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障がい者が障がい者の課題解決を行う新しいコミュニティ 「凸凹村」「村長乙武洋匡の対談部屋 旅の障がい シリーズ②」公開!
「凸凹村」が本格始動!「村長乙武洋匡の対談部屋 シリーズ②」が公開されました!
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▽【乙武村長の対談部屋】三代達也さん 旅する前に聞いておきたい「よくある旅の障がい」って何? 旅の障がい シリーズ② 【凸凹村】
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▽乙武村長対談部屋 三代さん シリーズ② #障がい者 #乙武洋匡 #凸凹村 #三代達也
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凸凹村とは?
障がい者の方達が自由な交流と、みんなで課題解決を行う新しいコミュニティ、 それが「凸凹村」です。
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厚生年金加入者のための障がい厚生年金ガイド:受給条件と金額をわかりやすく解説!
不慮の事故や突然の病気などで障がいが残ってしまった方の中には、様々な疑問を抱えている方が多いでしょう。
障がい者が受け取れる厚生年金とは、不慮の病気やケガで一定の障がいが残った際に、初診日時点で厚生年金に加入している場合に支給されるものです。
通常の厚生年金(老齢厚生年金)は原則として65歳から支給開始ですが、障がい厚生年金は20歳に達していれば、障がい認定日の翌月分から受け取ることができます。このことは、一般的にも意外と知られていないことです。
障がい等級1級・2級・3級の方が「障がい厚生年金」を受給できる
どの年金を受け取れるのか以下にわかりやすく示すと、障がい等級1級・2級・3級の方が「障がい厚生年金」を受給できます。また、3級より軽い場合には「障がい手当金(一時金)」を受け取れる可能性があります(ただし一回のみ)。
障がい厚生年金を受給するための条件
障がい厚生年金を受給するための条件としては、初診日時点で厚生年金の被保険者であること、障がい認定日において一定の障がい状態に該当すること、そして保険料納付要件を満たしていることが必要です。
具体的には、初診日の前日において初診日の属する月の前々月までに被保険者期間のうち3分の2以上の期間、保険料を納付していること、または一定の免除期間があることが条件です。
出典:障がい者が受け取れる厚生年金は?加入者が知るべき年金種別と受給条件
判定は非常に複雑
しかしながら、「障がい厚生年金」を受給するための要件を満たしているかの判定は非常に複雑です。さらに、受給手続きも煩雑で時間がかかるため、事前に正しく理解しておかなければ、受給タイミングが遅れて損をしてしまう可能性があります。
そこでこの記事では、厚生年金に加入していた方が受け取れる年金の種類や金額について、等級ごとにわかりやすく解説します。また、受給要件についても詳しく説明し、判断して申請できるようサポートします。
例えば、以下のフローチャートを利用すれば、自分が厚生障がい年金を受け取れるのかを簡単に判断できるでしょう。
「自分はどの年金がいくらもらえるのだろうか?」「受け取る条件を満たしているのか?」という疑問をお持ちの方は、ぜひ最後までお読みいただき、ご参考にしてください。
障がい者が受け取れる厚生年金「厚生障がい年金」とは
障がい者の方は、厚生年金に加入している間(=厚生年金の被保険者である間)に病気やケガなどで1級・2級・3級に該当する障がい認定された場合に、厚生年金を受け取ることができます。これを「厚生障がい年金」といいます。
障がい厚生年金の対象となる病気・ケガの例
外部障がい
眼、聴覚、音声または言語機能、肢体(手足など)の障がいなど
精神障がい
統合失調症、双極性障がい、認知障がい、てんかん、知的障がい、発達障がいなど
内部障がい
呼吸器疾患、心疾患、腎疾患、肝疾患、血液・造血器疾患、糖尿病、がんなど
障がい等級1級・2級・3級の目安
1級
他人の介助を受けなければ日常生活のことがほとんどできない状態
身の回りのことはかろうじてできるものの、それ以上の活動はできない方(または行うことを制限されている方)・入院や在宅介護を必要とし活動の範囲がベッドの周辺に限られる方
2級
必ずしも他人の助けを借りる必要はなくても日常生活は極めて困難で、労働による収入を得ることができない状態
家庭内で軽食を作るなど軽い活動はできてもそれ以上重い活動はできない方(または行うことを制限されている方)・入院や在宅で活動の範囲が病院内・家屋内に限定される方
3級
労働が著しい制限を受けるまたは労働に著しい制限を加えることを必要とする状態
日常生活にはほとんど支障はないが労働には制限がある方
※障がい者手帳の等級と障がい年金の等級は異なります。
通常の厚生年金(老齢厚生年金)は原則として65歳から支給開始ですが、障がい厚生年金は20歳に達していれば、障がい認定日の翌月分から受け取ることができます。
ただし、初診日に厚生年金に加入していること、一定期間以上の加入期間があること、国民年金の保険料を一定期間以上しっかり払っていることなどが条件となります。
具体的には、以下の全てを満たしている場合に、厚生障がい年金を受け取ることができます。
障がい厚生年金の受給要件
障がいの原因となった病気やケガの初診日
初診日に、厚生年金に加入していた
障がいの状態
障がい認定日に、障がい等級表に定める1級・2級・3級のいずれかに該当している
(障がい認定日に障がいの状態が軽くても、その後重くなったときは、障がい厚生年金を受け取ることができる可能性があります)
国民年金などの納付済期間
初診日の前日に、初診日がある月の前々月までの被保険者期間で、国民年金の保険料納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む)と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あること
ただし、初診日が令和8年4月1日前にあるときは、初診日において65歳未満であれば、初診日の前日において、初診日がある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよいことになっています。
一方で、初診日に厚生年金に加入していなかった方や、障がい等級が4級以上の方、保険料の納付済期間が足りていない場合には、残念ながら厚生障がい年金がもらえません。
厚生年金加入中に障がい認定された方がもらえる年金の一覧
ここからは、厚生年金加入中に病気やケガなどで障がいが残った方がもらえる年金について、さらに詳しく解説していきます。1級・2級の方と、3級の方は、もらえる年金の構成が違うため、注意が必要です。
出典:障がい者が受け取れる厚生年金は?加入者が知るべき年金種別と受給条件
※報酬比例額の計算において、被保険者期間300カ月みなし措置あり
※3級より軽い場合に障がい手当金(一時金)を受けられる場合あり
※参考:厚生労働省「[年金制度の仕組みと考え方]第12 障がい年金」
障がい等級1級・2級の方:障がい基礎年金+障がい厚生年金がもらえる
障がい等級が1級・2級の方は、障がい基礎年金と障がい厚生年金の両方がもらえます。障がい基礎年金とは、障がいの原因となった病気やケガの初診日が「国民年金に加入している間」(または20歳前、もしくは60歳以上65歳未満)の場合に支給されます。
障がい基礎年金の受給要件
障がいの原因となった病気やケガの初診日
以下のどれかに該当している
(1)初診日に、国民年金に加入していた
(2)初診日に、20歳前だった
(3)初診日に、60歳以上65歳未満だった
障がいの状態
障がい認定日に、障がい等級表に定める1級・2級のいずれかに該当している
国民年金などの納付済期間
初診日の前日において、次のいずれかの要件を満たしている
(1)初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
(2)初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと
障がい等級が1級・2級の方は、障がい厚生年金だけでなく基礎年金も同時にもらえるという手厚い制度となっているので、同時に手続きを進めましょう。
障がい等級3級の方:障がい厚生年金がもらえる
障がい等級3級の方は、障がい基礎年金はもらえませんが、障がい厚生年金のみが支給されます。
なお、3級の障がい厚生年金には「配偶者加給年金」は加算されないので注意しましょう。
障がい等級3級よりも軽い障がいの方:障がい手当金(一時金)がもらえる
厚生年金に加入していた場合、初診日から5年以内に病気やケガが治り、障がい厚生年金を受けるよりも軽い障がいが残ったときには、障がい手当金(一時金)が支給されます。
障がい手当金の受給要件
障がいの原因となった病気やケガの初診日
障がいの原因となった病気やケガの初診日
初診日に被保険者であったこと
病気やケガの状態
・初診日から起算して5年を経過する日までに、傷病が治っている(症状が固定している)こと
・治った日に、政令で定める程度の障がいの状態(※)にあること
国民年金などの納付済期間
初診日前日において、初診日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があるときは、その被保険者期間のうち保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が3分の2以上あること
ただし、初診日が令和8年4月1日前にあるときは、初診日において65歳未満であれば、初診日の前日において、初診日がある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよいことになっています。
政令で定める程度の障がいの状態とは、以下の状態です。
両眼の視力が0.6以下に減じたもの
一眼の視力が0.1以下に減じたもの
両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
両眼による視野が二分の一以上欠損したもの又は両眼の視野が10度以内のもの
両眼の調節機能及び輻輳(ふくそう)機能に著しい障がいを残すもの
一耳の聴力が、耳殻に接しなければ大声による話を解することができない程度に減じたもの
そしやく又は言語の機能に障がいを残すもの
鼻を欠損し、その機能に著しい障がいを残すもの
脊柱の機能に障がいを残すもの
一上肢の三大関節のうち、一関節に著しい機能障がいを残すもの
一下肢の三大関節のうち、一関節に著しい機能障がいを残すもの
一下肢を3センチメートル以上短縮したもの
長管状骨に著しい転位変形を残すもの
一上肢の二指以上を失つたもの
一上肢のひとさし指を失つたもの
一上肢の三指以上の用を廃したもの
ひとさし指を併せ一上肢の二指の用を廃したもの
一上肢のおや指の用を廃したもの
一下肢の第一趾又は他の四趾以上を失つたもの
一下肢の五趾の用を廃したもの
前各号に掲げるもののほか、身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障がいを残すもの
精神又は神経系統に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障がいを残すもの
「障がい等級1級~3級の状態ではないから年金対象外」と思わず、障がい手当金(一時金)の対象かどうか今一度確認してみましょう。
まとめ
