2024.05.09

障がいの種類ってどのくらいあるの?障がい者手帳と様々なマーク

障がい者の手帳には、その人の障がいの種類や程度が記載されており、これを見ることで彼らのニーズを理解しやすくなります。初対面の人に直接手帳を見せることは難しいかもしれませんが、企業や組織にとっては、障がい者の手帳に書かれている等級を理解しておくことは重要です。

 

手帳の種類

身体障がい者手帳:1級~6級(1級が最も重い)

療育手帳:A(重度・最重度)・B(軽度・中等度)

精神障がい者保健福祉手帳:1級~3級(1級が最も重い)

 

これらの手帳の等級は、障がいの程度や支援の必要性を示す重要な指標です。障がい者の雇用を促進する際には、これらの情報を理解して適切なサポートを提供することが不可欠です。

 

身体障がい者手帳

身体障がい者手帳には、身体障がい者の基本情報が記載されており、その等級によって障がいの程度が分類されています。この手帳では、1級から6級までの等級が設けられていますが、7級の場合は交付されないことが一般的です。

 

障がいごとに詳細な基準が設けられている

この手帳が他の手帳と異なる点は、障がいごとに詳細な基準が設けられ、障がいの程度に合わせて等級が割り当てられていることです。このような細かい分類があることで、障がい者の状況やニーズをより正確に把握し、適切な支援や配慮を行うことが可能になります。

 

視覚障がいの場合

身体障がい者手帳には、身体障がい者の基本情報が詳細に記載されており、その等級によって障がいの程度が分類されます。視覚障がいの場合も、等級ごとに障がいの程度が具体的に示されています。

1級から6級までの等級があり、その基準は以下の通りです。

 

  • 1級:両眼の視力の和が0.01以下
  • 2級:両眼の視力の和が0.02以上0.04以下、または両眼の視野が10度以内でかつ両眼による視野について視能率による損失率が95%以上
  • 3級:両眼の視力の和が0.05以上0.08以下、または両眼の視野が10度以内でかつ両眼による視野について視能率による損失率が90%以上
  • 4級:両眼の視力の和が0.09以上0.12以下、または両眼の視野が10度以内
  • 5級:両眼の視力の和が0.13以上0.2以下、または両眼による視野の2分の1以上が欠けている
  • 6級:一眼の視力が0.02以下、他眼の視力が0.6以下のもので、両眼の視力の和が0.2を超える

 

このように、身体障がい者手帳には視覚障がいの程度が細かく分類されており、障がい者のサポートや配慮に役立ちます。

 

身体障がい者手帳の交付者数

厚生労働省の「令和3年度福祉行政報告例」によると、身体障がい者手帳の交付者数は491万98人で、その障がいの種類別に見ると、視覚障がい、聴覚・平衡機能障がい、音声・言語・そしゃく機能障がい、肢体不自由、内部障がいが挙げられます。

 

身体障がい手帳の種類別に見た交付者数

視覚障がい:32万2,310人

聴覚・平衡機能障がい:44万3,013人

音声・言語・そしゃく機能障がい:5万9,240人

肢体不自由:246万2,523人

内部障がい:162万3,012人

 

特に注目すべきは、肢体不自由や内部障がいの交付者数が多いことです。企業が障がい者雇用を進める際には、このような事実を踏まえて、肢体不自由の人の雇用を検討することが重要です。バリアフリー対応やアクセシビリティを考慮した環境整備が、障がい者の雇用機会を拡大し、社会参加を促進する一助となります。

 

療育手帳

知的障がい者が所持する療育手帳の等級は、基本的にAとBの二段階に分かれています。以下は、IQに応じて等級が分けられる例です。

 

療育手帳の等級と障がいの程度

■等級A

交付者数:42万8,890人

重度(IQが約20~35)最重度(IQが約19以下)

(1)IQが概ね35以下で、次のいずれかに該当する

  • 食事、着脱衣、排便、洗面などの日常生活の介助を必要とする
  • 異食、興奮などの問題行動がある

(2)IQが概ね50以下で、盲、ろうあ、肢体不自由などがある

 

■等級B

交付者数:78万4,173人

軽度(IQが約50~70)・中等度(IQが約36~49)

 

知的障がい者の療育手帳の等級は、心理判定員が本人や保護者から聞いた生育歴や日常生活での知的発達の状態と知能検査から診断し、精神科医などとの協議で総合判定されます。18歳未満と18歳以上では判定基準が異なることもあります。

 

療育手帳の交付者数

厚生労働省の「令和3年度福祉行政報告例」によると、療育手帳の交付者数は121万3,063人ですが、そのうち約80万人がB等級となっています。

Aの知的障がい者は、就労継続支援事業所で働くことが一般的です。そのため、一般企業で雇用する障がい者は、交付者数も多いB(軽度~中等度)の人になる可能性が高いでしょう。

 

精神障がい者保健福祉手帳

精神障がい者が所持する精神障がい者保健福祉手帳の等級は、1級から3級までの3段階で、1級が最も重くなっています。

 

