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Newsみんなの障がいニュース
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知的障がい(知的発達症)とは?特徴や原因、診断について
知的障がい(知的発達症)は、論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、学校での学習などにおいて必要となる知的機能と、発達および文化的な水準を満たす日常生活に関する社会的な適応機能における問題が見られます。 発達期に発症し、継続した支援がない場合には、家庭・社会・職場などのさまざまな環境において、社会参加や日中活動が妨げられることがあります。 ※現在、『ICD-11』では「知的発達症」、『DSM-5‐TR』では「知的発達症(知的能力障がい」と表記されていますが、知的障がい者福祉法などの福祉的立場においては「知的障がい」と使用していることが多いため、この記事では「知的障がい(知的発達症)」という表記を用います。 知的障がい(知的発達症)とは 知的障がい(知的発達症)という用語は、複数の法律に記載があるのですが、具体的に何をもって知的障がい(知的発達症)とするのかに関する法的な規定は現時点でありません。そのため前述の医学的な定義が用いられることが多いのですが、例えば教育の分野では『「認知や言語などにかかわる知的機能」の発達に遅れが認められ、「他人との意思の交換、日常生活や社会生活、安全、仕事、余暇利用などについての適応能力」も不十分であり、特別な支援や配慮が必要な状態』といった定義が用いられています(文部科学省)。 また、発達期や発達の過程で明らかになるために、『DSM-5』などでは、神経発達障がいというカテゴリに含まれていますが、法律上の発達障がいは「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障がい、学習障がい、注意欠陥多動性障がい、その他これに類する脳機能障がいであってその症状が通常低年齢において発現するもの」(発達障がい者支援法)とされており、知的障がい(知的発達症)は含まれていません。 知的障がい(知的発達症)の診断と判断基準 知的障がい(知的発達症)については、医学的な診断としての知的障がいと、療育手帳の交付など福祉的支援の対象としての知的障がいの2つがあります。 医学的な基準において知的障がい(知的発達症)は、概念的、社会的、および実用的領域における知的機能と、適応機能両面の障がいによって特徴づけられます。 現在の診断基準は適応機能が重視 知的機能の評価として以前は知能検査で評価される知能指数(IQ)が用いられることが多く、同年齢の中の下位2.5%に相当するIQ70や75などが目安とされていました。しかし、従来は、IQの基準が重視されていたのですが、IQが必ずしも社会生活上の困難と結びつかない場合があることから、現在の診断基準においては、概念的領域(記憶・言語・読字書字・数学的思考・問題解決・新規場面での判断など)、社会的領域(対人的コミュニケーション・社会的な判断など)、および実用的領域(セルフケア、金銭管理、行動管理など)における適応機能が重視されています。 適応機能は臨床評価および標準化された評価尺度により評価され、少なくとも1つの領域での障がいが著しく、適切な行動をとるために継続的な支援が必要である場合に診断基準を満たすとされています。また、知的障がい(知的発達症)の重症度も上記3つの領域の状態によって、軽度・中等度・重度・最重度の4段階で特定されます。ただし、小児期の早期でそれらの評価が難しい場合には、全般性発達遅延と診断される場合もあります。 福祉的な判断については、「療育手帳制度について(昭和48年9月27日厚生省発児第156号厚生事務次官通知)」に基づいて、児童相談所、または知的障がい者厚生施設などにおいて判定がなされます。判定がなされたものについては、療育手帳が交付され、障がい福祉サービスを受けることができます。その際の判定基準や手帳の名称については、交付する自治体によって異なっています。また、定期的に再判定がおこなわれます。 知的障がい(知的発達症)と併存しやすい疾患 知的障がい(知的発達症)においては、ADHD(注意欠如多動症)やASD(自閉スペクトラム症)などの発達障がいや、抑うつや双極性障がい(双極症)、全般性不安障がい(全般不安症)などの精神疾患を併存しているケースが多いことも報告されています。しかし、知的障がいの特性からそれらの併存に気づかれにくい場合もあるので、注意が必要です。 最近は、知的障がい(知的発達症)があるお子さまへの早期療育をおこなう例が増えてきています。早期から介入し、子どもに合った環境の中で学ぶことで、今後必要となるスキルを早い段階から身につけることができます。また、抑うつなど二次的な問題をが起きるのを予防できるとも言われています。 知的障がい(知的発達症)によく見られる行動 学習技能を身につけることが難しい 学齢期の子どもや成人では、年齢相応に期待される読字・書字・算数などの学習技能の習得が難しく、支援が必要な場合が多くあります。 ただし、困難が読み書き算数などに限定される場合、学習障がいの可能性もありますので、注意が必要です。 柔軟に考え、物事に対処することが難しい 抽象的思考や実行機能、短期記憶の苦手さにより、計画を立てたり、優先順位をつけることが難しく、問題の解決に固定化された方法でしか対処できないことがあります。 コミュニケーションが難しい 言語的なコミュニケーションが難しかったり、仲間の意図を正確に理解することが難しい場合があります。こちらもコミュニケーション面特定的に困難な場合には、コミュニケーション障がい(社会的コミュニケーション症)やASD(自閉スペクトラム症)の可能性もありますので、注意が必要です。 行動のコントロールが難しい 年齢に応じた方法で気持ちや自分の行動をコントロールすることが難しく、未熟であるように見られる場合があります。こちらも、衝動のコントロール面が特定的に困難な場合には、ADHD(注意欠如多動症)などの可能性もありますので、注意が必要です。 食事や身支度など、身の回りのことの自立に時間がかかる 同年代と比べて、複雑な日常生活上の課題には支援が必要であったり、自立するには長期的な支援が必要である場合があります。 ※上記は行動の一例です。必ずしもすべてのお子さまに該当するとは限りません。 知的障がい(知的発達症)の症状と特徴 知的障がい(知的発達症)の程度 知的障がい(知的発達症)の程度は、前述のとおり、概念的領域、社会的領域、実用的領域の3つの領域の状態によって、軽度・中等度・重度・最重度の4段階で特定されます。 知的障がい(知的発達症)の程度別に見られる特徴 軽度の場合、概念的領域では、読み書き計算や、時間、金銭などにおいて、年齢相応の水準を満たすのに支援を必要としたり、抽象的な思考が難しかったりする様子が見られるとされています。そのため、中学年以降授業についていくことが難しくなるケースなどもあります。 社会的領域では、コミュニケーションや会話、言語が年齢相応よりも未熟であったり、パターン化されていたり、気持ちや行動のコントロールの苦手さが見られたりします。実用的な領域では、日常生活の複雑な課題において支援を必要とする様子が見られるかもしれませんが、ある程度こなせることも多くそのために周囲からは、怠けている、がんばればできるといった評価をされているケースも見られます。そのような場合、その負担から不登校や無気力などの二次的な困りにつながってしまうこともあります。 ■中等度の場合 幼児期の早い時期から言葉の遅れが見られたり、就学後も学習についていくことが困難な様子などが見られるとされています。成人後も小学校ぐらいの精神年齢にとどまることから、かなり早い時期から周囲にその困難が気づかれることが多いでしょう。 ■重度の場合 発達の初期から、運動面、言語面の発達の遅れから気づかれ、専門家の支援や特別支援教育の必要性が高くなります。成人後の精神年齢も3から6歳相当と見込まれており、生涯を通じて、食事や身支度などの生活上の活動について支援が必要な場合が多いようです。 ■最重度の場合 言語、運動面の発達に著しい遅れなどが見られます。生活面のかなり多くの領域で支援を必要とし、重い身体障がいやてんかん発作などを伴う場合もあります。 知的障がい(知的発達症)の原因 出生前に生じる要因と出生後に生じる要因について 知的障がい(知的発達症)の要因は大きく3つに大別することができます。 ■1つ目 特に基礎疾患が見られないケースで、突発的要因(本田, 2018)や、生理的要因と呼ばれます。 ■2つ目 先天的な要因(出生前に生じる要因)で、先天性の代謝異常(フェニルケトン尿症など)や出産前後の感染症、中毒や染色体異常(ダウン症など)といった出産前に生じる先天性の異常が原因になる場合です。先天性の代謝異常の場合には、新生児の時期のスクリーニング検査により早期発見が可能であり、その場合には、投薬(先天性甲状腺機能低下症など)や食事療法(フェニルケトン尿症など)による治療が可能な場合もあります。 ■3つ目 後天的な要因(出生後に生じる要因)で、外傷性の脳挫傷やけいれん性疾患、感染症などが挙げられます。例えば日本脳炎や結核性髄膜炎、ポリオ、麻疹、百日咳などに感染し重篤化して脳炎になると知的障がい(知的発達症)を引き起こす場合があります。これらは、予防接種により感染の危険を減らすことができます。また乳幼児期に栄養不足だったり、不適切な養育環境に置かれることで脳の発達が遅れることもあります。 知的障がい(知的発達症)は遺伝する? 知的障がい(知的発達症)が遺伝するのか?については、知的障がい(知的発達症)の原因はさまざまですので、上記のように遺伝を原因としない場合もあります。まれに脆弱X症候群などの単一遺伝疾患など、原因となる遺伝子が親から子に伝わることで知的障がい(知的発達症)が発症する場合もあります。 ただ、親が知的障がい(知的発達症)の素因を持っていたとしても、それが必ず遺伝するわけではありませんし、遺伝しても必ず発現するとも限りません。つまり親が知的障がい(知的発達症)だからといって必ず子どもが知的障がい(知的発達症)になるわけではないのです。また、遺伝子の変異は誰にでも起こりうるものですし、遺伝性疾患のほとんどは正常な遺伝子や染色体が突然変異を起こすことによります。 知的障がい(知的発達症)のあるお子さまとの接し方 本人の願いや思いを中心にサポートする 年齢や障がいの程度に関わらず、本人の願いや思いを中心に置き、本人の幸せの実現をサポートしましょう。 わかりやすく伝える 本人が自分で判断し行動するためには、その人にわかる方法でつたえることが大切です。短く簡単な言葉でゆっくりと伝える、写真や絵を合わせて使いイメージを共有するなどの工夫をしましょう。 生活に密着した内容を重視する 抽象的な理解が難しく、経験した内容から理解することのほうが得意です。例えば実生活につながりやすいよう、より生活に密着した内容から学びのサポートをおこないましょう。 困った行動には予防的な対応を 困った行動をとらなくて済むように、ルールや対処法をわかりやすく事前に伝えておくなどの予防的な対応をとりましょう。 ※上記は接し方の一例です。必ずしもすべてのお子さまに該当するとは限りません。 サポート方法 職場や学校で…… 困ったこと 自信が持てず、誤解されやすい行動をとってしまう。 対応の方法 失敗した経験などがあると、自信が持てず消極的になりがちです。その逆で、できないことでも「できる」といってしまうことがあります。障がいのある方が成功体験を通して自信を持てるように、できることに目を向けた支援が求められます。 困ったこと 学習に時間がかかったり、忘れたりしてしまうことがある。 対応の方法 仕事の仕方を覚えても、翌週になると忘れてしまったり、指示した三つの仕事のうち、一つしか実行していなかったりすることがありますが、意欲がなかったり、反抗しているわけではありません。やることを具体的にメモに書いて渡したり、一つひとつ指示をすることが大切です。 街中で…… 困ったこと 状況に応じた行動をすることや見通しをもって考えることが難しい。 対応の方法 いつも通っている道路が工事中で通行止めになっているなど、予想外の出来事に臨機応変に対応したり、状況に応じて適切とされる行動をとったりすることが難しい場合があります。困っている様子に気づいたら、まず話しかけて希望を聞いてください。 困ったこと 案内板などの表示の意味を理解することが困難。 対応の方法 絵や記号を用いて分かりやすい内容にしましょう。また、文字を書く場合は漢字にふりがなをつけましょう。 日常生活の中で…… 困ったこと 相手の気持ちを考えて行動をすることが難しい。 対応の方法 知的障がいのある方は、相手の気持ちを考えたり、自分の気持ちをうまく表現したりすることが難しく、対人関係をうまく築けないことがあります。そういった場合にも、分かりやすい言葉で、対応するように心がけましょう。 困ったこと 子供に対するような話し方をしてくる人がいる。 対応の方法 相手の年齢に応じた言葉づかいで話しましょう。 まとめ 知的障がい(知的発達症)の理解と支援は、個々の特性やニーズに応じた対応が求められます。早期から適切な介入を行うことで、本人の可能性を最大限に引き出し、充実した生活を送るための支援が重要です。また、社会全体がこの障がいについて理解を深め、温かい目で支え合うことで、知的障がい(知的発達症)を持つ方々が自分らしく生きることができる環境を整えていきましょう。 参考 知的障がい(知的発達症)とは?特徴や原因、診断について|LITALICOジュニア 知的障がい|ハートシティ東京 凸凹村や凸凹村各SNSでは、 障がいに関する情報を随時発信しています。 気になる方はぜひ凸凹村へご参加、フォローください! 凸凹村ポータルサイト 凸凹村Facebook 凸凹村 X 凸凹村 Instagram -
視覚障がいとは?学校での支援方法、サポート方法をご紹介!
