2024.05.08

腹式呼吸の効果!朝晩2回やるだけで変わる?健康を守るために知っておきたいこと

天野篤さんは、多くの研究で心拍数が高い人は突然死しやすいことがわかっていると指摘しています。そして、朝晩の腹式呼吸は適度な運動になるうえ、平均心拍数を安定させるのにも効果的だと述べています。

つまり、日常的に腹式呼吸を取り入れることで、突然死のリスクを下げることができるかもしれません。このことは、私たちが自分の健康を守るために積極的な行動を取る上で重要な示唆となります。

 

適度な運動が突然死のリスクを低減する

2021年2月に公表されたデンマークの研究によれば、適度な運動が突然死のリスクを低減することが示されました。身体活動が中程度の人は、座りがちな人と比べて心筋梗塞後の突然死リスクが33%低く、身体活動が高度の人はさらに45%低下していたそうです。

 

身体活動の強さ「メッツ(METs)」

この研究では、身体活動の強さを「メッツ(METs)」という単位で示しています。通常、座っている状態が1メッツで、普通の歩行が3メッツとされています。厚生労働省の「健康づくりのための身体基準」でもこの指標が示され、例えば60分の普通の歩行や30分の軽いジョギングが「3.0メッツ」とされています。

 

適度な運動を継続することで心臓病の予防効果が期待できる

この研究において、中程度の身体活動の範囲に該当する1週間の「メッツ」は16.1〜32であり、座りがちな人と比べて明らかに高くなっています。適度な運動を継続することで、心臓病の予防効果が期待できることが示唆されています。

 

適度な運動は重要

心臓にトラブルを抱えている人や生活習慣病がある段階の患者にとって、適度な運動は重要です。しかし、コロナ禍により外出が減り、運動量が激減している人も多いでしょう。そのような状況下でおすすめしたいのが「呼吸法」です。

 

ロングブレスなどの「腹式呼吸」

美木良介さんが考案した「ロングブレス」は、鼻から強く吸って口で長く吐く呼吸法で、筋肉を効率的に増やして脂肪を減らす効果があると言われています。

この呼吸法は今でも高い人気を誇りますが、他にもさまざまな呼吸法が存在します。どれを実践すればいいのか迷ってしまうかもしれませんが、心臓の健康を維持するためには「腹式呼吸」が効果的であるということを覚えておくと良いでしょう。

 

肺の血流が促進され心臓も活発に動く

われわれが日常で行っている呼吸は「胸式呼吸」と呼ばれ、主に胸を動かします。しかし、腹式呼吸は異なり、胸をあまり動かさず、横隔膜を上下に動かしてお腹を大きく膨らませたりへこませたりする呼吸です。

この動きにより、横隔膜を大きく動かすため一度に吸う量が多くなり、肺にどんどん血液が送られて血流がよくなります。その結果、肺の血流が促進され、心臓も活発に動くことになります。

 

1日朝晩2回行う

腹式呼吸のやり方はいくつもありますが、具体的な例を挙げると、まず、背筋を伸ばしてイスに座り、鼻からゆっくり大きく息を吸い込んでお腹を膨らませます。次に口からゆっくり長く息を吐き出し、お腹をへこませます。吐くときは吸い込む際の倍くらいの時間をかけて行います。この呼吸を3秒かけて吸い、6秒かけて吐くイメージで行います。これを5回ほど繰り返すのを1セットにして、1日朝晩2回行うとよいでしょう。

 

腹式呼吸は心臓の健康維持に有益

腹式呼吸は、心臓に適度な負荷をコンスタントにかけるため、心臓突然死の予防効果があるとされています。また、日頃から呼吸法を行うことで、呼吸が整い、平均心拍数が低くなることも報告されています。多くの研究で、心拍数が高い人は突然死しやすいことが示されており、その点からも腹式呼吸は心臓の健康維持に有益と言えます。

 

「インナーマッスル」が鍛えられることも心臓に良い影響を与える

腹式呼吸によって内臓を包んでいる「インナーマッスル」が鍛えられることも心臓に良い影響を与えます。これらの深層筋は、脊椎や骨盤を支え、姿勢保持や関節の安定性に関わる筋肉であり、呼吸にも重要な役割を果たしています。

 

湿度の高い場所で実践すると効果が高まる

心臓は血液を全身に送り出すポンプの役割を担っていますが、全身の筋肉、特にインナーマッスルが活発に活動していると、心臓から送り出される血液の受け取り側がしっかりと機能し、血圧が安定するなど心臓の負担が減ります。

さらに、腹式呼吸を湿度の高い場所で実践すると効果が高まります。例えば、お風呂など。また、好みの香りのアロマオイルと組み合わせることで、副交感神経が優位になる効果が期待できます。副交感神経が優位になると、心拍数が抑えられ、血管が拡張して血圧も低下するのです。

日頃から心拍数や脈拍数を計測して把握しておくことが重要

心臓の健康管理に呼吸法を取り入れる場合、日頃から心拍数や脈拍数を計測して把握しておくことが重要です。さらに、血中の酸素飽和度を計測するパルスオキシメーターを使用し、腹式呼吸を何回行うと最大値に到達するかを確認することも有益です。

自分に最適な呼吸法を見つけるためには、呼吸の速度や回数を試行錯誤しながら実践することが重要です。これによって心臓を守るだけでなく、突然の身体への負担にも備えることができます。

 

ウイルスから身を守る最善の手段

新型コロナウイルス感染症は、2023年に感染症法上で5類感染症に指定され、高齢者にとってはまだまだ用心すべき感染症です。日本では、これまで無料で提供されてきたワクチン接種が今後、季節性インフルエンザと同様に、一部負担金を支払っての接種になる見通しです。しかし、新型コロナウイルス感染症の発症や重症化を防ぐ効果は間違いなく、現時点ではウイルスから身を守る最善の手段と言えるでしょう。