■1級

交付者数:13万2,163人

精神障がいによって、周囲の人の援助がなければ、自力では生活をほとんど送ることができない

  • 外出が付き添いが必要である
  • 食事の準備や片付けが一人ではできない
  • 金銭管理が難しい

 

■2級

交付者数:74万3,152人

精神障がいによって、必ずしも周囲の人の援助が必要ではないが、日常生活は困難である

  • 付き添いなしで外出できるが、ストレスがかかる出来事が起こると、一人で対処できない
  • 自発的かつ適切に清潔さを保持するのが難しい
  • 日常生活で適切な発言ができないことがある

 

■3級

交付者数:38万8,145人

精神障がいによって、社会生活に一定の制限かかかる、もしくは制限をかける必要がある

  • 日常的な家事はできるが、状況や手順が変わると、対応できないことがある

 

等級は、精神保健福祉センターで、精神障がいによって「どのような症状が出て、どの程度の支障をきたすのか」を基準に判定されます。

厚生労働省の「令和3年度衛生行政報告例」によると、精神障がい者保険福祉手帳の交付者数は126万3,460人で、その内訳では2級交付者の割合が多くなっています。

一般企業では、2~3級の精神障がい者や、精神障がい者保健福祉手帳は所持していないものの、精神障がいを抱える人を雇用する機会が多いでしょう。

マークでわかる障がいの種類

手帳の等級を見れば障がいの程度はわかります。しかし、その人が障がい者手帳を所持しているかどうかはすぐにはわかりません。そこで、見ただけで障がいの種類を知ることができる、以下の6つのマークをご紹介します。

 

障がい者のための国際シンボルマーク: すべての障がい者

身体障がい者標識(身体障がい者マーク): 肢体不自由の人

盲人のための国際シンボルマーク: 視覚障がいがある人

聴覚障がい者標識(聴覚障がい者マーク): 聴覚障がいがある人

ハート・プラスマーク: 内部障がいがある人

ヘルプマーク: 内部障がい者をはじめ、外見ではわからなくても、援助や配慮を必要としている人

 

障がい者に寄り添う姿勢を示すマークも合わせてご紹介するので、ぜひ参考にしてみましょう。

 

障がい者のための国際シンボルマーク

障がい者のための国際シンボルマークは、車椅子を利用する障がい者だけではなく、すべての障がい者が利用できる世界共通のシンボルマークです。

 

周囲の人々に配慮を促す役割

個人の車に付いている場合、障がい者が乗車していることを周囲に知らせています。障がい者だからといって、道路交通法上の規制を免れるなどの法的効力はありませんが、周囲の人々に配慮を促す役割があります。

 

障がい者が利用できる施設であることを示す

また、建物や施設に付いている場合、障がい者が利用できる施設であることを示しています。バリアフリーであることや、障がい者への配慮がされていることを示す重要なシンボルとなっています。

 

身体障がい者標識(身体障がい者マーク)

身体障がい者標識(身体障がい者マーク)は、肢体不自由であることを理由に、免許に条件がある方が運転する車に表示するマークです。

このマークを付けた車に対して、幅寄せや割り込みを行った運転者は、危険防止のため、やむを得ない場合を除いて、道路交通法によって罰せられます。肢体不自由の人の運転を妨げないように、身体障がい者標識(身体障がい者マーク)を見たら、思いやりのある運転を心がけましょう。

 

盲人のための国際シンボルマーク

盲人のための国際シンボルマークは、視覚障がいがある人への配慮した対応ができる設備(信号機など)や機器についている世界共通のマークです。視覚障がい者が身に着けているマークではありませんが、このマークのそばには視覚障がい者がいる場合があるので、配慮しましょう。

 

聴覚障がい者標識(聴覚障がい者マーク)

聴覚障がい者標識(聴覚障がい者マーク)は、聴覚障がいがあることを理由に免許に条件がある人が運転する車にマークを表示することが義務付けられています。このマークを付けた車に幅寄せや割り込みを行った運転者は、危険防止のため、やむを得ない場合を除いて、道路交通法によって罰せられます。

 

ハート・プラスマーク

ハート・プラスマークは、見た目ではわかりませんが、心臓機能や呼吸器機能などの内部障がいがある人が着用しています。内部障がい者は電車などの優先席に座りたい、障がい者用駐車スペースに停めたいといった希望を持つことがありますので、このマークを見かけたら配慮を心がけましょう。

 

ヘルプマーク

ヘルプマークは、内部障がいがある人や義足の人、人工関節を使用している人、難病の人、妊娠初期の人など、外見からはわからない場合でも援助や配慮を必要としている人が身に着けられるマークです。ヘルプマークを身に着けた人を見かけたら、席を譲る、声をかけるなど、思いやりのある行動を心がけましょう。

まとめ

手帳の等級を見れば障がいの程度はわかりますが、その人が手帳を所持しているかどうかはすぐにはわかりません。そのため、見ただけで障がいの種類を知ることができるマークが存在します。これらのマークを理解し、障がい者のニーズに寄り添うことが、より包括的な支援を提供する上で重要です。

 

参考

障がいの種類は?わかりやすく分類するなら身体・知的・精神の3種類

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