視機能の永続的な低下により、学習や生活に支障がある状態をいいます。学習では、動作の模倣、文字の読み書き、事物の確認の困難等があります。 また、生活では、慣れない場所においては、物の位置や人の動きを即時的に把握することが困難であったり、他者の存在に気付いたり、顔の表情を察したりするが困難であり、単独で移動することや相手の意図や感情の変化を読み取ったりすることが難しい等があります。 視覚障がいとは 視覚障がいとは、眼球、視神経及び大脳視中枢などで構成される視覚系のいずれかの部分に障がいがあるために、見ることが不自由または不可能になっている状態のことです。視覚的な情報をまったくえられない、またはほとんどえられない「盲(もう)」と、文字の拡大や視覚補助具等を使用し保有する視力を活用できる「弱視」に大きく分けられます。 この他に、色彩の弁別能力に障がいのある場合もあります。ただ、「盲」「弱視」と一口に言っても、視力があるかないかの単純な状態ではありません。 「盲」とは、明暗の区別のつかない状態も指しますが、明暗の区別はつく状態、目の前で手を振ると動いているか止まっているかわかる状態、目の前で出された指の数程度ならわかる状態も含みます。 また「弱視」には、視力が低い状態の他に、見える範囲が狭い状態、光をまぶしく感じる状態、明るいところではよく見えるのに、夜や暗いところでは見えにくくなる状態も含みます。 一見して視覚障がい者とわからないことが多くある 視力をほとんど活用できない盲の人の場合、音声、触覚、嗅覚など、視覚以外の情報を手がかりに周囲の状況を把握しています。文字の読み書きは、最近では画面上の文字情報を読み上げるソフトを用いてパソコンでおこなうことが多くなっています。また、点字も視覚障がい者が自由に読み書きできる大切な手段の一つです。移動時は、白杖を持ち単独で歩くケース、ガイドヘルパーや盲導犬と歩くケースがあります。 弱視の人で視力をある程度活用できる人の場合は、補助具を使用したり、文字を拡大したり、近づいて見るなどの、さまざまな工夫をして情報を得ています。最近では、盲の人と同様に、パソコンも活用しています。視力を活用できても、遠くのもの、小さいもの、動いているものが見えない、大きいものの全体像が把握できないなどの困難があります。また、読み書きに時間がかかったり、負担が大きかったりすることもあります。移動時には白杖を用いない人も多く、一見して視覚障がい者とわからないことが多くあります。 学校での支援:特別支援学校 特別支援学校(視覚障がい)には、一般的に小学部、中学部及び高等部が設置され、一貫した教育が行われています。また、寄宿舎を設置している学校もあります。 各教科及び自立活動の指導に当たっては、子供一人一人の実態等に即した個別の指導計画を作成し指導しています。例えば、弱視の子供には、見え方の状態に合わせて拡大や白黒反転した教材を使用して指導したり、弱視レンズなどの視覚補助具やコンピュータ操作の技能の習得を目指したりするなどの指導をしています。 また、高等部を設置している学校では、普通教育を主とする普通科及び専門教育を主として行う学科(理療科等)を設置し、自立と社会参加に必要な知識や技能の習得を目指した指導をしています。 障がいの程度 両眼の視力がおおむね0.3未満のもの又は視力以外の視機能障がいが高度のもののうち、拡大鏡等の使用によっても通常の文字、図形等の視覚による認識が不可能又は著しく困難な程度のもの(学校教育法施行令第22条の3) 教育課程 視覚障がい者である子供については、それぞれ小学校、中学校、高等学校の教育課程に準ずる教育を行い、小学校、中学校又は高等学校の教育目標の達成に努めるとともに、障がいによる学習上又は生活上の困難を改善・克服し自立を図るために必要な知識、技能、態度及び習慣を養うことを目標としています。 これらの目標を達成するために、一人一人の障がいの状態等を考慮した弾力的な教育課程として、「小学校・中学校・高等学校の下学年(下学部)の各教科を中心とした教育課程」「知的障がい特別支援学校の各教科を中心とした教育課程」「自立活動を中心とした教育課程」等、子供の実態等を考慮した多様な教育課程を工夫して編成・実施しています。 通常の学級 通常の学級においては、小中学校等で編成される教育課程に基づいて、各教科等の指導を学級、学年集団で行ったり、全体で学校行事に取り組んだりするなど、一斉の学習活動が基本となります。視覚障がいのある子供が各教科等を学ぶ場合、障がいによる困難さに対する指導上の工夫や個に応じた手立てが必要となります。 例えば、拡大教材等を活用することや、実験や観察の際に危険のない範囲で近づいて見ることができるようにすること、照明や外からの光の入り方に配慮して教室内の座席の位置を検討すること等で見えにくさに配慮することなど、教育における合理的配慮を含む必要な支援の内容や学習指導要領総則のほか、各教科等編の解説に示されている「学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法の工夫」等を参考とし、子供一人一人の教育的ニーズを踏まえ指導しています。 通級による指導 通級による指導においては、各教科等の大部分の授業を通常の学級で学び、指導上の工夫や個に応じた手立て、教育における合理的配慮を含む必要な支援を受けながら、一部の授業について当該の子供の障がいによる学習上又は生活上の困難さに対する指導上の工夫や個に応じた手立てが必要となります。 例えば、拡大教材等を活用することや、実験や観察の際に危険のない範囲で近づいて見ることができるようにすること、照明や外からの光の入り方に配慮して教室内の座席の位置を検討すること等で見えにくさに配慮することなど教育における合理的配慮を含む必要な支援の内容のほか、視知覚や視機能の向上を図る学習や、地図やグラフ等の資料を効率的に読み取るための視覚補助具の活用方法を学習する等の障がいの状態等で生活上又は学習上生じる困難さの改善・克服を図る自立活動の指導をしています。 障がいの程度 拡大鏡等の使用によっても通常の文字、図形等の視覚による認識が困難な程度の者で、通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とするもの(平成25年10月4日付け25文科初第756号初等中等教育局長通知) 教育課程 通級による指導の視覚障がい者である子供については、それぞれ小学校、中学校、高等学校の教育課程の教育を行い、特別の教育課程を編成する場合には、特別支援学校小学部・中学部学習指導要領及び特別支援学校高等部学習指導要領に示す自立活動の内容を参考とし、指導目標や指導内容を設定して指導をしています。 特別支援学級 各教科等の指導に当たっては、子供一人一人の障がいの状態等を考慮し、教材・教具の開発・工夫を行ったり、個別指導やグループ指導といった授業形態を積極的に取り入れたりしています。また、子供一人一人の障がいの状態や学習状況等に応じて、通常の学級の子供と交流及び共同学習を行い、教科学習を効果的に進めたり、社会性や集団への参加能力を高めたりするための指導をしています。 多くの学級では、子供が可能な限り自らの力で学校生活が送れるよう、例えば、眼疾患によってまぶしい場合があるため遮光カーテンや調光できる照明を設置したり、一人一人に拡大読書器を配置したりするなどの施設・設備の整備や工夫をしています。 障がいの程度 拡大鏡等の使用によっても通常の文字、図形等の視覚による認識が困難な程度のもの(平成25年10月4日付け25文科初第756号初等中等教育局長通知) 教育課程 弱視特別支援学級は、小学校、中学校の学級の一つであり、小学校、又は中学校の目的及び目標を達成していく学級です。ただし、子供の障がいの状態等に応じて、特別の教育課程を編成して指導できるようにしており、各教科等の他に、障がいによる学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服するために必要な自立活動を取り入れ、例えば、視知覚や視機能の向上を図る学習や、地図やグラフ等の資料を効率的に読み取るための視覚補助具の活用方法を学習する等の障がいの状態等で生活上又は学習上生じる困難さの改善・克服を図る自立活動の指導をしています。 また、子供の障がいの状態等を考慮の上、特別支援学校小学部・中学部学習指導要領を参考にし、各教科の目標や内容を下学年の教科の目標に替えたり、各教科を知的障がい者である児童に対する教育を行う特別支援学校の各教科に替えたりするなどして、実態に応じた教育課程を編成し指導しています。 視覚障がい者との接し方 視覚障がい者と一口に言っても、見えなくなった時期、障がいの状況や程度はさまざまです。また、白杖を持たずに歩いていたり、白杖は持っていても目をしっかり見開いていて、声のする方に視線が向いたりするため、一見して視覚障がい者と見えない場合もあります。 まずは、本人に、その見え方やどのようなサポートを希望するかを確認してください。個々人の視力、視野、適切な光量、色の見え方などに応じた環境設定を行うことで、効率的な作業遂行が可能となります。例えば、就労支援機器の活用により、パソコンを使った仕事などへの従事可能性が高まります。 視覚障がい者が安心して移動できるように、トイレやエレベーターなど通常使用する場所への移動の手がかり、室内の配置、危険箇所を事前に伝えておく必要があります。 移動の支障となる物を通路に置かない、机の配置を工夫する、書類の保管場所を一定にするなどにより、移動の負担などを軽減することが重要です。 十分な照明がない、逆に明るすぎると疲労しやすい人がいますので、デスクスタンドの利用など、本人に合った照明や採光について検討する必要があります。また、目の疲労回復のための休憩時間の設定などの配慮も重要です。 重度視覚障がい者の場合、どのタイミングで話しかけてよいかわからず、職場内でコミュニケーション不足になってしまうこともありますので、普段からの情報伝達やコミュニケーションといった配慮が重要となります。 声をかける時 前から近づき、「○○さん、こんにちは。○○です」などと自分から声をかけ、名乗ってください。軽く肩や腕に触れていただくと、話しかけられていることが一層わかりやすくなります。 説明する時 「むこうの・・・」「あそこの・・・」「このくらいの・・・」などと指差し表現や指示代名詞で表現しても、視覚障がい者は相手が目で見ている先を理解できません。「あなたの右」、「煙草の箱くらいの大きさ」などと、具体的に説明してください。 何かに触ってもらう場合は、説明しながら視覚障がい者の手をとって触れさせてください。方向や位置を説明するときは、視覚障がい者がいま向いている向きを基準にして説明してください。 初めての場所では、部屋の様子と席の位置や向きなどを説明してください。たとえば、「部屋は講義室のような部屋で、机がロの字型に並んでおり、30人くらい座れそうで、今は15人くらい座っています」、のように、具体的に説明してください。 道順を説明するときは、目印となる具体的な建物などを伝えてください。全盲の人が、さらに誰かに、目的地の場所やそこへの道順を伝えたり、尋ねたりする際には、目印の建物についての情報があると便利です。 壁に貼ってあるポスター類、ビデオやDVDで画面だけが動いているような時、どのような場面や状況か、簡単に伝えてください。 グループで話しているとき どのような人達がグループにいるのかを視覚障がい者は見渡すことができません。話が始まる前に一回り自己紹介をしてください。 いなくなった相手に気づかず、話しかけることがあります。席をはずすときや戻ってきたときは、一声かけてください。また、新たに話に加わるときは自己紹介をしてください。 今しゃべっているのが誰なのか、視覚障がい者は見ることができません。必要に応じて名乗ってから話し始めてください。 まとめ 視覚障がい者は、得意・不得意はありますが、多くの人が、自分の周囲の様子を頭の中にイメージしながら生活していますので、日常的に利用している場所や、使用しているものについては見えているかのように動いたり使ったりします。これは身体が覚えているからできることなのです。 ですから、様子のわからない不慣れな場所や、初めての場所はもちろんのこと、日常的に利用・使用している場所でも、普段と様子が変わっていると戸惑うことがあります。普段から、通路(たとえば、点字ブロックの上)に通行の妨げになるものを置かない、日頃視覚障がい者が使用しているものの位置を変えないなど、周囲の協力が不可欠です。 困っていそうなときはサポートが必要かどうか声をかけてください。また、その人が、見えない・見えにくいことを心のどこかに留めておいてください。 参考 (1)視覚障がい|文部科学省 視覚障がいについて、知っておいていただきたいこと|バリアフリー推進オフィス 職場改善好事例集 凸凹村や凸凹村各SNSでは、 障がいに関する情報を随時発信しています。 気になる方はぜひ凸凹村へご参加、フォローください! 凸凹村ポータルサイト 凸凹村Facebook 凸凹村 X 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学習障がいの子どもたちが学びを深めるために 慶応に合格した学習障がいの息子と母が直面した過酷な現実