障がい厚生年金を受給するためには、さまざまな条件や手続きが必要で、その内容は非常に複雑です。しかし、正しい情報を事前に把握しておくことで、受給タイミングを逃さず、安心して申請を進めることができます。この記事を参考に、ご自身の状況に応じた年金の受給条件や手続きをしっかりと確認し、必要なサポートを受けてください。困ったときには専門家に相談することも検討しながら、確実に権利を守っていきましょう。
参考
障がい者が受け取れる厚生年金は?加入者が知るべき年金種別と受給条件
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障がい者が障がい者の課題解決を行う新しいコミュニティ 「凸凹村」「村長乙武洋匡の対談部屋」公開
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障がいの種類ってどのくらいあるの?身体・知的・精神の3種類:精神障がい
内閣府の「障がい者の状況」によると、1,000人あたり49人が精神障がいを抱えているとされており、その数は決して少なくありません。この統計は、精神障がいが我々の身近な存在であることを示しています。そのため、社会全体がこの問題に対処し、適切な支援や理解を提供することが重要です。
精神障がい
精神障がい者は、以下のように分類できます。
統合失調症
気分障がい
非定型精神病
てんかん
中毒精神病
器質性精神障がい(高次脳機能障がいを含む)
発達障がい
統合失調症の理解を深める
統合失調症は、幻覚や妄想などの症状が現れる疾患で、生活を著しく困難にすることがあります。その症状は以下の通りです。
統合失調症の症状
■陽性症状
幻聴や自己批判の声が聞こえること
現実と異なる信念を強く持つこと
被害妄想にとりつかれること
自己中心的な考え方
■陰性症状
意欲の低下や興味の喪失
疲労感や集中力の低下
日常生活への関心の低下
これらの症状が現れると、統合失調症の人は考えをまとめるのが難しくなり、社会との関わり合いも困難になることがあります。
統合失調症の原因は完全には解明されていませんが、発症率は比較的高く、約100人に1人がこの疾患にかかると推定されています。
統合失調症の精神障がい者への配慮ポイント
社会との接点を保つことが治療に役立つため、病気を理解し、その人が仕事に就くことを支援する。
ストレスや環境の変化に敏感なため、ストレスの少ない環境で同じ仕事を続けられるよう配慮する。
情報の過剰な提示は混乱を招く可能性があるため、整理された情報をゆっくりと具体的に伝える。
症状が悪化したときは無理をさせず、休憩を取ったり、速やかに主治医を受診するよう促す。
統合失調症の人に接する際は、「やる気がない」「目も合わせない」といった印象にとらわれるのではなく、病気を理解し、適切なサポートを提供することが大切です。
気分障がい
気分障がいとは、主に気分の波が現れる病気のことで、症状は以下の通りです。
■うつ状態
気分が強く落ち込む
何事にもやる気が出ない
疲れやすい
考えが働かない
自分が価値のない人間のように思える
死ぬことばかり考えてしまい、実行に移そうとする
■躁状態
気持ちが過剰に高揚する
普段ならあり得ないような浪費をする
ほとんど眠らずに働き続ける
ちょっとしたことにも敏感に反応し、他人に怒りっぽくなる
自分は何でもできると思い込んで、人の話を聞かなくなる
気分障がいの人々は、日々の気分の波に苦しみながら生活しています。配慮とサポートが必要なときに提供されると、彼らはより健康的な生活を送ることができます。
気分障がいの精神障がい者への配慮ポイント
うつ状態のときは無理をさせず、休憩したり、早退できるようにする。
躁状態のときは、安全管理に気を付ける。
自傷行為や自殺念慮の可能性がある場合は、本人の安全を最優先に考え、専門家に迅速に相談する。
薬物療法の継続は症状の改善に不可欠です。そのため、症状が見られる際には無理をせず、安全面に配慮することが大切です。
非定型精神病
非定型精神病とは、ストレスによって急に発症して、統合失調症や気分障がいのような症状が出るものの、比較的短期間で症状が治まる病気のことで、以下のような症状が見られます。
非定型精神病の症状
■初期
不眠・不安などの状態が続く
躁状態から急にうつ状態になることが多い
■症状が進むと
幻聴か聞こえる
突然意識が混とんする
夢の中にいるような状態になる
非定型精神病の精神障がい者への配慮ポイント
ストレスが原因のため、その人にストレスがかかりにくい環境で、同じ仕事内容を続けられるようにする。
症状が短い間隔で変動しやすいため、様子を見守る。
比較的短期間で寛解状態に至るので、症状が出ているときは無理させず、休憩や早退できるようにする。
病気を理解し、早く症状が落ち着くように、できるだけストレスがかかりにくい職場作りをサポートすることが大切です。
てんかん
てんかんは、脳の一部が一時的に過剰に興奮することで発作が起きる病気です。発作には以下のような症状が見られます。
てんかんの発作で見られる症状
けいれんを伴う
突然意識を失う
意識はあるが、認知の変化を伴う
しかし、発作が起こっていないほとんどの時間は、普通の生活が可能です。
てんかんの精神障がい者への配慮ポイント
発作がコントロールされている場合は、過剰に制限しないことが大切です。彼らが普通の生活を送れるようにサポートしましょう。
発作が起こる可能性がある場合は、高所作業や刃物を使った作業を避けるよう配慮しましょう。安全面を考慮して行動しましょう。
発作が起こってしまった場合は、まず本人の安全を確保し、その後で専門機関に相談することが重要です。彼らが安心して適切な対応を受けられるようサポートしましょう。
てんかんのある人のうち70~80%は内服治療で発作をコントロールしているため、彼らのコントロール状況を確認することが重要です。
中毒精神病
中毒精神病は、アルコールや睡眠薬、シンナーなどの薬物を過剰に摂取することで引き起こされる精神障がいです。以下はその症状です。
中毒精神病の症状
意識障がい
躁うつ状態
幻覚や妄想状態
この状態になると、摂取を繰り返さないと満足できない依存症に陥ることがあります。これは家庭生活や社会生活に悪影響を及ぼすことがあります。
中毒精神病や依存症の精神障がい者への配慮ポイント
本人が病気だという認識を持っていない場合があるため、専門機関への受診を促すことが重要です。
他者から非難されると、現実から逃れるためにアルコールや薬物に一層依存する可能性があるため、アドバイスは控えましょう。
一度症状がおさまっても、再発する可能性があるため、根気よく見守ることが必要です。
相手を非難せず、専門機関の治療や助言に頼り、根気よくサポートすることが大切です。
器質性精神障がい
器質性精神障がいは、脳が損傷することによって引き起こされる精神障がいで、様々な症状が現れます。
器質性精神障がいの症状
■記憶障がい
短期記憶が弱く、すぐに忘れることがある
新しい情報や出来事を覚えられない
同じことを何度も尋ねることがある
■注意障がい
集中力が続かず、簡単に気が散る
ぼんやりしており、ミスが多い傾向がある
■遂行機能障がい
計画を立てて実行する能力が低く、物事の順序を立てられないことがある
効率的な作業が難しく、タスクの遂行が困難になることがある
■社会的行動障がい
些細なことで怒りっぽくなり、興奮することがある
こだわりが強く、自分の意見や欲求を主張する
我慢ができず、欲しいものを即座に求めることがある
思い通りにならないと感情的になり、時には暴力を振るうことがある
病識欠如も起こり、自身の問題に気づかず、行動に問題を生じさせることがあります。さらに、失語症や運動障がい、感覚障がいなどの症状が同時に現れることもあります。外見からはわかりにくく、「見えない障がい」とも言われます。
器質性精神障がい者への配慮ポイント
■記憶障がい
手がかりがあると思い出しやすいので、手帳やメモ、アラームを利用してもらう
器質性精神障がい発症前の知識や経験を活かす
■注意障がい
短時間なら集中できる場合があるので、こまめに休憩時間を設ける
ミスを防げるように、順番を決めて仕事に取り組んでもらう
■遂行機能障がい
手順を書いた紙を目に付くところに掲示する
スケジュール表を見ながら行動してもらったり、チェックリストを利用する
■社会的行動障がい
感情をコントロールできないときは、話題や場所を変える
事前に話し合ってルールを決めておく
その人に合わせて配慮すれば、トラブルが起こりにくくなるでしょう。
まとめ
精神障がいは多様であり、その中には統合失調症、気分障がい、中毒精神病、器質性精神障がい、そして非定型精神病など、さまざまな病態が含まれます。これらの症状は、個々の人々によって異なりますが、理解と配慮がその人々がより豊かな生活を送るための重要な要素であることは間違いありません。
参考
障がいの種類は?わかりやすく分類するなら身体・知的・精神の3種類

障がいの種類ってどのくらいあるの?身体・知的・精神の3種類:身体障がいPart2
身体障がい者は、外見からでも判断できる場合もありますが、他の障がいについてはその特徴や分類がなかなか理解しづらいものです。
聴覚と平衡機能の障がいについての配慮と理解は、多様性と包摂の原則に基づく社会の重要な側面です。障がい者への配慮は、彼らが社会参加を果たし、自己実現を図るための支援を提供することを目指します。
聴覚と平衡機能の障がいについて
聴覚障がいの種類
聴覚障がいは、原因となる病変が聴覚組織のどこで起こっているかによって、以下の3つに分類されます。
伝音性難聴
外耳から中耳にかけての障がいによる難聴です。補聴器の活用などで会話できることが多いです。
混合性難聴
伝音性と感音性の両方の原因による難聴です。
感音性難聴
内耳から聴神経、脳に至るまでの障がいによる難聴です。音が歪んで聞こえるため、大声で話されると余計に言葉が認識できなくなります。
特に感音性難聴は、話し声を大きくすることで解決できるものではないため、配慮が必要です。
聴覚障がいの程度
聴覚障がいの程度には、以下のような分類があります。
軽度:紙に鉛筆で文字を書く音や、静かな会話などが聞こえにくい
中度:普段の会話が聞こえにくい
高度:大きな声でも聞こえにくい
ろう:耳元の大きな声でも聞こえにくく、日常会話が聞こえない
これらの程度に応じて、補聴器や聴導犬などの補助具を活用して聴覚情報を補うことがあります。
聴覚障がいのアイデンティティ
聴覚障がい者には以下の3つのアイデンティティがあり、それぞれ異なるコミュニケーション手段が求められます。
■ ろう者
先天性の障がいなどにより、音声言語を習得する前に聴覚障がいを負った
手話を主に利用する
■ 中途失聴者
音声言語を習得した後に後天性の障がいで聴覚障がいを負った
手話、読唇、筆談、パソコンやスマホのチャット機能などを組み合わせて利用する
■ 難聴者
障がいの発覚時期や程度に関わらず、手話や筆談ではなく、残存する聴覚を使ったコミュニケーションを望むことがある
それぞれの個人がどのようなコミュニケーション手段を望んでいるかを尊重し、適切な配慮を行うことが重要です。
平衡機能障がいについて
平衡機能障がいの症状は様々ですが、一般的な症状は以下の通りです。
■平衡機能障がいの症状
頭や足元がふらつく、めまいや不快感を感じる
話しにくい、飲み込みにくい
通常、人間の体は目からの情報、両耳の内耳感覚、足底の感覚などを脳に送り、その情報を統合して体の動きを調整しています。しかし、耳や脳の疾患によってこの指令が正常に伝達されなくなると、平衡機能障がいが生じます。
個々の症状や程度は人それぞれ異なるため、その人の状態について丁寧に聞くことが重要です。
聴覚または平衡機能障がい者への配慮ポイント
聴覚または平衡機能障がい者への配慮ポイントは以下の通りです。
■ 感音性難聴の場合
むやみに大声で話しかけない
電話対応を避ける
■ 補聴器を利用している場合
できるだけゆっくりと明瞭に話す
複数の人が会話する際は、発言者が手を上げてから話し始める
顔が隠れないようにする(資料やマスクなど)
電話対応を避ける
■ 片側の聴力だけ極度に低い場合
聞こえが良い方に移動して話しかける
