらに脳機能に偏りがみられる、さまざまな疾患の総称です。例えば、「ADHD(注意欠如・多動症)」や「ASD(自閉スペクトラム症)」、「LD(限局性学習障がい)」などが含まれます。 これらの特性は、単なる障がいや疾患ではなく、むしろ個々の特色や個性としてとらえられるべきものです。近年では、これらの特性が子どもだけでなく大人にも影響を与えることが注目されています。 しかし、発達障がいは生まれつきのものであり、大人になってから急に発症するわけではありません。むしろ、大人になるにつれてその特性が浮き彫りになり、適切な支援や理解がますます重要になっています。   特性が障がいとして浮き彫りに 発達障がいがあっても、子どもの頃はそれほど目立たなかったり、サポートがあったりして、それほど大きな問題にはならないことがあります。 しかし、大人になってからは、仕事やビジネスの場面で多くの困難が生じることがあります。特に、多様な作業をこなす必要があるビジネス環境では、その特性が障がいとして浮き彫りになることがあります。 自らの特性に気付かず、周囲からの適切なサポートも得られない場合、トラブルや深刻な問題が生じることもあります。したがって、本人が自らの特性を理解し、適切に対処することはもちろんのこと、周囲の理解とサポートが重要です。   ADHD(注意欠如・多動症)とは? ADHD(注意欠如・多動症)は、子どもでは4〜8%、大人では3〜4%にみられるとされています。成人における頻度の低さは、特性が消えたわけではなく、むしろ本人が適切に対処する能力を身につけた結果と考えられます。 ADHDの基本的な特性には、「不注意」「衝動性」「多動性」の3つがありますが、それぞれの現れ方や程度は個人によって異なります。また、ASDとの併存例も珍しくありません。   特性1:不注意の影響と生活への波及 集中力や注意力を持続させることが難しい 「不注意」とは、物事に対して適切な注意を向けることが難しい、集中力が続かない状態を指します。 例えば、上司が話をしていても、頭の中でいろいろなことが想起されて、集中して聞くことができません。また、財布やスマートフォンなどをふとした時に置きっぱなしにして、そのこと自体を忘れてしまうため、忘れ物や無くし物が多く見られます。 「不注意」から起こる出来事 口頭での指示を覚えられない 約束を破ってしまう 忘れ物・無くし物が多い 混乱しやすい   この「不注意」という特性は、日常生活にさまざまな影響を与えます。たとえば、仕事や学校でのミーティングや授業中に、指示を理解できなかったり、話についていけなかったりすることがあります。 これにより、誤解やミスを引き起こす可能性が高まります。また、家庭生活でも、約束を守れずに人々を失望させたり、必要なものを忘れてしまうことでストレスを感じることがあります。   時間管理や計画立案にも影響を及ぼす さらに、不注意な特性は時間管理や計画立案にも影響を及ぼします。締め切りを守ることが難しくなり、作業を遅らせる原因になります。 また、優先順位をつけることが難しいため、複数の仕事を同時にこなすことができません。これらのことから、「仕事が遅い」といった問題が生じることがあります。 不注意な特性は、個人の生活や仕事において深刻な問題を引き起こす可能性があります。しかし、理解とサポートを受けることで、これらの問題に対処することができます。   特性2:衝動的な行動とその影響 「衝動性」とは、待つことや我慢することが苦手で、思いついたことをすぐに行動に移しやすいという特性です。自分だけが一方的にしゃべり続けたり、相手の話を聞かずに相手が話している途中で話し始めてしまったりします。 頭の中に浮かんだことを次々に話し続けるため、話題が行ったり来たりで、論点がずれていても分かりません。上司や先輩への非難など、通常は本人の前では言わないようなことも、その場ですぐ話してしまい相手を怒らせてしまうこともあります。   衝動性の影響 衝動性は、日常生活にさまざまな影響を与えます。たとえば、会話中に感情が高ぶってしまい、突然怒鳴ったりすることがあります。 これは周囲の人を驚かせ、関係に摩擦を生じることがあります。