学習障がい(Learning disability:以下、LD)の子どもを取り巻く環境は厳しい――そう話すのは、LDの子どもたちへの支援を行う「一般社団法人読み書き配慮」代表理事の菊田史子さんです。合理的配慮の提供が義務付けられているにもかかわらず、適切な支援や配慮が受けられないケースがまだまだあるといいます。LDの子どもたちの学びの保障に必要なこととは何か。LD当事者の母でもある史子さんに、話を聞きました。 学習障がいの有祐さんの幼い頃 全般的に知的発達に遅れはないが、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」といった学習に必要な基礎的な能力のうち、一つないし複数の特定の能力についてなかなか習得できなかったり、うまく発揮することができなかったりすることによって、学習上、さまざまな困難に直面している状態――文部科学省は、LDについてこう定義しています。 そうしたLDの子どもたちの支援を行う一般社団法人読み書き配慮代表理事の菊田史子さんは、LDの子を持つ母でもあります。息子の有祐さんの幼い頃について、こう振り返ります。 「有祐が4歳の頃、ニューヨークに滞在していたのですが、有祐の姉の自由研究で国連本部を訪れたことがありました。日本語の通訳付きで案内してもらって帰宅すると、有祐が『安保理ってね、勝ったチームしか入れてもらえないの。でも日本は世界で2番目にお金を出しているんだよ』といきなり説明し始めたのです。それなのに、小学校入学を前に文字を書かせてみると、書けない。せめて名前だけでもと思いましたが、どうしても形にならない。そのギャップに、強い違和感を覚えました」 小学校に入ってからはより適応できないことが増える また、普段から「座っていなさい!」など注意しなければいけない場面が多いことも気になっていたそうです。「小学校に入ってからはより適応できないことが増え、本人も毎日報われない思いがあったのでしょう。帰宅すると大暴れして宿題などできる状態ではなく、何とかなだめて夕食と入浴を済ませることができるかどうかという日々。『このままではこの子をダメにしてしまう。診断名が必要だ』と考え、医療機関へ連れていきました」 すると、小児精神科の医師はこう言ったそうです。「お子さんはアスペルガーです。知的な能力は高いのですが、読み書きに不自由が出るかもしれません。そういうお子さんは海外に出られるケースが多いです。日本で育てる場合、小中学校で心に傷がつかなければ、社会に出ることはできるでしょう。社会ではパソコンを使うことができますから」 この言葉に史子さんは、「学校は子どもの可能性を切り開くところでは?」と不思議に思ったそうです。「同じ頃、知人に『あなたのお子さん、ディスレクシアじゃない? うちの子もそうなの』と言われたんです。そこで初めてLDやディスレクシア※という言葉を知り、調べ始めました。その方のお声かけがなかったら見過ごしていたかもしれません」 ※ 発達の遅れがないのに読み書きに困難がある、LDの1つのタイプ 「いいお母さん像」を手放し、努力のベクトルを変えた しかし、この段階でも史子さんは「練習すればいつかは文字を書けるだろう」と考え、必死に書くことを練習させたといいます。 「何度練習しても定着しないことを一番わかっていた息子にとって、文字を書かなければいけない学校は、いわば敵だらけの場所。そこからやっと帰宅しても、家では私が消しゴムと鉛筆を持って待っているわけです。練習させても暴れて泣きじゃくり、宿題を終えるのも一苦労で、疲れて眠るという繰り返しが4年生まで続きました。私自身、疲れきっていたのに諦めきれなかったのは、いいお母さんでいたかったからでしょうね。自分の自己満足だと気づいたとき、『練習はやめて、努力のベクトルを変えよう』と有祐に伝えました」 そこから史子さんは、有祐さんの知的好奇心を広げる方向へと舵を切りました。「アスペルガーは極めることができる人。好きなことを教えてくれる先生を探しなさい」という主治医の助言から、個人指導塾に相談し、有祐さんの興味のある数学、物理、化学などを教えてくれる大学院生をつけてもらいました。すると有祐さんは、「今日はね、乱数を習ったの!」と、塾のある日は生き生きと話をするようになったといいます。 iPadを使うと学習しやすいことが判明 そして有祐さんが5年生の夏、iPadを使うと学習しやすいことが判明しました。本人は「学校で使うのはダメと言われるに決まっている」と利用を渋ったのですが、史子さんは「有祐の教養を開く窓はICTしかない」と考えました。 「本人の気持ちが固まるのを待ちつつ、担任の先生とはiPadの利用について相談を重ねていきました。そうした中、翌年1月のある日、有祐が『やっぱり俺にはiPadが必要だから、先生に頼んでくる!』と学校に走っていったんです。それを機に担任の先生が丁寧に調整をしてくださり、晴れて6年生からiPadを使えることになりました」 大切なのは、特性を前向きに捉えて説明できること 周囲の協力を得ながら、中学校でもパソコンを使用して学んだ有祐さん。しかし、情報端末の使用については学校や教員と粘り強く交渉を重ねる必要があり、高校受験の際も、入試や入学後のパソコン使用を認めてくれる高校は2校しかないなど、親子ともに数えきれないほどの壁に直面しました。 その長い奮闘については、有祐さんのインタビュー記事で詳しく紹介していますが、「学ぶ機会を確保するために、なぜこんなに苦労しなければいけないのか」という当時の思いが、一般社団法人読み書き配慮を創設した原点になったということです。 読み書き配慮では、心理士による読み書き検査や検査者の養成、LDの学習配慮に関する相談、読み書きが苦手な小中学生がICTの活用や配慮を交渉する力などを学ぶスクール「KIKUTA」の運営、合理的配慮の事例集の公開などを行っています。 こうした活動を通じて、全国のLD当事者とその保護者の相談に乗ってきた史子さんですが、「今もLDの子どもを取り巻く環境は厳しい」と感じています。そのうえで、当事者が合理的配慮を学校で受けるために必要なことについて、次のように話します。 「保護者も学校に丸投げしないこと。まずは本人の心が育っていることが重要で、書けないことを引け目に思っているうちは、戦うことはできません。本人が自分の特性を前向きに捉えたうえで、『どんな方法なら自分の実力を出し切れるか』を自分で説明できるようになることが大切です。読み上げてもらうのがいいのか、読み上げでも機械と人のどちらがいいのか、どんな方法で書くのか──自分に合った方法で時間内に書き上げる調整や積み重ねも大事です。高校入試を考えると、中3の1学期までにはこれらを確立し、支援計画書に盛り込んでもらうのがよいでしょう」 学校との連携も欠かせない 普段の定期テストや受験でのパソコン使用の許可を取りつけるには、学校との連携も欠かせません。「有祐も小学校でのiPadの使用実績を持って中学校に交渉し、中学校の定期テストのパソコン使用実績を持って高校に交渉しました。学校と一緒にその子なりのやり方を確立して実績をつくっていくことが大切です。また、受験当日のパソコン使用を許可してくださいと親が志望校にお願いすると、点数交渉をしにきたと思われるようです。ですから、親が前に出るのではなく、学校の先生に窓口になっていただき、志望校と交渉してもらうことも重要です」 一部の自治体や学校では支援や配慮を必要とする子どもたちへの理解が進みつつありますが、LDやディスレクシア自体の認知度はまだ高くありません。そのため、学校との連携に当たっては、まずは知ってもらう必要があるといいます。 「チームをつくるような意識が重要で、仲間や味方を作っておくといいですね。私は積極的にPTA役員を引き受けました。その際、先生にわが子のことをお願いするのではなく、まずは先生や学校のお手伝いをして気持ちのよい人間関係を築くことを大切にしました」 早めの支援で「学力を積み上げる」重要性 また、LDは早い段階で気づいて支援につなげることが大切だと史子さんは言います。低学年で気づいても「様子を見ましょう」と言われ、そのまま時間が過ぎていくことがよくあるからです。 「今の社会や学校はすべて文字言語がベースになっていますから、考える力があっても読み書きができないとわからないことが増え、小学校の高学年にもなるとかなり苦しい状況に置かれます。聴覚を通じた理解力はかなり高いのに、学力の積み上げができていないことで、WISKなどの知能検査では知的障がい領域と判断されてしまう子もいます。そのため、早い段階からICTを活用して学ぶ力を身に付けさせてあげることが非常に大切です」 心に傷がついてしまうことが最も問題 適切な支援や合理的配慮が受けられずに学力の積み上げができないと、「自分はできない子なのだ」と心に傷がついてしまいます。それが最も問題だと史子さんは指摘します。 「LDの子どもたちは心が折れてしまっているケースが多く、私たち読み書き配慮は心の立て直しを活動の第一義としています。今は、社会に出ればパソコンを使いますから、心を立て直すことができればその先の人生は何とかやっていけます。学校の先生方には、まずはLDについて知ってもらい、ご自身で配慮を判断していただけるとありがたいですね。担任の先生が『校長に確認します』、校長が『教育委員会に確認します』、教育委員会が『前例がないか調べます』と次々と投げてしまい、時間だけが過ぎていく事態は避けたいものです。実際、担任の先生が判断して校長やほかの先生とうまくつなげてくださるケースは、合理的配慮が実現しやすいです」 合理的配慮とは、スタート地点に立てるようにすること 文部科学省はLDをはじめ障がいのある児童生徒の教育支援体制の整備を推進してきました。障がい者差別解消法が施行された2016年には行政や公立学校で合理的配慮の提供が義務化され、2024年4月1日からは私立学校を含む事業者においても同じく義務化されました。しかし、現場の理解が追い付いていない現状があります。 「この4月以降も、LD当事者とその保護者から『私立学校の説明会で“合理的配慮はできない”と言われました』という声が届いています。また、合理的配慮をしますと言われたのに、いざ入学したら対応してもらえないケースもあります。そうした学校は、合理的配慮を点数交渉と誤解されているのかもしれません。合理的配慮とは受験の合格点を変えることではなく、スタート地点に立てるようにすることです。LD当事者が学びでICTを使うのは、裸眼で見えにくい人がメガネを使うのと同じです。大学入学共通テストでも、問題文の読み上げやパソコン・タブレット端末の利用は受験上の配慮事項として明記されています」 1人ひとりの学びの保障は重要だと強調 史子さんは、働き手が少なくなっている時代の流れからしても、1人ひとりの学びの保障は重要だと強調します。「これからは、AIや機械なども活用しながら、みんなが活躍しなければいけない時代で、1人ひとりの能力を磨いておかなければ社会が成立しません。そのためにも、学びを保障し、子どもたちそれぞれのよいところを見出してあげることが大切ではないでしょうか」 子どもたち1人ひとりが学びを深め、自身の可能性を認識して人生を切り開いていくために必要な教育や支援とは何か、学校現場は今、改めて考える必要がありそうです。(文:吉田渓、注記のない写真:菊田史子さん提供) まとめ 子どもたち一人ひとりが学びを深め、自身の可能性を認識して人生を切り開いていくためには、教育や支援が不可欠です。LDの子どもたちにとって、適切な支援や合理的配慮が受けられる環境を整えることが大切です。学校現場や社会全体が、彼らの特性を理解し、学ぶ力を引き出すための取り組みを進めていくことが求められます。史子さんのような先駆者たちの努力により、LDの子どもたちが安心して学べる環境が広がっていくことを期待しています。 参考 【前編】学習障がいの息子が慶応に合格、母が直面した「学ぶ機会の確保」の過酷な現実(東洋経済education×ICT) #Yahooニュース 凸凹村や凸凹村各SNSでは、 障がいに関する情報を随時発信しています。 気になる方はぜひ凸凹村へご参加、フォローください! 凸凹村ポータルサイト 凸凹村Facebook 凸凹村 X 凸凹村 Instagram 凸凹村 TikTok -
自閉症(自閉症スペクトラム障がい:ASD)とは?特徴や当事者の思いを知る
一般には自閉症で知られていますが、現在はアスペルガー症候群等を統合した【自閉スペクトラム症】の名称に変更されています。 特性としては「コミュニケーション・対人関係の不得意さ」と「行動・興味・活動に対する反復や固執等」が挙げられ、特性の強さには個人差があります。 自閉症とは 自閉症とは、自閉症スペクトラム障がい(ASD)であり、発達障がいの一種です。ASDは、社会的なコミュニケーションと行動に影響を与える広範な障がいを含みます。自閉症は生涯にわたる障がいであり、症状の重さや現れ方は個人によって大きく異なります。 自閉症の主な特徴 ■社会的コミュニケーションの困難 他者との目を合わせるのが苦手 会話のキャッチボールが難しい 非言語コミュニケーション(ジェスチャー、表情など)の理解が困難 ■行動や興味の限定 特定の物事に強い興味を示す 同じ行動やルーチンに固執する 感覚過敏または感覚鈍麻(音、光、触覚などに対する異常な反応) 自閉症の診断と評価 自閉症の診断は、専門的な評価を通じて行われます。通常、以下のような方法が用いられます。 観察:子供の行動や相互作用を観察する インタビュー:親や教師からの情報を収集する 発達検査:発達の遅れや異常を特定するための検査を実施する 自閉症の原因 自閉症の正確な原因はまだ解明されていませんが、遺伝的要因と環境的要因の組み合わせが関与していると考えられています。例えば、特定の遺伝子の変異や妊娠中の母体の健康状態が影響を及ぼす可能性があります。 自閉症の支援と治療 自閉症は治療によって完全に治るものではありませんが、適切な支援や療育によって症状の改善や生活の質の向上が期待できます。以下は一般的な支援方法です。 ■行動療法 応用行動分析(ABA):ポジティブな行動を強化し、問題行動を減少させる療法 社会技能訓練:社会的な相互作用やコミュニケーションスキルを向上させる訓練 ■言語療法 言語療法士による発語やコミュニケーションスキルの向上を目指す訓練 ■作業療法 日常生活の活動や感覚統合を支援する療法 自閉症と社会 自閉症のある人々が社会で成功し、充実した生活を送るためには、周囲の理解と支援が不可欠です。多くの企業や団体が自閉症に対する理解を深めるためのキャンペーンやプログラムを実施しています。また、教育現場でもインクルーシブ教育が推進され、自閉症のある子供たちが通常の学級で学ぶ機会が増えています。 対人関係の特徴 求めている時だけ関わって欲しい 自閉スペクトラム症の特性が強い場合は、対人関係のあり方が異なり、雑談等の会話を邪魔と感じたり、一人でいる時と変わらない行動を取ります。 自ら関わりを求めてくる状況としては、玩具やお菓子が欲しい時の欲求場面、不快と感じる物事(認知の偏りがあるので、一般的には不快とならないことでも不快を感じる)への回避場面等です。 興味のあることや楽しいことでの関わりは嫌いでない 手を繋がれてトランポリンに乗ったり、ブランコ遊びで背中を押されることは、当事者が興味を持っていれば受け入れ可能で、肯定的な関わりを持つ機会となります。知的能力が高い児童に対しては、鉄道やゲーム等の関心がある話題を提示することで、対人関係を深める機会となります。 自閉スペクトラム症の子供と関係を築く際は、本人が好む遊びや興味を探し、量より質の関わりを持つと喜ばれるはずです。 対人関係で躓くケース 友達が怒っているけど理由は分からない 自閉スペクトラム症の特性が弱い場合は、友達等との関係を求める反面、対人関係で躓きをみせることがあります。躓く理由として、彼らは相手の感情や状況理解が分かりづらい特徴を抱えており、一方的に話し続けたり、偏った内容の会話を続けてしまうからです。 又、場面にそぐわないことを言ったり、杓子定規な発言を繰り返すこともあります。その他、冗談の理解が難しく、空気が読めないとラベルを貼られたりもします。 悪いことはしてないはずだけど 対人関係の難しい点は、コミュニケーションに偏りがあっても、相手が受け入れていれば問題となりません。反対に、些細な偏りでも相手が不快と感じた場合、良好な関係を築くことが困難となります。幼児期の子供達は、友達との関わりで嫌なことがあっても、仲間外れを頻繁にはおこないません。しかし、学齢期以降の児童は、些細な違いに敏感となり、距離を取られます。 自閉スペクトラム症のお子さんが友人関係を構築・維持するには、違いを気にしない児童との共存が求められます。 遊びや余暇の特徴 同じ遊びをずっと続けることは楽しい 自閉スペクトラム症の子供は、繰り返し同じ遊びする特徴があります。大人側からみると「大丈夫?」と思ってしまいますが、本人達によると問題ないとの話です。彼らは特定の物事に興味・関心を持つ傾向で、一般と比べて遊びが偏ります。大人から遊びに幅広さを求められて、受容できる子供もいますが、退屈や苦痛を感じている場合もあるので注意して下さい。 周囲のスタンスとしては、日常生活に支障がない範囲で、本人の選好性を大切にして頂きたいです。 ごっこ遊びって何をすればいいの 幼児期の代表的な遊びとして「ごっこ遊び」があり、自閉スペクトラム症の子供が苦手とする遊びでもあります。 ごっこ遊びは、誰かや何かの真似を楽しむ、即興的な想像で遊びが成り立ちます。しかし、玩具遊び等の明確な遊びを得意とする彼らにとって、即興的な想像は難しく、遊びの楽しさも見い出しづらいです。