■ 平衡機能障がいがある場合
高所作業や人混みを避け、転倒や転落の危険を避ける
障がいの程度や感じ方は個々に異なるため、配慮する際には相手の状況やニーズに合わせることが重要です。
音声機能・言語機能の障がいの具体例
音声機能・言語機能の障がいに関する具体的な例をご紹介します。
■ 喪失
【音声機能】
咽頭の欠損により声を発する能力がない
事故やがんなどにより咽頭に外傷が生じ、声を発することができなくなった
【言語機能】
生まれつき聴覚障がいがあるため、音声言語を理解できない
脳梗塞や脳内出血などの脳血管障がいや交通事故による脳外傷により失語症となり、言語機能が喪失した
■ 障がい
音声機能や言語機能が完全に喪失していないが、話す、聞く、読む、書くことに影響がある
音声機能・言語機能の障がい
音声機能・言語機能の障がいは、咽頭の欠損や脳損傷などにより、声や言語を十分に活用できない状態を指します。
音声機能・言語機能の障がいを負うと、音声や言語のみを用いた意志の疎通が困難になります。言語機能の障がいでは、話す、聞く、読む、書くことに影響が出るため、会話中にわかったふりをするのではなく、その都度聞き返して確認するようにしましょう。
そしゃく機能の障がい
そしゃく機能の障がいは、食べ物を口から摂取するために欠かせない機能に影響を及ぼします。
喪失の例としては、重症筋無力症などの神経・筋疾患によりそしゃくできなくなったり、延髄機能障がいや末梢神経障がいによってもそしゃくが困難になる場合があります。また、外傷や腫瘍切除などによって顎や口腔、咽頭の欠損が生じると、そしゃく機能も影響を受けることがあります。
障がいがある場合、経管栄養や特定の食事形態に依存することが一般的です。例えば、口からの摂取が難しい場合は経管栄養が必要となることがあります。
また、咬合異常による口唇や口蓋裂などの先天異常の後遺症も、そしゃく機能に影響を与える可能性があります。そしゃく機能の障がいを持つ人々には、食事や栄養摂取の方法に配慮する必要があります。
音声機能、言語機能、またはそしゃく機能の障がい者への配慮ポイント
障がいを持つ人々に対する配慮は、その個々のニーズに応じて柔軟に対応することが重要です。以下はその一例です。
■音声機能、言語機能の障がい
筆談やパソコン、スマートフォンのチャット機能を活用する。
大きな声でゆっくりと話しかけ、理解を助ける。
コミュニケーション中には、その都度聞き返しや確認を心がける。
電話応対を避け、代替手段を提供する。
■そしゃく機能の障がい
定期的な通院を容易にし、治療の継続をサポートする。
経管栄養の摂取時間とスペースを確保し、安心して食事を摂れる環境を整える。
職場のイベントや飲み会などの機会も含め、社交的な活動に参加できるような配慮をする。
これらの配慮ポイントは、障がい者がより快適に生活できるようにサポートするためのガイドラインです。それぞれの状況に応じて柔軟に対応し、個々のニーズを最大限に考慮することが大切です。
肢体不自由
肢体不自由は、手や足、体幹などの一部または全部に障がいがある状態を指します。以下にその種類と、それに伴う日常生活の困難な動作を挙げてみましょう。
肢体不自由の種類
■上肢不自由、下肢不自由
全廃:機能を喪失した状態(欠損や切断など)
著障:機能に著しい障がいがある状態
軽障:機能に軽度の障がいがある状態
■体幹不自由
体幹の運動や姿勢維持に関する機能障がいがある状態(脊髄損傷など)
■脳原性運動機能障がい
乳幼児期以前の非進行性の脳病変による運動機能障がい(脳性麻痺など)
肢体不自由の障がい者は、車椅子の利用が一般的であり、日常生活の多くの動作が困難です。
■日常生活の困難な動作
立ち上がること
歩行すること
座ること
食事をすること
着替えること
物を持ち運ぶこと
字を書くこと
これらの動作は肢体不自由の障がい者にとって、日常生活を送る上での重要な挑戦となります。
肢体不自由の障がい者への配慮ポイント
肢体不自由の障がい者に対する配慮ポイントは、彼らが日常生活や仕事をより快適に行えるように配慮することが重要です。以下はその例です。
車椅子が通れる十分な通路スペースを確保する。
入口や室内の段差を解消し、バリアフリーにする。
車椅子に座ったまま仕事ができるように、机の高さを調節する。
棚の上や床面に物を置くのが難しいため、必要な物は手が届く範囲に置く。
一定の体温を維持するのが難しい場合、冷暖房が適温かどうかを確認する。
肢体不自由の障がい者の立場になって職場環境を見直し、彼らが自己実現しやすい環境を整えることが求められます。バリアフリーな環境を整えることで、障がい者も仕事や社会活動に積極的に参加できるよう支援しましょう。
まとめ
障がい者に対する配慮は、そのニーズや個々の状況に応じて柔軟に対応することが欠かせません。肢体不自由の障がい者への配慮や聴覚・平衡機能の障がい者への理解を深めることで、彼らが自分らしい生活を送り、社会参加を果たすことを支援しましょう。
参考
障がいの種類は?わかりやすく分類するなら身体・知的・精神の3種類

障がいの種類ってどのくらいあるの?身体・知的・精神の3種類:身体障がいPart1
障がいの分類には多様なアプローチがありますが、一般的には身体障がい、知的障がい、そして精神障がいの3つに区分されます。身体障がい者は、外見からでも判断できる場合もありますが、他の障がいについてはその特徴や分類がなかなか理解しづらいものです。
身体障がいの種類
身体障がい者は視覚障がいや聴覚障がい、言語機能障がい、肢体不自由などに分けられます。その一方で、内部障がいには心臓や肝臓、ぼうこうなどの機能障がいも含まれます。
このような分類を把握することは、それぞれの障がい者のニーズや支援方法を理解しやすくする上で重要です。
障がい者を支援する上で原因や社会的な背景も理解することが重要
障がい者の定義に基づく「障がい者基本法」は、障がい者の理解を心身機能の個別の問題だけでなく、社会の仕組みや環境によるものと捉え、それを解決することが重要であるという考え方を反映しています。
この法律は、障がい者の支援と社会参加の促進を目的としており、個々の障がいの種類だけでなく、その原因や社会的な影響も考慮しています。
したがって、障がい者を支援する上で、障がいの種類だけでなくその原因や社会的な背景も理解することが重要です。それにより、より適切な支援や配慮が可能になります。
この記事では、障がいの種類ごとに部位や症状を紹介するだけでなく、障がいのない人が適切に理解し、配慮するためのポイントも提供します。また、障がい者手帳の種類や等級についての情報も含まれており、これらを理解することで、障がい者のニーズや支援方法をより具体的に把握することができます。
障がいの種類
障がいの種類は、障がい者基本法に基づいて身体、知的、精神の3種類に分類されます。
身体障がい者は、身体的な障がいによって生活や社会活動に制限が生じる人々です。視覚障がいや聴覚障がい、または肢体不自由や内部障がいなどが該当します。
知的障がい者は、知的機能の発達が遅れたり低下している人々であり、その程度によって軽度から最重度まで分類されます。
精神障がい者は、精神的な問題によって社会生活に支障をきたす人々です。統合失調症や気分障がい、器質性精神障がいなどが含まれます。
これらの障がいの種類を理解することで、個々の障がい者のニーズや適切な支援方法を把握することが重要です。
身体障がい
身体障がい者は、さまざまな身体機能に障がいがあることによって分類されます。見た目では分からない内部機能にも障がいがある場合があります。以下に、身体障がい者の分類とその原因を示します。
身体障がい者の分類
視覚障がい
聴覚・平衡機能障がい
音声機能・言語機能・そしゃく機能障がい
肢体不自由
上肢不自由
下肢不自由
体幹機能障がい
脳原性運動機能障がい
内部障がい
心臓機能障がい
じん臓機能障がい
呼吸器機能障がい
ぼうこう・直腸機能障がい
小腸機能障がい
HIV免疫機能障がい
肝臓機能障がい
これらの分類は、先天的な機能不全や後天的な疾患、交通事故などによって引き起こされます。初めて目にすると、身体障がいがこれほど多様であることに驚くかもしれません。
身体障がいの分類別原因
身体障がいの種類ごとに、それぞれ異なる原因が存在します。
■ 視覚障がい
先天的なもの:網膜色素変性症、先天性白内障、未熟児網膜症、網膜細胞芽腫など
後天的なもの:糖尿病による血管損傷による網膜症、緑内障、加齢黄斑変性、脳障がいによる大脳へのダメージなど
■ 聴覚・平衡機能障がい
先天的なもの:母体の妊娠期間中の風疹感染など
後天的なもの:慢性化膿性中耳炎、老人性難聴、音響外傷、メニエール病など
■ 音声・言語・そしゃく機能障がい
無咽頭、咽頭や構音器官に障がいがある
聴覚障がいがあるために音声言語が獲得できない失語症
筋肉、神経の障がいや、傷病による口や咽頭の機能消失など
■ 肢体不自由
先天的な奇形や機能不全
後天的な脳疾患や事故による四肢の切断など
■ 内部障がい
心臓疾患による機能低下
腎疾患
呼吸器機能障がい
尿路変更ストマや腸管ストマ造設などによる、ぼうこうや直腸機能障がい
小腸機能障がい
HIVによる免疫機能障がい
肝炎、肝硬変、肝臓がんによる肝臓機能障がい
これらの原因によって、身体障がい者が様々な症状を抱えています。そのため、接する場面も多く、理解を深める必要があります。内閣府の報告によれば、身体障がい者の概数は436万人で、その数は知的障がい者や精神障がい者と比較しても多いです。
身体障がい者福祉法では身体障がい者はさらに以下の5種類に分類されます
視覚障がい
聴覚・平衡機能障がい
音声機能・言語機能・そしゃく機能障がい
肢体不自由
(上肢不自由・下肢不自由、体幹機能障がい、脳原性運動機能障がい)
内部障がい
(心臓機能障がい、じん臓機能障がい、呼吸器機能障がい、ぼうこう・直腸機能障がい、小腸機能障がい、HIV免疫機能障がい、肝臓機能障がい)
これらの分類は、身体障がい者のニーズや特徴に基づいています。障がいの内容や特徴と合わせて、配慮すべきことについてもご説明しますので、参考にしていただければ幸いです。
視覚障がいの種類
視覚障がい者は、以下の4つの種類に分類されます。
■ 視力障がい
視覚的な情報を全く得られないか、ほとんど得られない状態
文字の拡大や視覚補助具の使用によって保有する視力を活用することができる
■ 視野障がい
見える範囲が狭くなったり、一部が欠けたりする状態
球心性視野狭窄(中心しか見えない)
中心暗転(周囲はぼんやり見えるが、中心が見えない)
■ 色覚障がい
特定の色が見えにくい、区別しにくいなどの状態
■ 光覚障がい
夜や暗い場所では何も見えない
光を眩しいと感じたり、痛みを感じる
さらに2つの状態に分類
これらの障がいによって、視覚障がい者はまったく見えない人から日常生活に制限を受ける見え方をしている人まで様々な状態に分かれます。
視覚障がい者は、盲と弱視というさらに2つの状態に分類されます。
■ 盲
明暗の区別はつくが、目の前の指の数程度しかわからないなど、視力が極端に低い状態
■ 弱視
視力が低い
見える範囲が狭い
明るい場所では見えるが、暗い場所では見えにくいなどの状態
視覚障がい者への配慮ポイント
視覚障がい者に対する配慮ポイントは以下の通りです。
■ 視力がほとんどない場合
点字のディスプレイがついたパソコンや、音声読み上げソフトなどの利用を考える
障がい者作業施設設置等助成金を活用し、視覚補助具の購入を検討する
歩行中につまずきやすいため、通路には障がい物を置かないようにする
危険な場所には予め警告を表示する
■ 保有する視力を活用できる場合
視覚障がい者用パソコン画面の拡大ソフトや、拡大読書器などの視覚補助具の利用を考える
同様に、障がい者作業施設設置等助成金を活用し、視覚補助具の購入を検討する
歩行中につまずきやすいため、通路には障がい物を置かないようにする
危険な場所には予め警告を表示する
■ 近いところが見えない、部分的に見えない場合
