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Newsみんなの障がいニュース
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「新しいことに挑戦」筑波技術大学:聴覚障がい・視覚障がい者、唯一の国立大
2024年度、筑波技術大学の入学式が、聴覚障がい・視覚障がいを抱える学生たちのための特別な日として、感動と希望にあふれました。茨城県つくば市の天久保キャンパスで開催されたこの式典には、大学院生を含む81人が新たな一歩を踏み出しました。手話と唇の動きで式辞を述べる石原保志学長の姿が、学生たちに勇気と力を与えました。 聴覚障がい者向けの産業技術学部、視覚障がい者向けの保健科学部 筑波技術大学は、聴覚障がい者向けの産業技術学部と、視覚障がい者向けの保健科学部を有し、現在の学生数は計321人にのぼります。 入学式では、学長が学生たちに向けて、自らの意思でこの大学を選んだことの重要性を語りました。社会で成功するためには、自らの意志で壁を乗り越える覚悟が必要であるとのメッセージが、熱い拍手と共に伝わりました。 「新たなことに挑戦していく」 学生たちは、少人数教育の環境で成長し、お互いの能力を高め合うことが期待されています。新入生の一人、聴覚障がいがある仲田恭乃さんは、入学式で「多様な考え方を育て、コミュニケーション能力を高めたい。共生社会が求められる今、私たちは新たなことに挑戦していく」と誓いました。彼らは、自らの夢や目標に向かって、決意を新たにしてキャンパス生活をスタートさせました。 「4年間で将来の方向性を見極めたい」 2024年度の筑波技術大学入学式には、視覚障がい者の白浜琥太郎さんが保健科学部を代表して参加しました。横浜市金沢区出身の彼は、人に何かを教えることが得意で、中学生の頃から数学教師を目指していました。しかし、筑波技術大学の存在を知り、他の道もあるのではないかと考えるようになったといいます。彼はこの4年間で将来の方向性を見極めたいと語りました。 介助者をつけることなく学業に専念できる環境を提供 筑波技術大学では、手話と口話でのコミュニケーションが当たり前のように行われています。産業技術学部の若月大輔教授は、他の大学と異なり、障がいのある学生に介助者をつけることなく、学業に専念できる環境を提供していると述べています。彼は教える側として、聴覚障がいのある学生が本当に理解したかを問い返す配慮を行っています。 買い物ができるように「脳内地図」を描く 視覚障がいの学生たちは、触覚や聴覚を重視して学びます。寄宿舎での生活を始める際には、まずは買い物ができるように「脳内地図」を描くことから始めます。彼らは大半の教科書を点字で使用し、学業に取り組んでいます。 聴覚障がい者の国際スポーツ大会「デフリンピック」 さらに、来年11月には東京都内で開催される聴覚障がい者の国際スポーツ大会「デフリンピック」で、筑波技術大学の学生がデザインしたエンブレムが採用される予定です。若月教授は、この大会を通じてデフリンピックの社会的認知を高め、成功させたいと期待を寄せています。 聴覚障がいと視覚障がいを抱える学生のための高等教育機関として設立 筑波技術大学は、1987年に聴覚障がいと視覚障がいを抱える学生のための高等教育機関として設立されました。当初は3年制の短期大学でしたが、2005年10月に4年制大学へと発展し、その後の2010年4月には大学院も設置されました。学部は学習内容や教育方法に応じて分かれています。 様々な学科 産業技術学部には産業情報学科と総合デザイン学科があり、学生は製造業、情報通信業、建設業、金融業などへの進路を選択することができます。一方、保健科学部の保健学科では、鍼灸学や理学療法を学びます。また、情報システム学科も設置されており、中学校や高校で数学を教えるための1種免許を取得することができます。 聴覚障がい: 生活と克服 聴覚障がいは、聴覚器官やその周辺の構造に問題があることにより、音を正しく感知できない状態を指します。これは、生まれつきのものから後天的なものまでさまざまな原因によって引き起こされます。聴覚障がいは、個人のコミュニケーションや日常生活に深い影響を与えることがありますが、近年の医学やテクノロジーの進歩により、その影響を軽減する方法も増えています。 原因と種類 聴覚障がいの原因は、さまざまな要因によって引き起こされます。その中でも、先天性の聴覚障がいは胎児期の発達上の問題や遺伝的な要因によることがあります。例えば、母体が感染症や疾患にかかったり、胎児が発達中に十分な酸素を受け取れなかったりすることが考えられます。また、遺伝的な変異や遺伝子の異常も先天性の聴覚障がいの原因として挙げられます。 後天性の聴覚障がい 一方、後天性の聴覚障がいは、生まれた後に発症することがあります。感染症や怪我、長期間にわたる騒音や耳への過度な圧力などが原因となることがあります。また、高齢による自然な聴力の低下も後天性の聴覚障がいの一因として考えられます。 音の聞こえ方には個人差 聴覚障がいには、完全に聴力を失った人から、一部の音を聞くことができる人までさまざまな程度があります。一般的には、聴力の低下の程度に応じて、軽度、中等度、重度、深刻な聴覚障がいなどの分類があります。また、音の聞こえ方にも個人差があり、周囲の環境や状況によっても影響を受けます。 聴覚障がいの種類 聴覚障がいは、次のような種類に分類されます。 聴力障がい: 聴覚的な情報を全く受け取れないか、ほとんど受け取れない状態です。音声の認識や音の方向の把握が困難です。 平衡機能障がい: 内耳の平衡感覚を司る器官に問題があり、平衡を保つことが難しい状態です。めまいや立ちくらみが頻繁に起こります。 音声機能障がい: 言語を発音する器官に問題があり、言葉の発音や聞き取りに支障が生じます。 そしゃく機能障がい: 聴覚と連動して働く構音器官や咽頭に問題があり、発声や飲み込みに支障が生じます。 影響と対処法 聴覚障がいは、個人の生活にさまざまな影響を与えます。社会的な交流やコミュニケーション、教育、職場での活動など、日常生活のさまざまな側面で困難を引き起こすことがあります。しかし、近年の技術の進歩により、聴覚障がい者が克服するための多くの手段が提供されています。 聴覚補助装置や人工内耳などのテクノロジー 聴覚補助装置や人工内耳などのテクノロジーは、音を聞く能力を改善し、日常生活での活動をサポートするのに役立ちます。また、手話や口話などのコミュニケーション手段や、字幕や手話通訳などの支援サービスも利用できます。さらに、周囲の理解と支援も非常に重要です。家族や友人、教育機関、職場などが、聴覚障がい者の生活をより良くするために役立つことがあります。 聴覚障がい者への配慮ポイント 聴覚障がい者とのコミュニケーションや日常生活において、以下の配慮ポイントが重要です。 手話や筆談の利用: 聴覚に頼らないコミュニケーション手段を提供します。手話や筆談を理解し、それに応じたコミュニケーションを行います。 音声の代わりに文字の利用: 音声情報を文字情報に変換し、理解しやすい形で提供します。字幕やテキスト情報を活用します。 環境の適応: 聴覚障がい者にとって安全で快適な環境を整えます。音の大きさや方向を視覚的に示し、通行路や非常口を明示します。 情報の提示: 重要な情報を視覚的に示し、聴覚障がい者が情報にアクセスしやすいようにします。視覚的な指示や表示を利用します。 アシスト技術の活用: 聴覚補助機器や手話通訳などのアシスト技術を提供し、聴覚障がい者のコミュニケーションや情報アクセスを支援します。 視覚障がい 視覚障がいは、眼球や視覚神経などの視覚器官に障がいがあることにより、視覚に関する情報を正しく受け取れない状態を指します。これは生まれつきのものから後天的なものまでさまざまな原因によって引き起こされます。視覚障がいは、個人の生活や日常活動に大きな影響を与える可能性がありますが、適切な支援や取り組みによって、克服することができます。 原因と種類 視覚障がいの原因は多岐にわたります。先天的なものは、胎児期の発達障がいや遺伝的な要因によることがあります。また、後天的な視覚障がいは、疾患、外傷、加齢などさまざまな要因によって引き起こされます。 視覚障がいには、完全な盲目から一部の視力を持つ人までさまざまな程度があります。主な種類には、以下のようなものがあります。 視覚障がいの種類 視力障がい: 視覚的な情報を全く受け取れないか、ほとんど受け取れない状態です。文字の拡大や視覚補助具の使用によって視力を活用することができます。 視野障がい: 見える範囲が狭くなったり、一部が欠けたりする状態です。球心性視野狭窄や中心暗転などがあります。 色覚障がい: 特定の色が見にくい、区別しにくいなどの状態です。 光覚障がい: 夜や暗い場所では何も見えない状態や、光を眩しいと感じたり、痛みを感じる状態です。 視覚障がい者は、これらの状態によって「盲」と「弱視」に分類されます。盲は視力が極端に低い状態であり、弱視は視力が低く、見える範囲が狭い状態です。 視覚障がい者への配慮ポイント 視覚障がいは、視覚機能に問題があり、日常生活や社会参加に支障をきたす状態です。視覚障がいはさまざまな原因によって引き起こされ、その種類によって異なる症状やニーズがあります。以下では、視覚障がいの種類とそれに対する配慮ポイントについて説明します。視覚障がい者と円滑なコミュニケーションを図るためには、以下の配慮ポイントが重要です。 視力がほとんどない場合: 視覚補助具の利用や、歩行時の障がい物の排除などが必要です。 保有する視力を活用できる場合: 視覚補助具の利用や、照明の配置などで明るい環境を提供することが重要です。 近いところが見えない場合: 歩行時の障がい物の排除や、照明の配置などで明るい環境を提供することが重要です。 特定の色が見えにくい場合: 見やすい色に変更するなどの配慮が必要です。 暗いところで見えにくい場合: 明るい環境を提供することが重要です。 光を眩しい、痛いと感じる場合: 座席や照明の配置を調整し、眩しい光を避けるようにします。 これらの配慮ポイントを考慮することで、視覚障がい者とのコミュニケーションを円滑にし、社会参加の機会を向上させることができます。 影響と対処法 視覚障がいは、個人の生活にさまざまな影響を与えます。例えば、移動や認識、読書、日常生活の活動などが困難になることがあります。しかし、近年の医学やテクノロジーの進歩により、視覚障がい者が克服するための多くの手段が提供されています。 視覚補助装置や視覚支援テクノロジーは、視覚障がい者の日常生活をサポートするのに役立ちます。例えば、点字や音声読み上げ機能を備えたデバイスやアプリ、視覚障がい者用のナビゲーションシステムなどがあります。また、白杖や盲導犬などの移動支援も重要です。 周囲の理解と支援も視覚障がい者にとって非常に重要です。家族や友人、教育機関、職場などが、視覚障がい者のニーズに合わせた支援を提供し、彼らが自立した生活を送ることを支援することが重要です。 まとめ 2024年度の筑波技術大学入学式は、聴覚障がい・視覚障がいを抱える学生たちにとって特別な一日となりました。手話と唇の動きで式辞を述べる石原保志学長の姿が、学生たちに勇気と力を与えました。 彼らは、少人数教育の環境で成長し、互いの能力を高め合うことが期待されています。新入生の一人、聴覚障がいがある仲田恭乃さんの誓いは、共生社会の実現への希望となりました。筑波技術大学は、学生たちが自らの夢や目標に向かって決意を新たにし、克服の道を歩むことを支援し続けます。 参考 将来へ「新しいこと挑戦」 筑波技術大で本年度81人入学 聴覚・視覚障がい者、唯一の国立大:東京新聞 TOKYO Web -
障がい者雇用の新たなアプローチ 就労移行支援で先端ITを学び、企業の即戦力
2019年11月に開所した就労移行支援事業所Neuro Diveは、障がい者雇用に関する既存の先入観を一新する取り組みを行っています。この施設は、大手人材サービス会社パーソルグループの特例子会社であるパーソルダイバースが運営しており、東京都港区に位置しています。 社会で自立した就労を実現できるよう支援 Neuro Diveでは、AIや機械学習、データサイエンスなどの高度な専門スキルを提供し、障がい者の方々が社会で自立した就労を実現できるよう支援しています。 パーソルダイバース人材ソリューション統括本部人材ソリューション本部Neurodiversity事業部のゼネラルマネジャーである大濱徹氏によれば、Neuro Diveでは従来の就労支援とは異なるアプローチが取られており、障がい者の個々の能力や適性に合わせたカスタマイズされた支援が提供されています。 国内初の取り組み Neuro Diveは、一般的な就労移行支援事業所とは異なり、生活習慣やビジネスマナーだけでなく、高度なITスキルを習得できる施設です。大濱氏によると、Neuro Diveは先端ITに特化した就労移行支援事業所として国内初の取り組みであり、神経発達症の方々を主な対象としています。彼らが持つ独特の特性を生かしやすい分野として、先端ITを選択したそうです。 高い定着率 2019年11月に秋葉原に第1号の事業所を開所して以来、大阪や福岡などでも同様の事業所を展開し、現在は5つの施設が運営されています。これまでにNeuro Diveからは70人以上の卒業生が先端ITに強い人材として企業に送り込まれ、退職した者はわずか1人であり、定着率も高いと報告されています。 大まかに3つのパターンに分かれる Neuro Diveに通所している方々は、大まかに3つのパターンに分かれます。まず、大学を卒業したが就職に至らなかった方々です。彼らは卒業論文の執筆や単位取得と就職活動を同時進行できなかったケースが多く見られます。 次に、就職後に適応障がいやうつ病などを発症し、離職してしまった方々です。神経発達症による適応困難さから二次障がいを発症し、精神科での治療を受けて初めて神経発達症の診断を受けることが多いです。 最後に、戦略的な理由からNeuro Diveに通所する方々がいます。彼らは自らの神経発達症を認識し、マネジメントの仕事には向かないと考え、技術力を高めるために敢えて離職し、Neuro Diveでの就労を選択しています。 