更に、友達を交えたごっこ遊びに発展すると、他者と想像を共有するので、遊びの難易度がぐっと増します。 新しいことをしたいと思わないし、むしろ不安になる 初めての体験を「どう感じるか」は、人それぞれ違います。同じ体験をしても、ある人は不安を覚え、ある人は緊張を楽しめるという個人差が生じます。自閉スペクトラム症の子供は、物事の捉え方に偏りがあり、遊びや余暇であっても、強い不安や緊張を感じる場合があります。 新しいことを始める際は、情報を事前に伝えたり、写真や実物の手掛かりを提示し、本人が安心できるよう配慮して下さい。 食事で見られる偏食等の特徴 僕の食べたい物は限られている 自閉スペクトラム症の児童の中には、食事に対して、強い拒否やこだわりをみせる場合があります。嫌がる要因は、一般にみられる敏感さや味覚の問題だけでなく、以下のことが考えられます。 食材一つひとつの色、形、堅さ。食材同士の混ざり方。食べる順序。食材の匂い。使用する食具。食べる席や場所。 不快なく食べる糸口を探るには、何が好みかを知るだけでなく、何を苦手としているかも把握するべきです。 学齢期には偏食が減る傾向 児童の年齢が上がるにつれて、本人の嗜好も変化し、今まで食べていた物を拒む場合も起こり得ます。自閉スペクトラム症の偏食に関しては、学齢期を含めて長期で取り組むことが大切で、少しずつ食べられる食材の幅を広げて下さい。 日常的に食べている食品の種類は、国々で当然異なり、食べなけらばならない食品の定義はありません。ただし、最低限の栄養摂取と健康状態は、配慮して下さい。 過敏さ味覚について 子供の口唇や口腔は、非常に過敏です。舌には味蕾と呼ばれるセンサーがあり、成人期には減少していることが知られています。大人になると苦手な食べ物が減る要因の一つに、この味覚の鈍感さが考えられています。又、子供の嗜好は、苦味の強い野菜類や酸味のある果物類を苦手とし、甘味のある食べ物を好みます。 こだわりや感覚の特徴 気になる物を目にすると、近寄らずにはいられない 自閉スペクトラム症の代表的な特性に、反復や固執があります。一部分の映像を繰り返しみたり、エレベーターをみると走り出したりと、こだわり方は様々です。 コミュニケーション場面においては、同じ質問、同じ会話を何度も続ける児童がいます。一方的に、同じ言葉を言い続けるケースもあります。 知的能力が高い自閉スペクトラム症の場合は、急なスケジュール変更、普段と異なる状況を受け入れる際、強い嫌悪感を覚えるそうです。 音や光、温度の変化が苦手 聴覚の過敏として、大きな音全般に不快を示す例や、特定の音のみに反応するケースがあります。光に対して、強い照明を苦痛と感じたり、夜のネオンに過敏さをみせる場合があります。その他、些細な気温変化が苦手で、居ても立っても居られない状態となる子供がいます。 「我慢できない」とは違う 大人の視点に立つと「抑制してもらいたい」と考えますが、こだわりや過敏は自閉スペクトラム症の特性なので、やみくもに我慢させても効果的ではありません。言語化ができる学齢期の児童によると「急に予定が変わると落ち着かなくなる」「触りたくて仕方ない」「その音はなんかダメなんだよね」と教えてくれます。 当事者への配慮として、こだわりを示す対象を避けたり、スケジュール表を用いて予定変更を伝えたり、過敏となる物は排除することが大切です。 まとめ 自閉症は多様な特性を持つ発達障がいであり、早期の診断と適切な支援が重要です。自閉症のある人々がその能力を最大限に発揮し、豊かな人生を送るためには、社会全体の理解と協力が求められます。 参考 自閉症とは 特徴や当事者の思いを知る 凸凹村や凸凹村各SNSでは、 障がいに関する情報を随時発信しています。 気になる方はぜひ凸凹村へご参加、フォローください! 凸凹村ポータルサイト 凸凹村Facebook 凸凹村 X 凸凹村 Instagram 凸凹村 TikTok -
「障がいは個性」、健常者と共に働ける職場へ 精神疾患がある若者を人材活用する企業の狙い
鬱病や統合失調症、発達障がいなどの精神疾患を抱える若者を、企業が採用する事例が増えています。一定割合での障がい者雇用が義務付けられていることに加え、人手不足の深刻化や、精神疾患について社会的認知度が高まっていることも背景にあります。「働きやすさ」の実現には、仕事内容や勤務条件、周囲の理解などの課題があります。企業には、本人が能力を発揮できる環境を整える取り組みが求められています。 就活生の54%「鬱を自覚」 「鬱病などは身近な病気。精神科を受診することは〝普通のこと〟として受け止められています」学生の就職活動の支援サービスを手掛けるABABA(アババ、大阪)で広報を担当する尾上七海(おのうえななみ)さん(24)は、最近の若者についてそう語ります。 かつて「精神病院」には暗いイメージがつきまといましたが、近年は軽症でも気軽に通える、清潔で明るい「メンタルクリニック」や「心療内科」などの医療機関が増えました。「若い人たちは自分の精神疾患を知られることに抵抗が小さくなっている」と話す尾上さんによると、人気バンド「サカナクション」のボーカル、山口一郎さんが鬱病を公表しながら活動を続けていることも、若者に影響を与えているといいます。 精神疾患を発症しやすい状況 一方、学生の就職活動は長期化し、「交流サイト(SNS)で周りが内定をもらっているのに自分はもらえていないと知り、焦りを募らせる学生が多い」といいます。ABABAが昨年10月、就職活動を経た学生100人に行った調査によると、54%が「鬱の自覚症状がある」、30%が「就活中に死にたいと思ったことがある」と回答しました。 医師の診断がなくても、自覚症状を抱えて悩む人がいます。若者が強いストレスにさらされ、精神疾患を発症しやすい状況にあることが分かります。 人手不足で要件を緩和 その結果、いったん就職しても早い時期に退職する若者も多いとみられ、中途採用を含む労働市場に精神疾患を抱える若者が増加し、企業は雇用に向けて対応を迫られています。 人材関連事業などを手掛けるレバレジーズ(東京)が昨年11月、企業の中途採用担当者330人を対象に調査したところ、半数が「精神疾患を抱える若者から応募があった経験がある」と回答しました。そのうち「新型コロナウイルス禍を経て、精神疾患を抱える若者からの応募割合が増加したと感じる」と回答した会社は75・7%に上りました。 「法定雇用率」の制度変更も採用を促している さらに同調査では、半数以上が精神疾患を抱える若者の採用要件を緩和していることも判明しました。理由として、46.6%が「早急な人員確保を行う必要があったから」と回答し、若年層の人手不足が背景にあることが浮き彫りになりました。 障がい者雇用促進法により、企業には従業員に占める障がい者の割合を「法定雇用率」以上にする義務があります。障がい者手帳を持っている患者が対象で、平成30年4月から、身体障がい者、知的障がい者に精神障がい者が追加されました。この制度変更も、精神疾患のある若者の採用を促しています。 特性理解、貴重な戦力に 課題は大きいです。レバレジーズの担当者は「精神疾患を抱えていても、外見ではわかりにくく、どこまでどんな仕事ができるのか見極めが難しい。体調も不安定な事例が多い。雇用側の理解が及ばず、職場への定着率は身体障がい者より低い」と話します。 それでも、企業が精神障がい者を健常者と同様に雇用する利点はあります。発達障がいの人はコミュニケーションが苦手な場合でも、集中力に優れていることがあります。そうした視点から人材活用を模索する企業があります。 日揮ホールディングス特例子会社で、IT技術を軸に業務支援サービスを行う日揮パラレルテクノロジーズ(横浜市)は「障がいの有無にかかわらず、全ての人が対等に働ける社会の実現」をミッション(使命)として掲げ、令和3年1月に設立されました。20~40代の社員37人のうち34人が障がい者で、大半が精神障がい者です(今年6月下旬現在)。 採用に際しては、インターンでIT技術の基礎があるかを判断したうえで、最終面接で「障がいについての自己理解、障がいの特性が出たときに自己対処できるか」を見ます。 採用されると、在宅勤務を基本に、自由な時間に働けます。職場は「1人1プロジェクト」でチームでの仕事はせず、人間関係の摩擦が生じにくい環境をつくっています。心理的負担をかけないように「重要だが、緊急ではない仕事」を任せてせかさないようにしています。自身も生まれつき両腕に障がいがある阿渡(あわたり)健太社長(37)は「環境を整備することで、障がい者が活躍できるという手応えを感じている」と話します。 得意分野で活躍する〝スペシャリスト〟を育てる 一方、「障がいは個性」を掲げ、健常者と同じ職場で障がい者の特性を生かそうとしているのが、人材派遣事業などを行うマーキュリー(東京)です。約110人(平均年齢44歳)の障がい者を雇用し、大半が精神障がい者です。今年3月に「パーソナリティ推進部」を設置し、それぞれの病気や症状をみながら仕事を支えています。 6月1日には「マーキュリー農活部」を設立しました。千葉県木更津市にある農園を借りて、健常者と障がい者がともに野菜や米の無農薬農法に取り組むことで、一体感の醸成や健康促進などを目指しています。同社の福元直樹・管理本部副本部長は「障がい者は貴重な戦力。もっと能力を生かせるようにしていくことが人材サービス会社の使命」と語ります。 東京都立大の山下真裕子教授(精神看護学)は「精神疾患は比較的早期に適切な治療をすることにより、就労できるほど回復することが多くなった。本人が疾患・障がいを自覚し、企業が特性を理解することが重要です。そのうえで、何でもできる〝ゼネラリスト〟ではなく、得意分野で活躍する〝スペシャリスト〟を育てることで、企業の生産性も上がる」と指摘します。(牛島要平) 精神疾患とは 精神疾患は、心や脳の働きに影響を及ぼし、感情や思考、行動に異常をきたす病気の総称です。代表的なものには、鬱病、統合失調症、双極性障がい、強迫性障がい、パニック障がい、発達障がいなどがあります。これらの病気は、本人の生活や社会活動に大きな影響を及ぼすことがありますが、適切な治療やサポートを受けることで、症状を管理し、社会復帰や生活の質を向上させることが可能です。 精神疾患の種類と特徴 鬱病 鬱病は、持続的な抑うつ気分や興味・喜びの喪失を特徴とする病気です。身体的な症状として、食欲不振や睡眠障がい、倦怠感などが現れることがあります。社会的な孤立や仕事のパフォーマンス低下を引き起こすことも少なくありません。 統合失調症 統合失調症は、現実と非現実の区別がつかなくなる幻覚や妄想、思考の混乱などを特徴とする病気です。発症は遺伝的要因や環境的要因が関与しているとされ、治療には抗精神病薬や心理療法が用いられます。 双極性障がい 双極性障がいは、鬱状態と躁状態が交互に現れる病気です。躁状態では異常な高揚感や活動の増加が見られ、鬱状態では重度の抑うつが現れます。治療には気分安定薬や抗うつ薬が使用されます。 強迫性障がい 強迫性障がいは、強迫観念(不合理な考え)や強迫行為(繰り返し行う行動)を特徴とする病気です。これらの症状は、日常生活に大きな支障をきたすことが多く、治療には認知行動療法や薬物療法が用いられます。 パニック障がい パニック障がいは、突然の強い恐怖感や不安感を伴うパニック発作を繰り返す病気です。発作時には心拍数の増加や息切れ、めまいなどの身体症状が現れます。治療には認知行動療法や抗不安薬が使用されます。 精神疾患の原因と治療 原因 精神疾患の原因は複雑で、遺伝的要因、脳の構造や機能の異常、ストレスやトラウマ、環境要因などが関与しています。これらの要因が組み合わさって発症すると考えられています。 治療 精神疾患の治療には、薬物療法と心理療法が主に用いられます。薬物療法では、抗うつ薬、抗精神病薬、気分安定薬などが使用され、症状の緩和を図ります。心理療法では、認知行動療法やカウンセリングが行われ、患者が自分の考えや行動を理解し、適切に対処する方法を学びます。また、家族や友人のサポートも重要です。 社会的な理解と支援 精神疾患を抱える人々が社会で生きやすくするためには、社会全体の理解と支援が不可欠です。偏見や差別をなくし、精神疾患についての正しい知識を広めることが求められます。また、企業や学校などでのサポート体制の整備も重要です。例えば、柔軟な勤務時間やリモートワークの導入、専門家による相談体制の設置などが効果的です。 まとめ 精神疾患は誰にでも起こりうる病気であり、適切な治療と支援を受けることで、社会復帰や生活の質の向上が期待できます。社会全体で精神疾患に対する理解を深め、支援体制を整えることが重要です。精神疾患を抱える人々が安心して暮らせる社会を目指しましょう。 参考 「障がいは個性」、健常者と共に働ける職場へ 精神疾患がある若者を人材活用する企業の狙い(産経新聞) #Yahooニュース 凸凹村や凸凹村各SNSでは、 障がいに関する情報を随時発信しています。 気になる方はぜひ凸凹村へご参加、フォローください! 凸凹村ポータルサイト 凸凹村Facebook 凸凹村 X 凸凹村 Instagram 凸凹村 TikTok -
突発性難聴の症状や原因とは?仕事に影響が出てしまった時の対応法