歩行中につまずきやすいため、通路には障がい物を置かないようにする
危険な場所には予め警告を表示する
■ 特定の色が見えにくい場合
見やすい色に変更する
文字で情報を補足する
■ 暗いところで見えにくい場合
座席の配置や照明の位置を変更して、明るい環境を提供する
■ 光を眩しい、痛いと感じる場合
座席の配置や照明の位置を調整し、眩しい光を避けるようにする
サングラスの着用を認め、必要に応じて提供する。
視覚障がい者とのコミュニケーション
コミュニケーションの際には、以下のポイントに留意して、視覚障がい者との円滑なコミュニケーションを図りましょう。
名乗りを先に伝える:話しかける際には、まず自分の名前を名乗りましょう。これによって相手が誰と話しているのかを把握しやすくなります。
物の説明は具体的に:物の説明をする際には、大きさや色などの具体的な情報を伝えるようにしましょう。視覚障がい者にとって、物の形や色は重要な情報源です。
状況の説明は具体的に:状況や方向を説明する際には、「あっち」「こっち」といった漠然とした表現ではなく、具体的な方向や位置を示すようにしましょう。たとえば、「左側の机の上に書類があります」といった具体的な指示が役立ちます。
これらの配慮ポイントは一例ですが、視覚障がい者とのコミュニケーションを円滑にするために、できるだけ配慮を行うことが大切です。
まとめ
障がい者の種類ごとに異なるニーズや配慮が必要ですが、それぞれの個性を尊重し、包摂的な社会を築くためには、理解と配慮が欠かせません。障がいの種類や原因に関わらず、個々の人の尊厳を尊重し、適切な支援や配慮を提供することが、社会の課題に真摯に向き合う第一歩です。
参考
障がいの種類は?わかりやすく分類するなら身体・知的・精神の3種類

障がい者基本計画を見てみよう!消費者トラブルの防止と被害からの救済
前回に続き、障がい者基本法を詳しく見ていきましょう。障がい者の権利を尊重し、消費者の安心と安全を確保するため、我々は消費者トラブルの防止と障がい者への救済に向けて、積極的な取り組みを行います。障がい者の消費者教育から始まり、消費者被害の早期発見や法的なサポートまで、幅広い方策を展開し、より包括的な支援体制を構築します。以下に、我々の具体的な施策を示します。
情報アクセシビリティの向上及び意思疎通支援の充実
情報アクセシビリティの向上と意思疎通支援の充実は、障がい者基本法の重要な柱です。この取り組みは、障がい者が必要な情報に円滑にアクセスし、意思を適切に伝えることができるよう支援することを目指しています。
情報通信機器やサービスの企画、開発、提供を促進
障がい者に配慮した情報通信機器やサービスの企画、開発、提供を促進し、放送や出版の分野でも障がい者が利用しやすい環境を整備することで、情報アクセシビリティの向上を図ります。
また、障がい者が円滑に意思表示やコミュニケーションを行えるよう、意思疎通支援を担う人材の育成やサービスの利用促進、支援機器の開発・提供などの取り組みを通じて、意思疎通支援の充実を目指します。
情報通信における情報アクセシビリティの向上
障がい者の情報通信機器やサービスの利用における情報アクセシビリティの確保及び向上・普及を図るため、障がい者に配慮した情報通信機器やサービスの企画、開発、提供を促進します。
研究開発やニーズ、ICTの発展を踏まえながら、情報アクセシビリティの確保及び向上を促進するため、適切な標準化を進め、必要に応じて国際規格提案を行います。また、各府省における情報通信機器等の調達は、情報アクセシビリティの観点に配慮し、国際規格や日本工業規格への準拠・配慮に基づいて実施されます。
当該国際規格に基づいて技術仕様を定める
特に、WTO政府調達協定の適用を受ける調達等を行う際には、アクセシビリティに関する国際規格が存在する場合には、当該国際規格に基づいて技術仕様を定めます。さらに、国立研究機関等では障がい者の利用に配慮した情報通信機器・システムの研究開発を推進し、障がい者がICTを利用しやすい環境を整備します。
障がい者がIT相談を受けられる支援施設や、パソコン機器等を使用できるよう支援するパソコンボランティアの養成・派遣の促進などにより、障がい者のICTの利用及び活用の機会の拡大を図ります。また、聴覚障がい者が電話を一人でかけられるよう支援する電話リレーサービスの実施体制を構築します。
情報提供の充実等
身体障がい者の利便の増進に資する通信・放送身体障がい者利用円滑化事業の推進に関する法律や放送事業者への制作費助成などを通じて、字幕放送、解説放送、手話放送などの普及を図ります。
聴覚障がい者に対して、字幕(手話)付き映像ライブラリーや手話通訳者の養成・派遣、相談を行う施設の整備を促進し、ICTの発展に応じてニーズの変化にも対応します。また、身体障がい者利用円滑化事業の助成などを通じて、民間事業者が行うサービスの提供や技術の研究開発を促進し、障がいによって利用が困難な通信・放送サービスへのアクセスの改善を図ります。
電子出版物の利用の拡大に向けた技術開発や普及啓発などの取り組みも行います。心身障がい者用低料第三種郵便についても、障がい者の社会参加を促進する観点から検討を続けます。
意思疎通支援の充実
聴覚、言語機能、視覚などの障がいにより意思疎通が困難な障がい者に対して、手話通訳者や要約筆記者の派遣、点訳や代読による支援を行い、その他の支援機器の給付や貸与を行います。絵記号などの普及や理解の促進を図ることで、意思疎通の支援を行います。
行政情報のアクセシビリティの向上
各府省において、障がい者や障がい者施策に関する情報提供や緊急時の情報提供などに障がい特性に応じた配慮を行います。また、ウェブサイト等で情報提供を行う際には、アクセシビリティに配慮した仕様の採用やウェブアクセシビリティの向上に取り組みます。さらに、災害時や選挙時に障がい者への情報提供を充実させるための施策も行います。
防災、防犯等の推進
障がい者が地域社会において安全かつ安心して生活できるよう、国連防災世界会議で採択された「仙台防災枠組2015-2030」を踏まえて、以下の取り組みを推進します。
災害に強い地域づくりの推進:障がい者の安全を確保するために、災害に強い地域づくりを推進します。これには、地域の防災意識の向上や適切な避難計画の策定、防災施設の整備などが含まれます。
障がい特性に配慮した災害時の支援強化:災害発生時には、障がい者の特性やニーズに応じた適切な情報提供や避難支援が必要です。福祉避難所や応急仮設住宅の確保、福祉・医療サービスの継続など、障がい者が安全に避難し、必要な支援を受けるための体制を整備します。
防犯対策と消費者保護の強化:障がい者を犯罪被害や消費者被害から守るために、防犯対策や消費者トラブルの防止に向けた取り組みを推進します。これには、地域社会全体での安全意識の向上や、障がい者が安心して生活できる環境の整備が含まれます。
防災対策の推進
地域防災計画の作成と防災訓練の実施: 障がい者や福祉関係者の参加と防災関係部局、福祉関係部局との連携の下で、地域防災計画の作成や防災訓練を促進し、災害に強い地域づくりを推進します。
要配慮者利用施設の土砂災害対策:自力避難の困難な障がい者等が利用する施設の立地箇所において、土砂災害のおそれのある場所では、砂防えん堤の施設整備や危険区域の明示など、土砂災害対策を重点的に推進します。
災害時の障がい者への情報伝達の体制整備:災害発生時に障がい者に適切な情報を伝達できるよう、民間事業者や消防機関などと協力して、障がい特性に配慮した情報伝達の体制を整備します。
障がい者への避難支援と安否確認:災害発生時には、避難行動要支援者名簿などを活用して障がい者への適切な避難支援や安否確認を行うため、地方公共団体に必要な体制整備を支援します。
避難所と応急仮設住宅のバリアフリー化:避難所や応急仮設住宅のバリアフリー化を推進し、障がい者が適切な支援と合理的配慮を受けられるよう、市町村の取り組みを促進します。
災害時の福祉・医療サービスの継続:災害発生後も福祉・医療サービスを提供できるよう、障がい者支援施設や医療機関の災害対策を推進し、広域的なネットワークの形成に取り組みます。
聴覚・言語機能障がい者向けの緊急通報システムの導入:火災や救急事案の発生時に、聴覚・言語機能障がい者が円滑な緊急通報ができるよう、音声によらない緊急通報システムの導入を推進します。
要配慮者の避難確保計画の実施:水害・土砂災害時に、要配慮者の円滑な避難を確保するため、要配慮者利用施設における避難確保計画の作成と訓練を促進します。
防火安全体制の強化:非常災害時における障がい福祉サービスの提供継続や、消防団や近隣住民との連携体制の構築を促進し、防火安全体制を強化します。
男女共同参画の視点からの防災・復興の取組:防災体制や避難所、応急仮設住宅において、男女共同参画の視点からの取り組みを促進し、障がいのある女性を含めた配慮を行います。
東日本大震災を含む災害からの復興の推進
地域のまちづくりへの障がい者の参画促進: 各地域の復興施策において、障がい者やその家族などの参画を促進し、地域全体のまちづくりを推進するため、事例集の作成や公表などの情報提供を行います。
被災地での障がい福祉サービスの安定的な提供:被災地の障がい福祉サービス事業者に対する支援を実施し、被災地での障がい者の生活継続や帰還を支援し、安定的な障がい福祉サービスの提供を図ります。
避難生活を送る障がい者への心のケア:避難生活を送る障がい者に対して心のケアや見守り活動、相談活動などの取り組みを充実させます。
雇用の創出と求職支援の推進:被災地における雇用情勢を考慮し、産業政策と連携した雇用の創出や求人と求職のミスマッチの解消を図り、障がい者の就職支援を推進します。
防犯対策の推進
110番通報の利用促進と的確な対応: ファックスやEメールなどを活用した110番通報の利用を促進し、事案の内容に応じた迅速かつ的確な対応を行います。
警察職員の障がい理解とコミュニケーション支援:警察職員の障がい理解を深めるための研修を充実させ、手話を行うことのできる警察官の配置やコミュニケーション支援ボードの活用などを推進します。
地域との連携による犯罪被害の防止と早期発見:警察と地域の障がい者団体や福祉施設、行政などとの連携を促進し、犯罪被害の防止と早期発見に努めます。
障がい者支援施設等の安全確保:障がい者支援施設等を利用する障がい者が安心して生活できるよう、施設整備や職員の対応に関する点検などの取り組みを促進し、安全確保体制の構築を図ります。
性犯罪被害者への支援体制の充実:障がい者を含む性犯罪被害者や配偶者暴力被害者への支援体制の充実を図り、ワンストップ支援センターの設置促進や相談機能の充実を推進します。
消費者トラブルの防止及び被害からの救済
障がい者の消費者教育の推進: 障がい者やその支援を行う者に対して、消費者関連の情報提供や各種消費者関係行事への参加を促進し、障がい者等に対する消費者教育を推進します。
消費者被害防止のための見守りネットワークの設置促進:障がい者団体、消費者団体、福祉関係団体、行政などの連携により、消費者被害防止のための見守りネットワークの設置を促進します。
障がい者の消費生活相談体制の整備:地方公共団体における消費生活センター等での障がい者に対する消費者相談の受付や相談員の障がい者理解のための研修を促進し、障がい者の特性に配慮した消費生活相談体制の整備を図ります。
法制度の利用促進:被害を受けた障がい者の被害回復に関する法制度の利用を促進するため、日本司法支援センター(法テラス)の業務充実に努めます。
振り込め詐欺や悪質商法への対応強化:法テラスの契約弁護士が福祉機関等との連携・協力体制を密にし、配慮を要する障がい者などの振り込め詐欺の被害や悪質商法による消費者被害の早期発見と被害回復に努めます。
まとめ