給与や処遇の交渉が可能 障がい者枠の場合、給与は一般雇用枠に比べて低いことが一般的ですが、技術力が高く社業に貢献できれば、給与や処遇の交渉が可能です。Neuro Diveでは、インターンシップを経てから就職を決定するため、企業は本人の技術力を確認し、本人も自分に合う職場かどうかを確認できます。その過程を経て、給与や処遇を話し合いの上で入社を決定しています。 パフォーマンスを最大化するために しかし、神経発達症の方々が仕事で力を発揮するためには、企業側も変わらなければなりません。抽象的な指示は神経発達症の方々にとって理解しにくいため、具体的な指示の出し方を学ぶことが重要です。また、神経発達症の方々は挨拶や敬語を苦手とすることがあるため、その点も理解してもらう必要があります。結局のところ、神経発達症の方々の職場パフォーマンスを最大化するためには、企業や環境、組織が変わる必要があります。その点を理解した企業の部長が、「変わるのは私たちだ」と述べてくれたことが印象的でした。上司が変われば、神経発達症の方々にとっても別世界が広がるということを理解してくれたのだと思います。 障がい者採用に否定的な見方をする場合もある 障がい者枠での入社において、現場では開示せずに進めることがあります。なぜなら、一部の企業では障がい者採用に否定的な見方をする場合があり、入社に際して障がいの有無を開示することで偏見や差別を受ける可能性があるためです。そのため、障がい者枠での入社を希望する場合でも、企業側には障がいの有無を開示せずに進めることが一般的です。 企業からの求人が少ないというミスマッチが存在 Neuro Diveが主に神経発達症を対象に先端ITに特化した就労移行支援事業所を作ろうと考えた理由について、大濱氏は以下のように述べています。 パーソルグループが行っている障がい者手帳を持つ方を対象とした求人・転職サービスでは、精神障がいを持つ方が大部分を占めており、それに対して企業からの求人が少ないというミスマッチが存在していました。 さらに、大学における神経発達症を持つ方への支援が不十分であることも認識されていました。このような背景から、Neuro Diveでは神経発達症を持つ方々の強みを生かせる先端IT系の仕事に特化し、就労支援を行うことが決定されました。 実務経験や職場での適応能力が求められる 一方で、例えば東京大学を卒業するような方でも就職できないケースがあることに関して、大濱氏は以下のように述べています。多くの場合、学歴が高いというだけで就職できるケースもありますが、その後につまずくことが多いと指摘しています。これは、学歴だけではなく、実務経験や職場での適応能力が求められるためです。 障がいの有無は問題にならないという考え方 パーソルダイバースは、障がい者雇用に積極的な姿勢を示しており、その現状について大濱氏は以下のように述べています。まず、従業員総数の2690人のうち、障がい者手帳を持っている社員は1873人であり、そのうち1229人が精神障がい者保健福祉手帳を持っている方です。つまり、パーソルダイバースの従業員のうち、多くが精神・発達系の障がいを持っています。 しかし、パーソルダイバースでは、障がい者枠で入社しても、現場ではそのことは一切開示されません。上司や同僚、部下も本人の診断名を知らない状況です。これは、指示が具体的であれば、障がいの有無は問題にならないという考え方に基づいています。 管理職は診断名ではなく、本人の能力や得手不得手を見極めた上で仕事を割り振ることが基本です。具体的な仕事内容としては、パーソル関連会社の経理業務や、求人サイト「doda」への求人情報の掲載などを担当しています。 生産管理を徹底 また、パーソルダイバースではオフィスワークの作業においても、生産管理を徹底しています。製造業で用いられる生産管理法を導入し、オフィスワークの全てを見える化することで、誰もが働きやすい環境を実現しています。 さらに、個々の従業員の体調管理や定着支援を重視し、不安や問題が発生した際には早期に対応する体制を整えています。産業医などに相談が必要になる前に、現場で問題を解決することを基本方針としています。 診断名を開示しないのは正しい理解を促すため 診断名を開示しないのは、悪影響を回避するためだけでなく、正しい理解を促すためでもあります。特定の疾患名に基づいたスティグマや偏見を回避し、個々の人間を見ることの重要性を強調しています。 就労移行支援事業所とは? 就労移行支援事業所は、障がいを持つ人々が社会での職業生活に適応し、自立した生活を送るための支援を提供する施設です。これらの施設では、個々の能力や興味に合わせた職業訓練や就労支援を行い、その結果として彼らが一般の職場での仕事に就くことを目指しています。 職業訓練プログラム コミュニケーションスキルの向上: 参加者は、適切なコミュニケーションの方法や職場でのコミュニケーションスキルを習得します。これには、他の従業員とのコミュニケーションやクライアントとの対話などが含まれます。 職場での振る舞いのトレーニング: 職業訓練プログラムでは、参加者が職場での適切な振る舞いや仕事の倫理観を学びます。これには、時間厳守やチームワークなどが含まれます。 基本的な仕事のスキル習得: 就労移行支援事業所では、参加者が一般的な仕事に必要な基本的なスキルを習得します。これには、計算能力、コンピュータスキル、文書作成能力などが含まれます。 キャリアカウンセリング 個別のニーズに対応した計画の策定: 参加者はキャリアカウンセラーとの個別面談を通じて、自身の能力や関心に合わせたキャリアプランを策定します。 職場環境への適合性の評価: キャリアカウンセリングでは、参加者の職場環境への適合性を評価し、最適な職場や職種を見つけるための支援が行われます。 実地トレーニング 現実の職場での体験: 参加者は、実際の職場環境で働くことを通じて、実践的なスキルを身につけます。これには、模擬店舗や実際の企業でのインターンシップなどが含まれます。 実践的なフィードバック: 実地トレーニング中、参加者は実際の業務を通じてフィードバックを受け、自身の能力を向上させる機会を得ます。 就労支援 履歴書の作成と面接の準備: 参加者は、履歴書の書き方や面接の受け方など、就職活動に必要なスキルを習得します。 職場での成功のための支援: 就労支援では、参加者が職場での成功に向けて必要な支援を提供します。これには、職場でのストレス管理や問題解決スキルの向上などが含まれます。 コミュニティ参加の促進 ボランティア活動の機会: 参加者は、地域のボランティア活動に参加することで、自己表現や社会的スキルを向上させる機会を得ます。 趣味グループやクラブへの参加: 就労移行支援事業所では、参加者が興味や趣味に基づいたグループやクラブに参加することを奨励し、地域社会とのつながりを強化します。 これらのプログラムや活動は、参加者が就労に向けて準備し、社会での自立を実現するための重要な手段となっています。 就労支援 ■個別のニーズに合わせた支援 参加者一人一人の能力や課題に応じて、個別に支援計画が策定されます。これには、障がいの種類や程度、個々の興味や能力などが考慮されます。 必要に応じて、専門家やカウンセラーとの連携が行われ、参加者が適切な支援を受けられるようにサポートされます。 ■就職活動の準備 履歴書の作成や面接の練習など、就職活動に必要な準備が行われます。参加者は、自己紹介や職務経歴の記載方法などを学び、自信を持って就職活動に臨むことができます。 面接のシミュレーションやロールプレイを通じて、参加者は実際の面接に備えます。フィードバックを受けながら、自己表現力やコミュニケーション能力を向上させます。 ■職場での成功のための支援 参加者が就労後も成功するための支援が提供されます。これには、職場での適応力を高めるためのトレーニングや指導が含まれます。 職場でのストレス管理やコンフリクト解決スキルの向上など、実際の職場で必要とされるスキルを磨くためのプログラムが提供されます。 ■長期的なキャリア支援 就労移行支援事業所は、参加者が長期的なキャリア目標を持つための支援も行います。これには、キャリアプランニングや職業トレーニングの提供が含まれます。 参加者が職場での成長や昇進を目指す場合、キャリアカウンセラーや専門家との協力によって、その目標に向けた計画や戦略が策定されます。 これらの支援を通じて、参加者は就職から職場での成功、さらには長期的なキャリアの構築までをサポートされます。就労移行支援事業所は、参加者が社会での自立を実現するための貴重なパートナーとなっています。 就労移行支援事業所の役割と重要性 就労移行支援事業所は、障がいを持つ人々が社会での職業生活に参加し、自立した生活を送ることを支援する重要な施設です。これらの事業所は、以下のような役割と重要性を果たしています。 社会の包摂性を促進:障がいを持つ人々が、社会の一員として完全に包摂されるための架け橋として機能します。彼らが社会での生活に参加し、自立することができるよう支援します。 個人の能力を最大限に発揮:参加者が自身の能力や技能を活かし、自己実現を達成し、自己満足感を得ることができるようサポートします。自信を持ち、自分の能力を信じて前進する手助けをします。 意義のある仕事を提供:参加者が自分の能力を活かせる職場環境で働き、社会に貢献することができるよう支援します。意義のある仕事は、個人の自己価値感や幸福感に直結します。 以上のように、就労移行支援事業所は、障がいを持つ人々が社会で自立し、充実した生活を送るための重要な役割を果たしています。これらの施設は、包括的な社会の実現に向けて、社会的な偏見や障壁を克服する手助けをします。 まとめ 障がい者雇用の促進は、社会の持続可能な発展において重要な課題の一つです。Neuro Diveのような先端ITに特化した支援が、障がい者の方々に新たな可能性と希望を与えるとともに、社会全体の活力と多様性を促進する一助となることでしょう。 就労移行支援事業所は、障がいを持つ人々が社会での職業生活に適応し、自立した生活を送るための重要な支援を提供する施設です。職業訓練プログラムや就労支援、コミュニティ参加の促進など、様々なサービスを通じて参加者の成長と発展を支援し、彼らが意義のある仕事を見つけ、自己実現を果たすことを目指しています。 参考 今どきの障がい者雇用、就労移行支援で先端ITを学び、企業の即戦力に -
ヘルプマークってなに?支援・配慮が必要で希望する全ての人が貰えるもの
ヘルプマークを身につける人は、様々な背景や状況を持った方々です。例えば、身体的な障がいや疾患を抱える方々、精神的な課題や障がいを抱える方々、高齢者や身体的な不自由を感じる方々、そして子どもや若者も含まれます。このように、ヘルプマークの使用者は多岐にわたります。本稿では、ヘルプマークの対象範囲や、実際の利用例、企業内での活用方法、そしてヘルプマークの取得手続きについて詳しく解説しています。安心して理解できる内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。 ヘルプマークを身につける人 ヘルプマークを身につける人は、さまざまな背景や状況を持った方々です。一般的なヘルプマークの使用者の例を挙げると、以下のような方々が含まれます。 ■身体的な障がいや疾患を持つ方々 車椅子利用者や視覚障害者、聴覚障害者など、外見からは直接的にはわからないが、日常生活に支援や配慮が必要な方々がいます。 ■精神的な課題や障がいを抱える方々 うつ病や不安障害、自閉症スペクトラム障害など、精神的な困難を抱える方々もヘルプマークを利用することがあります。 ■高齢者や身体的な不自由を感じる方々 高齢による動作の制限や体力の低下、または怪我や手術後の回復期間など、一時的な支援が必要な方々もいます。 ■子どもや若者 発達障害や学習障害を持つ子どもたちや、若者の中にも、周囲に対してサポートや理解を求める場合があります。 このように、ヘルプマークの使用者は多岐にわたります。重要なのは、外見や特定の条件にとらわれず、自分が支援や配慮を必要と感じる場合に、自己申告してヘルプマークを利用することができるという点です。 社会の支援を受ける人々は多岐にわたる ヘルプマークを利用して社会の支援を受ける人々は多岐にわたります。義足や人工関節を装着している人、妊娠初期の方、がんや難病などの病気に罹患している方、聴覚・言語・視覚の障がいを持つ方、また発達障がいや知的障がい、精神障がいを抱える方、さらにはパニック発作などの症状がある方まで、さまざまな背景を持った方々がヘルプマークを活用しています。 ヘルプマークの対象はこれらに限定されるものではない ただし、ヘルプマークの対象はこれらに限定されるものではありません。本人が援助や配慮を必要と感じる場合は、自己申告によってヘルプマークを受け取り、身につけることができます。 ヘルプマークの対象範囲や、実際の利用例、企業内での活用方法、そしてヘルプマークの取得手続きについて詳しく解説しています。あなたがヘルプマークの対象になるのかどうかの確認から、実際に身につける方法やその効果まで、安心して理解できる内容です。ぜひ最後までご覧ください。 ヘルプマークの対象 ヘルプマークの対象は、援助や配慮を必要としている人々です。外見上ではわからない困難を抱える人々が、周囲に自らの状況を伝える手段としてヘルプマークを利用します。 つまり、ヘルプマークは外見や特定の条件にとらわれず、自己申告によって利用できるものです。そのため、自分や家族がヘルプマークの対象かどうかを判断する際には、自らが援助や配慮を必要としているかどうかを基準にすることが重要です。 「援助や配慮を必要としている人」 ヘルプマークの対象になるのは、「援助や配慮を必要としている人」です。具体的には、義足や人工関節を使用している方、内部障がいや難病の方、妊娠初期の方などが該当します。しかし、疾患名や具体的な条件の規定は存在せず、援助や配慮を必要と感じる方であれば、誰でもヘルプマークを利用できます。 援助や配慮を必要と感じるかどうか そのため、特定の病気に限定されたり、医師の許可がないと利用できないというのは誤解です。