2024.02.26

能登半島地震:障がい者支援の新たな光

1月1日に起こった能登半島地震は、多くの人々に深刻な被害をもたらしました。しかし、その中でも特に注目すべきは、障がい者コミュニティの支援が不十分であることが露呈した点です。地震発生後2日目に立ち上がった特設サイト「#障がい者を消さない」は、この問題に光を当てる取り組みとして、インターネット上で注目を集めました

 

障がい者の声を届ける

能登半島地震で被災した障がい者を支援するために開設された特設サイトは、避難所での障がい者の存在が見過ごされがちであることに警鐘を鳴らしています。地震をはじめとする過去の災害でも、障がい者やその家族が避難所で支援を受けることが難しいという実情があります。こうした現状に対して、特設サイトは積極的に声を上げ、問題提起を行っています。

 

アートを通じた支援の手法

特設サイトの制作には、「ヘラルボニー」という盛岡市を拠点に活動する障がいのある作家のグループが関わっています。このグループの代表取締役である松田文登さんは、自らも被災地での支援活動に関わり、その経験を活かして特設サイトを立ち上げました。彼らの目指すのは、アートを通じて障がい者コミュニティに希望と支援を届けることです。

過去の経験からの学び

松田さんは、自身が東日本大震災の際に被災地で学生として活動していた経験を振り返りながら、今回の支援活動に取り組んでいます。その経験から得た教訓が、今回の地震での支援活動に生かされています。過去の災害からの学びを活かし、より効果的な支援を実現するために、松田さん達は積極的に行動しています。

 

未来への希望を繋ぐ

能登半島地震によって露呈した障がい者支援の課題は大きいものの、特設サイトの登場は未来への希望を繋ぐ一石となりました。障がい者の声がしっかりと届く社会を目指し、声を消さないための取り組みが広がることを願ってやみません。

 

障がい者の苦悩を乗り越えて

能登半島地震が発生した際、松田さんの心に浮かんでいたのは、母親から聞いていた障がいのある人やその家族が震災時に直面する苦悩でした。日常とは異なる状況に置かれることで、精神的な不安が高まり、障がい者やその家族が大きな声を発したり、過剰に動き回ったりすることがあることを理解していました。その結果、障がい者が避難所に行かない、あるいは行けない状況に陥ってしまうことがありました

 

障がい者支援の重要性を認識

松田さんは、障がいがあることが避難所に行けない、あるいは転々とする理由の一つであることを深く理解しています。この状況は非常につらく、悲しいものであり、解決するためには情報を知ることが極めて重要であると考えました。松田さんは、怖れや不安が無知から生じることを理解し、その知識の欠如を埋めるために、ヘラルボニーという活動を通じて情報を提供することの重要性を強調しています

 

知識の共有と理解の促進

松田さんは、怖れや不安は知識の不足から生じると考えています。そのため、ヘラルボニーを通じて、障がい者やその家族が直面する問題についての情報を共有し、理解を促進することを目指しています。彼の活動は、社会全体における理解と共感を深め、より包括的で支援の行き届いた社会を実現するための一歩となっています。

 

未来への希望と活動の継続

松田さんの活動には、未来への希望と社会の変革を求める強い意志が込められています。松田さんは、知識の普及と理解の促進を通じて、障がい者やその家族が安心して避難所に行ける環境を作り出すことを願っています。そのために、彼の活動は今後も継続され、社会にポジティブな変化をもたらすことでしょう。

 

障がい者の声を聞く

能登半島地震や過去の災害における障がい者やその家族の経験は、従来表に出てこなかった部分でした。しかし、松田さんは特設サイトを通じて、SNSを活用して障がい者コミュニティからの声を募集しました。そこには、避難所へのアクセスの困難さや避難所での居場所の不安定さなど、さまざまな思いが寄せられました。

 

 