また、買い物や喫煙、過食、カフェイン摂取などに対する衝動を抑えられず、結果として健康や財布に影響を与えることもあります。 「衝動性」から起こるさまざまな特性 衝動買いをしてしまう 相手がまだ話しているのに話し始める 思うままに話してしまう 興味をもったことに没頭する   これらの特性は、個人の行動や人間関係に深刻な影響を及ぼす可能性があります。しかし、理解と適切な支援を受けることで、これらの問題に対処することができます。 特性3:多動性と意識の乱れ 「多動性」は、特に子どものころに目立つ特性です。じっとしていることが苦手で、貧乏ゆすりをする、手や足をもぞもぞ動かす、椅子をガタガタ動かすなどの行動がみられます。 しかし、年齢とともに本人が気をつけるようになるため、大人ではあまり目立たないこともあります。     マインドワンダリングとの関連 大人にもよくみられる「マインドワンダリング」、これは今やるべき課題に注意が定まらず、全く無関係のことに、あれこれ思いを巡らせている状態を指します。 "意識の多動"とも呼ばれ、発達障がいのない人にもありますが、ADHDでは高頻度にみられます。この状態は、作業効率の低下や、集中力の欠如につながることがあります。 また、何かしていないと落ち着かないため、アルコールや薬物に依存してしまうこともあります。   多動性から生じる特性 見ていることと頭の中で考えていることが違う(マインドワンダリング) 貧乏ゆすりなど目的のない動きをする しゃべりすぎる アルコールや薬物に依存する   これらの特性は、個人の日常生活や社会生活に影響を与える可能性があります。しかし、適切な理解と支援を受けることで、これらの問題に対処することが可能です。   ADHDの対処法 医療的アプローチ 医師の指導の下、適切な薬物療法を受ける。適切な薬物の種類と投与量を決定するために、医師との相談が必要。   カウンセリングと心理療法 専門のカウンセラーや心理療法士によるセラピーを受けることで、感情の管理やストレスの軽減、行動の調整を行う。   教育的アプローチ 学校や職場でのサポートを受ける。個々のニーズに合わせた教育プランや働き方の調整が重要。   環境の調整 外部環境を整えることで、注意力を向上させる。静かな作業空間やタスク管理ツールの利用が有効。   日常生活の改善 健康的なライフスタイルの確立や適切な睡眠、バランスの取れた食事、運動などを行い、症状の軽減を図る。 まとめ ADHDの特性は多様であり、不注意、衝動性、多動性が挙げられます。これらの特性は、日常生活や仕事に深刻な影響を与える可能性がありますが、適切な理解とサポートを受けることで、問題に対処することができます。 個々の特性に焦点を当て、効果的なアプローチを行うことが重要です。   参考 専門医が答える「大人の発達障害」~周囲ができるサポートとは【別冊NHKきょうの健康】 | NHK出版デジタルマガジン

男性更年期障がいとは?「なんとなく不調」「突然のほてりや発汗」

男性更年期障がい、通称加齢性腺機能低下症やLOH症候群と呼ばれるこれらの状態は、病気ではないものの、中高年男性が「なんとなく不調」「突然のほてりや発汗」などの不定愁訴に悩まされることがあります。 これらは、女性に特有と思われる更年期の症状と同様に、男性にも現れることがあります。その原因として、性ホルモンの低下やそのバランスの乱れが挙げられます。   女性の更年期障がいと男性の更年期障がいの違い 女性の更年期障がいは、通常、閉経前後の約10年間に急激なエストロゲンの減少によって引き起こされ、閉経後は徐々に症状が緩和されていきます。 一方、男性の場合、男性ホルモンであるテストステロンは一般的に中年以降になると徐々に減少していきます。その速度や程度、時期は個人差が大きく、そのため、男性でも40代以降、どの年齢でも更年期症状が発現する可能性があります。 ただし、男性と女性の更年期症状には違いがあり、男性の場合は加齢性腺機能低下症やLOH症候群と呼ばれるものが該当します。   テストステロンは認知機能や血管の健康にも関与 男性ホルモンであるテストステロンは、筋骨隆々の肉体や性機能だけでなく、認知機能や血管の健康にも関与しています。そのため、中高年男性の健康を維持するためには、男性ホルモンの適切なレベルを維持することが重要です。 