自己判断でヘルプマークを利用することができ、自分が援助や配慮を必要と感じるかどうかを基準にして判断することが重要です。ヘルプマークの対象になるのは以下の通りです。 義足や人工関節を使用している方 内部障がいや難病の方 妊娠初期の方 その他、援助や配慮を必要と感じる方 これらの条件に該当するかどうかは、自己判断に基づいて行います。特定の病気や医師の許可が必要などといった制限はありません。 「外見では分からない困難」を周囲に知らせるためにある ヘルプマークのガイドラインによると、ヘルプマークの主旨は、援助や配慮を必要としているが外見からは分からない人々が、周囲に自身の状況を伝え、援助を得やすくするために使用することを目的としています。具体的には、義足や人工関節を使用している方、内部障がいや難病の方、妊娠初期の方などが挙げられます。ヘルプマークの対象者は、以下のような人々です。 義足の人 人工関節の人 妊娠初期の人 がんや難病などの病気の人 聴覚・言語・視覚の障がいの人 発達障がい・知的障がいの人 精神障がいの人 パニック発作などの症状がある人 ただし、これに限定されるわけではありません。誰もが自己判断でヘルプマークを利用することができ、自分が援助や配慮を必要と感じるかどうかを基準にして判断することができます。 ヘルプマークは、外見からはわからない困難を抱える人々が、平等に援助や配慮を受けるための手段として活用されています。それぞれの人が異なる状況や苦痛を抱えているため、特定の疾患や条件にとらわれず、誰もが自分の必要性を理解して利用できることが重要です。 ヘルプマークの活用エピソード 東京都福祉局と大阪府副支部の情報を参考に、対象別にヘルプマークの活用エピソードをご紹介します。 義足や人工関節を使用している方 義足や人工関節を使用している方は、一見するとそのような状態にあることが分からないため、ヘルプマークの活用が重要です。実際に、大阪府福祉部障がい福祉室障がい福祉企画課によると、電車の優先席に座っている際に注意されることがあり、ヘルプマークを用いることで事情を伝えることができ、安心感を得られるという声があります。 義足や人工関節を使用している方は、他の人と比べて足が疲れやすかったり、歩行に支障がある場面が多くあります。 しかし、そのような状態が外見からでは分からないため、周囲の配慮が得られないこともあります。ヘルプマークを身につけることで、優先席の利用や階段などでの配慮を受けることが期待され、日常生活がより快適になるでしょう。 がん患者の方 がん患者の方は、抗がん剤の投薬などの副作用や治療に伴う精神的な負担などから、周囲の配慮が不可欠です。実際にヘルプマークを活用したがん患者の方からは、以下のような声が聞かれました。 「がんを患っていて、副作用もあり、通院のために出かけると、立っているのも辛い。でも、見た目では分かってもらえない。気づいてほしいのでヘルプマークをつけている。」 見た目ではわからない抗がん剤の副作用や治療による不調は、自ら知らせなければ周囲の人は気づくことができません。特に最近では、通院しながら仕事を続けているがん患者の方も多くいらっしゃいます。 聴覚障がい・言語障がいがある方 聴覚障がいがある方や言語障がいがある方は、特に知らない人とのコミュニケーションにおいて、自分の状態を理解してもらうことや配慮してもらうことが必要となることがあります。 実際にヘルプマークを活用した視聴覚障がいや言語障がいがある方からは、以下のような声が聞かれました。 「お店で、シールに『聞こえないので筆談をお願いします』と書いたヘルプマークを見せると、すぐに分かって助けてもらえてありがたい。」周りの人が理解を示すことで、日常生活の不便が減らせることは明白です。 発達障がいがある方 発達障がいがある方は、ご本人だけでなく、支援者であるご家族にとっても、ヘルプマークを持つことで周囲の人に「配慮が必要である」と理解してもらえることは安心感に繋がります。 実際にヘルプマークを活用した発達障がいがある方からは、以下のような声が聞かれました。 「ディスレクシア(読み書き困難)があり、銀行で書類を書くのがとても大変です。でも、シールに支援してほしいことを書いたヘルプマークを見せると、さりげなく教えてくれてスムーズに手続きができるようになりました。しかも、大勢の人がいる中で、毎回、自分の障がいを説明しなくてもいいので、ストレスが減った。」 発達障がいがある小学生のお子さんの声 小学生のお子さんからも、以下のような声が聞かれました。 「発達障がいで自分から助けてくださいと言えず、ヘルプカードに自分の特性を記入して持っていたら安心できます。」 他にも、大きな声を出してしまう症状がある発達障がいのお子さんを持つご家族の方からは、ヘルプマークを身につけることで子供が大きな声を出しても事情があると理解してもらえるようになったといった声が聞かれました。 発達障がいがある方がヘルプマークを身につけることで、不便なことをサポートしてもらえたり、特性を理解してもらえたりする効果が期待できそうです。 視覚障がいがある方 視覚障がいがある人は、日常のさまざまな場面でサポートが必要となることがあります。特に公共の場では、サポートが必要となる場面が多くあるかと思います。実際に視覚障がいがある方がヘルプマークを活用したエピソードを見てみましょう。 「お店で、シールに『聞こえないので筆談をお願いします』と書いたヘルプマークを見せると、すぐ分かって助けてもらえてありがたい。」 視覚障がいがある人がヘルプマークを身につけると、上記のような筆談が必要な場面はもちろんのこと、段差などで危険な場所や工事をしているような場所、その他危ない場所で危険を回避しやすくなり、周りの人も配慮することができます。 精神疾患がある方 精神疾患がある方は、外見でそれを周囲に伝えることが難しく、配慮してもらうためにはヘルプマークが不可欠といっていいでしょう。実際、ヘルプマークを身につけることで、周囲の理解や配慮を得られて助かっている人がたくさんいるようです。 精神疾患がある方のエピソードをご紹介します。 「都内在住で、精神障がいを持つ私は、毎日遠距離通勤をしています。ある日、電車の運転見合わせで新宿駅で立ち往生しました。その時、ヘルプマークを見かけた女性が声をかけ、ファーストフード店まで案内してくれました。その優しさに助けられ、以降、同じように声をかけるようになりました。」 ヘルプマークを身につけていることで、精神障がいがある方が配慮してもらいやすくなるのはもちろんですが、周囲の人も「何かお困りですか?」と声をかけやすくなります。 不安がある方、特に誰かに助けてほしい、支援してほしいと思った経験がある方は、ヘルプマークを身につけると安心につながります。 まとめ ヘルプマークは様々な場所でのサポートや理解を得るための手段として役立ちます。少しでも日常生活を送りやすくするために、困難を感じている方はヘルプマークを身につけることを検討してみてはいかがでしょうか。 参考 ヘルプマークの対象は?支援・配慮が必要で希望する全ての人が貰える -
障がいの種類ってどのくらいあるの?障がい者手帳と様々なマーク
障がい者の手帳には、その人の障がいの種類や程度が記載されており、これを見ることで彼らのニーズを理解しやすくなります。初対面の人に直接手帳を見せることは難しいかもしれませんが、企業や組織にとっては、障がい者の手帳に書かれている等級を理解しておくことは重要です。 手帳の種類 身体障がい者手帳:1級~6級(1級が最も重い) 療育手帳:A(重度・最重度)・B(軽度・中等度) 精神障がい者保健福祉手帳:1級~3級(1級が最も重い) これらの手帳の等級は、障がいの程度や支援の必要性を示す重要な指標です。障がい者の雇用を促進する際には、これらの情報を理解して適切なサポートを提供することが不可欠です。 身体障がい者手帳 身体障がい者手帳には、身体障がい者の基本情報が記載されており、その等級によって障がいの程度が分類されています。この手帳では、1級から6級までの等級が設けられていますが、7級の場合は交付されないことが一般的です。 障がいごとに詳細な基準が設けられている この手帳が他の手帳と異なる点は、障がいごとに詳細な基準が設けられ、障がいの程度に合わせて等級が割り当てられていることです。このような細かい分類があることで、障がい者の状況やニーズをより正確に把握し、適切な支援や配慮を行うことが可能になります。 視覚障がいの場合 身体障がい者手帳には、身体障がい者の基本情報が詳細に記載されており、その等級によって障がいの程度が分類されます。視覚障がいの場合も、等級ごとに障がいの程度が具体的に示されています。 1級から6級までの等級があり、その基準は以下の通りです。 1級:両眼の視力の和が0.01以下 2級:両眼の視力の和が0.02以上0.04以下、または両眼の視野が10度以内でかつ両眼による視野について視能率による損失率が95%以上 3級:両眼の視力の和が0.05以上0.08以下、または両眼の視野が10度以内でかつ両眼による視野について視能率による損失率が90%以上 4級:両眼の視力の和が0.09以上0.12以下、または両眼の視野が10度以内 5級:両眼の視力の和が0.13以上0.2以下、または両眼による視野の2分の1以上が欠けている 6級:一眼の視力が0.02以下、他眼の視力が0.6以下のもので、両眼の視力の和が0.2を超える このように、身体障がい者手帳には視覚障がいの程度が細かく分類されており、障がい者のサポートや配慮に役立ちます。 身体障がい者手帳の交付者数 厚生労働省の「令和3年度福祉行政報告例」によると、身体障がい者手帳の交付者数は491万98人で、その障がいの種類別に見ると、視覚障がい、聴覚・平衡機能障がい、音声・言語・そしゃく機能障がい、肢体不自由、内部障がいが挙げられます。 身体障がい手帳の種類別に見た交付者数 視覚障がい:32万2,310人 聴覚・平衡機能障がい:44万3,013人 音声・言語・そしゃく機能障がい:5万9,240人 肢体不自由:246万2,523人 内部障がい:162万3,012人 特に注目すべきは、肢体不自由や内部障がいの交付者数が多いことです。企業が障がい者雇用を進める際には、このような事実を踏まえて、肢体不自由の人の雇用を検討することが重要です。バリアフリー対応やアクセシビリティを考慮した環境整備が、障がい者の雇用機会を拡大し、社会参加を促進する一助となります。 療育手帳 知的障がい者が所持する療育手帳の等級は、基本的にAとBの二段階に分かれています。以下は、IQに応じて等級が分けられる例です。 療育手帳の等級と障がいの程度 ■等級A 交付者数:42万8,890人 重度(IQが約20~35)最重度(IQが約19以下) (1)IQが概ね35以下で、次のいずれかに該当する 食事、着脱衣、排便、洗面などの日常生活の介助を必要とする 異食、興奮などの問題行動がある (2)IQが概ね50以下で、盲、ろうあ、肢体不自由などがある ■等級B 交付者数:78万4,173人 軽度(IQが約50~70)・中等度(IQが約36~49) 知的障がい者の療育手帳の等級は、心理判定員が本人や保護者から聞いた生育歴や日常生活での知的発達の状態と知能検査から診断し、精神科医などとの協議で総合判定されます。18歳未満と18歳以上では判定基準が異なることもあります。 療育手帳の交付者数 厚生労働省の「令和3年度福祉行政報告例」によると、療育手帳の交付者数は121万3,063人ですが、そのうち約80万人がB等級となっています。 Aの知的障がい者は、就労継続支援事業所で働くことが一般的です。そのため、一般企業で雇用する障がい者は、交付者数も多いB(軽度~中等度)の人になる可能性が高いでしょう。 精神障がい者保健福祉手帳 精神障がい者が所持する精神障がい者保健福祉手帳の等級は、1級から3級までの3段階で、1級が最も重くなっています。 ■1級 交付者数:13万2,163人 精神障がいによって、周囲の人の援助がなければ、自力では生活をほとんど送ることができない 外出が付き添いが必要である 食事の準備や片付けが一人ではできない 金銭管理が難しい ■2級 交付者数:74万3,152人 精神障がいによって、必ずしも周囲の人の援助が必要ではないが、日常生活は困難である 付き添いなしで外出できるが、ストレスがかかる出来事が起こると、一人で対処できない 自発的かつ適切に清潔さを保持するのが難しい 日常生活で適切な発言ができないことがある ■3級 交付者数:38万8,145人 精神障がいによって、社会生活に一定の制限かかかる、もしくは制限をかける必要がある 日常的な家事はできるが、状況や手順が変わると、対応できないことがある 等級は、精神保健福祉センターで、精神障がいによって「どのような症状が出て、どの程度の支障をきたすのか」を基準に判定されます。 厚生労働省の「令和3年度衛生行政報告例」によると、精神障がい者保険福祉手帳の交付者数は126万3,460人で、その内訳では2級交付者の割合が多くなっています。 一般企業では、2~3級の精神障がい者や、精神障がい者保健福祉手帳は所持していないものの、精神障がいを抱える人を雇用する機会が多いでしょう。 マークでわかる障がいの種類 手帳の等級を見れば障がいの程度はわかります。しかし、その人が障がい者手帳を所持しているかどうかはすぐにはわかりません。そこで、見ただけで障がいの種類を知ることができる、以下の6つのマークをご紹介します。 障がい者のための国際シンボルマーク: すべての障がい者 身体障がい者標識(身体障がい者マーク): 肢体不自由の人 盲人のための国際シンボルマーク: 視覚障がいがある人 聴覚障がい者標識(聴覚障がい者マーク): 聴覚障がいがある人 ハート・プラスマーク: 内部障がいがある人 ヘルプマーク: 内部障がい者をはじめ、外見ではわからなくても、援助や配慮を必要としている人 障がい者に寄り添う姿勢を示すマークも合わせてご紹介するので、ぜひ参考にしてみましょう。 障がい者のための国際シンボルマーク 障がい者のための国際シンボルマークは、車椅子を利用する障がい者だけではなく、すべての障がい者が利用できる世界共通のシンボルマークです。 周囲の人々に配慮を促す役割 個人の車に付いている場合、障がい者が乗車していることを周囲に知らせています。