 

副反応とワクチン接種との因果関係は明確ではない

一方で、ワクチン接種後に副反応の報告が増えていることも事実です。心血管障がいや脳血管障がい、血栓症が確認されたケースもありますが、現時点ではこれらの副反応とワクチン接種との因果関係は明確ではありません。

 

医師との相談が必要

mRNAワクチンは、タンパク質の設計図である遺伝子情報を投与するタイプの集団接種ワクチンであり、新型コロナワクチンが初めて使用されることから、副反応についても手探りの状況です。一部の人々で、これまで表面化していなかった心臓や血管のトラブルがワクチン接種を契機に現れる可能性も考えられます。

しかし、ワクチン接種によってもたらされる免疫反応により高熱が出ることもありますが、それが一部の方に健康被害をもたらす可能性もあります。このようなリスクと利益を考慮した上で、個々の医師との相談や情報収集が重要です。

 

ワクチン接種後に血圧が上昇

実際、ワクチン接種後に血圧が上昇するという報告が増えています。さらに、大動脈解離で救急搬送される患者さんも増加しており、これまでは月に1件あるかないかだったのが、多い月では2〜3件に増えた印象があります。大動脈解離は、血管が突然裂けて解離し、1度目の発症で突然死する危険がある疾患です。高血圧で上行大動脈が太くなっている人に多く見られます。

この増加の背景には、コロナ禍の自宅待機が血圧管理の不足を招いている可能性もあります。また、ワクチン接種による血圧上昇が影響している可能性も否定できません。しかし、その因果関係を明らかにするには、より詳細な調査が必要です。

 

医師との相談を通じて最善の選択を行う

ただし、ワクチンは新型コロナからの防御に非常に効果的です。したがって、心臓や血管にトラブルが起こる可能性があることを考慮し、ワクチン接種に臨む前に対策を講じることが重要です。リスクと利益のバランスを考慮し、医師との相談を通じて最善の選択を行うことが理想的です。

 

自分の体の基礎データをきちんと把握しておく

まずは心臓ドックなどの検査を受けて、自分の体の基礎データをきちんと把握しておくことが重要です。心臓血管系では心電図、心エコー、心臓CTの3つの検査で正常なのか異常があるのかがわかります。

これにプラスして頭部MRIで脳血管の状態を確認しておけば安心です。血管トラブルが起こったときに命にかかわるのは心臓、脳、大血管ですから、検査を受けて自分がそれぞれどんなリスクを抱えているのかをチェックしておきましょう。

 

血圧を日頃から定期的に測る

また、血圧を日頃から定期的に測り、把握しておくことも大切です。ワクチン接種後に血圧が上がるケースが多く見られるため、日頃からのモニタリングが重要です。

病院で計測した場合、「上の血圧(収縮期血圧)120mmHg未満/下の血圧(拡張期血圧)80mmHg未満」が正常の範囲です。しかし、ワクチン接種後に上が180、下が110を超えるようなら、すぐに医療機関で診てもらうべきです。

この数値は放置すると、3年後には人工透析が必要なレベルに達する可能性があります。常に血圧をチェックし、異常が見られた場合は早めの対処が重要です。

 

生活習慣が健康に与える影響

私たちの生活習慣は、健康に大きな影響を与えます。食事、運動、睡眠、ストレス管理などの要素が、私たちの身体と心の健康に直接関与しています。ここでは、健康的な生活習慣の重要性と具体的な改善方法について考えてみましょう。


  • 食事

バランスの取れた食事は、健康的な生活の基本です。野菜、果物、たんぱく質、良質な脂肪、繊維質を含む多様な食材を摂取することが重要です。加工食品や砂糖、飽和脂肪を過剰に摂取すると、肥満や心血管疾患などのリスクが高まります。食事の準備を整え、バランスの良い食事を心がけましょう。


  • 運動

定期的な運動は、健康を維持するために不可欠です。有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、サイクリングなど)と筋力トレーニングの両方が、心臓血管系や筋肉の強化に役立ちます。毎日30分の運動を目指し、生活に取り入れることが大切です。


  • 睡眠

十分な睡眠を確保することは、身体と心の健康にとって重要です。睡眠不足はストレスや不安の増加、免疫機能の低下などにつながります。規則正しい睡眠環境を整え、7〜9時間の睡眠を確保しましょう。


  • ストレス管理

ストレスは身体に様々な悪影響を与えます。心臓疾患や消化器系の問題、睡眠障がいなどがその一例です。ストレスを軽減するためには、リラックス法やマインドフルネス、趣味に時間を割くことなどが有効です。また、ストレスの原因を明確にし、解決策を見つけることも大切です。


  • 健康チェック

定期的な健康チェックは、健康維持に欠かせません。定期健康診断や歯科検診、視力検査などを受け、早期発見・治療に努めましょう。

 

健康的な生活習慣は、健康や幸福感を築くための基盤です。自分の生活習慣を見直し、健康を意識した行動を取ることで、豊かな人生を送ることができます。

まとめ

自分の健康を守るためには、日々の生活習慣に注意を払うことが不可欠です。腹式呼吸などの簡単な呼吸法を取り入れ、定期的な検査や血圧のモニタリングを行うことで、心臓や血管の健康管理に一歩近づくことができます。リスクと利益を考慮した上で、医師との相談を通じて最善の選択を行い、健康な生活を送りましょう。

 

参考

朝晩2回だけで"突然死リスク"を下げられる…上皇陛下の執刀医が「座りがちな人」に勧める生活習慣 腹式呼吸と血圧測定で心臓と血管を守る #プレジデントオンライン

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