障がい者の家族の体験:街からの消失

田崎實さんは、東日本大震災で自宅を失い、知的障がいを持つ息子と共に避難所での経験をしました。しかし、彼は障がいのある家族を持つ知人から、一般の避難所が利用しにくい状況や、家に留まる選択肢があることを聞きました。その結果、障がいのある人々が避難所から消えてしまったという実態が浮かび上がりました。

 

障がい者の精神的な苦悩と家族の選択

田崎さんは、障がいのある人々が災害によって精神的に参ってしまい、避難所で奇声を発したり、多動的になったりすることを認識しています。そのため、障がい者の家族は周囲に迷惑をかけたくないと考え、避難所への行動を避けたり、転々とした生活を送ることを選択してきました

 

社会の理解と支援の必要性

田崎さんのお話は、障がい者とその家族が災害時に直面する困難さを浮き彫りにしています。このような状況に直面する人々に対して、社会全体が理解と支援を提供することが必要です。松田さんの取り組みは、こうした認識を広め、障がい者コミュニティの声を世に伝える一翼を担っています。

 

障がい者と健常者の共生を目指して

田崎さんは、能登半島地震においても同様の事態が生じる可能性を心配しています。彼は、このような状況を変えるためには、障がいのある人とない人が互いに歩み寄ることが必要であると訴えています

 

分断を超えた共感と理解

田崎さんは、障がい者と健常者の間に存在する壁を感じています。健常者が知らないことがたくさんあり、障がい者が一歩引いて生活しているため、互いに理解し合うことが困難であると指摘しています。しかし、田崎さんはこれまでの状況を打破し、お互いに歩み寄ってつながることが重要であると主張しています。

 

お互いに理解し合う必要性

田崎さんは、お互いに知ろうとせず、つながろうとしなかった過去の状況を指摘しています。しかし、このような分断を超え、互いに一歩踏み出して繋がっていく必要があると強調しています。障がい者と健常者がお互いを理解し合い、共に社会を築いていくためには、このような積極的な行動が不可欠であるというのが彼の主張です。

 

共生社会の実現への希望

田崎さんの訴えは、共生社会を実現するための重要なメッセージを含んでいます。田崎さんは、お互いに理解し合い、支え合うことで、障がい者と健常者が共に生きる社会を築くことが可能であると信じています。このような理念に基づいた行動が、より包括的で包容力のある社会を実現する鍵であると彼は信じています。

 

障がい者の声を届けるための取り組み

松田さんは、災害時の問題が特別なものではなく、日常から存在する問題や関係性が露呈される機会であると考えています。そのため、こうした機会を通じて社会がどのように変わるべきかを考えるきっかけを提供することが重要だと訴えています。

 

情報発信とサイトの見直し

今回立ち上げたサイトについても、今後も情報発信を続けながら、障がい者が必要とする情報によりアクセスしやすくなるよう見直しを行うとしています。災害時に障がい者が活用できる形を目指していくことを目指しています。

 

マイノリティの声の重要性

松田さんは、マジョリティが前提となっている社会において、障がい者の声がアクセスされにくいという現状を指摘しています。しかし、障がい者は災害時でも存在し、その声が届く必要性があると強調しています。障がい者の声が届くことで、無関心だったものに関心を寄せ、必要な支援や整備を進めることができると述べています

まとめ

彼らの取り組みは、障がい者の声や権利が社会全体に届くことで、社会の関心を喚起し、積極的な行動を促進することができると信じています。彼らはこれからも、障がい者の声が社会に反映されるよう努めることが重要だと考えています。

 

参考

障がい者の声を消さない~能登半島地震支援特設サイト|NHK能登半島地震でのあと被災した障がい者支援のための特設サイトが立ち上がった。そこに込めた思いとは。障がい者のあるアート作家を支援しているヘラルボニーの代表者に聞いた。

関連情報

みんなの障がいへ掲載希望の⽅

みんなの障がいについて、詳しく知りたい方は、
まずはお気軽に資料請求・ご連絡ください。

施設掲載に関するご案内