障がい者だからといって、道路交通法上の規制を免れるなどの法的効力はありませんが、周囲の人々に配慮を促す役割があります。 障がい者が利用できる施設であることを示す また、建物や施設に付いている場合、障がい者が利用できる施設であることを示しています。バリアフリーであることや、障がい者への配慮がされていることを示す重要なシンボルとなっています。 身体障がい者標識(身体障がい者マーク) 身体障がい者標識(身体障がい者マーク)は、肢体不自由であることを理由に、免許に条件がある方が運転する車に表示するマークです。 このマークを付けた車に対して、幅寄せや割り込みを行った運転者は、危険防止のため、やむを得ない場合を除いて、道路交通法によって罰せられます。肢体不自由の人の運転を妨げないように、身体障がい者標識(身体障がい者マーク)を見たら、思いやりのある運転を心がけましょう。 盲人のための国際シンボルマーク 盲人のための国際シンボルマークは、視覚障がいがある人への配慮した対応ができる設備(信号機など)や機器についている世界共通のマークです。視覚障がい者が身に着けているマークではありませんが、このマークのそばには視覚障がい者がいる場合があるので、配慮しましょう。 聴覚障がい者標識(聴覚障がい者マーク) 聴覚障がい者標識(聴覚障がい者マーク)は、聴覚障がいがあることを理由に免許に条件がある人が運転する車にマークを表示することが義務付けられています。このマークを付けた車に幅寄せや割り込みを行った運転者は、危険防止のため、やむを得ない場合を除いて、道路交通法によって罰せられます。 ハート・プラスマーク ハート・プラスマークは、見た目ではわかりませんが、心臓機能や呼吸器機能などの内部障がいがある人が着用しています。内部障がい者は電車などの優先席に座りたい、障がい者用駐車スペースに停めたいといった希望を持つことがありますので、このマークを見かけたら配慮を心がけましょう。 ヘルプマーク ヘルプマークは、内部障がいがある人や義足の人、人工関節を使用している人、難病の人、妊娠初期の人など、外見からはわからない場合でも援助や配慮を必要としている人が身に着けられるマークです。ヘルプマークを身に着けた人を見かけたら、席を譲る、声をかけるなど、思いやりのある行動を心がけましょう。 まとめ 手帳の等級を見れば障がいの程度はわかりますが、その人が手帳を所持しているかどうかはすぐにはわかりません。そのため、見ただけで障がいの種類を知ることができるマークが存在します。これらのマークを理解し、障がい者のニーズに寄り添うことが、より包括的な支援を提供する上で重要です。 参考 障がいの種類は?わかりやすく分類するなら身体・知的・精神の3種類 -
腹式呼吸の効果!朝晩2回やるだけで変わる?健康を守るために知っておきたいこと
天野篤さんは、多くの研究で心拍数が高い人は突然死しやすいことがわかっていると指摘しています。そして、朝晩の腹式呼吸は適度な運動になるうえ、平均心拍数を安定させるのにも効果的だと述べています。 つまり、日常的に腹式呼吸を取り入れることで、突然死のリスクを下げることができるかもしれません。このことは、私たちが自分の健康を守るために積極的な行動を取る上で重要な示唆となります。 適度な運動が突然死のリスクを低減する 2021年2月に公表されたデンマークの研究によれば、適度な運動が突然死のリスクを低減することが示されました。身体活動が中程度の人は、座りがちな人と比べて心筋梗塞後の突然死リスクが33%低く、身体活動が高度の人はさらに45%低下していたそうです。 身体活動の強さ「メッツ(METs)」 この研究では、身体活動の強さを「メッツ(METs)」という単位で示しています。通常、座っている状態が1メッツで、普通の歩行が3メッツとされています。厚生労働省の「健康づくりのための身体基準」でもこの指標が示され、例えば60分の普通の歩行や30分の軽いジョギングが「3.0メッツ」とされています。 適度な運動を継続することで心臓病の予防効果が期待できる この研究において、中程度の身体活動の範囲に該当する1週間の「メッツ」は16.1〜32であり、座りがちな人と比べて明らかに高くなっています。適度な運動を継続することで、心臓病の予防効果が期待できることが示唆されています。 適度な運動は重要 心臓にトラブルを抱えている人や生活習慣病がある段階の患者にとって、適度な運動は重要です。しかし、コロナ禍により外出が減り、運動量が激減している人も多いでしょう。そのような状況下でおすすめしたいのが「呼吸法」です。 ロングブレスなどの「腹式呼吸」 美木良介さんが考案した「ロングブレス」は、鼻から強く吸って口で長く吐く呼吸法で、筋肉を効率的に増やして脂肪を減らす効果があると言われています。 この呼吸法は今でも高い人気を誇りますが、他にもさまざまな呼吸法が存在します。どれを実践すればいいのか迷ってしまうかもしれませんが、心臓の健康を維持するためには「腹式呼吸」が効果的であるということを覚えておくと良いでしょう。 肺の血流が促進され心臓も活発に動く われわれが日常で行っている呼吸は「胸式呼吸」と呼ばれ、主に胸を動かします。しかし、腹式呼吸は異なり、胸をあまり動かさず、横隔膜を上下に動かしてお腹を大きく膨らませたりへこませたりする呼吸です。 この動きにより、横隔膜を大きく動かすため一度に吸う量が多くなり、肺にどんどん血液が送られて血流がよくなります。その結果、肺の血流が促進され、心臓も活発に動くことになります。 1日朝晩2回行う 腹式呼吸のやり方はいくつもありますが、具体的な例を挙げると、まず、背筋を伸ばしてイスに座り、鼻からゆっくり大きく息を吸い込んでお腹を膨らませます。次に口からゆっくり長く息を吐き出し、お腹をへこませます。吐くときは吸い込む際の倍くらいの時間をかけて行います。この呼吸を3秒かけて吸い、6秒かけて吐くイメージで行います。これを5回ほど繰り返すのを1セットにして、1日朝晩2回行うとよいでしょう。 腹式呼吸は心臓の健康維持に有益 腹式呼吸は、心臓に適度な負荷をコンスタントにかけるため、心臓突然死の予防効果があるとされています。また、日頃から呼吸法を行うことで、呼吸が整い、平均心拍数が低くなることも報告されています。多くの研究で、心拍数が高い人は突然死しやすいことが示されており、その点からも腹式呼吸は心臓の健康維持に有益と言えます。 「インナーマッスル」が鍛えられることも心臓に良い影響を与える 腹式呼吸によって内臓を包んでいる「インナーマッスル」が鍛えられることも心臓に良い影響を与えます。これらの深層筋は、脊椎や骨盤を支え、姿勢保持や関節の安定性に関わる筋肉であり、呼吸にも重要な役割を果たしています。 湿度の高い場所で実践すると効果が高まる 心臓は血液を全身に送り出すポンプの役割を担っていますが、全身の筋肉、特にインナーマッスルが活発に活動していると、心臓から送り出される血液の受け取り側がしっかりと機能し、血圧が安定するなど心臓の負担が減ります。 さらに、腹式呼吸を湿度の高い場所で実践すると効果が高まります。例えば、お風呂など。また、好みの香りのアロマオイルと組み合わせることで、副交感神経が優位になる効果が期待できます。副交感神経が優位になると、心拍数が抑えられ、血管が拡張して血圧も低下するのです。 日頃から心拍数や脈拍数を計測して把握しておくことが重要 心臓の健康管理に呼吸法を取り入れる場合、日頃から心拍数や脈拍数を計測して把握しておくことが重要です。さらに、血中の酸素飽和度を計測するパルスオキシメーターを使用し、腹式呼吸を何回行うと最大値に到達するかを確認することも有益です。 自分に最適な呼吸法を見つけるためには、呼吸の速度や回数を試行錯誤しながら実践することが重要です。これによって心臓を守るだけでなく、突然の身体への負担にも備えることができます。 ウイルスから身を守る最善の手段 新型コロナウイルス感染症は、2023年に感染症法上で5類感染症に指定され、高齢者にとってはまだまだ用心すべき感染症です。日本では、これまで無料で提供されてきたワクチン接種が今後、季節性インフルエンザと同様に、一部負担金を支払っての接種になる見通しです。しかし、新型コロナウイルス感染症の発症や重症化を防ぐ効果は間違いなく、現時点ではウイルスから身を守る最善の手段と言えるでしょう。 副反応とワクチン接種との因果関係は明確ではない 一方で、ワクチン接種後に副反応の報告が増えていることも事実です。心血管障がいや脳血管障がい、血栓症が確認されたケースもありますが、現時点ではこれらの副反応とワクチン接種との因果関係は明確ではありません。 医師との相談が必要 mRNAワクチンは、タンパク質の設計図である遺伝子情報を投与するタイプの集団接種ワクチンであり、新型コロナワクチンが初めて使用されることから、副反応についても手探りの状況です。一部の人々で、これまで表面化していなかった心臓や血管のトラブルがワクチン接種を契機に現れる可能性も考えられます。 しかし、ワクチン接種によってもたらされる免疫反応により高熱が出ることもありますが、それが一部の方に健康被害をもたらす可能性もあります。このようなリスクと利益を考慮した上で、個々の医師との相談や情報収集が重要です。 ワクチン接種後に血圧が上昇 実際、ワクチン接種後に血圧が上昇するという報告が増えています。さらに、大動脈解離で救急搬送される患者さんも増加しており、これまでは月に1件あるかないかだったのが、多い月では2〜3件に増えた印象があります。大動脈解離は、血管が突然裂けて解離し、1度目の発症で突然死する危険がある疾患です。高血圧で上行大動脈が太くなっている人に多く見られます。 この増加の背景には、コロナ禍の自宅待機が血圧管理の不足を招いている可能性もあります。また、ワクチン接種による血圧上昇が影響している可能性も否定できません。しかし、その因果関係を明らかにするには、より詳細な調査が必要です。 医師との相談を通じて最善の選択を行う ただし、ワクチンは新型コロナからの防御に非常に効果的です。したがって、心臓や血管にトラブルが起こる可能性があることを考慮し、ワクチン接種に臨む前に対策を講じることが重要です。リスクと利益のバランスを考慮し、医師との相談を通じて最善の選択を行うことが理想的です。 自分の体の基礎データをきちんと把握しておく まずは心臓ドックなどの検査を受けて、自分の体の基礎データをきちんと把握しておくことが重要です。心臓血管系では心電図、心エコー、心臓CTの3つの検査で正常なのか異常があるのかがわかります。 これにプラスして頭部MRIで脳血管の状態を確認しておけば安心です。血管トラブルが起こったときに命にかかわるのは心臓、脳、大血管ですから、検査を受けて自分がそれぞれどんなリスクを抱えているのかをチェックしておきましょう。 血圧を日頃から定期的に測る また、血圧を日頃から定期的に測り、把握しておくことも大切です。ワクチン接種後に血圧が上がるケースが多く見られるため、日頃からのモニタリングが重要です。 病院で計測した場合、「上の血圧(収縮期血圧)120mmHg未満/下の血圧(拡張期血圧)80mmHg未満」が正常の範囲です。しかし、ワクチン接種後に上が180、下が110を超えるようなら、すぐに医療機関で診てもらうべきです。 この数値は放置すると、3年後には人工透析が必要なレベルに達する可能性があります。常に血圧をチェックし、異常が見られた場合は早めの対処が重要です。 生活習慣が健康に与える影響 私たちの生活習慣は、健康に大きな影響を与えます。食事、運動、睡眠、ストレス管理などの要素が、私たちの身体と心の健康に直接関与しています。ここでは、健康的な生活習慣の重要性と具体的な改善方法について考えてみましょう。 食事 バランスの取れた食事は、健康的な生活の基本です。野菜、果物、たんぱく質、良質な脂肪、繊維質を含む多様な食材を摂取することが重要です。加工食品や砂糖、飽和脂肪を過剰に摂取すると、肥満や心血管疾患などのリスクが高まります。食事の準備を整え、バランスの良い食事を心がけましょう。 運動 定期的な運動は、健康を維持するために不可欠です。有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、サイクリングなど)と筋力トレーニングの両方が、心臓血管系や筋肉の強化に役立ちます。毎日30分の運動を目指し、生活に取り入れることが大切です。 睡眠 十分な睡眠を確保することは、身体と心の健康にとって重要です。睡眠不足はストレスや不安の増加、免疫機能の低下などにつながります。規則正しい睡眠環境を整え、7〜9時間の睡眠を確保しましょう。 ストレス管理 ストレスは身体に様々な悪影響を与えます。心臓疾患や消化器系の問題、睡眠障がいなどがその一例です。ストレスを軽減するためには、リラックス法やマインドフルネス、趣味に時間を割くことなどが有効です。また、ストレスの原因を明確にし、解決策を見つけることも大切です。 健康チェック 定期的な健康チェックは、健康維持に欠かせません。定期健康診断や歯科検診、視力検査などを受け、早期発見・治療に努めましょう。 健康的な生活習慣は、健康や幸福感を築くための基盤です。自分の生活習慣を見直し、健康を意識した行動を取ることで、豊かな人生を送ることができます。 まとめ 自分の健康を守るためには、日々の生活習慣に注意を払うことが不可欠です。腹式呼吸などの簡単な呼吸法を取り入れ、定期的な検査や血圧のモニタリングを行うことで、心臓や血管の健康管理に一歩近づくことができます。リスクと利益を考慮した上で、医師との相談を通じて最善の選択を行い、健康な生活を送りましょう。 参考 朝晩2回だけで"突然死リスク"を下げられる…上皇陛下の執刀医が「座りがちな人」に勧める生活習慣 腹式呼吸と血圧測定で心臓と血管を守る #プレジデントオンライン -
障がい者差別解消法の施行に伴う企業の対応:合理的配慮の重要性と課題