男性ホルモンの減少は、ストレスや睡眠不足などの生活習慣の影響を受けることがあり、そのため生活習慣の改善が症状の改善に繋がる可能性があります。 さまざまな症状 男性更年期障がいには、身体的な症状、精神的な症状、性機能に関する症状が含まれます。   身体的な症状 ・突然のほてりや発汗 ・急激な体重増加または減少 ・疲れや倦怠感 ・筋肉の減少や筋力の低下 ・関節の痛みやこわばり ・骨粗しょう症のリスク増加 ・高血圧や高コレステロールなどの循環器系の問題   精神的な症状 ・不安や焦燥感 ・イライラや怒りの感情の増加 ・抑うつや憂鬱感 ・集中力や記憶力の低下 ・睡眠障がいや不眠症 ・自己評価の低下や自尊心の低下   性機能に関する症状 ・性欲の低下 ・ED   これらの症状は、個々の男性によって異なる程度で現れることがあり、年齢や健康状態などの要因によっても影響を受けます。   男性ホルモンの減少と生活習慣病 男性ホルモンの減少によって引き起こされる代表的な症状は、勃起障がい(ED)です。日本の60歳代の男性の60%以上にこの症状が見られ、決して珍しいことではありません。   血管病として EDの原因としてかつては、気の持ちようや糖尿病などの生活習慣病が指摘されてきましたが、近年では"血管病"とも考えられています。なぜなら、血管の機能と深く関連しており、血管の健康が損なわれると(動脈硬化が進み、血流が悪化すると)、EDが発生しやすくなるからです。   男性ホルモンの減少と健康リスク 加齢男性での低テストステロン値は、抑うつ状態や疾患リスク増加と関連しています。また、男性ホルモンの減少は認知症や筋肉減少症などにも関連しています。   男性ホルモンの重要性と健康 男性ホルモンは、男性の健康維持に重要な役割を果たします。もし男性更年期障がいやEDを自覚した場合は、生活改善のほか、定期的な健康診断や前立腺腫瘍マーカー検査(PSA検査)を受けるなど、健康管理に積極的に取り組むことが重要です。   男性更年期障がいの治療方法 男性更年期障がいの治療には、様々なアプローチがあります。まず、体調不良や血液検査で男性ホルモンの低下が確認された場合、加齢性腺機能低下症と診断されます。この状態において、ストレスや睡眠、運動、食事などの生活習慣の改善が重要です。これらの改善が症状の軽減に効果を発揮することがあります。   治療薬 漢方薬やED治療薬、抗うつ薬などが処方されることもあります。これらの薬物は症状の緩和や改善を目指して使用されます。特に、ED治療薬は勃起障がいの症状に対処するために利用されます。 一方、男性ホルモンの値が著しく低く、症状が重い場合には、テストステロン補充療法が選択されることもあります。この治療法では、体内に不足しているテストステロンを補うことで、症状の改善を図ります。 テストステロン補充療法は保険治療としても認められており、一般的にはテストステロンの筋肉注射が用いられます。これは、2から4週間おきに行われ、症状の改善が確認されるまで継続されます。この治療法は、男性更年期障がいによる症状の軽減や生活の質の向上に役立ちます。 まとめ 男性更年期障がいの治療は個々の症状や状態に合わせて多岐にわたります。医師との相談を通じて最適な治療法を選択し、健康な生活を取り戻すことが大切です。   参考 男性更年期障がい(加齢性腺機能低下症、LOH症候群)

障がい者が自分らしく働くことを諦めないために ビジネススクール誕生

「どこでも働けるなら、それでいい」という言葉から、障がいを持つ人々が常に諦めを抱えていることを示唆しています。障がいを持つ人々が本来持っているはずの可能性を十分に発揮することができないという課題があります。しかし、障がいがあっても、むしろそれが彼らの強みとなり、豊かな社会を築くための力になることができるという信念があります。この信念を実現するために、ビジネススクールが立ち上がりました。   聴覚障がい者向けに字幕が付いている D-Biz Collegeは、2023年10月に東京で誕生しました。このスクールは、eラーニングを中心としたオンライン教育プラットフォームであり、ロジカルシンキングからSNSマーケティング、財務分析、事業開発など、20以上の講座と計約200本の動画を提供しています。 