突発性難聴は、突然起こる難聴のことで、早期発見と治療を行うことで聴力をもとの状態に戻すことができる可能性が高い病気です。 しかし治療が遅れてしまうと本格的な難聴になってしまいます。本記事では、突発性難聴とはどのような病気か、原因や治療法、り患した際の仕事や日常生活での対処法について解説していきます。 突発性難聴ってどんな病気?その代表的な症状とは 突発性難聴とは、何の前触れもなく左右どちらかの耳、または稀に両方の耳が聞こえにくくなる病気のことです。音を上手く聞き取ることができない難聴(感音難聴)のうち、原因がはっきり分からないものを総称したものを突発性難聴といいます。 少々古いデータですが、2001年の厚生労働省の調査によると、全国で一年間に35,000人の突発性難聴の患者が出ていると推定されています。年齢的には30歳代から60歳代の人に多く発症し、発症率に男女差はあまりありません。 主な症状や特徴 突然聞こえなくなる 突発性難聴の最大の特徴は、なんの前触れもなく耳が聞こえづらくなる、または聞こえなくなるという点です。朝起きたら昨日と違いテレビの音が聞こえにくくなっていたり、電話中に急に相手の声が聞こえづらくなっていたりと、その症状への気づき方はさまざまです。 聞こえにくさの程度も人によって異なり、全く聞こえなくなる人もいれば、高音の部分だけが聞き取りづらくなるなどの場合もあります。一部の音域の音のみが聞こえづらくなる人は、自分が突発性難聴にかかっていると気付くのが遅れるため、病院に行くのが遅れてしまい、症状がさらに悪化してしまう危険もあります。 放置すると悪化する 突発性難聴は放置すると悪化していくので、そのままにしておいても症状が好転することはありません。また、突発性難聴の発症と前後して耳が詰まった感じや耳鳴り、めまいなどを感じることもありますが、このような症状を感じるのは発症時のみで、メニエール病のように繰り返しこのような症状が続くこともありません。 厚生労働省の突発性難聴の定義は、「突然の、文字通りの即時的な難聴、または朝目が覚めて気付くような難聴。ただし、難聴が発生したとき、就寝中や作業中など、自分がその時何をしていたかが説明できるもの」とされています。 完治できるのは1/3程度 突発性難聴になった患者のうち、三分の一が完治、三分の一が回復しても難聴が残り、三分の一が回復しません。その理由は、突発性難聴という病気が発症してから約1か月で症状が固定してしまうためです。 そのため早期の発見と治療が非常に大切になってくるのですが、発症後2週間以上経過した場合や高度の難聴を認める場合、回転性のめまいを伴う場合、高齢者や10才以下の子供が発症した場合には、予後が悪くなる可能性が高くなります。 突発性難聴になる原因 突発性難聴が起こるシステムは、音を感じ取って脳に伝える役割をしている有毛細胞が傷つくことで音が聞こえにくくなる、または聞こえなくなるというものです。 ウイルス感染と血流障がい 原因はまだはっきりとは分かっていませんが、ウイルス感染による血流障がいが有毛細胞に血液を送っている血管の血流を悪化させることが原因ではないかと考えられています。ウイルスの感染とは、何らかのウイルスが内耳に入ってしまい炎症を起こし、機能障がいが生じることです。発症前に風邪を引いていたり、ストレスを抱えていたりしてウイルスに感染しやすい状態にあることが多いため、ウイルスが原因と考えられています。 内耳の出血や血管のけいれん 耳の内耳にある血管が詰まり血流が遮断されたり、出血や血管のけいれんによる原因も考えられます。この血管や血流が原因となる突発性難聴は、ストレスや過労、食生活や生活習慣の乱れにより血流障がいが起こるため発症すると考えられています。そのため、ストレスなどを避けることが突発性難聴の予防につながるとも言われています。また、糖尿病や心臓病などによる血流障がいも原因の一つではないかと推測されます。 突発性難聴にはどのような治療法があるの? 突発性難聴を発症した場合には、どのような治療を行えばよいのでしょうか?治療は、薬物によるものと生活習慣の改善によるものの2つがあります。 薬物による治療 薬物による治療は、副腎皮質ステロイドの内服や点滴による投与が一般的です。それ以外には、血管拡張薬やビタミンB12製剤、代謝促進薬などを合わせて使うこともあります。 副腎皮質ステロイド剤を使う上で、胃潰瘍や糖尿病の持病がある人は、投与を慎重に行う必要があります。特に糖尿病の人は、副腎皮質ステロイドにより一時的に血糖値が上昇するため、糖尿病の症状がひどくなる恐れがあります。 糖尿病の人に副腎皮質ステロイドを使用する場合には、糖尿病の専門医と連携し、血液検査を行いながらインシュリンの量を増やすなどの措置を取らなければなりません。 このような治療を続けても症状が改善しない場合には、ステロイド鼓室内注入療法という耳の中にステロイドを注入する方法や、高圧酸素療法といった治療法もあります。 突発性難聴にはこのような治療法がありますが、何より大切なのは、聞こえに異常を感じたら速やかに耳鼻科を受診することです。 生活習慣の改善 突発性難聴の原因にストレス過多が考えられる場合には、十分な安静も効果的です。 受診の遅れが症状の悪化につながる 受診が遅れると、このような治療を行っても聴力が回復する確率が低下してしまいます。また、ストレスが原因であっても薬物療法は必要であり、ただ安静にするだけでは症状は改善しないので、必ず早い時期に耳鼻科を受診するようにしましょう。 突発性難聴の患者は、原則として症状を感じたその時から48時間以内に入院し、治療を始めることが望ましいとされています。 症状が軽度の場合は通院での治療も可能ですが、突発性難聴の治療には安静と投薬治療、投薬による副作用の管理が非常に重要になるため、入院してからの治療が望ましいです。 ストレスや過労、睡眠不足が原因の場合にも、入院してゆっくりと休養を取ることが大切です。突発性難聴の患者をストレス源から隔離し、生活リズムや食生活を整えることも立派な治療の一環です。入院期間は、大体1週間から2週間と考えておけば良いでしょう。 突発性難聴を発症したら仕事は休んだほうがいい? 突発性難聴の治療は、症状に気付いてから治療を始めるまでの時間が早ければ早いほど治癒率は上がります。そのため、聞こえの異常を感じたら、「何をおいてもまず病院」というぐらいの気持ちで耳鼻科を受診する必要があります。 一般的には、聞こえの異常を感じてから1週間以内に耳鼻科を受診するのがベターですが、それよりも早いに越したことはありません。しかし、一般的な会社勤めの人は、なかなか耳鼻科を受診するタイミングが掴めないことが考えられます。 「この仕事が片付いたら病院へ…」などと考えているうちに、発症から受診までの期間が長くなり、結果として難聴などの後遺症が残ってしまう恐れもあります。そのような事態を防ぐためにも、まずは耳鼻科を受診するために半日でもよいので会社をお休みしましょう。 そこで異常が見つからなければ、また日常生活に戻ることができますが、突発性難聴の診断が下りた場合には、医師に診断書を書いてもらい、それを会社側に提出して、医師が指示した期間は会社を休んで治療に専念することをお勧めします。 将来の自分に突発性難聴の後遺症を残さないようにするために安静に 通院でも治療できるなら、会社を休む必要はないのではないかと考える人もいると思います。しかし、通院であれ入院であれ、突発性難聴を治療するにあたって休養は、投薬治療と同じぐらい重要な要素となります。通勤しながら通院治療も行うとなると、安静状態を保つことはできません。 将来の自分に突発性難聴の後遺症を残さないようにするためにも、会社側に突発性難聴の特徴と治療法についてよく理解してもらい、治療中は会社を休んで、通院治療であってもなるべく自宅で安静を保つようにしましょう。 突発性難聴の人の仕事や日常生活での対処法 突発性難聴により耳が聞こえづらくなった場合、聴覚障がいをいかに受容するか、ということが大きなテーマになってくるものと思われます。聞こえていた自分から、聞こえなくなった(あるいは聞き取りづらくなった)という喪失感があります。 誰もがたどる道ではないですが、まず失聴したというショックを受け、そこから立ち直りのきっかけを見つけ、聞こえない自分を「受容」し、改めて聞こえない自分として社会に適応していく、こうした「受容」の過程を渡るまでにどれくらいかかるかによって社会復帰までの期間が変わってきます。 難聴になる前の状態に近い生活に戻していくこともできる 今の自分のままで社会に貢献していく、あるいは活躍していくか、という視点に立つためには、そこにはまず自分の「聞こえ」がどんな状態なのかを他者に伝える力が必要になります。 人の聞こえの程度はさまざまである以上、自分の様態を詳しく知り、言葉で説明できるようになることは、よりよく生きる上で大切な作業となります。 そうして自己理解を深め、自分なりの対処法を創出し、職場や家庭など周囲の理解を少しずつ得る中で、難聴になる前の状態に近い生活に戻していくこともできるようになるでしょう。 具体的な対処法 日常生活における具体的な対処法の例としては以下が挙げられます。 自律神経の安定を図るために生活習慣を改め、ストレスの少ない生活リズムを整える 周囲の人の理解やサポートを受けるために、自分の聞こえの状態について「自分説明書」を用意する 会話の中で聞き取れなかった部分があったときに、遠慮なく聞き直す 気の置けない友人、家族に聞き直しや、話しかけ方について理解を得る練習をする 職場における具体的な対処法の例としては、上記に加え以下が挙げられます。 自分の聞こえの状態に即した合理的配慮により、働きやすい環境を整えてもらえるようにする 合理的配慮とは、障がいがある人とない人が平等に人権を享受し行使できるよう、個々の特徴や状況に応じて発生する障がいまたは困難さを取り除くための、個別の調整や変更のことを言います。 突発性難聴により、聞こえに困難がある人に対する合理的配慮の具体例としては以下が挙げられます。 同僚に騒がしいところでの電話や会話が難しい事を伝える 会議の内容を要約してもらったりする 自分の働く席を雑音が少ない場所に移してもらう 要約筆記者を派遣してもらう、またその場合には事前に専門用語などについて打ち合わせをしてもらえるようにする 重要なことは口頭ではなくメールや文書で伝えてもらう 会議などで聞き取りが困難になることが予想される場合、事前に休息を取らせてもらい体調を整える このように周囲の理解とサポート、合理的配慮を受けながら自分の現在の耳の聞こえ方によって生じる不都合に対処していきましょう。 「目に見えない障がい」は誤解されやすい障がい 聞こえの障がいは、「目に見えない障がい」のため、誤解されやすい障がいです。また、聞こえない、聞こえにくいことで周りの情報が入ってこないことで協調性を求められる場面では、ことさらしんどい思いをするケースもあると思います。 そうした事態を少しでも軽減するうえでも、周囲の理解を得るための「自分説明力」を身につけることがとても重要になります。このような対処方法については、地域の聴覚障がい専門の就労支援センターや、聴覚障がい専門の就労移行支援事業所などに相談に行くのもよいでしょう。 まとめ ここまで、突発性難聴の症状や原因、治療法や突発性難聴になってしまった場合に会社を休むべきか、その後の生活や職場での対処法について解説してきました。 突発性難聴になった場合、後遺症を残さないためには、まず何をおいても早急に耳鼻科を受診すること、もし後遺症が残ってしまっても、適切に対処することで日常生活や仕事上の不都合を軽減させることができることを覚えておきましょう。 参考 突発性難聴の症状や原因とは?仕事に影響が出てしまった時の対応法 凸凹村や凸凹村各SNSでは、 障がいに関する情報を随時発信しています。 気になる方はぜひ凸凹村へご参加、フォローください! 凸凹村ポータルサイト 凸凹村Facebook 凸凹村 X 凸凹村 Instagram 凸凹村 TikTok -
大人の発達障がいとは?特性・困りごと・対応法を知ろう!
生活や仕事の中で「ほかの人はうまくできることが、自分はできない」と悩むことはありませんか? うまくいかない原因が分からなかったり、気をつけているのに困りごとが続いたりする場合、発達障がいの特性が関係しているかもしれません。 発達障がいは子どもの頃に診断には至らず、大人になってから診断を受ける場合もあります。 この記事では、大人の発達障がいの特徴や仕事での困りごと、「発達障がいかもしれない」と思ったときの仕事の対処法や、相談できる機関などを紹介します。 大人の発達障がいとは? 発達障がいとは、生まれつきの脳機能の偏りによる障がいです。得意・不得意や行動の特性などによって、人間関係や仕事で困りごとが生じることがあります。 一般的には、発達期(幼児から学齢くらいまでの間)に特性があらわれます。しかし特性のあらわれ方や程度、環境などは人により異なるため、子どもの頃は発達障がいがあることに気づかれない場合もあります。 例えば、ADHD(注意欠如多動症)の方は「不注意」「衝動性が強い」などの特性がみられますが、子どもの頃は周りの人の理解やフォローがあることで「困りごと」にならない場合もあります。 仕事で困りごとが生じて発覚 しかし、社会に出て仕事を始めると「目の前の仕事に集中することが難しく、その結果としてケアレスミスが多くなってしまう」「仕事を頼まれたときに衝動的に取りかかることが多く、その結果タスク管理がうまくいかなくなる」などの困りごとが生じることがあります。困りごとによるストレスから心身に負担が生じ、医療機関を受診してみたところ、その背景に発達障がいがあることが分かる場合があります。 このように、大人になってから発達障がいであることが分かる場合を「大人の発達障がい」ということがあります。 主な発達障がいには、「ASD(自閉スペクトラム症)」「ADHD(注意欠如多動症)」「LD・SLD(限局性学習症)※」の3種類があり、これらは重複することがあります。 ※学習障がいは現在、「SLD(限局性学習症)」という診断名となっていますが、最新版DSM-5-TR以前の診断名である「LD(学習障がい)」といわれることが多くあるため、ここでは「LD・SLD(限局性学習症)」と表記します。 大人の発達障がいの特徴と仕事で困ること 発達障がいのある方の困りごとは、特性と環境が合わないことから生じます。このため同じ特性があっても、環境によっては困りごとが起こらない場合もあれば、起きる場合もあります。 なお、ここでいう「環境」とは、バリアフリーなどの物理的な環境面だけでなく、仕事内容や仕事の進め方、人間関係や職場のルールなどさまざまな意味を含んでいます。 また、発達障がいの種類によっても困りごとの傾向が異なります。ただし特性のあらわれ方は人により異なるため、同じ種類の発達障がいのある方であっても、正反対の特性があらわれる場合もあります。例えば、感覚過敏といっても人によって聴覚が過敏な方もいれば、視覚が過敏な方もいます。また、過敏ではなく鈍麻(どんま)といって、感覚を感じづらい方もいます。 次に、発達障がいの特性と、仕事において起きやすい困りごとの例を挙げます。 ASD(自閉スペクトラム症)の特徴と困りごとの例 ASD(自閉スペクトラム症)は、「対人関係や社会的コミュニケーションの困難」と「特定のものや行動における反復性やこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さ」などの特性が幼少期からみられ、日常生活に困難を生じる発達障がいの一つです。 知的障がい(知的発達症)を伴うこともあります。幼少期に気づかれることが多いといわれていますが、症状のあらわれ方には個人差があるため就学期以降や成人期になってから社会生活において困難さを感じ、診断を受ける場合もあります。 仕事をする中で感じる困難さの例としては、次のようなものが挙げられます。 あいまいな指示の理解が難しい 急な予定変更があると混乱する 会社の「暗黙のルール」を理解することが難しい ADHD(注意欠如多動症)の特徴と困りごとの例 ADHD(注意欠如多動症)は「集中を持続させることが難しい(不注意)」「落ち着きがない(多動性・衝動性)」などの特性がみられ、仕事では次のような困りごとが起こる場合があります。 仕事のタスク管理が難しい 整理整頓が苦手で、大事な書類を紛失する カッとなりやすく、職場での人間関係が険悪になる LD・SLD(限局性学習症)の特徴と困りごとの例 LD・SLD(限局性学習症)は、知的発達の遅れはないものの、「読む」「書く」「計算する」などの特定の学習が極端に困難な状態にあることです。仕事の場面では、次のような困りごとが起きることがあります。 マニュアルや指示書を読むことが難しい お釣りの計算やお金の管理が苦手 会議の内容や上司の指示を聞きながらメモを取るのが苦手 二次障がいにつながることもある 発達障がいの特性から生じる困りごとのストレス反応が高じて発症するうつ病や不安症などの疾患は、「二次障がい」と呼ばれます。うつ病や不安症などの症状があり医療機関を受診すると、発達障がいであることが分かる場合もあります。 二次障がいの中には、治療に時間がかかる疾患もあります。発達障がいの困りごとに適切に対処していくことは、二次障がいを防ぐ意味でも重要です。 発達障がいかもしれないと思ったときの仕事の対処法は? 仕事で困りごとが続き「自分は発達障がいかもしれない」と感じている方もいるかもしれません。このような場合は、以下のような対処法を活用できる可能性があります。 