消費者トラブルの防止と被害からの救済は、障がい者が安心して消費生活を送るための重要な取り組みです。障がい者やその支援を行う者に対して消費者教育を推進し、消費者被害防止のための見守りネットワークの設置を促進します。さらに、消費生活相談体制の整備や法制度の利用促進、振り込め詐欺や悪質商法への対応強化を通じて、障がい者の消費者権利の保護と被害からの救済を図ります。
参考
障がい者基本計画(第4次計画 平成30年度~平成34年度)

障がい者基本計画を見てみよう!障がい者施策の総合的推進とアクセシビリティの向上
前回に続き、障がい者基本法を詳しく見ていきましょう。政府は障がい者の社会参加を促進し、アクセシビリティを向上させるために、横断的な視点から施策を展開しています。この法律は、障がい者が社会の中で自立して活動し、自己実現することを支援し、彼らが快適に暮らせる環境を整えることを目指しています。
そのために、法律ではさまざまな分野にまたがる施策が提案されており、バリアフリーな社会を築くための具体的な取り組みが示されています。こうした横断的なアプローチによって、障がい者の社会参加を実現するための基盤が整備されています。
各分野に共通する横断的視点
条約の理念の尊重及び整合性の確保
障がい者に関する施策や制度を策定・実施する際には、条約の理念を尊重し、整合性を保つことが不可欠です。障がい者を社会の一員として捉え、彼らが自らの決定に基づき社会に参加する主体として尊重することが重要です。
そのためには、障がい者の視点を施策に反映させ、彼らが意思決定過程に参画する機会を提供する必要があります。さらに、障がい者の委員選任に配慮し、障がい特性に応じた適切な情報保障や合理的配慮を行うことが求められます。
社会のあらゆる場面におけるアクセシビリティの向上
社会のあらゆる場面でアクセシビリティ向上の視点を取り入れ、障がい者の社会参加を実質的なものとすることが必要です。社会的障壁の除去や障がい者差別の解消に向けた取り組みを強化し、障がい者が安心して生活できる環境を整備することが重要です。
また、広報・啓発活動や企業・市民団体の支援を通じて、アクセシビリティの向上と心のバリアフリーを推進する必要があります。さらに、情報公開やパブリックコメントの際には、障がい特性に配慮した適切な情報保障を実施することが求められます。
アクセシビリティ向上に資する新技術の利活用の推進
社会のあらゆる場面で情報通信技術(以下「ICT」という。)が浸透しつつあります。新たな技術を活用した機器やサービスは、社会的障壁を生み出す可能性がありますが、同時にアクセシビリティに配慮したものも存在します。
このようなICTを含む新たな技術の利活用は、障がい者への移動支援や情報提供など、様々な場面でアクセシビリティを高める上で重要です。そのため、積極的な導入を推進する必要があります。
市場創出が課題
また、中小・ベンチャー企業が先進的な技術を開発する際には、市場創出が課題となります。この課題に対処するため、国が需要側の視点に立った施策の充実が必要です。
具体的には、公共部門における新技術の調達において、透明性と公正性を確保しつつ、中小・ベンチャー企業の入札機会を拡大することが重要です。さらに、政府調達においてアクセシビリティに配慮した機器・サービスを推進するため、国際規格に基づいた技術仕様の定め方を検討することも必要です。
倫理的・法制度的な課題
そして、科学技術の社会実装には倫理的・法制度的な課題が伴います。遺伝子診断や再生医療などの分野で見られるように、社会としての意思決定が必要です。これらの課題に対処しながら、アクセシビリティ向上に資する新技術の利活用を推進していくことが求められます。
当事者本位の総合的かつ分野横断的な支援
障がい者の尊厳と自律、自立の尊重を目指す条約の趣旨に基づき、障がい者が各ライフステージで適切な支援を受けられるよう、教育、文化芸術、スポーツ、福祉、医療、雇用などの分野を有機的に連携させ、切れ目のない支援を提供します。
この支援は、障がい者が直面する困難に対処するだけでなく、自立と社会参加の観点から行われ、障がい者やその家族への支援も重視します。複数の分野にまたがる課題に対処するためには、関係する機関や制度の連携が必要です。
障がい特性等に配慮したきめ細かい支援
障がい者一人ひとりの尊厳を重視し、障がい者の個別的な支援を障がい特性や状態、生活実態に応じて提供します。外見からは分からない障がいや状態の変動する障がいに対しても、配慮が必要です。
また、発達障がいや難病、高次脳機能障がいなどについては、社会全体の理解を促進し、施策の充実を図ることが重要です。特に発達障がいについては、社会全体での理解促進と、家族支援、福祉、労働、教育、医療の分野での総合的な取り組みが必要です。
障がいのある女性、子供及び高齢者の複合的困難に配慮したきめ細かい支援
障がい者施策は、障がいのある女性や複合的な困難に直面する障がい者に対して、特にきめ細かい支援を提供する必要があります。
障がいのある女性は、障がいの種類や状態によって異なる支援が必要であり、また女性であることがさらなる困難を引き起こす場合もあります。同様に、障がいのある子供や高齢者についても、それぞれに適した支援が必要です。高齢者施策との整合性を考慮しながら、条約の理念に基づいた支援を提供していくことが重要です。
PDCAサイクル等を通じた実効性のある取組の推進
政策立案の確かな根拠に基づくために、障がい者施策では、必要なデータ収集や統計の充実を図り、PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルを構築し、着実に実行していきます。このサイクルを通じて、施策の見直しや改善を継続的に行い、実効性のある取り組みを推進していきます。
企画 (Plan)
確かな根拠に基づく政策立案を実現するためには、障がい者の実態や社会環境を適切に把握することが重要です。各府省は、障がい者の性別、年齢、障がいの種類などの観点を考慮しながら、必要なデータ収集や統計の充実を図ります。具体的な成果目標を設定し、総合的な施策を企画することで、効果的な施策を展開します。
実施 (Do)
各府省は、障がい者やその関係者の意見を聴取しながら、計画的な施策の実施に努めます。障がい者の状況や施策に関する情報を収集し、分析することで、効果的な施策を展開します。他の施策や計画との整合性を図り、総合的な支援を提供します。
評価 (Check)
障がい者の意思決定過程への参画を促進し、施策の実施状況を継続的にモニタリングします。数値やデータに基づき、施策の実施状況や効果を評価し、必要に応じて課題や支障を解消するための分析を行います。障がい者政策委員会も、実施状況の評価や監視を行います。
見直し (Act)
施策の実施状況や評価結果に基づき、各府省は施策の見直しを行います。必要に応じて法制度の整備なども検討します。障がい者政策委員会は、政府全体の見地から施策の実施状況を評価し、必要に応じて勧告を行います。また、社会情勢の変化に柔軟に対応するため、本基本計画の見直しを行います。
施策の円滑な推進
(1) 連携・協力の確保
政府の障がい者施策を一体的に推進するために、各府省間で緊密な連携・協力を図ります。地方公共団体との連携も重要であり、役割分担のもとで連携体制を強化します。障がい者団体や専門職の協力も得ながら、施策を展開していきます。さらに、国際機関や他国政府との連携も努め、持続可能な開発目標の実施を総合的かつ効果的に推進します。
(2) 理解促進・広報啓発に係る取組等の推進
① 重点的な理解促進事項
社会全体で障がいの有無によらず支え合う共生社会の理念を普及させ、共生社会の実現に向けて啓発活動を展開します。2020年東京オリンピック・パラリンピックを通じて共生社会のイメージを広め、障がい者施策の意義について理解を深めます。さらに、知的障がいや精神障がいなど、理解が必要な障がいについても啓発活動を行います。
② 理解促進に当たり配慮する事項
行政や民間団体との連携による広報・啓発活動を計画的かつ効果的に展開し、国民の理解を深めます。地域社会における障がい者との交流を促進し、障がい者週間などの行事を通じて啓発活動を推進します。また、幼児や児童生徒を対象とした理解促進の取り組みも重要です。
各分野における障がい者施策の基本的な方向:安全・安心な生活環境の整備
【基本的考え方】
障がい者が地域で安全かつ安心して生活できる環境を整備することを目指します。そのために、バリアフリーな住環境や移動しやすい環境、アクセシビリティを考慮した施設の普及などを推進し、社会的な障壁を取り除き、アクセシビリティを向上させます。
(1) 住宅の確保
公営住宅の整備や改修を通じてバリアフリーな環境を提供し、障がい者向けの公共賃貸住宅の供給を増やします。
民間賃貸住宅の活用やバリアフリーな改修を促進し、障がい者の入居をサポートするための制度を導入します。
障がい者の日常生活を支援するため、日常生活用具の給付や住宅改修に対する支援を行います。
グループホームや地域生活支援拠点の整備を推進し、障がい者の地域での生活を支援します。
非常時における防火安全体制の強化を図り、障がい者が安心して福祉サービスを利用できる環境を整えます。
(2) 移動しやすい環境の整備等
駅や旅客施設において段差解消や転落防止設備の整備、障がい者に配慮した車両の整備を促進し、公共交通機関のバリアフリー化を推進します。
公共交通機関内外での案内表示や情報提供の充実を図り、障がい者の利用しやすさを高めます。
交通事業者に対して、障がい者に適切な対応を確保するための教育訓練を促進します。
障がい者に対する個別の輸送サービスを提供するため、福祉タクシーやスペシャル・トランスポート・サービス(STS)の普及を促進します。
過疎地域や地方での移動手段の確保や、高齢者や障がい者の安全な移動を支援するため、ITSの研究開発や高度自動運転システムの導入に取り組みます。
(3) アクセシビリティに配慮した施設、製品等の普及促進
バリアフリー法に基づく建築物のバリアフリー化を促進するため、地域の実情に合わせた取り組みを行い、建築物のバリアフリー化を進めます。
官庁施設においても、バリアフリー法に基づく整備水準を確保することで、窓口業務を行う施設のアクセシビリティを向上させます。
都市公園や河川の整備においても、障がい者や高齢者が利用しやすい環境を整備し、安全で安心した利用を促進します。
日常生活製品や設備のユニバーサルデザイン化を推進し、障がい者や高齢者の利用に配慮した製品の普及を図ります。
(4) 障がい者に配慮したまちづくりの総合的な推進
高齢者や障がい者の社会参画の拡大とバリアフリーのまちづくりを促進するため、バリアフリー法や関連施策の見直しを行います。地域連携を強化し、ハード・ソフトの両面から取り組みます。
福祉・医療施設の適正な立地や公園との一体的整備、生活拠点の集約化などを通じて、バリアフリーに配慮したまちづくりを推進します。
市町村が定める重点整備地区内での生活関連経路の整備や公共交通機関のバリアフリー化を促進し、幅広い歩道や視覚障がい者誘導用ブロックの整備を行います。
国立・国定公園の主要利用施設のバリアフリー化を実施し、生活関連経路を構成する道路においてもバリアフリー対応型信号機や道路標識の整備を推進します。
自動車の運転においても障がい者の安全を考慮し、信号灯器の改善や速度規制などの対策を講じます。
駐車区画の適正利用を促進するため、地方公共団体における「パーキングパーミット制度」の普及を図ります。
ユニバーサル社会の構築に向け、ICTを活用した歩行者移動支援の普及促進を行い、屋内外でのストレスない活動を実現します。
「ユニバーサルデザイン2020行動計画」に基づき、具体的な取り組みを実施します。
まとめ
障がい者の社会参加を促進し、アクセシビリティを向上させるために、政府は横断的な視点から施策を展開します。連携強化や新技術の活用を通じて、障がい者が安心して生活できる社会の実現に向け、着実な一歩を踏み出しています。
参考
障がい者基本計画(第4次計画 平成30年度~平成34年度)

障がい者基本計画を見てみよう!第4次計画の基本理念と原則とは?