入会金は3万3000円で、月額1万1000円で受講し放題です。特筆すべきは、聴覚障がい者向けに字幕が付いている点です。この配慮により、障がい者の方々も同じ学びの機会を享受することができます。 また、オンライン教育の形式は、場所や時間に制約されずに学習が可能であり、多様な生徒が柔軟に受講できる環境が整っています。これにより、障がい者コミュニティだけでなく、広範な層の人々が、自分のペースで学び、成長することができるようになっています。   成功を収めている障がい当事者が経験や知識を伝える このスクールの最大の特徴は、成功を収めている障がい当事者が「コーチ」として参加し、学習者にロールモデルとなる支援を行う点です。例えば、筋ジストロフィーを患いながらもシンガー・ソングライターとして活躍する小澤綾子さん、視覚障がいを持ちながら経営コンサルタントとして成功する成澤俊輔さん、またブラインドサッカー日本代表として活躍した落合啓士さんなど、さまざまなバックグラウンドを持つコーチが、学習者に対して自身の経験や知識を伝えています。 彼らの存在は、学習者にとって理想的な学習環境を提供しています。学習者は、これらのコーチから直接指導を受けることで、彼らの経験や成功に刺激を受け、自らの可能性を広げることができます。さらに、異なる背景や経験を持つコーチが参加していることで、多様な視点やアプローチが学習者に提供され、より豊かな学びの体験が可能となっています。このような環境が、学習者の成長や自己実現に大きく貢献しています。 渡辺佑さん「全然弱者だとは思えない」 渡辺佑さんは、経営コンサルタントであり、コミュニケーション手法「コーチング」を教える会社を経営しています。彼がD-Biz Collegeを立ち上げるきっかけは、小澤綾子さんからの紹介でした。最初は、「社会的弱者」に貢献したいという思いからスクールを立ち上げた渡辺さんでしたが、その後、障がいを持つ人々が活躍する姿を目にし、「全然弱者だとは思えない」という印象を抱きました。 彼の意識が変わったのは、障がい者たちが日々の生活や仕事で自分の可能性を最大限に発揮している姿を見たからです。彼らが障がいに立ち向かい、その中で成長し、成功する様子に感銘を受けた渡辺さんは、彼らの側に立って支援し、スクールを通じて彼らの可能性を広げることを決意しました。彼の人生やビジネスの目的も、この経験から大きく変化しました。   障がい者雇用の実態 小澤さんや他の障がい当事者からは、障がい者雇用の実態についても深く語られました。現在の社会では、法定雇用率を満たすことが最優先され、「職場にいればいい」という考え方が広く支持されています。 しかし、この考え方は、障がい者が本当に自分らしい働き方を見つけることを阻害しています。多くの障がい者が、ただ働くことだけでなく、自分の能力や情熱を発揮し、充実した人生を築きたいと願っています。そのためには、働くことが目的ではなく手段であることを理解し、それを実現するためのサポートや教育が必要です。 D-Biz Collegeは、そのような目的を持つ人々に向けて、理想的な学習環境を提供する場となっています。ここでは、障がい者が自分の夢や目標に向かって進むためのスキルや知識を身につけることができます。さらに、他の障がい者や成功を収めたコーチからの支援やアドバイスを受けながら、自らの可能性を最大限に引き出すことができます。 このようなサポートがあるからこそ、障がい者も自信を持って自分の道を歩み、充実した人生を送ることができるのです。   受講生たちが自らの悩みや目標について議論 D-Biz Collegeには、さまざまな障がいを持つ7人の受講生が在籍しており、それぞれが自身の目標に向かって学んでいます。彼らは、様々な背景や経験を持ちながらも、共通の目標に向かって努力しています。2024年2月8日に開催されたオンラインセッションでは、受講生たちが自らの悩みや目標について熱心に議論し合いました。 それぞれが抱える課題や困難に対して、共感し支え合う姿が見られ、コミュニティ全体が一体となって成長していく様子が感じられました。