4月1日に施行された「改正障がい者差別解消法」により、障がいのある人への合理的な配慮が民間事業者にも義務づけられることから、都内のIT関連会社では、障がい者に配慮した接し方を学ぶ研修会が開催されました。この会社は、東京・品川区に拠点を置き、企業向けの会計ソフトなどを提供しています。研修には、営業担当を含む約40人が参加しました。 会話ができない状況でのコミュニケーションを体験 研修では、声に障がいのある人への理解を深めるため、参加者は口にマスクを装着し、会話ができない状況でのコミュニケーションを体験しました。また、パソコンに文字を入力すると音声で読み上げるソフトなど、様々なツールを活用して意思疎通を図りました。 その後、合理的な配慮の方法について意見を交換し、例えば、聴覚障がいのある人が訪れた場合には社内で手話ができる社員を特定し、対応策を検討しました。 30代の社員は、「人によって必要な情報や支援が異なると思うが、できる限り多くのツールを活用して対応したい」と述べました。 「何らかの成果に結びつく可能性」 この研修を企画した中根雅文さんは全盲であり、「改正法の施行によって社会が急速に変化することはないかもしれませんが、中長期的には何らかの成果に結びつく可能性があると思います。また、当事者がこの法律を契機に、自らの権利を意識し、社会の変革を求めるようになることも期待されます」と述べました。 この会社では今後も定期的に研修を行い、障がい者のニーズに適切に対応できるよう体制を整えていくことが目指されています。 障壁を解消するための具体的な配慮 4月1日に施行された「改正障がい者差別解消法」は、国や自治体にとどまらず、民間の事業者にも障がいのある人への「合理的配慮の提供」を義務づけます。 この法律における「合理的配慮の提供」とは、障がいのある人が社会生活を送る際に直面する障壁を取り除くための行動を指します。たとえば、段差がある場合にはスロープを設置するなどの補助措置や、筆談時に大きな文字を使うなど、障壁を解消するための具体的な配慮が含まれます。 障がいのある人と事業者が対話し解決策を共に検討することが重要 ただし、この配慮は事業者に負担がかかりすぎない範囲で行われるべきです。法律に違反することなく、飲食店が介助を求められた場合に断ることも認められます。しかし、個別の事情を無視して一律に対応を断ることや、漠然としたリスクを理由に対応を拒否することは避けるべきです。 違反行為を繰り返した場合には、国からの報告や指導、勧告を受ける可能性があります。内閣府は、障がいのある人と事業者が対話し、解決策を共に検討することが、社会的な障壁を取り除く上で重要であると強調しています。 企業や個人が積極的に配慮を行うことが求められる このような法改正によって、社会全体がより包括的かつ包容的な姿勢を持つことが期待されます。障がいのある人々が自由に社会参加できる環境を整えるために、企業や個人が積極的に配慮を行うことが求められるでしょう。また、法律に関する質問や障がいを理由とする差別に関する相談窓口を設置していて、電話やメールで受け付けています。 障がい者差別に関する相談窓口「つなぐ窓口」 電話相談 0120-262-701(午前10時~午後5時 祝日除く) メールでの相談 info@mail.sabekai-tsunagu.go.jp 障がい者への意識調査 配慮不十分で諦める場合も 障がいのある人に対する「合理的配慮」が不十分だと感じる声が増えていますが、そのような状況に対して何もせずに諦める人も少なくありません。 昨年、弁護士や学識経験者、民間企業で構成されるグループが、障がいのある人を対象にオンラインで「合理的配慮」に関する意識調査を行い、2362人が回答しました。 合理的配慮が不十分だと感じる場面 その結果、日常生活で合理的配慮が不十分だと感じる場面について尋ねたところ、「仕事や職場」が40%で最も多く、「公共交通機関」が36%、「買い物や飲食などのサービスを利用する時」が29%など、様々な場面での不満が示されました。 自由記述では、「筆談を求めても応じてもらえなかった」とか、「買い物をした時の袋詰めを拒否された」といった具体的な声も寄せられました。 また、「合理的配慮」が提供されないと感じた場合の対応について尋ねた質問では、「何もしない」が31%で最も多く、「問い合わせ窓口がわからず諦めている」という声も多くありました。 建設的な対話ができる環境を整えることが重要 調査を行った企業の担当者は、「障がいのある人が自分たちの声を事業者側にどう届けたらいいかわからず、SNSに不満を投稿して炎上するケースも散見される。このような状況において、事業者側も硬直した態度に陥ることがある。障がいのある人が利用しやすい問い合わせ窓口を設けるなど、建設的な対話ができる環境を整えることが重要だ」と話しています。 専門家「普通のサービスを障がい者にも 対話で合意形成を」 障がいのある人への「合理的配慮の提供」が民間の事業者にも義務づけられることに関して、障がい者政策に詳しい静岡県立大学の石川准名誉教授は、「健常者の人たちが普通に得られているサービスを、障がい者も得られるようにするための調整や変更をしてほしいということが法律の趣旨であって、特別なサービスや待遇を行う必要があるわけではない」と指摘しています。 合理的配慮の範囲 また、合理的配慮の範囲について、飲食店を例に挙げ、「視覚障がい者であればトイレの場所まで店員が案内すること。聴覚障がい者であれば筆談で注文できるようにすることなどが合理的配慮にあたる。一方で店から自宅まで送迎するようなことはあたらない。合理的配慮の範囲が際限なく広がっていくことは考えられないので、事業者は過度に心配しないでほしい」と話しています。 対話を通して両者で合意を形成する しかし、石川准名誉教授は、重要なポイントを強調しています。「障がい者は、自分が困っていることを遠慮なく穏やかに相手に伝える。事業者は、対応が可能なことと難しいことを、分かりやすく説明する。こうした対話を通して両者で合意を形成することで、障壁をなくしていくことが大事だ」と訴えています。 言い換えれば、両者が対話を通じてお互いの立場や課題を理解し、合意を形成することで、障がい者も健常者も利用しやすい社会を築いていくことが重要であるということです。 改正障がい者差別解消法:社会の障壁を取り除く重要な一歩 4月1日、日本では「改正障がい者差別解消法」が施行され、障がいのある人々が社会においてより円滑に参加できる環境が整えられることが期待されています。 この法律の最も注目すべき点は、国や自治体にとどまらず、民間の事業者にも障がいのある人への「合理的配慮の提供」が義務づけられたことです。これは、健常者が享受しているサービスや利便性を、障がいのある人も同等に享受できるようにするための取り組みを強化するものです。 個々の状況に応じた配慮 「合理的配慮」とは、障壁を取り除くために必要な適切な措置をとることを指します。例えば、視覚障がい者には案内を提供し、聴覚障がい者には筆談での対応をするなど、個々の状況に応じた配慮が求められます。 過度な負担をかけることはない ただし、この法律が民間事業者に義務づけるのは「合理的な範囲内」であり、過度な負担をかけることはありません。法律に違反することなく、実現可能な措置をとることが求められます。そして、合理的な配慮が提供されない場合でも、当事者が積極的に声を上げ、対話を通じて解決を図ることが重要です。 障がいのある人々が社会に参加しやすくなる 改正障がい者差別解消法の施行により、障がいのある人々が社会に参加しやすくなることが期待できます。しかし、法律の下での配慮だけでなく、社会全体が障がいのある人々を受け入れ、支援する文化が根付くことが、より包括的な解決への道を開くでしょう。 合理的配慮:障壁を取り除くための重要な概念 障がいのある人々が社会参加する際に直面する障壁を取り除くために、法律や社会規範の下で重要な概念となっているのが「合理的配慮」です。この概念は、彼らが平等な機会を享受できるようにするために、個々の状況やニーズに応じた配慮を行うことを意味します。 合理的配慮とは? 合理的配慮とは、障壁を取り除くために必要な適切な行動や措置をとることを指します。これは、障がいのある人が他の人々と同等な条件でサービスや機会を受けることを可能にするための手段です。 具体例 合理的配慮の具体例としては、以下のようなものが挙げられます。 視覚障がい者には、点字や音声案内を提供すること。 聴覚障がい者には、手話通訳者の手配や字幕付き動画の提供を行うこと。 身体障がい者には、バリアフリーな施設や設備を整備すること。 合理的配慮の範囲 合理的配慮は、その範囲において過度な負担をかけないように行われます。法律や規定に違反することなく、実現可能な措置をとることが求められます。つまり、合理的な範囲内での配慮が原則とされます。 社会全体の責任 合理的配慮は、単に法律で規定されるだけでなく、社会全体の責任でもあります。障壁を取り除くためには、企業や行政だけでなく、個々の市民や社会団体も積極的に取り組むことが必要です。 まとめ 合理的配慮は、障壁を取り除き、障がいのある人々が社会的に完全に参加できるようにするための重要な概念です。法律や社会の規範に基づいて、個々の状況やニーズに応じた配慮を行うことが求められます。そして、社会全体が共に協力し、包括的な支援体制を築くことで、障壁のない社会を実現することができるでしょう。 改正障がい者差別解消法の施行により、障がいのある人々が社会参加をより円滑に行える環境が整いつつあります。この法律の下で、企業が障がい者に対して合理的な配慮を行うことは欠かせません。対話を通じて相互理解を深め、共に障壁を取り除いていくことが、より包括的で包括的な社会を築くための鍵となります。 参考 障がい者への「合理的配慮」4月から民間事業者にも義務化 | NHK -
ポジティブ・オポジットとは?子どもの行動を変えるポジティブなアプローチ
子供の行動変容を促す褒め方について、心理学者で遺伝学研究者のダニエル・ディック博士は興味深いアドバイスをしています。 彼によれば、子供への注目は「ごほうび」となるため、最も重要なことを優先し、困った行動には当面無視することが重要です。そして、子どもが困った行動をやめた時には、直ちにその良い行動を褒め、他のことはなかったかのように振る舞うことが良いそうです。 「ごほうび」を使うことが効果的 子犬の訓練と同じく、子どもによい行動を身につけさせるには、「ごほうび」を使うことが効果的です。親の最も力強いツールは「おしおき」ではなく、「ごほうび」なのです。良い行動を褒めることで、親が望む行動が子供にとって習慣となっていきます。 良い行動に目を向ける必要 悪い行動にフォーカスするのではなく、良い行動に目を向ける必要があります。親にとってもこれが楽しいはずです。ただし、この方法は正しく実践されなければうまく機能しません。もちろん、何を与えるかではなく、どのようにごほうびを与えるかが重要です。アイスクリームよりもiPhoneの方が良いとは言いませんが、ごほうびの方法は個々の子供に合わせて考える必要があります。 適切に与えられた時にのみ効果がある クリニックでは、「子供を褒めたけれども、うまくいかなかった」という親がよく相談に来ます。実際、ごほうびは適切に与えられた時にのみ、子供の行動を変える効果があります。子供の行動を変えるためには、褒め方には基本原則があります。 ①「良い行い」に焦点を当てる 良い行いを増やすための最初の要素は、「良い行いに注目すること」です。これは愚かなことのように聞こえるかもしれませんが、考えてみてください。子供が日常的にやるべきことを行っている場合、親はしばしば何も言わずにいます。 指示に従ったとき親は何も言わない 親は子供に歯を磨くように指示します。パジャマを着替えるように言います。お風呂に入るように促します。そして、子供がこれらの指示に従った時、親は通常、何も言いません。 親は日常的に子供が「やるべきことをやる」ことを期待しています。しかし、子供がバスタブで水をこぼしたり、パジャマを着ないで遊んだりすると、反応があります。 ポジティブな行動に焦点を当てることが重要 子供が良い行動を見せると、親は静かに喜びます。しかし、子供が問題行動を起こすと、親は注意を払い、対処します。 このサイクルを変えるためには、子供を悪い子だと捉えず、ポジティブな行動に焦点を当てることが重要です。そして、適切に褒めるための秘訣は、以下の4つです。 熱意を込めて 具体的に その場で 一貫性を持って 熱意を込めて褒めることから始める 良い行動に注目し、熱意を込めて褒めることから始めましょう。例えば、「子どもが自分でパンツを履いた」場合、ただ声をかけるだけではなく、独身時代には想像もしなかったような熱狂的な態度で、チアリーダーになりきるような感じです。 「一人でパンツを履けたの? すごい、すごい!」といった具合に、具体的で熱意を持って褒めましょう。 具体的に褒める 具体的な良い行動に対してコメントすることが重要です。例えば、「歯を磨くなんてすごい!」、「自分でパジャマを着るなんて偉い!」、「今日は着替えがとても速いね!」、「自分でスプーンを使ってシリアルを食べてるんだ!」などと伝えます。 その場で即座に褒める よい行動に対しては、その場で即座に、そして毎回忘れずに褒める必要があります。例えば、着替えが苦手な子どもであれば、着替え終わった直後に褒めるのです。後から褒めるのでは遅いのです。 毎日同じことを繰り返す また、よい行動が身につくまで毎日同じことを繰り返します。「よーし、今日もパンツが履けたね!」というように、毎日の積み重ねが大切です。 親からのポジティブなフィードバックは、子どもの成長や行動に深い影響を与えます。私は幸運にも、ポジティブな褒め言葉が豊富な家庭で育ちました。そのため、今では心理学者として、ポジティブなフィードバックを日常的に受け取る環境にいます。 ポジティブなフィードバック 大人になっても、両親にささいな成功を話すと、彼らは喜んで褒めてくれます。たとえば、「今日、支払いを済ませたんだ」と伝えると、両親は大げさに褒めてくれます。「支払いを済ませたなんて、すごいじゃない!気分がいいでしょう?」と言われると、心が温かくなります。 しかし、同じ話を夫にすると、彼は笑ってしまいます。彼にとってはおかしく感じるのでしょう。でも、それでも私はうれしくなります。ポジティブなフィードバックは、支払いを済ませるという些細な成果ですら、少し楽しく感じさせてくれるからです。 