障がい者基本計画(第4次)は、障がい者の尊厳と自立を尊重し、その社会参加を支援する基本理念に基づき、平等、無差別、合理的配慮の原則を重視して策定されました。
障がい者基本計画(第4次)における基本的な考え方について、以下の要点をまとめました。
基本理念と基本原則
基本理念:障がい者の尊厳と自立を尊重し、その社会参加を支援することを基本理念とします。
基本原則:平等、無差別、合理的配慮の原則を重視します。すべての人に対し、差別なく適切な支援を提供します。
昭和45年に制定された心身障がい者対策基本法から始まる
我が国の障がい者施策は、昭和45年に制定された心身障がい者対策基本法から始まりました。この法律は、心身障がい者の福祉に関する施策を基本的なものとして定め、当時は心身障がい者という表現が用いられていました。
平成5年には、この法律が障がい者基本法に改正され、心身障がい者だけでなく精神障がい者も含めた「障がい者」として位置付けられました。法の目的も、障がい者の自立とあらゆる分野の活動への参加の促進に変更されました。
着実に取り組みが進められている
その後の改正では、障がい者差別を禁止する基本的理念が盛り込まれ、中央障がい者施策推進協議会が設立されました。平成23年には、我が国が署名した障がい者の権利に関する条約の批准に向け、法の改正が行われました。社会モデルの考え方や合理的配慮の概念が導入され、障がい者政策委員会が新たに設置されました。
障がい者基本計画の策定も進み、平成25年には第4次の基本計画が閣議決定されました。これまでの取組では、障がい者の自己決定の尊重や意思決定支援、当事者本位の総合的な支援、障がい特性に配慮した支援、アクセシビリティの向上などが重視されてきました。これらの施策分野において、障がい者政策委員会による監視を経て、着実に取り組みが進められています。
施策の方向性や政策課題について幅広く議論が行われた
障がい者政策委員会は、平成28年10月以降、本基本計画の策定に向けた熱心な調査と審議を行ってきました。この間、障がい者施策の分野では、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催や障がい者差別解消法の施行など、大きな変化がありました。委員会では、これらの動向を踏まえつつ、障がい者施策の方向性や政策課題について幅広く議論が行われました。
その結果、計11回の審議を経て、平成30年2月に「障がい者基本計画(第4次)の策定に向けた障がい者政策委員会意見」がまとめられました。政府は委員会の意見に基づき、本基本計画の案を作成し、パブリックコメントを経て、平成30年3月に閣議決定しました。
共生社会の実現やさまざまな社会的目標に貢献する期待
本基本計画は、障がい者基本法の目的である障がい者の自立と社会参加の支援に加えて、共生社会の実現や2020年東京オリンピック・パラリンピックでの活躍、障がい者施策の社会的意義など、さまざまな社会的目標に貢献することが期待されています。これらの目標を達成するためには、本基本計画に基づいた施策の策定と実施が重要であり、常にこれらの目標を念頭に置いて取り組んでいくことが必要です。
障がい者の自立と社会参加を支援する施策
障がい者基本計画(第4次)は、障がい者の自立と社会参加を支援する施策を総合的かつ計画的に推進するために策定されました。これは、基本法第11条第1項に基づくものであり、政府が行う障がい者支援施策の中核的な計画です。
対象期間は平成30年度からの5年間です。構成は、障がい者基本計画(第4次)に関するⅠ、基本的な考え方に関するⅡ、各分野における障がい者施策の基本的な方向に関するⅢの3つの部分から成り立っています。
障がい者の権利を保護する国際的な動き
条約との関係においては、障がい者の権利を保護する国際的な動きがありました。国際連合総会では、障がい者の権利に関する宣言が採択され、障がい者の人権の重要性が認識されました。その後、障がい者の権利を包括的かつ総合的に保護する国際条約の検討が行われ、平成18年に条約が国連総会で採択されました。
障がい者の権利に関する国際条約は、障がい者の人権と基本的自由の享有を確保し、彼らの固有の尊厳を促進することを目的としています。その主な内容は以下の通りです。
一般原則:障がい者の尊厳、自律、自立の尊重、無差別性、社会参加と包摂が挙げられます。
一般的義務:合理的配慮の実施、全ての障がい者の人権と基本的自由の完全な実現と促進が含まれます。
障がい者の権利実現のための措置:身体の自由や拷問の禁止などの自由権と、教育や労働などの社会権に関する締約国の取るべき措置が含まれます。
条約の実施のための仕組み:国内の枠組みの設置や障がい者権利委員会による報告の検討が含まれます。
日本はこの条約に署名し、国内法の整備を進めてきました。障がい者基本法や障がい者自立支援法、障がい者差別解消法などが整備され、平成26年に批准されました。その後、障がい者政策委員会による監視を経て、政府報告が作成され、障がい者権利委員会に提出されました。
障がい者に関する基本的な考え方が明確に示されている
障がいの捉え方に関して、従来の医学モデルでは心身の機能の障がいのみが問題視されていましたが、条約では社会モデルの考え方が採用され、障がい者が直面する制限は心身の機能の障がいだけでなく、社会的な障壁によっても生じるとされています。
次に、平等・無差別及び合理的配慮について、条約は全ての障がい者に対する平等な権利と基本的自由の確保を促進し、合理的配慮の提供を求めています。合理的配慮は、障がいに基づく差別を禁止し、障がい者の権利を保護するための重要な要素です。また、障がい者の意思決定過程への積極的な参加も求められています。
最後に、条約の実施に関する仕組みについて、国内の枠組みの設置や障がい者権利委員会による報告の検討が規定されています。障がい者権利委員会は、専門家によって構成され、締約国の報告を審査し、提案や勧告を行う役割を担っています。このような仕組みにより、締約国は条約の実施について国際的に監視されることになります。
障がい者の権利の実現に向けた努力がより効果的に
障がい者基本計画(第4次)は、条約の批准後に策定される初めての計画であり、その整合性が非常に重要です。本基本計画では、条約の理念を反映し、各分野の施策と条約の各条項との対応関係を明示しています。これにより、計画の実施状況と条約の国内実施の状況を対応させ、効果的かつ適切な取り組みを進めることが期待されます。
さらに、障がい者政策委員会による条約の実施状況の監視を円滑化するために、本基本計画には、条約の実施状況に関する障がい者権利委員会からの勧告や意見を取り入れる機構が組み込まれています。これにより、計画と条約に関連する取り組みの連携が適切に行われ、障がい者の権利の実現に向けた努力がより効果的に推進されることが期待されます。
オリンピック・パラリンピック競技大会
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会は、障がいの有無にかかわらず、世界中から多くの人々が集まり、パラリンピック競技大会では障がいのある選手が圧倒的なパフォーマンスを披露することで、共生社会の実現に向けた大きな機会となります。
政府は、この大会に向けて心のバリアフリーやまちづくりの施策を推進し、障がい者の視点を反映させながら取り組みました。具体的には、社会のあらゆる場面でアクセシビリティ向上の視点を取り入れて施策を展開し、公共交通機関のバリアフリー化や移動しやすい環境の整備、障がい者に配慮したまちづくりを進めています。
心のバリアフリーへの理解
また、本基本計画では、文化芸術活動・スポーツの振興を独立した施策分野として格上げし、パラリンピック競技大会を念頭に置いた施策を強化しています。障がい者スポーツの競技性の高さに焦点を当て、アスリートの育成強化や地域でのスポーツ環境整備などに力を入れています。
さらに、2020年東京オリンピック・パラリンピックを通じて共生社会の姿を広く発信し、心のバリアフリーへの理解を深め、社会全体で推進することも重要視されています。
基本的な考え方
基本理念
条約は、障がい者の人権と基本的自由を確保し、彼らの固有の尊厳を尊重することを目指しています。基本法の改正においても、この理念に基づき、障がいの有無にかかわらず、すべての国民が等しく基本的人権を享有し、障がいの有無による分け隔てがない共生社会を実現する必要があります。本基本計画は、この社会の実現に向け、障がい者を支援しながら自己決定の主体として捉え、彼らの能力を最大限発揮できるよう支援し、社会的な障壁を除去する方向性を定めています。
基本原則
政府は、障がい者を支援しながら自らの決定に基づき社会のあらゆる活動に参加する主体として捉え、条約の理念に基づいて改正された基本法の基本原則に従って、障がい者の自立と社会参加を支援する施策を総合的かつ計画的に実施します。
地域社会における共生等
基本法第3条や条約の理念に基づき、本基本計画では障がい者が尊厳を持ち、尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを前提としています。障がい者施策の実施においては、以下の点に重点を置きます。
社会参加の機会の確保:障がい者が社会、経済、文化などあらゆる分野で活動に参加できるよう機会を提供します。
共生の機会の確保:障がいの有無にかかわらず、地域社会で他者と共生できる環境を整え、生活の選択肢を提供します。
コミュニケーション手段の選択の機会:障がい者が意思疎通に適した手段を選択できるよう、言語や手話などのコミュニケーション手段を提供します。
情報取得の機会の拡大:障がい者が情報を取得し、利用する手段を選択できるよう、情報へのアクセスの機会を拡大します。
差別の禁止
基本法第4条や条約、障がい者差別解消法に基づき、障がい者差別やその他の権利利益の侵害行為を禁止し、合理的配慮を提供する必要があります。具体的には、以下の点に注意を払います。
差別の禁止:障がい者差別や権利利益の侵害を禁止します。
合理的配慮の提供:社会的障壁を除去するために、合理的配慮を提供します。障がい者差別解消法の実効性を確保するため、施行状況を定期的に検討し、必要に応じて見直しを行います。
国際的協調
基本法第5条や条約第32条に基づき、共生社会の実現は国際的な協調の下で行われる必要があります。障がい者の自立や社会参加の支援は国際社会と密接に関係しており、以下の点に注意を払います。
国際協力の重要性:共生社会の実現に向けた施策は国際協力に基づいて行われるべきです。
条約の遵守と報告:条約を批准し、障がい者権利委員会に政府報告を提出するなど、国際的な枠組みとの連携を強化します。
まとめ
障がい者基本計画(第4次)は、障がい者の尊厳と自立を尊重し、その社会参加を支援する基本理念に基づいています。平等、無差別、合理的配慮の原則を重視し、すべての人に対し差別なく適切な支援を提供します。この計画は国際的な協調の下で推進され、障がい者の権利を保護し、共生社会の実現に向けた取り組みがさらに強化されることが期待されます。
参考
障がい者基本計画(第4次計画 平成30年度~平成34年度)

障がい者基本法を見てみよう!平成16年6月に改正された障がい者基本法の主なポイントとは?
平成16年6月に改正された障がい者基本法は、平成16年5月12日に衆議院内閣委員会委員長の提案によって国会に提出され、5月28日に参議院本会議で可決されました。そして、同年6月4日に公布・施行されました(一部を除く)。この改正法の成立に際しては、参議院で附帯決議が付されました。
改正の趣旨
障がい者基本法の一部改正案の要綱によれば、この改正の趣旨は、現代の障がい者の状況や社会経済の変化に対応し、彼らの自立と社会参加を促進することにあります。このため、障がいを理由とする差別や権利侵害を禁止し、都道府県や市町村には障がい者のための基本的な施策計画の策定を義務付け、中央障がい者施策推進協議会を設立するなどの改正が行われます。
目的
第一条の目的は、障がい者の自立と社会参加を支援する施策を総合的かつ計画的に推進し、彼らの福祉を増進することです。第二条の目的は、障がい者の自立や社会への積極的な参加を促進するための取り組みを支援し、障がい者の福祉を向上させることを目的としています。第三条では、障がい者に対する差別や権利侵害を禁止する基本的理念が明確化されます。第四条では、国と地方公共団体に障がい者の権利擁護や差別防止、自立支援の責務が課されます。
改正案では新たに第五条が追加
また、改正案では新たに第五条が追加され、国民に障がい者の人権尊重と差別撤廃に貢献する責務が課せられます。自立への努力に関する規定は第六条で削除され、障がい者週間の規定が新たに追加されます。施策の基本方針も改められ、障がい者の自主性尊重と地域での自立した生活を営む支援が強調されます。
障がい者基本計画等に関する改正
障がい者基本計画等に関する改正は、都道府県、市町村、国、地方公共団体などに対する責務の明確化を図っています。都道府県は、障がい者基本計画を基本とし、障がい者の地域ごとの状況を考慮して、障がい者の施策計画である都道府県障がい者計画を策定しなければなりません。同様に、市町村も障がい者基本計画と都道府県の計画を基に、地域の状況に即した施策計画である市町村障がい者計画を策定しなければなりません。
閣議での決定が求められる
また、障がい者基本計画は内閣総理大臣が策定するものであり、その際には関係行政機関の長との協議や中央障がい者施策推進協議会の意見を踏まえ、閣議での決定が求められます。更に、地方自治体が地域において障がい者施策を推進する場合、地方障がい者施策推進協議会の設置が求められ、障がい者や関係者の意見を尊重した施策の策定が要求されます。障がい者基本計画や障がい者施策に関する計画が策定された場合は、都道府県知事や市町村長はそれを地方議会に報告しなければなりません。
障がい者の日常生活を支援するための様々な施策
医療や介護、福祉用具の提供、教育、職業相談、公共的施設のバリアフリー化など、障がい者の日常生活を支援するための様々な施策が、国や地方公共団体によって取られることが定められています。
第十四条では、情報の利用におけるバリアフリー化が要求されています。国や地方公共団体は、障がい者が円滑に情報を利用し、意思を表示できるようにするため、障がい者にとって利便性の高い電子計算機や情報通信機器の普及、電気通信や放送における障がい者の利便性の向上、そして障がい者向け情報提供施設の整備など、必要な施策を講じなければなりません。さらに、行政の情報化や公共分野における情報通信技術の活用に際しては、特に障がい者の利用を考慮し、配慮しなければなりません。
相談業務や成年後見制度、障がいの予防に関する基本的な施策
第十五条では、障がい者に関する相談業務や成年後見制度などの施策や制度が適切に行われ、また広く利用されるようにするための施策が求められています。
第十六条では、障がいの予防に関する基本的な施策が定められています。国や地方公共団体は、難病など障がいの原因となる疾病の予防や治療の困難さに鑑み、関連する調査や研究を推進し、その結果に基づいて障がい者への支援を行うよう努めなければなりません。
中央障がい者施策推進協議会の設置
第十七条では、中央障がい者施策推進協議会(中央協議会)の設置が規定されています。内閣府が中央協議会を設け、障がい者基本計画に関する重要事項を処理します。この協議会は、障がい者や障がい者の福祉に関わる専門家、学識経験のある者からなる委員で構成され、彼らの意見を踏まえて政府の政策に対する助言や提言を行います。
第十八条では、法律の施行期日や検討事項に関する規定が述べられています。
施行期日: この法律は、公布の日から施行されます。ただし、第十七条については、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行されます。また、第九の一の2については、平成十九年四月一日から施行されることとなります。