彼らの議論やアイデアは、スクール全体の雰囲気やプログラムの改善にも活かされ、より効果的な支援や学習環境が提供されることになるでしょう。このようなコミュニティの活動は、受講生たちが単なる学習者以上の存在となり、お互いに学び合い、成長し合う場となっています。   自らの夢や目標を追求 このようなプログラミングを学ぶ受講生の経験は、D-Biz Collegeの理念を象徴するものです。彼女は、以前は仕事に対して疑問や葛藤を抱えていましたが、スクールでの学びとコミュニティのサポートによって、その状況が変わりました。ポジティブな言葉や励ましの声が彼女の心を支え、ストレスが減少しました。 これにより、彼女は新たな挑戦に向かう自信を取り戻し、自分の成長と可能性に向けて前進することができました。彼女の経験は、他の受講生にも影響を与え、スクール全体の雰囲気や学びの質を向上させる一助となっています。このような個々の成長が、D-Biz Collegeのコミュニティ全体の力となり、障がいを持つ人々が自らの夢や目標を追求し、充実した人生を築いていくための場を提供しています。 まとめ D-Biz Collegeは、障がいを持つ人々に向けた革新的なビジネススクールとして、2023年に東京で誕生しました。このスクールでは、eラーニングを中心に幅広い講座が提供され、成功を収めている障がい当事者がコーチとして参加し、学習者を支援しています。また、字幕付きの動画など、バリアフリーな学習環境も整備されています。 渡辺佑さんをはじめとする創設者たちは、障がい者が自らの可能性を最大限に発揮し、自己実現を果たすことを支援する使命を掲げています。これまでの成功事例や学びを共有することで、障がい者が自信を持ち、新たな挑戦に向かう姿が見られます。 さらに、スクールのコミュニティはお互いを支え合い、共に成長する場となっています。D-Biz Collegeは、障がい者の働き方や生き方に対する社会の認識を変え、彼らが自らの夢や目標を追求し、充実した人生を築く手助けをしています。   参考 学んで社会を変えよう 障がい者が自分らしく働くためのビジネススクール

人々に勇気と希望を与える『ただのぽんこつ母さん』ADHDの向き合い方と発見の旅

イラストレーターのはなゆいさんは、創造性を生かす仕事をする傍ら、2人の子どもを育てる母親でもあります。はなゆいさんは自らの忘れ物やスケジュールミスの頻度に悩んでおり、その悩みは彼女の人生を通じて絶えず付き纏ってきました。子供の頃から、彼女はこの問題に向き合い、解決策を模索してきましたが、なかなか克服することができませんでした。   挑戦と発見:『ただのぽんこつ母さん』 2024年1月15日に出版された『ただのぽんこつ母さんだと思っていたらADHDグレーでした。』では、はなゆいさんが心療内科に相談し、自身の困りごとに向き合う姿が描かれています。このエッセイは、はなゆいさんが日常の中でADHDと向き合う過程を赤裸々に綴ったものです。   自身の日常生活での挫折や苦悩、心の中の葛藤 はなゆいさんはこの本の中で、自身の日常生活での挫折や苦悩、そして心の中での葛藤を率直に語ります。彼女は心療内科を受診する決断をし、そこで自分自身の問題に向き合います。このプロセスでは、彼女が自分の特性や苦悩について深く掘り下げ、それらと向き合うための新たな方法を模索します。 彼女のストーリーは、多くの読者にとって共感を呼び起こし、同じような問題に直面している人々に勇気と希望を与えるものとなっています。このエッセイは、個々の困難に向き合い、成長していく過程がどのように見えるかを示す物語です。   娘への思い はなゆいさんは娘の行動や特性に自身と重なる部分を見出しました。そのため、自分自身と向き合い、娘を理解し支えるためにも、自らの課題に真摯に向き合うことを決意します。彼女は娘に対する深い思いに触れ、自らの課題を克服することが、娘との絆をより深め、理解し合うための第一歩であると確信します。この決意は彼女の心を強くし、困難に立ち向かう勇気を与えました。   心療内科の受診 周囲の期待やネガティブなイメージに押しつぶされそうになりましたが、はなゆいさんは心療内科を受診する決意を固めます。彼女はその過程で、予約の取りづらさや新規患者の受け入れ制限など、数々の困難に直面しました。