親は子どもにとって上司のような存在 もし、あなたがこのような話を「くだらない」と感じるのであれば、一考する価値があります。あなたは自分の子どもにとって上司のような存在です。では、どんな上司の下で働きたいですか? ミスから学ぶ機会を与え成長できる環境が好ましい おそらく、あなたがやるべきことを認識し、業績を評価し、賞賛してくれる上司が理想的だと思います。間違いを犯しても叱責されるよりも、ミスから学ぶ機会を与え、そこから成長できる環境が好ましいです。 温かく理解してくれる上司のもとで働くと、幸福度と生産性が向上します。同様に、子どもも温かく応援してくれる環境で育つことで、自信を持ち、成長することができるでしょう。 ②「小さく分解」して褒める 「小さく分解」して褒めることは、子供の成長にとって重要です。例えば、お子さんが朝の着替えを嫌がる場合は、まずは服を選ぶことや下着を身につけることから褒めてみましょう。 また、着替えに時間がかかりすぎる場合は、「制限時間レース」を導入してみることも有効です。始めはおおらかな気持ちで、徐々に時間を短くしていくことがポイントです。 小さなステップに分解して褒めることが重要 子供が自発的に行動するようになるには、小さなステップに分解して褒めることが重要です。そして、各行動に対して個別に褒めることも大切です。複数の行動をまとめて褒めるのではなく、それぞれの行動に対して褒めることで、子供の自信ややる気を育むことができます。 ③「重要なこと」に集中する 子どもの行動を褒める際には、すべての行動に焦点を当てる必要はありません。家庭で課題になっている行動に集中しましょう。一度に取り組むべきポイントを2〜3つに絞ることが大切です。 具体的な項目に集中して取り組む方が実現可能 自分が働きたい上司のタイプを考えてみると、一度に20もの改善点を指摘されるよりも、2つか3つの具体的な項目に集中して取り組む方が実現可能です。そして、それらが習慣になると、自信をつけて次の課題に取り組む準備が整います。子どもも同様です。 2〜3つの行動に焦点を絞る 人は同時に2〜3つの行動にしか集中できません。複雑な「ごほうびシール表」を使うのは難しいでしょう。ですから、2〜3つの行動に焦点を絞りましょう。 もし他の悪い行動が見られた場合は、それを無視しましょう。親にとって難しいことかもしれませんが、悪い行動を無視することで、子供が望ましい行動に集中できる環境を作ることができます。 「なかったふりをする」は親が培うべきスキル 注目は「ごほうび」の一部であり、よい行動を育てることに焦点を合わせることを思い出しましょう。そのため、悪い行動にごほうびを与えたくない場合は、最も重要なことに優先順位をつけ、他のことは無視してください。 無視とは言葉でも態度でも、視線ですらも反応しないこと 例えば、就寝前のルーティンに取り組んでいる場合、子どもがシリアルボウルから牛乳をズルズルと飲む音に反応しないでください。無視するとは、言葉でも態度でも、視線ですらも反応しないということです。それが難しい場合は、部屋を離れることも考えましょう。 多くの困った行動は無視できる もちろん、人を傷つけたり物を投げたり、親の指示に従わないような行動は無視できません。しかし、めそめそする、駄々をこねる、すねる、注目を浴びようとする、親を困らせるなど、多くの困った行動は無視できます。 一度無視し始めたらそれを続けること 大切なことは、一度無視し始めたらそれを続けることです。これは初めは困った行動をエスカレートさせるように見えるかもしれません。子どもはさらに激しく親の注意を引こうとするかもしれませんが、そこで折れてしまうと、悪い行動を助長することになります。ですから、強い意志を持ち続けましょう。 長期的な戦略 これは長期的な戦略です。時間が経つにつれて、悪い行動は減少していくことを保証します。そして、子どもがめそめそするのをやめたときには、すぐにその良い行動を褒めましょう! 例えば、「ママが電話でお話ししている間、静かに座っていてくれて本当にありがとう!」と言いましょう。静かに座っていたのが、15分もめそめそして疲れてしまった結果だったとしても、問題ありません。その行動には触れず、ただ褒めてあげましょう。これは習得すべきスキルです。 ④「言葉のごほうび」で悪い行動をやめさせる 親が子どもにやめてもらいたい行動に焦点を当てる代わりに、その正反対の望ましい行動に注目することが重要です。この手法を「ポジティブ・オポジット」と呼ぶイェール大学の児童心理学者アラン・カズディン博士による研究が示唆する方法です。 正反対の行動に置き換える 例えば、朝からぐずぐずするのをやめさせたい場合、代わりに朝、時間通りに着替えることを褒めます。きょうだいをいじめるのをやめさせたい場合は、夕食を食べる際にきょうだいげんかをせずにいることを褒めます。汚れた服を散らかしたままにするのをやめさせたい場合は、前日に履いた靴下をベッドルームに散らかさず片付けることを褒めます。 この方法を使えば、子どもの望ましくない行動を、その正反対の行動に置き換えることができます。 まとめ ポジティブ・オポジットの手法を使えば、子どもの望ましくない行動を、その正反対の行動に置き換えることができます。親が焦点を望ましい行動に当て、褒めることで、子どもの成長と変容を促進することができます。この方法は時間と忍耐を要しますが、子どものポジティブな変化を見ることができるでしょう。親の支援と積極的な関与によって、子どもたちはより良い行動パターンを身につけることができます。 参考 子供の悪い行いをどれだけ無視できるか…わが子の行動を激変させる"ポジティブ・オポジット"という神対応 よい行動を褒め、それ以外のことはなかったふりをする #プレジデントオンライン -
障がいの種類ってどのくらいあるの?身体・知的・精神の3種類:精神障がい
内閣府の「障がい者の状況」によると、1,000人あたり49人が精神障がいを抱えているとされており、その数は決して少なくありません。この統計は、精神障がいが我々の身近な存在であることを示しています。そのため、社会全体がこの問題に対処し、適切な支援や理解を提供することが重要です。 精神障がい 精神障がい者は、以下のように分類できます。 統合失調症 気分障がい 非定型精神病 てんかん 中毒精神病 器質性精神障がい(高次脳機能障がいを含む) 発達障がい 統合失調症の理解を深める 統合失調症は、幻覚や妄想などの症状が現れる疾患で、生活を著しく困難にすることがあります。その症状は以下の通りです。 統合失調症の症状 ■陽性症状 幻聴や自己批判の声が聞こえること 現実と異なる信念を強く持つこと 被害妄想にとりつかれること 自己中心的な考え方 ■陰性症状 意欲の低下や興味の喪失 疲労感や集中力の低下 日常生活への関心の低下 これらの症状が現れると、統合失調症の人は考えをまとめるのが難しくなり、社会との関わり合いも困難になることがあります。 統合失調症の原因は完全には解明されていませんが、発症率は比較的高く、約100人に1人がこの疾患にかかると推定されています。 統合失調症の精神障がい者への配慮ポイント 社会との接点を保つことが治療に役立つため、病気を理解し、その人が仕事に就くことを支援する。 ストレスや環境の変化に敏感なため、ストレスの少ない環境で同じ仕事を続けられるよう配慮する。 情報の過剰な提示は混乱を招く可能性があるため、整理された情報をゆっくりと具体的に伝える。 症状が悪化したときは無理をさせず、休憩を取ったり、速やかに主治医を受診するよう促す。 統合失調症の人に接する際は、「やる気がない」「目も合わせない」といった印象にとらわれるのではなく、病気を理解し、適切なサポートを提供することが大切です。 気分障がい 気分障がいとは、主に気分の波が現れる病気のことで、症状は以下の通りです。 ■うつ状態 気分が強く落ち込む 何事にもやる気が出ない 疲れやすい 考えが働かない 自分が価値のない人間のように思える 死ぬことばかり考えてしまい、実行に移そうとする ■躁状態 気持ちが過剰に高揚する 普段ならあり得ないような浪費をする ほとんど眠らずに働き続ける ちょっとしたことにも敏感に反応し、他人に怒りっぽくなる 自分は何でもできると思い込んで、人の話を聞かなくなる 気分障がいの人々は、日々の気分の波に苦しみながら生活しています。配慮とサポートが必要なときに提供されると、彼らはより健康的な生活を送ることができます。 気分障がいの精神障がい者への配慮ポイント うつ状態のときは無理をさせず、休憩したり、早退できるようにする。 躁状態のときは、安全管理に気を付ける。 自傷行為や自殺念慮の可能性がある場合は、本人の安全を最優先に考え、専門家に迅速に相談する。 薬物療法の継続は症状の改善に不可欠です。そのため、症状が見られる際には無理をせず、安全面に配慮することが大切です。 非定型精神病 非定型精神病とは、ストレスによって急に発症して、統合失調症や気分障がいのような症状が出るものの、比較的短期間で症状が治まる病気のことで、以下のような症状が見られます。 非定型精神病の症状 ■初期 不眠・不安などの状態が続く 躁状態から急にうつ状態になることが多い ■症状が進むと 幻聴か聞こえる 突然意識が混とんする 夢の中にいるような状態になる 非定型精神病の精神障がい者への配慮ポイント ストレスが原因のため、その人にストレスがかかりにくい環境で、同じ仕事内容を続けられるようにする。 症状が短い間隔で変動しやすいため、様子を見守る。 比較的短期間で寛解状態に至るので、症状が出ているときは無理させず、休憩や早退できるようにする。 病気を理解し、早く症状が落ち着くように、できるだけストレスがかかりにくい職場作りをサポートすることが大切です。 てんかん てんかんは、脳の一部が一時的に過剰に興奮することで発作が起きる病気です。発作には以下のような症状が見られます。 てんかんの発作で見られる症状 けいれんを伴う 突然意識を失う 意識はあるが、認知の変化を伴う しかし、発作が起こっていないほとんどの時間は、普通の生活が可能です。 てんかんの精神障がい者への配慮ポイント 発作がコントロールされている場合は、過剰に制限しないことが大切です。彼らが普通の生活を送れるようにサポートしましょう。 発作が起こる可能性がある場合は、高所作業や刃物を使った作業を避けるよう配慮しましょう。安全面を考慮して行動しましょう。 発作が起こってしまった場合は、まず本人の安全を確保し、その後で専門機関に相談することが重要です。彼らが安心して適切な対応を受けられるようサポートしましょう。 てんかんのある人のうち70~80%は内服治療で発作をコントロールしているため、彼らのコントロール状況を確認することが重要です。 中毒精神病 中毒精神病は、アルコールや睡眠薬、シンナーなどの薬物を過剰に摂取することで引き起こされる精神障がいです。以下はその症状です。 中毒精神病の症状 意識障がい 躁うつ状態 幻覚や妄想状態 この状態になると、摂取を繰り返さないと満足できない依存症に陥ることがあります。これは家庭生活や社会生活に悪影響を及ぼすことがあります。 中毒精神病や依存症の精神障がい者への配慮ポイント 本人が病気だという認識を持っていない場合があるため、専門機関への受診を促すことが重要です。 他者から非難されると、現実から逃れるためにアルコールや薬物に一層依存する可能性があるため、アドバイスは控えましょう。 一度症状がおさまっても、再発する可能性があるため、根気よく見守ることが必要です。 相手を非難せず、専門機関の治療や助言に頼り、根気よくサポートすることが大切です。 器質性精神障がい 器質性精神障がいは、脳が損傷することによって引き起こされる精神障がいで、様々な症状が現れます。 器質性精神障がいの症状 ■記憶障がい 短期記憶が弱く、すぐに忘れることがある 新しい情報や出来事を覚えられない 同じことを何度も尋ねることがある ■注意障がい 集中力が続かず、簡単に気が散る ぼんやりしており、ミスが多い傾向がある ■遂行機能障がい 計画を立てて実行する能力が低く、物事の順序を立てられないことがある 効率的な作業が難しく、タスクの遂行が困難になることがある ■社会的行動障がい 些細なことで怒りっぽくなり、興奮することがある こだわりが強く、自分の意見や欲求を主張する 我慢ができず、欲しいものを即座に求めることがある 思い通りにならないと感情的になり、時には暴力を振るうことがある 病識欠如も起こり、自身の問題に気づかず、行動に問題を生じさせることがあります。さらに、失語症や運動障がい、感覚障がいなどの症状が同時に現れることもあります。外見からはわかりにくく、「見えない障がい」とも言われます。 器質性精神障がい者への配慮ポイント ■記憶障がい 手がかりがあると思い出しやすいので、手帳やメモ、アラームを利用してもらう 器質性精神障がい発症前の知識や経験を活かす ■注意障がい 短時間なら集中できる場合があるので、こまめに休憩時間を設ける ミスを防げるように、順番を決めて仕事に取り組んでもらう ■遂行機能障がい 手順を書いた紙を目に付くところに掲示する スケジュール表を見ながら行動してもらったり、チェックリストを利用する ■社会的行動障がい 感情をコントロールできないときは、話題や場所を変える 事前に話し合ってルールを決めておく その人に合わせて配慮すれば、トラブルが起こりにくくなるでしょう。 まとめ 精神障がいは多様であり、その中には統合失調症、気分障がい、中毒精神病、器質性精神障がい、そして非定型精神病など、さまざまな病態が含まれます。これらの症状は、個々の人々によって異なりますが、理解と配慮がその人々がより豊かな生活を送るための重要な要素であることは間違いありません。 参考 障がいの種類は?わかりやすく分類するなら身体・知的・精神の3種類
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みんなの障がい動画は、障がいに関する基礎知識などを、動画でわかりやすくお伝えしていきます。
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【大人の障がい】パニック障がいとは?動画で詳しく解説!