ASD(自閉スペクトラム症)の困りごとと対応方法の例 あいまいな表現が苦手な場合 「できるだけ早く」などのあいまいな表現だと「できるだけ」の基準が分からず、困ってしまう場合があります。また、「もうちょっと早くできますか?」と言われたときも、「もうちょっと」が5分なのか1時間なのかといったことがつかめずに判断ができないという場合もあります。 その場合の対処法としては、いつまでなのかを明確に伝えてもらうよう、周囲の方たちにお願いしておくといいでしょう。それでも理解できないときは、相手や周囲の人に「◯◯日までに〇〇をやればいいでしょうか?」など聞いて確認してみましょう。また、口頭での指示の理解が苦手な方は、口頭ではなく、メールなど文章で指示をもらうと理解がしやすくなるかもしれません。 その他の困りごとや対処方法の例については、以下の記事でも解説しています。 関連ページ ASD(自閉スペクトラム症)|向いている仕事や適職とは?事例もご紹介 感覚過敏とは?大人に当てはまるチェックリストと嗅覚・聴覚・視覚など種類ごとの対策を解説 聴覚過敏の症状や原因を解説|大人が仕事中にできる対処法も ADHD(注意欠如多動症)の困りごとと対応方法の例 タスク管理が苦手な場合 複数の作業を管理することが苦手な場合は、優先順位を確認し、取りかかる順番を決めて一つずつ確実に進めます。順番を整理して取りかかれば、混乱せず落ち着いて作業できるでしょう。もし、優先順位の付け方などで迷ったら上司に相談してみましょう。 また、頭の中で処理するのではなく、TODOリストなどを用いて視覚化するなど、自分にあったツールを活用すると整理しやすくなるでしょう。 その他の困りごとや対処方法の例については、以下の記事でも解説しています。 関連ページ ADHD(注意欠如多動症)と仕事|無理なく続けるコツとは?就職や適職探しも【専門家監修】 【ADHD(注意欠如多動症)】向いている仕事や職業とは?適職探しに悩んでいる方へ 【ADHD(注意欠如多動症)の悩み】頭の中がごちゃごちゃする場面と対処法とは? LD・SLD(限局性学習症)の困りごとと対応方法の例 会議の内容や上司の話を聞きながらメモを取ることが苦手 メモを取ることが苦手なことをあらかじめ説明し、上司や同僚に了承を得たうえで、ボイスレコーダーや音声入力などのツールを利用して記録します。また、手順の説明を受ける場合は動画を撮影する方法もあります。 周囲の方ができること 職場に「発達障がいなのかもしれない」と思われる人がいる場合は、まずその人の特性について知ることが重要です。本人が未診断の場合でも、困っている様子があれば「何に困っているのか」を本人に尋ね、一緒に対策を考えてみましょう。 発達障がいの診断 自分が「大人の発達障がい」かもしれないと思う場合は、適切な対処をおこなうためにも、自己判断せずに医療機関を受診することが大切です。 発達障がいの診断は、精神科や心療内科、発達障がい専門外来などでおこなわれています。ただし、子どもの診察のみ受け付けていて大人の診察はしていない精神科や心療内科もあるため、事前にWebサイトなどで確認しておきましょう。 自治体によっては、発達障がいの診断をおこなっている医療機関のリストを公開しています。 また、診断を受けるかどうかで悩んでいる方もいるかもしれません。以下の記事では、診断を受けるにあたって気になる点や、もし発達障がいと診断されたらどうすればいいのかなどについて解説しています。ぜひ参考にしてください。 関連ページ 大人の発達障がいかも?診断を受けるべきか悩む方へ|受診先や受けられる支援も解説 発達障がいの診断・検査の流れ 発達障がいは生まれつきの脳機能の偏りであるため、診断では生育歴が重要な情報となります。 問診では生育歴について詳しい聞き取りがおこなわれます。そのため、現在の困りごとだけではなく、幼少時の様子やこれまでの学業や仕事での状況、既往歴などについてメモをとったものや資料(例:母子手帳や当時の連絡帳や通知表など)を持参するとよいでしょう。 また、必要に応じて以下の検査が行われる場合もあります。 発達障がいに関するスクリーニング検査 心理検査(知能検査など) 脳波検査など 現在の心身症状のほか、問診や検査から得られた情報を国際的な診断基準である「DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)」に照らし合わせ、総合的に判断して診断がおこなわれます。 発達障がいの治療 発達障がいの脳機能の偏りに対する根本的な治療法は、現在までのところ見つかっていません。このため、困りごとに対する自己対処を身につけたり、自分に合う環境調整(※)をしたりすることで、困りごとに対処します。 (※)環境調整とは、発達障がいのある方の特性や困りごとに合わせさまざまな条件を整えていくことで、本人の感じる困りごとを解消したり減らしたりすることを指します。例えば、口頭指示の理解が苦手な人には、メモやメールでの指示にする、といったことも環境調整のひとつです。 ほかに認知行動療法やソーシャルスキルトレーニング(SST)などが併用されることもあります。 それでも効果がみられない場合、薬物療法をおこなうことがあります。例えば、ADHD(注意欠如多動症)の薬物療法では症状を軽減する効果が期待できる薬が使われる場合があります。 大人の発達障がいの相談先 発達障がいによる困りごとを減らすには、自分の特性を知り、特性への対処と環境調整をおこなうことが大切です。一人では対処が難しいと感じる場合は、以下の支援機関への相談も検討してみるといいでしょう。 発達障がい者支援センター 発達障がいのある方の生活全般と仕事など幅広い相談を受け付けています。必要に応じて、関係機関とも連携してサポートをおこないます。また、医療機関の情報を教えてくれる場合もあります。未診断の方も相談できますので、「どの医療機関で受診したらいいのだろう」など迷ったときはぜひ相談してみましょう。 障がい者就業・生活支援センター 障がいのある方の生活と仕事の分野を一体的に支援する機関です。職場での困りごとについて支援をおこなうほか、生活習慣の構築や健康管理などの日常生活における自己管理についても助言をおこなっています。利用するには、原則として発達障がいやうつ病などの診断書や障がい者手帳などが必要になりますが、利用前の相談は未診断の方でもできる場合があります。事前に障がい者就業・生活支援センターにお問い合わせてみましょう。 就労移行支援事業所 障がいのある方を対象に、就職に向けて必要な知識や能力の習得、自己理解を深め適職を見つけるための支援などをおこなっています。また、就職活動の支援だけではなく、就職後も長く働き続けられるよう定着支援も提供しています。利用するには、原則として発達障がいやうつ病などの診断書や障がい者手帳などが必要になりますが、利用前の相談は未診断の方でもできる場合があります。事前に就労移行支援事業所にお問い合わせてみましょう。 まとめ 発達障がいは生まれつきの脳機能の偏りによるものであり、その特性は個人によって大きく異なります。大人になってから発達障がいの診断を受けることは決して珍しいことではありません。自分の特性を理解し、適切な対処法を実践することで、生活や仕事の中での困りごとを軽減することが可能です。 もし一人での対処が難しいと感じた場合は、発達障がい者支援センターや障がい者就業・生活支援センター、就労移行支援事業所など、専門の支援機関に相談することをお勧めします。自分に合ったサポートを受けることで、より良い生活と充実した仕事を実現する一歩を踏み出してみましょう。 参考 大人の発達障がいとは?特徴や仕事の対処法、診断の流れや相談先も紹介|LITALICOワークス 凸凹村や凸凹村各SNSでは、 障がいに関する情報を随時発信しています。 気になる方はぜひ凸凹村へご参加、フォローください! 凸凹村ポータルサイト 凸凹村Facebook 凸凹村 X 凸凹村 Instagram 凸凹村 TikTok -
「統合失調症」の「発症のきっかけ」になる、実は多くの人が当たり前に求める「3つのもの」
ADHDやASDの人たちが「病」であるならば、そうでない定型発達の人にも実は「健常」でない側面があるのではないでしょうか。 そして、「健常発達」の人が人生の中で求めるものは、例えば統合失調症の人が志向し、それをきっかけに発症するようなものとなんら変わりはないのではないでしょうか。 精神科医の兼本浩祐氏はそう考え、統合失調症を発症したある英語教師の事例について分析しています。『普通という異常 健常発達という病』から再編集・抜粋して紹介します。 「生活臨床」――生活破綻のきっかけ 対人希求性(人を求める気持ち)が健常発達の心性にどう重要なのか、そのところをもう少し明確にするために、「生活臨床」という名前で呼ばれていた精神科のムーブメントのことに触れたいと思います。「生活臨床」というムーブメントは、具体的にこの対人希求性が実生活の中でどのような形をとるのかに集中的に焦点を当てているからです。 少しばかり乱暴で通俗的なまとめ方をしますが、生活臨床というのは、「色、金、名誉」のいずれかのキーワードに、統合失調症の発病のきっかけがあるという認識のもとおこなわれた運動です。 「色、金、名誉」といったきっかけが生活の破綻をもたらすので、そうならないように生活環境を患者さんの周りの人たちと医療関係者がいっしょになって整えることが大事だというものです。心ある精神科医の先生とともに地域の保健師さんとかが随分がんばって指導に奔走されたと聞いています。 当事者の求めるものに寄り添うことをめざしていた 「色、金、名誉」に「体」を付け加える場合もあるようですが、『生活臨床の基本』という本のなかで伊勢田堯(いせだたかし)先生がこのキーワードを「指向する課題」という用語で説明されています。伊勢田先生とは一度ごいっしょさせていただきましたが、ほんとうに感じの良い、丁寧な臨床をされている方という印象でした。 実践としての生活臨床では、対象者の生活破綻のきっかけとなる「色、金、名誉」に関わる何かを奪われるか、あるいはそれを獲得する見込みが失われる状況が、破綻前に前駆していると想定されていて、これが診たての中心となります。 生活臨床は、当事者が大事に思っているものが、色なのか、金なのか、名誉なのかを、家族を含めたみんなではっきりと共有し、それを獲得ないしは守ることを、医療者を含めたみんなで応援し、当事者の求めるものに寄り添うことをめざしていたと、とりあえず講演やご本の記載からサマリーしてみます。 伊勢田先生のご本に紹介されている高校教師の事例をごく簡単に紹介して、このムーブメントの実際をみておきましょう。 「出世」を強く求めた英語教師 若くして両親を亡くし、長兄夫妻に養育されたある40代の英語教師は、「親がいないんだから勉強で身を立てなければだめだ」と言われて育ちました。幸い成績は優秀で、東大と思しき大学の入学をめざすほどで、東京で受験のための下宿生活を開始します。 しかし、受験に立て続けに2回失敗したことを契機に、「下宿先の近所の人が悪口を言っている」「電車に乗ると人がじろじろ見る」などといった被害関係妄想が出現。実家に連れ戻されたものの幻覚妄想状態による激しい興奮がおさまらず、最初の入院となりました。 薬物療法で症状はとりあえずは軽快し、周囲の説得で地元の国立大学に見事入学を果たして退院しますが、持ち前の気位の高さと遮二無二突き進もうという姿勢から、周囲との軋轢が絶えず、無理なスケジュールを詰め込んでは、生活破綻をくりかえし、大学在学中は二度の入退院を経験しています。 その後、何とか卒業を果たし、山間部の分校に就職が決まるのですが、本人は都会の学校に就職するのを希望していたため落胆。しかし、校長から「五年くらいしたら転勤になる。実績を挙げて平野部に戻れ」と励まされ、下宿して通勤となりました(勤務地が遠方で実家も安息の場ではないことから、働きかけの方針として、電話連絡をいつでもとれる体制と、休みを利用した休息入院が保証されます)。 二つの転機が訪れる 職場では尊大で配慮に欠ける態度からしばしばトラブルになり、それが契機で被害関係念慮が出現(「無理をして再発したら出世の見込みはなくなる」とアドバイスするなど、生活破綻につながりかねない動きに対しては、これを抑える働きかけがおこなわれます)。 そうした助力もあって、山間部での勤務の間、八回の休息入院を含む短期の入退院をくりかえしながらも、職場での役割遂行には著しい支障をきたさずにすみ、職務を全うすることができました。そうこうして何とか持ちこたえているうちに、この英語教師には二つの転機が訪れます。 その転機とは、何度かのお見合いの失敗の後に、「太っ腹で如才ない」得難い配偶者を得たことと、兄と慕うある会社の経営者が若くして劇症肝炎で急死したため、「出世しても死んだらおしまいだ」と、「生き方をマイホーム主義に変え」、それまでとは打って変わった態度をみせるようになったことです。 彼の急所ともいえる管理職への昇進の野心と距離を取るようになったことで、同僚や上司とのトラブルは目に見えて減り、その後、10年以上にわたって安定状態が続き、投薬もごく少量となって、時に応じた生活相談程度で面談も推移したと書いてあります。 聞き取れなかった英国人教師の英語 しかし、日本語が話せない若い英国人女性の教師が、本場の英語を生徒たちに聞かせるという趣旨で副教員として赴任して同僚となることで、事態は急激に破綻へと向かってしまいます。 この英国人教師の英語を、彼は聞き取ることができず、ひどく困惑したのですが、それを認めるのは彼のプライドから耐え難く、「早口で喋るのでわからない」「田舎の英語だからわからない」と相手を非難。それに対して英国人教師は、「あなたの勉強が足りないだけだ」と言い返し、さらにそれに対して「助手のくせに」と高飛車な態度に出たため事態は収拾がつかなくなっていきます。 次第に、早朝から起きて英会話のカセットを聞き出すなど、生活の枠組みも揺らぎだし、不眠、疲労困憊となって、ついに「ソ連と北朝鮮が攻め込んでくる。危ないから外に出るな」と妻に土下座して訴え、木刀を持って庭に飛び出す、校庭で山に向かって旗を振るなどの異常行動が出現、緊急入院となりました(この事例は実際には当時はその概念がなかったASDを背景とした心因反応ではないかという解釈もありうるとは思います)。 当事者を支える「つっかい棒」 精神科医は診断をおこなうために、「色、金、名誉」では理解できない部分に焦点を当てます。ですから、当事者の話のなかから世間一般の常識からすればどうしてそんなことをするのかが「わからない」部分をできるだけ鋭敏に感じて、それを探り当てることで診断をするわけです。これが精神科医の往路になります。 しかし、ご家族や友人は、可能な限り「わかる」ことに注意を向け、「わからない」ことの前には可能であれば立ち止まらずに通り過ぎようとする傾向があります。 それは時に当事者の生活破綻の原因になる重荷にもなりえますが、「わかる」べき部分をわかって寄り添うことで、当事者を支える大きな力になることも少なからずあります。これは復路になります。 体系的に展開したものだとも考えられる 生活臨床とは、この復路を体系的に展開したものだとも考えられるかもしれません。先ほど、紹介させていただいた英語教師の方にとっての急所、あるいは生活臨床的に表現するのであれば「指向する課題」は、「名誉」であったことは間違いないでしょう。 生活臨床の実践は、「そんな世俗的な欲に囚われているから調子を崩すんだ」「そんな欲から解放されれば発病に至る急所もなくなるよ」と言って、できるだけそこから当事者を遠ざけることをめざすのではありません。 