検討: 政府は、この法律の施行後五年を目途として、改正後の規定の実施状況や障がい者の社会経済情勢の変化などを考慮し、障がい者に関する施策の在り方について検討を行います。その結果に基づいて必要な措置を講じます。
その他の規定: 必要な規定が整備されることが求められています。
障がい者基本法の改正案の該当部分
第四条
国及び地方公共団体の責務を定め、障がい者の権利擁護、差別防止、自立支援、社会参加促進等により障がい者の福祉を増進する責務を課します。第六条を削除します。
第五条
国民の責務として、社会連帯の理念に基づき、障がい者の人権尊重と差別なき社会参加の実現に努めることを規定します。
これに伴い、既存の第五条を第六条とし、新たに国民の理解に関する規定を加えます。
第二章
既存の第九条を第十一条に変更し、その後に新たに障がい者の福祉に関する基本的施策を規定した第二章を追加します。
第十二条(医療、介護等)
国及び地方公共団体に、障がい者の医療の提供やリハビリテーションの実施など、福祉を増進するための施策を講じる責務を課します。
医療やリハビリテーションの研究・開発・普及の促進、障がい者が必要な支援を受けられるよう施策を講じることが求められます。
専門的技術職員の育成や福祉用具・身体障がい者補助犬の提供に関する施策も行われるよう努めなければなりません。
第十三条(年金等)
障がい者の自立と生活の安定を支援するために、国や地方公共団体は年金や手当などの制度に関する施策を講じなければなりません。
第十四条(教育)
障がい者が適切な教育を受けられるように、国や地方公共団体は教育の内容や方法の改善・充実を図るとともに、教育に関する調査や研究、学校施設の整備を促進しなければなりません。
第十五条(職業相談等)
障がい者が適切な職業に就けるように、国や地方公共団体は障がい者の能力や状態に応じた職業相談や訓練、紹介などの支援を行う必要があります。
第十六条(雇用の促進等)
障がい者の雇用を促進するために、国や地方公共団体は適した職種や職域に対する障がい者の優先雇用の施策を講じるとともに、事業主に対して雇用の安定を図るための支援を行う必要があります。
第十七条(住宅の確保)
障がい者の生活の安定を図るため、国や地方公共団体は障がい者向けの住宅を確保し、日常生活に適した住宅の整備を促進する必要があります。
第十八条(公共的施設のバリアフリー化)
官公庁施設や交通施設などの公共的施設において、障がい者が利用しやすいような施設の構造や設備の整備を国や地方公共団体、そして事業者が推進する必要があります。
第十九条(情報の利用におけるバリアフリー化)
電子計算機や情報通信機器などの普及、電気通信や放送サービスの利用の障がい者向けの利便性の増進、障がい者向けの情報提供施設の整備など、障がい者が情報を円滑に利用できるようにするための施策が必要です。
第二十条(相談等)
障がい者に関する相談業務や権利保護制度などが適切に行われ、広く利用されるように国や地方公共団体が努める必要があります。
第二十一条(経済的負担の軽減)
障がい者やその扶養者の経済的負担を軽減し、自立を促進するために、税制上の措置や公共施設の利用料の減免などの施策が必要です。
第二十二条(文化的諸条件の整備等)
障がい者の文化的活動やレクリエーション、スポーツ活動の支援のために、施設や設備の整備など必要な施策が講じられるべきです。
第七条の改正
障がい者計画の策定に関する規定や、施策の推進に必要な行政機関間の連絡調整についての改正が行われています。さらに、障がい者施策における地方の意見や関係者の意見を尊重する方針が盛り込まれました。
第六条の二(障がい者週間)
障がい者週間の期間や日付が具体化され、12月3日から12月9日までの1週間とされることが提案されています。
その他の改正
さまざまな条項や見出しの修正が行われ、障がい者基本法の体系や内容が整理されています。特に、地方障がい者施策推進協議会に関する規定の改正や、中央障がい者施策推進協議会の名称変更などが含まれています。
障がい者基本計画に関連する事項
中央障がい者施策推進協議会は、障がい者基本計画に関連する事項を処理するために内閣府に置かれる組織です。以下に、この改正案の主なポイントをまとめます。
組織と人員
中央協議会は最大で30人の委員で構成され、障がい者や障がい者の福祉に関わる専門家、学識経験者などが内閣総理大臣によって任命されます。彼らの委員会の構成は、様々な障がい者の意見を考慮して行われることが求められます。委員は非常勤であり、中央協議会の組織や運営についての詳細は政令で定められます。
法改正内容
障がい者基本法の改正では、基本計画の策定について「策定しなければならない」という義務が明記されています。
施行期日
この法律は公布の日から施行されますが、内閣府設置法の改正に関する規定は公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定められる日から、障がい者基本法の改正規定は平成19年4月1日から施行されます。
検討
施行後5年を目途に、この法律の実施状況や障がい者を取り巻く社会経済情勢の変化などを勘案して、障がい者に関する施策の在り方について検討を行い、必要な措置を講ずることが政府に求められています。
この法律改正案は、障がい者に対する差別や権利の侵害を防止し、障がい者の福祉を向上させるための包括的な取り組みを進めるためのものです。
まとめ
障がい者基本法の改正は、障がい者の自立と社会参加を促進するための包括的な取り組みを進めるものであり、施行後の効果検証や社会の変化に応じた柔軟な対応が求められます。障がい者の権利擁護や福祉増進に向けたこの法律は、日本社会の包摂性と共生性を高める重要な一歩となるでしょう。
参考
障がい者基本法の改正について(平成16年6月)

「障がい者週間」と「共生社会の構築」障がいのある人に対する理解を深めるための基盤づくり
障がい者基本計画(第4次)に基づき、障がいのある人との共生社会を推進するため、広報・啓発活動が重要視されています。内閣府が発行する障がい者白書の第2章では、障がい者週間を活用して、国民の理解を深める取り組みが行われています。本記事ではどのような事が行われているのか見ていきたいと思います。
毎年12月3日から9日までの1週間「障がい者週間」
障がい者週間は、毎年12月3日から9日までの1週間が指定され、共生社会の理念の普及と障がいに対する理解を促進することを目的としています。政府は、障がい者週間に向けて様々なイベントを展開しています。
例えば、小・中学生などから障がいのある人とのふれあいをテーマにした作文やポスターの募集が行われ、最優秀作品が選定されます。また、関連行事では、一般国民を対象に障がい者に関するセミナーが開催され、障がい者関係団体との連携も図られています。
障がい者週間の関係表彰式では、最優秀作品や功労者に内閣総理大臣表彰が授与され、その功績が称えられます。これらの取り組みを通じて、障がい者との理解を深め、共生社会の実現に向けた一助となることが期待されています。
各種の広報・啓発活動が行われ障がいのある人への理解を促進
様々な週間・月間の取り組みが行われています。例えば、9月は「障がい者雇用支援月間」、10月は「第65回精神保健福祉普及運動」、12月は「人権週間」となっており、これらの期間を通じて障がいに関する理解を深めるための活動が展開されています。また、4月には「発達障がい啓発週間」があり、地方公共団体や関係団体による啓発活動が行われています。
バリアフリー・ユニバーサルデザインの推進功労者表彰
バリアフリー・ユニバーサルデザインの推進功労者表彰も行われています。高齢者や障がいのある人、妊婦、子供連れの人々が安全かつ快適な社会生活を送るために、バリアフリー・ユニバーサルデザインの推進が重要視されています。内閣総理大臣表彰等を通じて、顕著な功績や功労を持つ個人や団体が表彰され、その取り組みが称えられています。平成29(2017)年度には、9団体が表彰されました。
障がい者政策委員会は会議の情報提供を行う
障がい者政策委員会では、会議の情報提供に積極的で、インターネットを通じて会議の全状況を動画や音声、手話、要約筆記の文字情報として一定期間提供しています。
障がい者白書は、障がい者基本法第13条に基づき、政府が毎年提出する報告書です。平成28年版からは、視覚障がい者や印刷物を読むことが難しい人々のためにデジタル録音図書である「マルチメディアデイジー」版が作成され、内閣府のホームページで公表されています。
福祉教育の推進
福祉教育の推進では、学校教育において交流や共同学習の機会を設けることが規定されています。教育委員会が主体となり、各学校で様々な交流や共同学習が行われ、障がい者理解の推進が図られています。また、「ユニバーサルデザイン2020行動計画」に基づき、「心のバリアフリー学習推進会議」が設置され、交流や共同学習の推進方策についての提言がまとめられています。
地域住民への広報・啓発活動も行われており、社会教育施設や精神保健福祉センターでは、障がいのある人に対する理解を深めるための学習活動や知識の普及・啓発が行われています。これらの取り組みを通じて、障がい者への理解が広がり、共生社会の実現に向けた一助となっています。
ボランティア活動の推進
学校におけるボランティア教育では、学習指導要領に基づき、道徳や総合的な学習の時間などで思いやりの心や助け合いに関する指導やボランティア活動の充実を図っています。特に高等学校では、生徒が行うボランティア活動などの学校外での学修が認められ、単位として認定される場合もあります。
地域福祉等ボランティア活動の促進に向けて、内閣府では「地域コアリーダープログラム」を実施し、共生社会の実現に向けた人材育成を行っています。また、障がい者関連分野では、国内外での青年の交流やリーダー育成を促進しています。
公共サービス従事者等に対する障がい者理解の促進
公共サービス従事者等に対する障がい者理解の促進では、警察や刑務所、更生保護官署、法務省の人権擁護機関などで障がい者理解の研修や教育が行われています。警察学校や矯正研修所では、障がいのある人への配慮やコミュニケーション方法などについての研修が実施され、社会福祉施設での体験実習も行われています。
法務省では、国家公務員や地方自治体職員を対象にした研修が行われ、障がい者に関する理解と認識の向上が図られています。また、日本司法支援センターでは、障がい者支援の知識を持つ担当職員が研修を通じて全国の職員に知識を伝え、利用者の立場を理解した適切な対応が行われるよう支援しています。
障がい者差別解消法の制定経緯と概要
障がい者差別解消法の制定経緯
障がい者の権利を保障するために、国際的な取り組みとして「障がい者の権利に関する条約」が採択され、日本も2007年に署名し、2014年に批准しました。これに基づき、障がい者基本法が改正され、差別の禁止が規定されました。その後、障がい者差別解消法が2013年に成立し、2016年に施行されました。
障がい者差別解消法の概要
(1)対象となる障がい者
身体障がい、知的障がい、精神障がい(発達障がいを含む)など、障がいによって日常生活や社会生活に制限を受ける者が対象です。障がい者手帳の所持者に限定されず、広範な障がい者が含まれます。
(2)対象となる事業者及び分野
行政機関や事業者が対象で、商業や非営利活動など様々な分野が含まれます。特に教育、医療、福祉、公共交通、雇用など、障がい者の自立と社会参加に関わる分野が重視されています。
(3)不当な差別的取扱いの禁止
障がいを理由とした財・サービスの拒否や条件付けなどは不当な差別とされ、法律で禁止されています。ただし、客観的に正当な理由がある場合は例外とされます。
障がい者差別解消法は、障がい者の権利を保障し、差別をなくすための具体的な措置を講じることで、社会の多様性と包摂性を実現するための重要な法律です。
(4)合理的配慮の提供
障がい者や関係者から配慮を求められた場合、負担が過重でない範囲で、社会的障壁を取り除くための必要かつ合理的な配慮を行います。負担の有無は、事案ごとに具体的に判断され、事務・事業の影響や実現可能性、費用などを総合的に考慮します。ただし、行政機関には義務が課される一方で、事業者には努力義務があります。
(5)環境の整備
公共施設や交通機関のバリアフリー化、サービス・介助者の提供、情報アクセシビリティの向上など、不特定多数の障がい者を対象とする事前的改善措置を行います。これには、ハード面だけでなく、職員の研修などのソフト面の対応も含まれます。
(6)障がい者差別解消法
「障がいを理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」を定め、行政機関等は対応要領を定めます。これに加え、各主務大臣は対応指針を定め、事業者が適切に対応するための指針を提供しています。
障がい者差別解消法
内閣府では、関係省庁や地方公共団体、障がい者団体などから障がい者差別解消法に基づく合理的配慮の提供や環境の整備に関する事例を収集し、「合理的配慮の提供等事例集」としてまとめています。
障がい者差別解消法に基づき、地域協議会の設置が促進されています。地域協議会は、相談事例の共有や協議を通じて、事案解決や類似事案の発生防止を図るためのネットワークです。未設置の地域に対しては、有識者をアドバイザーとして派遣するなどの支援が行われています。
地域の障がいのある人や関係者の意見を広く聴取
地域フォーラムが開催され、地域の障がいのある人や関係者の意見を広く聴取し、障がい者差別解消法の円滑な施行を目指し、地域における取り組みの促進と気運の醸成を図っています。
事業者における障がい者差別解消に向けた取り組みが期待されますが、必要に応じて主務大臣や地方公共団体の長が、事業者に対し報告を求めたり、助言・指導・勧告を行ったりすることができます。
2020年東京オリンピック・パラリンピックの基本方針
2015年に閣議決定された「2020年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会の準備及び運営に関する施策の推進を図るための基本方針」では、東京大会を契機に、障がいの有無にかかわらず、相互に人格と個性を尊重し支え合う「心のバリアフリー」を推進し、ユニバーサルデザインの街づくりを進めることが位置づけられました。その基本方針に基づき、2017年には「ユニバーサルデザイン2020行動計画」が決定されました。
行動計画
行動計画では、以下の2つの観点から具体的な取組が行われています。
「心のバリアフリー」の推進:障がいのある人への社会的障壁を取り除く社会の責務を理解し、差別をなくし、異なる条件を持つ他者とコミュニケーションを取る力を養い、共感する力を培うことが重要視されています。
ユニバーサルデザインの街づくり:東京大会に向けたバリアフリー化と全国各地でのユニバーサルデザインの推進が行われ、幅広い施策がとられています。
共生社会を実現するために必要な取り組み
2020年パラリンピック大会まで1000日を切った2018年1月に、「ユニバーサルデザイン2020関係閣僚会議(第2回)」が開催されました。この会議では、ユニバーサルデザインを推進する上での重要な要素である「心」と「街」の両分野における取り組みが共有され、更なる施策の進展が図られました。特に、共生社会を実現するために必要な取り組みの加速化が確認されました。
まとめ
障がい者週間や関連する取り組みは、障がいのある人々と社会全体の理解を深め、共生社会の実現に向けた重要な一歩となっています。これらの活動を通じて、社会の多様性と包摂性を促進し、障がい者の活躍と尊重を推進していくことが期待されます。障がい者週間を通じて展開されるイベントや関連行事は、多様な人々に障がい者とのふれあいや理解を深める機会を提供し、その結果、社会全体がより包括的かつ温かい場所となることが期待されます。
参考
第2章 障がいのある人に対する理解を深めるための基盤づくり|内閣府

どんな種類の障がいがあるの?障がいの多様性:身体障がい、知的障がい、精神障がい、発達障がい 知っておきたい基礎知識!