『大人の障がい動画』では、様々な障がいに焦点を当て、理解と共感を促進していきます。 今回の動画では、パニック障害について詳しく紹介します。 パニック障がいとは? パニック障害とは、理由もなく急に動悸やめまい、吐き気や手足の震えなどのパニック発作が起こり、日常生活に支障をきたす障害のことです。日本人の100人に1人が経験しており、男性より女性の方が発症しやすいことがわかっています。 パニック障害の原因は、「遺伝的要因」と「環境的要因」の二つが大きく関係しています。 強いストレスや不安、激しい疲れ、睡眠不足など不規則な生活習慣、遺伝的要因、性格などが原因となって、脳内の伝達物質の働きに異常が起こり、パニック障害が起こると考えられています。 パニック障害になりやすいといわれている人の特徴は、「ストレスをためこみやすい」「内気で人見知りが激しい」「まじめで完璧主義」「神経質でこだわりが強い」など、 もともと不安やストレスを感じやすい性質をもつ人です。 パニック発作は、就寝前などリラックスしているときや、寝ているときにも起こることがあり、パニック障害の患者は「いつ発作が起きるのか」という恐怖にも苦しみます。その恐怖や不安から、他の精神疾患を引き起こしたり、外出できなくなったりなど、社会生活に大きく影響します。 主な症状 パニック障害の主な症状は、「パニック発作」「予期不安」「広場恐怖」の3つです。「パニック発作」は、極度の恐怖や不安を感じると起こる体の反応のことであり、だれでも特定の場面でパニック発作を経験します。しかし、パニック障害のパニック発作は、恐怖や不安を感じない場面でも体が反応します。 「動悸や息切れ」「めまい」「異常な発汗」「手足の震え」「自分は死ぬのではないかという不安」「逃げなくてはいけないと感じる本能的恐怖」などが症状として現れます。 パニック発作の症状は頻度によって「中等度」と「重度」に分かれて診断されます。「中等度」は少なくとも月に4回以上のパニック発作がある状態、「重度」は週に4回以上パニック発作がある状態です。 「予期不安」とは、このような体の反応が「また起こるのではないか」「いつ起こるのだろうか」「次はもっと苦しいかもしれない」「今度こそ死んでしまうかもしれない」と、 発作が起きていないときにも強い不安を感じるという症状です。この症状が原因で仕事をやめたり、引きこもりになったりするなど、環境に変化が現れることも症状のひとつです。 「広場恐怖」は、発作が起きた状況や場所、発作が起きても逃げ出せないような状況を極度に避けるという症状です。「同じ場所でまた発作が起きるのではないか」「この場所で発作が起きたら逃げられない」「この場所で発作が起きると誰にも助けてもらえない」 広場という言葉が使われていますが、広場だけではなく、一人の外出、自家用車やバスの乗車などにも過度な恐怖を感じるので、外出恐怖や空間恐怖とも呼ばれます。パニック障害の患者の全体の4分の3が「広場恐怖」を経験するとされており、広場恐怖の症状があると外出をおそれ、引きこもりがちになります。 治療方法について パニック障害の治療は、精神科や心療内科で「薬物療法」と「心理療法」がよく併用されます。 SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、抗不安薬、抗うつ薬を使って、パニック発作を抑えることができます。 これらの薬の服用と一緒に心理療法をおこなうことが重要と考えられています。 心理療法では「認知行動療法」や「曝露療法」の効果が認められています。 薬を服用しながら、恐怖や不安を感じる場面をあえて経験し、発作が起こらないことを学習して、不安や恐怖がなくなることを目指します。 その他特筆事項 パニック障害は慢性化しやすく、再発しやすい障害のため、自分で予防することも大切です。「休養をとる」「生活習慣を整える」「適度の運動」「アルコールやカフェインを摂りすぎない」アルコールやカフェインは脳を刺激し、不安感を強めます。 ストレスや不安をためこんだり、不規則な生活を送ったりしていると、自律神経が乱れ、発作が起きやすくなります。心や体の調子を整えて、パニック障害を予防しましょう。 -
【大人の障がい】離人症とは?動画で詳しく解説!
『大人の障がい動画』では、様々な障がいに焦点を当て、理解と共感を促進していきます。 今回の動画では、離人症について詳しく紹介します。 離人症とは 離人症とは、解離性障害の一種であり、自分の意識や体が自分の物ではないように感じたり、物事がすべて現実ではないように感じたりする状態のことです。 離人症は人口の約2%に発生するといわれており、男女の割合は関係なく、10代から20代の発症が最も多いです。強いストレスや不安、激しい疲労、うつ病など精神疾患、違法薬物の使用などから引き起こされます。 脳科学の観点では、脳内のドーパミン物質の分泌が少ないと、離人症の症状につながりやすくなることがわかっています。離人症の症状は数時間で治まるものから、数日、数か月、重い場合は数十年にもわたって悩まされる方もいます。 主な症状 離人症の主な症状は「外界の見え方の変化」「感情の喪失」「自分の体への意識の変化」の3つです。 「外界の見え方の変化」の症状の現れ方は人それぞれであり、物や人が色あせて見える、物や人がぼやけて見える、ベールのように薄い膜ごしに物や人を見ているように感じる、夢を見ているように感じる、などです。 「感情の変化」は、感情が無くなったように思い、何かをしたりされたりしても、その意味をとらえることができなくなるという症状です。「自分の体への意識の変化」は、自分の体が自分の物ではなく、ロボットのように感じる、身体がまひしているように思う、自分の体の大きさや形がちがって感じる、自分のことを遠くから観察しているように感じる、などの症状があります。 これらの症状がありながらも、離人症の患者は「自分はおかしい状態だ」と気づくことができます。意識の混濁などはなく、妄想と現実の区別がしっかりついていることが、離人症の大きな特徴です。 治療方法について 離人症の根本的な治療法は確立されていません。そのため、精神科や心療内科では、「原因の除去」「心理療法」「薬物治療」などをおこない、離人症の症状を緩和することを目的とします。 強いストレスが原因の場合、ストレスを感じているものや環境から離れる、または問題の解決法を見つけることで、離人症の症状の改善を目指します。また、うつ病などその他の精神疾患から起こっているときは、うつ病など精神疾患の治療をおこないます。 心理療法には、認知行動療法や曝露療法などが用いられます。認知行動療法とは、物事のとらえ方を変えて、ストレスへの耐性を高める療法です。曝露療法とは、不安を感じる場面をあえて体験し、不安感に慣れていく療法です。 まずはカウンセラーと一緒に、不安を感じる場面を小さなことから体験し、少しずつ不安感をへらしていきます。しかし、離人症が心理療法で改善されることはむずかしく、多くは薬物治療が有効になります。薬物治療は、抗不安薬や抗うつ薬が主に使われます。" -
【大人の障がい】睡眠障がいとは?動画で詳しく解説!
『大人の障がい動画』では、様々な障がいに焦点を当て、理解と共感を促進していきます。 今回の動画では、睡眠障がいについて詳しく紹介します。 睡眠障害とは "睡眠障害とは、睡眠をとるときに問題があり、からだに適した睡眠をとることができない状態のことです。統計によると、5人に1人が睡眠障害に悩まされています。 睡眠障害には複数の種類があります。代表的なものは、「不眠症」「過眠症」「概日リズム障害」「睡眠時呼吸障害」です。 そのほか、「むずむず脚症候群」「周期性四肢運動障害」「睡眠時随伴症」や、身体や精神疾患が引き起こす睡眠障害があります。睡眠障害の原因は、「ストレス」「精神疾患」「加齢」「体型」「不規則な生活習慣」「音など環境」「薬の副作用」「カフェインやアルコール」など、多くの原因があり、原因ごとに症状が変わります。" 主な症状 "主な症状は、「入眠困難」「中途覚醒」「早期覚醒」「過眠」の4つです。布団に入ってから1時間以上眠りにつけない「入眠困難」夜中に何度も起きてしまう「中途覚醒」、予定より早く起き、その後眠ることができない「早期覚醒」 睡眠時間は十分なのに熟睡した感じがしない、日中に激しい眠気が生じる「過眠」以上、4つの症状から、「頭痛やめまい」「適切な時間に起きられない」「集中力の低下」「疲れやすくなる」といった体の不調が起こります。" 治療方法について "睡眠障害は基本的に内科に受診し、治療を始めます。しかし、睡眠障害の原因がわかっている場合は、原因に合った診療科を受診しましょう。 ストレスが原因の場合は、精神科や心療内科に受診します。睡眠時の呼吸が原因だと思う場合は、呼吸器科内科が合っています。睡眠中に足がつる、手足がむずむずする、など身体的な問題で睡眠ができなくなっている場合は、脳神経内科の受診をすすめます。 睡眠障害の治療は、症状によって異なりますが、睡眠の質を高める、または睡眠を妨げる原因に作用する薬を使う「薬物治療」、医師による睡眠・生活習慣の見直し、照明を使って体内時計を整える「高照度光療法」などが主に用いられます。" -
【大人の障がい】適応障がいとは?動画で詳しく解説!