しかし、彼女の内にある問題に向き合う意志は揺るぎませんでした。彼女は自らの心の中に眠る謎を解き明かし、成長と発見の旅に進むことを決意しました。この決意と勇気が、彼女を困難な道のりの先にある理解と受容へと導いていくことになります。   心のハードルの克服 最初は、自らの悩みを他人に打ち明けることに抵抗を感じていました。しかし、はなゆいさんは勇気を振り絞り、心療内科の先生の前で自分の思いを率直に伝える決断をしました。その勇気ある行動が、先生からの理解と共感を得る結果となり、はなゆいさんの心には以前にない軽やかな感覚が戻ってきました。この経験は、彼女が自分自身と向き合い、他人とのコミュニケーションにおいても積極的になるきっかけとなりました。   受診の効果と希望への一歩 受診後、はなゆいさんは自身の心の中で感じていた重い荷物が軽くなったような感覚に包まれました。これまで周囲の人々の目を気にして自分を抑え込んでいた彼女が、心の奥底に眠る課題と真摯に向き合い、それを乗り越える勇気を得たのです。この体験が彼女にもたらしたのは、自己受容と成長への道を開く一歩でした。これからの道のりはまだ見えずらいかもしれませんが、彼女は前向きな希望と自信を胸に、新しい可能性を模索する一歩を踏み出せました。     ADHD(注意欠如・多動性障害)とは 注意欠如・多動性障害(ADHD)は、子供や成人に見られる一般的な神経発達障害であり、集中力や注意力、衝動的な行動の制御に関する問題が特徴です。   症状 ADHDの症状は、年齢や個人によって異なりますが、一般的には以下のような特徴が挙げられます。   注意力欠如症状 ・集中力が続かず、仕事や課題を完成させるのが難しい。 ・聞き手であることが困難で、指示を聞いている最中でもすぐに他のことに気を取られる。 ・日常的なタスクを終えるのに時間がかかる。   多動性症状 ・落ち着きがなく、座っていることが難しい。 ・よくしゃべり、静かな状況でも騒がしいことがある。 ・インパルシブで衝動的な行動をとる。   衝動性症状 ・衝動的な行動や反応が多く、結果として危険な状況に巻き込まれることがある。 ・感情のコントロールが難しく、怒りっぽい態度や突然の泣き出しを示すことがある。 診断と治療 ADHDの診断は、専門家である精神保健医や神経学者によって行われます。以下のステップが一般的に含まれます。   ・詳細な評価 専門家は症状の歴史を集め、問診や行動観察などを通じて症状を評価します。   ・身体検査 ADHDの症状は、他の健康問題によっても引き起こされる可能性があるため、身体検査が行われます。   ・診断基準の適合 診断基準(DSM-5など)に基づいて、ADHDの診断が確定されます。   治療や対処法 治療や対処法には、以下のような選択肢があります。   ・行動療法 行動療法は、望ましい行動を増やし、望ましくない行動を減らすための技術を教えることに焦点を当てています。   ・医薬療法 医薬療法には、スティミュラント(メチルフェニデートやアンフェタミン系)などの薬が含まれます。これらの薬は、注意力や集中力を改善し、多動性を抑制する効果があります。   ・学習支援 学習支援は、学校環境での成功を支援するための特別な教育サービスやアカデミックなサポートを提供します。   ・家族のサポート ADHDの人々をサポートするために、家族やケアギバーへの教育や支援が重要です。家族は、日常生活での課題に対処するための戦略を学び、共感と理解を示すことができます。 まとめ ADHDは、日常生活においてさまざまなハードルをもたらす可能性がありますが、適切な治療とサポートを受けることで、その影響を軽減することができます。早期の診断と適切な介入は、ADHDの人々が自己実現と成功を達成するための重要な要素です。家族、学校、医療専門家の協力を得ながら、個々のニーズに合わせた総合的なアプローチを取ることが重要です。   参考 娘の行動に「…え?」“ぽんこつ母さん”の私が病院に行こうと決心したワケ<漫画>(女子SPA!)Yahooニュース

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