むしろ、当事者が囚われている「色、金、名誉」を、当事者を支えるもっとも太いこの世におけるつっかい棒だと考え、みんなでこのつっかい棒が倒れてしまわないように、あるいはそのつっかい棒がちょっと実人生の規格に合わない場合には、似たような別のつっかい棒への方向転換も含め、いっしょに支えようというものです。 「色、金、名誉」という躓きの石 健常発達の人のさまざまの行動の大部分が、この「色、金、名誉」で理解できるというのが世間的な人間理解の基本であって、そのいずれかがくりかえし人生の躓きの石になるのは統合失調症の人に限らないのではないかというのが、ここでの問題提起です。 犯罪がおこなわれると、精神科医は、その動機が了解できるかどうか、精神鑑定を依頼されて判断を求められることがありますが、動機が了解できないとなった場合には、それは無罪の理由になったりするわけです。逆に、明らかに「色、金、名誉」が動機である場合には、裁判官や検察官だけではなくて、弁護士も、動機はじゅうぶんに了解できる、つまりそんな事情であれば、そんなことをする人はいるよねと動機的にはみんなが納得するというコンセンサスがあります。 「色、金、名誉」だけではうまく説明できないものが現れてきてしまう たとえば、借金で首が回らなくなっている人がいたとして保険金をそんなに関係の良くない奥さんにかけて殺してしまうとか、浮気の現場を押さえたご主人が相手の男性をゴルフのクラブで殴ったとか、「色、金、名誉」に関わることで事件が説明できる場合、自分がその場にいて同じことをやる気持ちになるかどうかは別にして、それはわかるということになって精神鑑定には普通は回ってきません。 逆に、たとえば、近所のラーメン屋さんが北朝鮮のエージェントで、そこから自分の家庭の事情が放映されているという理由で営業中のラーメン屋さんに押しかけて、椅子を振り回して暴れたとすると、これは精神科医による精神鑑定の対象になります。この場合、動機は、明らかに普通の意味での「色、金、名誉」とは違います。 「色、金、名誉」という、つっかい棒が外れてしまうと、統合失調症を病む人では、何か「色、金、名誉」だけではうまく説明できないものが現れてきてしまうといえなくもないようにも思えます。(兼本 浩祐) まとめ 私たちの多くは、健常発達とされる中でこのような「色、金、名誉」に囚われ、時にはそれが生活の破綻を引き起こすことがあります。精神科医の兼本浩祐氏の見解は、健常発達の人々もまた、異常とされる側面を内包している可能性があることを示唆しています。 私たちは、誰もが抱える「健常」と「異常」の境界を見つめ直し、より多くの人々が安心して暮らせる社会を目指す必要があります。この取り組みは、精神科医、医療関係者、家族、そして地域社会全体が協力して行うべき課題であり、共に支え合うことでより良い未来を築いていくことができるのではないでしょうか。 参考 「統合失調症」の「発症のきっかけ」になる、実は多くの人が当たり前に求める「3つのもの」(現代ビジネス) #Yahooニュース 凸凹村や凸凹村各SNSでは、 障がいに関する情報を随時発信しています。 気になる方はぜひ凸凹村へご参加、フォローください! 凸凹村ポータルサイト 凸凹村Facebook 凸凹村 X 凸凹村 Instagram 凸凹村 TikTok
Movieみんなの障がい動画
みんなの障がい動画は、障がいに関する基礎知識などを、動画でわかりやすくお伝えしていきます。
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【大人の障がい】躁鬱とは?動画で詳しく解説!
躁鬱とは? 躁鬱とは「双極性障がい」とも呼ばれておりうつ病とはまったく違う病気です。うつ病のような症状も出ますが逆に「躁」という活発的で無敵な状態になることもあり日や月によって正反対の自分になってしまうので「双極性」といわれています。 なぜこのような症状が起こるのかは、いまだ解明されていません。一つの可能性としては、脳内にある様々な情報を受け取って反応する機能が生活習慣の乱れやストレスにより正しく機能しなくなることが考えられています。 また躁鬱になる人には「肥満型」「循環型性格」が多く見られます。BMIが30以上になると認知機能が低下し脳構造も変化することが確認されているためです。循環型性格とは「おとなしい」とよく言われるような性格のことです。 ストレスを上手く外に発散できずため込みやすい方が躁鬱になりやすいといえます。人口の0.4~0.7%といわれており約1000人に4~7人とそれほど多くない障がいです。けれど、超ストレス社会と言われている現代この割合はふえていくかもしれません。 主な症状 その日や月、または年によって、とても活発的になる症状と、逆に動けなくなり自己反省的になるという真逆の症状が見られることが特徴です。活発的な「躁」の状態になると、つぎのようになります。 寝なくても元気で活動できる 初対面の人にも知人のように話しかける 電話やメールをたくさんしてしまう 人の話を聞けず、自分の話をたくさんする 頭がさえわたり、アイデアが多く出てくるが、最後までやり遂げられない 何でもできそうな気がする 買い物やギャンブルに莫大な金額をつぎ込む 性的に奔放になる 意欲や活動が低下する「鬱」の状態になると、つぎのようになります。 疲れやすく何もやる気が起きない 好きなことにも興味がなくなる 眠れない、または逆にどれだけ寝ても眠気がとれない 自分に価値がないと思う 鬱の状態になると、躁の状態のときに自分がやってしまったことも思い出して後悔に苦しめられます。躁のときはまわりを傷つけたり振り回したりしてしまいますが鬱のときは自分を傷つけてしまうので、早期治療が大事です。 ただ活発的な「躁」のときは、自分が「双極性障がい」だと気づけないのでまわりが声をかけて気づかせることが必要になります。 治療方法について 躁鬱とうつ病はまったく治療方法が異なるのでうつ状態が「躁鬱」の「うつ」によるものなのか、「うつ病」の「うつ」によるものなのか、見極めが重要になります。 躁鬱の治療には、症状に合わせて心理的な療法と薬物治療の2つが並行しておこなわれます。うつ病のような症状がひどく、あまりに自己反省的になる場合は「認知行動療法」をおこない、物事の受け取り方を正していきます。 また病気を受け入れ、コントロールできるように「眠りと気分の記録表」などをつかって、自分の精神の状態を正しく理解する「心理教育」をおこなうこともあります。 薬物治療では、症状を抑えるために気分安定薬と抗精神病薬を使用します。双極性障がいはとても再発しやすい病気なので多くの方は規則正しい生活を送るように心がけながら長期にわたって薬と付き合い続ける必要があります。 -
【大人の障がい】境界性パーソナリティ障がいとは?動画で詳しく解説!
境界性パーソナリティ障がいとは? 境界性パーソナリティ障がいは、「強いイライラ感」という神経症のような症状と、「現実が冷静に認識できない」という統合失調症のような症状があります。「神経症」と「統合失調症」の境界にある症状が現れることから、「境界性」と名前がついています。 境界性パーソナリティ障がいの患者は、一人でいることがむずかしく、人の気を引くために、自殺のそぶりをしたり性的に誘惑したりするなど、自己破壊的な行動が見られます。原因は明らかになっていませんが、遺伝的な要因と環境的な要因が考えられています。境界性パーソナリティ障がいの方は、もともと傷つきやすく繊細な気質なことが多く、さらに悪い環境が重なると、発症率がとても高くなります。 境界性パーソナリティ障がいは人口の約2%と少なくはない障がいで、若い女性に多いとされています。 主な症状 気分が急に変わること、感情のブレーキが効かないといった神経症的な症状と、自分が何者かわからないような空虚な気持ちをもつ統合失調的な症状が主にあります。この症状があると、つぎのようなことが起こります。 癇癪を起こす 自殺のそぶりや自傷行為をくりかえす 薬物やアルコールなどに依存しやすくなる 見捨てられることに強い不安を感じ、見捨てられないように必死に努力する 幸せを感じにくい 急に強い怒りを感じたり不安になったりする 強いストレスがかかると一時的に記憶がなくなることがある 治療方法について 治療方法は主に2つです。一つは、カウンセリングなどの精神療法と、症状を抑えるための薬物治療になります。精神療法は「認知行動療法」が主に使われます。まず行動面では、基本的な生活習慣を整えることから始めます。 認知面ではストレスや不安を感じた出来事をカウンセラーと話し合って、物事の受け取り方を変え、ストレスや不安への反応をへらしていきます。 あまりに症状が強い場合、症状を抑えるために薬物治療をおこないます。不安やストレス、睡眠障がいなど症状に合わせて、抗不安薬や気分安定薬が使われます。また最近では、オメガ3脂肪酸を含む栄養補助食品を服用することで、気分安定効果が得られ、症状が抑えられたことが確認されています。 -
【大人の障がい】回避性パーソナリティ障がいとは?動画で詳しく解説!
回避性パーソナリティ障がいとは? 回避性パーソナリティ障がいとは、人や社会との関わりに不安を感じ、すべて避けようとする障がいです。米国の調査によるとこの障がいを診断されている人は全体の2,4%とされており、男女による違いはありません。回避性パーソナリティ障がいは社交不安障がいやHSPとも似ていますが、大きな違いがあります。 まず、最も症状が強く、仕事や社会生活すべてに影響が出ているのが、「回避性パーソナリティ障がい」です。とくに、「すべてに不安を感じる」という大きな特徴があります。 社交不安障がいやHSPには、不安を感じる特定の人物や場面があります。 たとえば、「会議が不安だから避けたい」「今している仕事の、○○の部分が不安に感じる」「あの人から何か嫌な印象を受けるから避けたい」などです。 回避性パーソナリティ障がいは、「人生」「すべて」「今日あること全部」「会社にいる人全員」など、特定の場面や人物がありません。「自分以外はすべて敵」のように感じ、引きこもりがちになったり、その他の心の病にかかったりして、社会で生きづらくなります。 主な症状 障がいを診断する基準であるDMSー5には、つぎのような症状のうち4つ以上に当てはまると、回避性パーソナリティ障がいの疑いがあると診断されます。 批判や避難されたり、人から拒絶されることを怖がって、仕事に必要なことでも避ける。 相手に好かれていると確信できないと、仲良くできない。 恥をかかされたり笑われたりすることが苦痛で、家族や友達にもどこか遠慮する 人との関わりのなかで、一番に「相手に批判や拒絶されること」を考えてしまう 「何をしても無理だろう」と思い、人と関係をつくりたがらない 社会不適合だと感じたり、人よりも劣っていると思う。 失敗して恥をかくかもしれないと思って、新しいことをするのを異常なほどに避ける。 とくに、人との接触を回避しようとする「回避行動」がよく見られることが特徴的です。 治療方法について 自己愛性パーソナリティ障がいの治療は、人との関わりに対する不安や恐怖をへらし、自尊心を高めることが大切です。治療法には、「個人療法」と「集団療法」が用いられます。 個人の精神療法では、「精神分析的心理療法」が役立つことが多いです。精神分析的新療法は、カウンセラーと一対一でおこないます。 患者はカウンセラーにまず、なんとなく心に浮かんだことを何でも話します。今感じている悩みだけではなく、無意識に自分が何を感じているかを分析するためです。この一対一の療法を長期間ゆっくり繰り返して、自分の無意識の部分を知ったり、問題の解決策を見つけたりします。ただ、効果を感じられるのに、人によっては数年単位になることもあります。 つぎに、「集団療法」では、同じ障がいをもった人たちで話し合い、自身の障がいに気づくことから始まります。障がいによって起こっている悩みや問題を共有し、他人への共感力を身につけることも目的の一つです。 また、回避性パーソナリティ障がいで気分障がいやうつ傾向が見られるときは、症状を抑えるための薬物療法もあわせて、治療をおこないます。 -
【大人の障がい】自己愛性パーソナリティ障がいとは?動画で詳しく解説!
自己愛性パーソナリティ障がいとは? 自己愛性パーソナリティ障がいとは、「自分は誰よりも重要な存在である」と信じすぎて、 人間関係が上手くいかなかったり、生きづらく感じたりする状態のことです。この障がいと診断される人のうち、50~75%が男性だとされています。 他人に共感することができず、何よりも自分が特別で大切であると思っていることが大きな特徴です。自己中心的な行動をして、社会で上手く生きることができず、心の病にかかってしまう方もいます。 自己愛性パーソナリティ障がいの原因は、「生まれつきの気質」と「幼少期の環境」が考えられます。生まれつき自己愛が強く、共感性が低い気質であるお子さんはよくいますが、このような気質は大人になるにつれて落ち着く傾向があります。 けれど、子どものとき、何をしても怒られない環境や、逆に親が厳しく不自由すぎる環境、虐待を受けていたなど問題があった場合、自己愛性パーソナリティ障がいの発症率が高くなります。 主な症状 自己愛性パーソナリティ障がいは、「無感情型」と「過敏型」の2種類があります。無感情型は、周りの意見など全く気にせず、何を言われても、「自分は誰よりも特別だ」と考えて行動します。たとえば、仕事の営業成績で悪い結果が出たとしても、一番をとったかのようにふるまいます。さらに、自分以外の人を二番以下だと思い、見下す傾向があります。 そのため、周りからは「自己中」「威張っている」「虚言壁」と言われてしまうこともあります。過敏型は、周りの意見を気にしすぎて、行動することができません。けれど、過敏型も同じく、心の奥底では「自分は誰よりも重要な存在だ」と思っており、理想の自分がいます。 その理想の自分と現実の自分との違いに苦しみ、自己嫌悪することが多いです。また自分の意見を反対されることや、傷つくことを極端に避けようとします。「感情を表に出さない」「恥ずかしがり屋」「他人の反応に敏感」といった特徴が見られます。 治療方法について 自己愛性パーソナリティ障がいの治療法は、「個人精神療法」と「集団療法」があります。個人の精神療法では、「精神分析的心理療法」を使うことが多いです。 精神分析的新療法は、カウンセラーと一対一でおこないます。患者はカウンセラーにまず、なんとなく心に浮かんだことを何でも話します。今感じている悩みだけではなく、無意識に自分が何を感じているかを分析するためです。この一対一の療法を長期間ゆっくり繰り返して、自分の無意識の部分を知ったり、問題の解決策を見つけたりします。 つぎに、「集団療法」では、同じ障がいをもった人たちで話し合い、自身の障がいに気づくことから始まります。障がいによって起こっている悩みや問題を共有し、他人への共感力を身につけることも目的の一つです。 また、自己愛性パーソナリティ障がいで気分障がいやうつ傾向が見られるときは、症状を抑えるための薬物療法もあわせて、治療をおこないます。 その他特筆事項 自己愛性パーソナリティ障がいの治療には、ご自身が、「もしかしたら自己愛性パーソナリティ障がいかもしれない」と気づいていること、治したいと思っていること、「どのような自分でも受け入れる覚悟」が大事です。 -
【大人の障がい】演技性パーソナリティ障がいとは?動画で詳しく解説!