大人の障がい「適応障がい」って? 『大人の障がい動画』では、様々な障がいに焦点を当て、理解と共感を促進していきます。 今回の動画では、適応障がいについて詳しく紹介します。 適応障害とは "適応障害とは、特定の環境や状況に慣れることができず、気分や行動に重度の障害が起こることです。転勤や転職、結婚、引っ越し、新しい人間関係など、環境が大きく変わるときに発症しやすいです。 適応障害の原因はストレスです。ストレスになることがあってから3か月以内に症状があらわれた場合は、適応障害の疑いがあります。また、ストレスの感じ方は人それぞれのため、同じ環境の変化があっても、適応障害になる人と、ならない人がいます。そのため、本人の内面が適応障害の要因になることも考えられます。 適応障害になりやすいとされている人は、「ストレスが溜まっていることに気づかない」「心配性」「繊細で傷つきやすい」「まじめで几帳面」「完璧主義」などの特徴があります。" 主な症状 "症状は「身体」と「情緒」の2つに現れます。「身体」に現れる症状は、「眠れなくなる・眠りが浅くなる」「食欲不振」「涙が出やすくなる」「のどに異物感がある」「過呼吸」「動悸が激しくなる」「肩こり」「腰痛」などがあります。 「情緒」に現れる症状は、「イライラしやすくなる」「緊張や不安が続く」「むなしい気持ちになる」「集中力が下がる」「物事に敏感に反応する」などです。 このような症状から、「無断遅刻・無断欠勤を繰り返す」「ひきこもりになる」「暴飲暴食」「ギャンブルやアルコールに依存する」など、仕事だけでなく、健康生活にも支障をきたしてしまいます。" 治療方法について "適応障害の治療方法は、「環境調整」「心理療法」「薬物療法」の3つです。適応障害は、ストレスの原因がなくなると約6カ月以内に症状がなくなることが、大きな特徴です。そのため、適応障害の治療には、まずストレスの原因をなくす「環境調整」がよくおこなわれます。 たとえば、ストレスの要因が「職場」のときは、「休職する」「異動・役職の変更」「転職」になります。心理療法は、「認知行動療法」や「問題解決療法」が使われます。認知行動療法とは、物事のとらえ方や考え方のゆがみを治し、ストレスにたいして適切な行動がとれるようにして、本人の適応力を高める療法です。 問題解決療法は、本人が抱えている問題や症状に最も有効な解決策を見つけ出す療法です。薬物療法は、適応障害の症状が重いときに、その症状を緩和するために使用されます。薬物療法で適応障害が治るわけではないので、薬の使用には慎重になる必要があります。" -
【大人の障がい】DCDとは?動画で詳しく解説!
大人の障がい「DCD」って? 『大人の障がい動画』では、様々な障がいに焦点を当て、理解と共感を促進していきます。 今回の動画では、DCDについて詳しく紹介します。 DCDとは? "ディーシーディーとは、「発達性協調運動障害」といい、身体に問題がないにも関わらず、協調運動をおこなうことに困難がある障害です。協調運動とは、手や足、目など複数の部位を動かす運動のことです。 たとえば、「歩く」は、足を交互に前に出すという複数の動作があります。「字を書く」は「ノートを見る」「鉛筆をもつ」「動かす」、「縄跳び」は「縄を回す」「飛ぶ」など、複数の部位を動します。 このように全身運動や、手先を動かすことに困難が生じるので、日常生活や仕事にも支障をきたすケースがあります。ディーシーディーは小脳の機能不全によって起こることがわかっています。生まれつき脳機能に偏りがある「発達障害」と併発し、「ADHD」や「ASD」とともに、ディーシーディーの症状が見られることが多くあります。 そのほか、「ビタミンE欠乏症」や「熱中症」で小脳の機能に異常が起きて、ディーシーディーの症状が現れるケースもあります。ディーシーディーの発症頻度は6~10%とされており、とくに「男児」がディーシーディーになりやすいと考えられています。" 主な症状 主な症状は、運動に関する感覚に障害が起こること、細かな動作や全身運動に重い困難が生じることです。日常生活では、「字をすらすらと書けない」「ひもを結ぶことに時間がかかる」「箸を正しく動かせない」などがあります。また、ディーシーディーは運動に関する「平衡感覚」や「固有感覚」にも影響します。 平衡感覚とは、身体のバランスを保つ感覚のことです。平衡感覚に障害があると、「まっすぐ歩けない」「姿勢が崩れやすい」「めまいがよく起こる」などの症状があります。固有感覚とは、自分の体の動きや位置の把握、力に関わる感覚のことです。 固有感覚に障害があると、「よく物を落とす」「転びやすくなる」「力加減ができない」などがあり、自分の思うとおりに体を動かせにくくなります。仕事では、「化粧ができない」「自動車を運転できない」「料理ができない」「メモをとれない」「パソコンのタイピングができない」など、広く困難が生じます。 ディーシーディーは「不器用」「重度の運動音痴」だと思われやすいので、障害に気づかないと、自信をなくしたり、いじめの対象になったりして、ほかの精神疾患を引き起こすこともあります。" 治療方法について ディーシーディーの根本的な治療はないため、「理学療法」「作業療法」「感覚統合療法」などの3つを組み合わせて症状を改善します。理学療法士や作業療法士の支援を受けながら、感覚を意識ながら体を動かすトレーニングをします。 指先の細かい作業が苦手な方は、細かな作業に集中して訓練し、困難をへらしていくことを目標にします。 -
【大人の障がい】LD(学習障がい)とは?動画で詳しく解説!
大人の障がい LD(学習障がい)って? 『大人の障がい動画』では、様々な障がいに焦点を当て、理解と共感を促進していきます。 今回の動画では、LD(学習障がい)について詳しく紹介します。 LDとは LDとは、学習障害と呼ばれ、「読み書き」や「計算・推論」に困難が見られる状態のことをいいます。LDは発達障害の一種であり、生まれつき脳機能に偏りがあることから症状が現れます。しかし、子どものころにLDがまわりに気づかれず、大人になってからLDが発覚する「大人のLD」があります。 「大人のLD」は子どものLDより複雑であり、二次障害を発しているケースが多く見られます。二次障害とは、LDのような発達障害が原因で、不安障害や睡眠障害など他の障害が引き起こされることです。LDは見た目からすぐわかる障害ではないので、まわりからは怠けていると評価されたり、勉強や仕事ができないため自信をなくしたりして、働くことをやめてしまう方もいます。 主な症状 LDの主な症状は、読字障害(ディスレクシア)、書字表出障害(ディスグラフィア)、算数障害(ディスカリキュリア)の3つがあります。読字障害は、読むことに困難がある障害です。「読むことに多くの時間がかかる」「文末を読み違える」「文や行を読み飛ばす」など、読むことに困難が見られます。 書字表出障害は、書くことに困難がある障害です。「鏡文字を書いてしまう」「似ている文字の判別ができない」「書き写すことができない」など、書くことに困難が見られます。 算数障害は、計算や推論することに困難がある障害です。「数を数えることが苦手」「時計を見て時間を知ることがむずかしい」「数を使って推論することがむずかしい」など、数字に関することで困難が見られます。このような症状が6カ月以上続くと、LDの疑いがあると診断されます。 治療方法について 学習障害を根本的に治療する方法は現在ありません。自分やまわりの環境を整えて、学習障害による困りごとを減らす方法になります。 読字障害の場合は、「資料には文章だけではなく図や画像をつかう」「読み上げアプリを使用する」 書字障害の場合は、「メモではなく写真を撮って記録する」「ボイスレコーダーを使う」「指示をあらかじめ文書でもらう」 算数障害の場合は、「電卓を使用する」「自分で計算をおこなうときは合っているかどうかを確認する」 このように、便利なアプリやツールの使用と、周囲の理解・協力が必要になります。自分の苦手な仕事を把握し、アプリやツールの利用の許可をとるなど、周囲へ協力を求めましょう。 -
【大人の障がい】ADHDとは?動画で詳しく解説!
大人の障がい ADHD自閉スペクトラムって? 『大人の障がい動画』では、様々な障がいに焦点を当て、理解と共感を促進していきます。 今回の動画では、ADHDについて詳しく紹介します。 ADHDとは? ADHDとは、発達障害の一つであり、生まれつき脳機能に偏りがある障害のことです。 生まれつきとされていますが、近年では「大人のADHD」と呼ばれており、大人になってからADHDの症状で病院を受診する方が増えています。 とくにADHDは近年、最も急増している発達障害です。芸能人がADHDであることを告白するなど、認知度も高くなっています。ADHDは生まれつきのため、直接的な原因は明らかになっていません。しかし、睡眠障害や愛着障害、虐待など生育環境により、ADHDと同じ症状が引き起こされることがわかっています。 主な症状 ADHDの主な症状は、「不注意」「多動性」「衝動性」の三つがあります。 「不注意」があると、集中力を維持することができず、「人の話を聞いていないように見られる」「ケアレスミスが多くなる」「大事な会議に事前連絡なしに遅刻または欠席する」など、大きく仕事に影響します。 「多動性」があると、じっとしていることができず、「会議中に席を立ってしまう」「人の話を遮って一方的に話してしまう」「集団のペースに合わせて仕事することができない」などが見られます。 「衝動性」があると、我慢することができず、「思ったことを衝動的に言ってしまう」「順番を守れない」「金銭管理ができない」などが見られます。 ADHDの症状の現れ方は三つあります。 「不注意」が強く現れる「不注意優勢型」 「多動性」や「衝動性」が強く現れる「多動性・衝動性優勢型」 「不注意」「多動性」「衝動性」すべての症状が見られる「混合型」の三つです。 治療方法について ADHDを根本的に治療する方法はありません。ADHDの治療は症状を改善することが目的になります。治療法として使われているのは、「心理療法」「環境調整」「薬物療法」の3つです。心理療法は、認知行動療法がよく用いられます。 認知行動療法とは、物事の受け止め方や考え方を整えて、その場面にふさわしい行動がとれるように変えていく療法です。環境調整とは、ADHDの特性による困りごとをへらすために、自分やまわりの環境を整えることです。 集中力が持続しない場合は、気が散る原因をなくすために「スマホや気が散るものは目に入らないところに置く」「耳栓などを使用して雑音をへらす」「間仕切りを使う」 忘れっぽく、ミスが起こる場合は、「メモをとって身につける」「カレンダー機能やリマインダー機能を使う」「タスク管理アプリを使う」 衝動性が強く、衝動買いをよくしてしまう方は、「買い物に行く前に必要なものをメモにとり、そのメモにあるものを買う」ことを徹底しましょう。 症状が重い場合は、医師の判断で薬物療法が使われます。脳機能を整える薬を服用し、不注意や衝動性、多動性を減らすことができます。ただし、薬の服用は依存性が生じることがあるので、医師とよく相談して決めましょう。 -
【大人の障がい】ASD(自閉スペクトラム症)とは?動画で詳しく解説!
大人の障がい ASD 自閉スペクトラム症って? 『大人の障がい動画』では、様々な障がいに焦点を当て、理解と共感を促進していきます。 今回の動画では、ASD(自閉症スペクトラム障害)について詳しく紹介します。 ASDとは? ASDとは、発達障害の一つであり、自閉スペクトラム症といいます。発達障害は生まれつき脳機能に偏りがあり、得意な分野と苦手な分野に大きな差が生じるのが一つの特徴です。生まれつきといわれていますが、現在は「大人の発達障害」という言葉もあり、大人になってからASDの症状で病院を受診する方が増えています。 ASDは、コミュニケーション障害や、非常に強いこだわりが見られたりします。人によっては「感覚過敏」という特性もあり、聴覚や視覚などが過敏に反応して、通常の生活を送れない方もいます。大人のASDの原因は明らかになっていません。生活習慣の乱れや過剰なストレスが、ASDと似た症状を引き起こすことはあります。 主な症状 主な症状は「コミュニケーションの障害」と「非常に強いこだわり」です。コミュニケーションの障害は、「相手との距離がわからない」「あいまいなことがわからない」「冗談が理解できない」などがあります。あいまいなことがわからないので、「少し」「しばらく」という言葉や、空気を読むことがむずかしいです。 コミュニケーションが仕事で必要になってくると、指示が伝わらなかったり、暗黙のルールを守れなかったりして、仕事に支障をきたしてしまいます。「非常に強いこだわり」には、「同じ行動を繰り返す」「集中するとまわりが見えなくなる」「物事をおこなう順番にルールがある」などがあります。 臨機応変な対応ができないため、集団行動が苦手である方が多いです。強いこだわりにより、同じものばかり食べる「偏食」になったり、聴覚や視覚などの五感が敏感になり、外を歩けなくなり、健康生活そのものに影響をおよぼすケースがあります。 治療方法について ASDなど発達障害は生まれつきのものとされており、根本的な治療はありません。ASDによる困りごとを改善するために、「環境調整」「心理療法」「薬物療法」の3つをおこないます。 環境調整とは、自分の得意・苦手を知り、苦手なことが起こらないように環境を整えることです。「苦手なことが起こる状況を避ける」「ASDの特性を家族や周囲に伝えて配慮をお願いする」などがあります。ASDの心理療法には「認知行動療法」がよく使われます。認知行動療法は、物事にたいしての感じ方や考え方を改善し、ストレスをへらしていく方法です。薬物療法は、ASDを根本的に治すものではなく、ASDによる困りごとを薬で改善するものになります。 ASDにより不安障害や睡眠障害が起こっている場合は、不安障害や睡眠障害の治療を目的に薬を使用します。あくまで薬は最後の手段であり、基本的な治療は「環境調整」と「心理療法」が中心です。
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