『大人の障がい動画』では、様々な障がいに焦点を当て、理解と共感を促進していきます。 今回の動画では、演技性パーソナリティ障がいについて詳しく紹介します。 演技性パーソナリティ障がいとは? 演技性パーソナリティ障害は、劇の役を演じているように感情や考え方を過剰に強く示したり、外見をつかって自分に注目を集めようとしたりするなどの特徴が見られる障害です。有病率は全体の2%以下となっており、発症のしやすさに男女の違いはありません。 演技性パーソナリティ障害の原因は明らかになっていませんが、「子どもの頃に家族から十分な愛情を得られなかった」「演技性パーソナリティ障害の家族がいる環境で育った」 など、養育環境が原因のひとつではないかと考えられています。 演技性パーソナリティ障害は、注目を集めるために、自殺未遂や脅迫をおこなうことがあり、危険が多い障害です。身体症状やそのほか精神疾患を合併している確率も高く、早期治療が必要です。 主な症状 演技性パーソナリティ障害は人の注目を集めるための行動が特徴的です。「ふしだらな格好をして人を誘惑・挑発する」「いつも特徴的な恰好をする」「自分に注目が集まっていないと不機嫌になる」「中身がないような話を重要なことのように話す」「作り話をする・出来事を誇張して伝える」「自分から騒動を起こそうとする」などの症状が多く見られます。 自己愛とは違っており、演技性パーソナリティ障害の患者は注目のされ方にこだわりがありません。自己愛が強い方は、人から賞賛されたい、人に好かれたいという欲求があります。 演技性パーソナリティ障害の患者は、批判されても嫌われていても、注目されていればいい、と考えて行動します。 また、人との関係が実際よりも親密だと思っていることが、ひとつの特徴です。具体的には、「知り合って間もない人を、かけがえのない親友と呼ぶ」「知り合い程度の関係でもハグをする」「何度か話しただけで、相手の職業や立場に関わらず下の名前で呼ぶ」このように、すぐに人と親密になろうとしますが、新しい人間関係に飛びつく傾向があり、親友と呼んだ人とでも人間関係が長続きしません。 治療方法について 演技性パーソナリティ障害は、自分の本当の感情に気づくことがないため、まず精神療法をつかって、自分の内面を正しく把握させる治療が中心になります。医師と患者のあいだで何度もカウンセリングをおこない、自分の本当の感情と劇的な行動が合っていないことに気づかせたり、劇的な行動をとらなくてもコミュニケーションをとれるように学習したりして、演技性パーソナリティ障害の症状を消失させます。この精神療法はじっくりと時間をかけておこなうため、治療が年単位になることがよくあります。 -
【大人の障がい】スマホ依存症とは?動画で詳しく解説!
『大人の障がい動画』では、様々な障がいに焦点を当て、理解と共感を促進していきます。 今回の動画では、スマホ依存症について詳しく紹介します。 スマホ依存症とは? スマホ依存症とは、心身に異常が起きているにも関わらず、スマホを手放せず、スマホに精神的に依存している状態のことをいいます。 「スマホが近くにないと不安を感じる」「着信や通知が気になって何度も画面を確認する」「人との関わりよりもスマホを優先する」「スマホに夢中になって睡眠がとれていない」以上に当てはまる方は、スマホ依存症の可能性が高いです。 スマホは依存しやすい性質を多くもっています。「知りたい情報をすぐに知ることができる」「着信や通知など反応がある」「飽きない」「どこでも気軽に持ち運びができる」という4つの要素が深く関係しています。 また、スマホ依存症は他の依存症とちがって、ずっとスマホをさわっていても罪に問われません。通勤中も食事中もスマホをさわっている人が多く見られるため、危機感なく、自覚もなく依存してしまいます。 主な症状 スマホ依存症の主な症状は、「脳疲労による機能の低下」と「体の発達や体調への悪影響」の2つです。スマホは深く考えることなく、大量に情報をインプットできるので、長時間スマホにふれると脳が疲れます。 脳が疲れると脳の情報処理機能全体が低下します。情報処理機能が低下すると、簡単に得られる快楽に流されやすくなるので、ますますスマホを見てしまい、脳疲労が激しくなるという悪循環が起きます。 脳疲労が激しくなり、前頭前野の働きが悪くなると、「うっかりミスが増える」「判断力・思考力・集中力が低下する」「感情をコントロールしづらくなる」などが症状として現れます。 「体の発達や体調への悪影響」としては、スマホを見ながら同じ姿勢を維持し続けることで、「肩こり」「腰痛」「猫背・巻き肩・ストレートネックなど姿勢の崩れ」が起きたり、 スマホの画面を見つめることで「ドライアイ」「眼精疲労」「スマホ老眼」など目の疾患にかかりやすくなったりします。 さらにブルーライトという強い光を浴びつづけることで、体内時計が狂い、睡眠が適切にとれない「睡眠障害」や、体調不良が続いて「うつ病」になる危険もあります。 治療方法について スマホ依存症は、「発達障害」や、そのほかの精神疾患が関わっていることもあります。そのため、スマホ依存症で病院を受診するときは、まず発達障害や精神疾患がないかを検査します。 発達障害や精神疾患が原因となっている場合は、原因の改善に向けて心理療法や薬物療法をおこないます。スマホ依存症への治療は、「認知行動療法」という心理療法を用いてスマホへの意識の改善、医師の指導による生活習慣の改善の2つを主におこないます。 スマホ依存症が重症の場合は、入院治療をおこなうことがあります。スマホから離れた環境で過ごし、規則正しい生活習慣を身につけたり、現実での人とのコミュニケーションを練習したりします。 その他特筆事項 スマホ依存症を治すには、スマホ依存を自覚し、治したいという強い意思をもつことが大切です。スマホに依存しているかどうかを確認するには、iphoneユーザーは「スクリーンタイム」 androidユーザーは「Digital Wellbeing(デジタル ウェルビーイング)」を設定から開いてみましょう。スマホの日・週・月ごとの使用時間や、アプリの使用時間を知ることができます。予想以上にスマホを使用していることに気づくかもしれません。 スマホ依存に気づいたら、「スマホ依存対策アプリの活用」「通知をオフにする」「少しずつスマホを使わない時間をふやす」「スマホ以外のストレス発散法を見つける」などで対策しましょう。 -
【大人の障がい】パニック障がいとは?動画で詳しく解説!
『大人の障がい動画』では、様々な障がいに焦点を当て、理解と共感を促進していきます。 今回の動画では、パニック障害について詳しく紹介します。 パニック障がいとは? パニック障害とは、理由もなく急に動悸やめまい、吐き気や手足の震えなどのパニック発作が起こり、日常生活に支障をきたす障害のことです。日本人の100人に1人が経験しており、男性より女性の方が発症しやすいことがわかっています。 パニック障害の原因は、「遺伝的要因」と「環境的要因」の二つが大きく関係しています。 強いストレスや不安、激しい疲れ、睡眠不足など不規則な生活習慣、遺伝的要因、性格などが原因となって、脳内の伝達物質の働きに異常が起こり、パニック障害が起こると考えられています。 パニック障害になりやすいといわれている人の特徴は、「ストレスをためこみやすい」「内気で人見知りが激しい」「まじめで完璧主義」「神経質でこだわりが強い」など、 もともと不安やストレスを感じやすい性質をもつ人です。 パニック発作は、就寝前などリラックスしているときや、寝ているときにも起こることがあり、パニック障害の患者は「いつ発作が起きるのか」という恐怖にも苦しみます。その恐怖や不安から、他の精神疾患を引き起こしたり、外出できなくなったりなど、社会生活に大きく影響します。 主な症状 パニック障害の主な症状は、「パニック発作」「予期不安」「広場恐怖」の3つです。「パニック発作」は、極度の恐怖や不安を感じると起こる体の反応のことであり、だれでも特定の場面でパニック発作を経験します。しかし、パニック障害のパニック発作は、恐怖や不安を感じない場面でも体が反応します。 「動悸や息切れ」「めまい」「異常な発汗」「手足の震え」「自分は死ぬのではないかという不安」「逃げなくてはいけないと感じる本能的恐怖」などが症状として現れます。 パニック発作の症状は頻度によって「中等度」と「重度」に分かれて診断されます。「中等度」は少なくとも月に4回以上のパニック発作がある状態、「重度」は週に4回以上パニック発作がある状態です。 「予期不安」とは、このような体の反応が「また起こるのではないか」「いつ起こるのだろうか」「次はもっと苦しいかもしれない」「今度こそ死んでしまうかもしれない」と、 発作が起きていないときにも強い不安を感じるという症状です。この症状が原因で仕事をやめたり、引きこもりになったりするなど、環境に変化が現れることも症状のひとつです。 「広場恐怖」は、発作が起きた状況や場所、発作が起きても逃げ出せないような状況を極度に避けるという症状です。「同じ場所でまた発作が起きるのではないか」「この場所で発作が起きたら逃げられない」「この場所で発作が起きると誰にも助けてもらえない」 広場という言葉が使われていますが、広場だけではなく、一人の外出、自家用車やバスの乗車などにも過度な恐怖を感じるので、外出恐怖や空間恐怖とも呼ばれます。パニック障害の患者の全体の4分の3が「広場恐怖」を経験するとされており、広場恐怖の症状があると外出をおそれ、引きこもりがちになります。 治療方法について パニック障害の治療は、精神科や心療内科で「薬物療法」と「心理療法」がよく併用されます。 SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、抗不安薬、抗うつ薬を使って、パニック発作を抑えることができます。 これらの薬の服用と一緒に心理療法をおこなうことが重要と考えられています。 心理療法では「認知行動療法」や「曝露療法」の効果が認められています。 薬を服用しながら、恐怖や不安を感じる場面をあえて経験し、発作が起こらないことを学習して、不安や恐怖がなくなることを目指します。 その他特筆事項 パニック障害は慢性化しやすく、再発しやすい障害のため、自分で予防することも大切です。「休養をとる」「生活習慣を整える」「適度の運動」「アルコールやカフェインを摂りすぎない」アルコールやカフェインは脳を刺激し、不安感を強めます。 ストレスや不安をためこんだり、不規則な生活を送ったりしていると、自律神経が乱れ、発作が起きやすくなります。心や体の調子を整えて、パニック障害を予防しましょう。 -
【大人の障がい】離人症とは?動画で詳しく解説!
『大人の障がい動画』では、様々な障がいに焦点を当て、理解と共感を促進していきます。 今回の動画では、離人症について詳しく紹介します。 離人症とは 離人症とは、解離性障害の一種であり、自分の意識や体が自分の物ではないように感じたり、物事がすべて現実ではないように感じたりする状態のことです。 離人症は人口の約2%に発生するといわれており、男女の割合は関係なく、10代から20代の発症が最も多いです。強いストレスや不安、激しい疲労、うつ病など精神疾患、違法薬物の使用などから引き起こされます。 脳科学の観点では、脳内のドーパミン物質の分泌が少ないと、離人症の症状につながりやすくなることがわかっています。離人症の症状は数時間で治まるものから、数日、数か月、重い場合は数十年にもわたって悩まされる方もいます。 主な症状 離人症の主な症状は「外界の見え方の変化」「感情の喪失」「自分の体への意識の変化」の3つです。 「外界の見え方の変化」の症状の現れ方は人それぞれであり、物や人が色あせて見える、物や人がぼやけて見える、ベールのように薄い膜ごしに物や人を見ているように感じる、夢を見ているように感じる、などです。 「感情の変化」は、感情が無くなったように思い、何かをしたりされたりしても、その意味をとらえることができなくなるという症状です。「自分の体への意識の変化」は、自分の体が自分の物ではなく、ロボットのように感じる、身体がまひしているように思う、自分の体の大きさや形がちがって感じる、自分のことを遠くから観察しているように感じる、などの症状があります。 これらの症状がありながらも、離人症の患者は「自分はおかしい状態だ」と気づくことができます。意識の混濁などはなく、妄想と現実の区別がしっかりついていることが、離人症の大きな特徴です。 治療方法について 離人症の根本的な治療法は確立されていません。そのため、精神科や心療内科では、「原因の除去」「心理療法」「薬物治療」などをおこない、離人症の症状を緩和することを目的とします。 強いストレスが原因の場合、ストレスを感じているものや環境から離れる、または問題の解決法を見つけることで、離人症の症状の改善を目指します。また、うつ病などその他の精神疾患から起こっているときは、うつ病など精神疾患の治療をおこないます。 心理療法には、認知行動療法や曝露療法などが用いられます。認知行動療法とは、物事のとらえ方を変えて、ストレスへの耐性を高める療法です。曝露療法とは、不安を感じる場面をあえて体験し、不安感に慣れていく療法です。 まずはカウンセラーと一緒に、不安を感じる場面を小さなことから体験し、少しずつ不安感をへらしていきます。しかし、離人症が心理療法で改善されることはむずかしく、多くは薬物治療が有効になります。薬物治療は、抗不安薬や抗うつ薬が主に使われます。"
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