障がいは主に「身体障がい」「知的障がい」「精神障がい」の3つに大別される
障がいとは、障がい者基本法によれば、「身体障がい、知的障がい、精神障がいがあるため、継続的に日常生活や社会生活において相当な制限を受ける者」を指します。この定義に基づくと、障がいは主に「身体障がい」「知的障がい」「精神障がい」の3つに大別されます。
身体障がいは、身体の一部に損傷や機能の制限があり、日常生活に支障をきたすものです。知的障がいは、認知能力や学習能力に問題があり、社会参加や自立が難しい状態を指します。精神障がいは、心の健康に関連する障がいであり、感情や行動の制御が難しくなることがあります。これらの障がいは、個々の人の状況や程度によって異なり、支援や配慮が必要とされる場合があります。
身体障がい
身体障がいとは、先天的な要因や病気、事故などにより身体機能に制限が生じる障がいのことです。身体障がい者福祉法では、5つの主要な種類に分類されています。
視覚障がい
視覚障がい者は、視力に関する問題によって日常生活に様々な困難を抱えます。例えば、移動時には安全なルートの確保や交通手段の利用に課題が生じます。読書や書類の理解、情報の収集、デジタル機器の操作なども困難を伴います。
また、視覚障がいによって生じる社会的孤立や心理的なストレスも考慮する必要があります。支援としては、点字や音声案内、拡大印刷物、音声合成技術などの利用が挙げられます。
聴覚障がい
聴覚障がい者は、コミュニケーションや情報収集において困難を経験します。日常生活では、会話や講義、公共のアナウンスなどが聞き取りにくい場合があります。特に、背景雑音のある環境や複数の話者がいる場面での情報の把握が難しくなります。聴覚障がい者への支援策としては、手話や筆談、口話言語訓練、聴覚補助装置の利用などがあります。
音声・言語機能またはそしゃく機能障がい
音声・言語機能の障がいやそしゃく機能障がいを持つ人々は、コミュニケーションや食事において日常生活におけるさまざまな困難に直面します。言葉の理解や発声が難しいため、コミュニケーションの円滑な進行が難しくなります。
また、そしゃく機能障がいを持つ人々は、食事や嚥下に関する問題により、栄養摂取や健康管理に支障を来すことがあります。これらの障がいへの対応としては、手話や文字によるコミュニケーション支援、食事内容や嚥下訓練の改善などが挙げられます。
肢体不自由
肢体不自由は、四肢や体幹の運動機能に障がいがある状態を指します。この障がいにより、日常生活において様々な困難が生じます。例えば、移動や身の回りの世話、衣服の着脱、食事の準備や摂取、さらには仕事や学校などの社会的な活動にも影響を及ぼします。肢体不自由の原因は多岐にわたります。
先天的な障がい、遺伝的な要因、疾患、事故や外傷など、さまざまな要因が考えられます。また、脳や脊髄の損傷、筋肉や関節の異常、先天性の四肢の発育不全なども肢体不自由の原因となります。リハビリテーションや適切な医療、補助具の利用など、個々の状況に応じた支援が重要です。
内部障がい
内部障がいは、心臓や腎臓、免疫機能などの内部器官の機能に障がいがある状態を指します。これらの障がいにより、全体的な体力低下や疲労感が生じます。心臓の機能障がいによる場合、身体のどこからでも不規則な動悸や息切れが起こることがあります。
腎臓の機能障がいでは、体内の余分な水分や老廃物が排泄されず、浮腫や高血圧などの症状が現れることがあります。免疫機能障がいによる場合、体が感染症に対して充分な抵抗力を持たず、さまざまな健康問題が生じる可能性があります。
これらの障がいの原因は、様々なものが考えられます。心臓や腎臓の機能障がいは、疾患や生活習慣によるものが主な原因です。免疫機能障がいは、遺伝的な要因や環境要因、または病気や治療によるものがあります。内部障がいは、適切な治療や管理が不可欠であり、それによって生活の質を改善することが可能です。
知的障がい
知的障がいの特徴を掘り下げると、以下のような点が挙げられます。
知的発達の遅れや制限
知的障がいは、一般的な知的発達の遅れや制限が主な特徴です。これは、認知能力、言語能力、学習能力、社会的な適応能力などに影響を与えます。
この遅れや制限は、人々が情報を処理し、問題を解決し、日常生活のスキルを獲得する能力に影響を及ぼします。
知的機能と適応機能の評価
個々の知的障がいの程度は、知的機能と適応機能のレベルに基づいて評価されます。知的機能は、知的テストによって測定されます。これには、言語、数学、記憶、問題解決能力などが含まれます。
適応機能は、日常生活や社会生活における能力を示します。これには、自己ケア、コミュニケーション、社会的相互作用、職業訓練などが含まれます。
年齢に応じて、個人の能力や成長を評価し、必要な支援やサービスを提供するために、定期的な評価が行われます。
このような詳細な評価を通じて、個々のニーズや能力に合わせた適切な支援が提供され、知的障がいを持つ人々が最大限の可能性を引き出すことができるようになります。
日常生活における困難
影響について更に掘り下げると、知的障がいが日常生活や教育、雇用に及ぼす具体的な影響を理解することができます。
日常タスクの理解と実行
知的障がいを持つ人々は、日常のタスクやルーチンを理解し、実行することに困難を抱えることがあります。これには、自己ケア、家事、買い物、交通手段の利用などが含まれます。
コミュニケーションの困難
コミュニケーションは、言語能力や社会的な適応能力が必要なため、知的障がいを持つ人々にとって困難な場合があります。言葉の理解や表現、会話の流れや社会的なルールの理解に問題を抱えることがあります。
教育や雇用の制約
学習の制約
知的障がいを持つ人々は、学習や教育においても障がいを抱えることがあります。特別な教育プログラムや支援が必要となることがあります。
雇用の制約
一部の人々は、知的障がいを克服し、職場で十分な支援を受けることで、一定の成果を達成することができます。しかし、適切な教育や雇用の機会へのアクセスが難しい場合があります。また、雇用先での適切な支援や配慮がないと、適切な役割を果たすことが難しいこともあります。
これらの影響を考慮することで、知的障がいを持つ人々に対する支援やサービスが改善され、彼らがより満足度の高い生活を送ることができるようになります。
社会的な関係の構築と維持
社会的な関係と自立について更に掘り下げると、以下の点が挙げられます。
コミュニケーションの障がい
知的障がいを持つ人々は、言語理解や表現の障がいから、コミュニケーションにおいて困難を抱えることがあります。これにより、友情や家族関係の構築や維持に影響を与えることがあります。適切なコミュニケーション手段や支援が必要です。
適応能力の制限
社会的な状況や関係に対する適応能力の制限も、知的障がいを持つ人々に影響を与えます。新しい環境や社会的なイベントに対する適応が難しく、社会的な孤立や不安感を引き起こすことがあります。
自立生活の目標の達成
生活スキルの向上
自立生活を送るためには、生活スキルの向上が不可欠です。これには、日常生活の基本的なスキル(料理、清掃、買い物など)や社会生活に必要なスキル(コミュニケーション、交渉、問題解決など)の獲得が含まれます。
適切な住居の提供
自立生活を支援するためには、適切な住居の提供が必要です。これには、安全で快適な住環境や必要なサポートサービスへのアクセスが含まれます。
職業訓練
自立生活を実現するためには、適切な職業訓練や就労支援が必要です。これにより、自己価値感や生活の質が向上し、社会参加が促進されます。
これらの支援が提供されることで、知的障がいを持つ人々が社会的な関係を築き、自立的かつ充実した生活を送ることができるようになります。
精神障がい(発達障がいを含む)
精神障がいは、感情や思考、行動に変化が現れ、日常生活に支障をきたす障がいを指します。その中でも、統合失調症や気分障がいはよく知られた代表的な例です。
統合失調症
統合失調症は、現実感覚の歪みや幻覚、妄想などの症状が特徴的です。これにより、患者は日常生活において困難を経験し、社会的な関係や職業生活に支障をきたすことがあります。例えば、幻聴や被害妄想によって周囲とのコミュニケーションが困難になることがあります。
発症の原因は、遺伝的な要因や生活環境、神経化学の変化などが関与すると考えられています。また、ストレスやトラウマも発症に影響を与えることがあります。心理的な治療や薬物療法が一般的な治療法ですが、個々の症状や経過に応じてアプローチが異なります。
気分障がい
気分障がいには、うつ病や双極性障がいなどが含まれます。うつ病では、患者は長期間にわたって抑うつ状態が続きます。双極性障がいでは、患者は抑うつと興奮の状態が交互に現れます。これらの気分変動により、患者は日常生活において様々な問題を抱えることがあります。
気分障がいの原因は、脳の神経化学の変化や遺伝的な要因、ストレスなどが関与します。特定の生活イベントや季節の変化も発症に影響を与えることがあります。治療法としては、薬物療法や心理療法、生活習慣の改善が行われますが、個々の症状や重症度によって治療方針が異なります。
これらの精神障がいは、個々の症状や影響が異なるため、適切な診断と治療が重要です。また、ストレスへの脆弱性を持つ人々が発症しやすいとされるため、心理的なサポートや適切なケアが必要です。
発達障がい
発達障がいは、脳の発達に関する先天的な異常によって引き起こされるものであり、その特性は個々の障がいによって異なります。ここでは、よく知られている発達障がいのいくつかを詳しく見てみましょう。
自閉スペクトラム症(ASD)
自閉スペクトラム症は、社会的な相互作用やコミュニケーション、興味や行動における制限されたパターンなどが特徴です。例えば、他人との関わりを避ける傾向や、反復的な行動が見られることがあります。
ASDは、生涯にわたって持続する障がいであり、個々の症状や重症度は大きく異なります。多くの場合、早期の介入や適切な支援が必要です。
注意欠陥・多動症(ADHD)
ADHDは、注意力の欠如、衝動性、多動性などが特徴的な障がいです。これにより、学校や職場での集中力や組織力が低下し、日常生活に支障をきたすことがあります。
環境要因や遺伝的な要因が発症に関与する可能性があります。多くの場合、行動療法や薬物療法などが症状の管理に用いられます。
学習障がい(LD)
学習障がいは、読み書きや計算などの基本的な学習スキルの獲得に困難を抱える障がいです。これにより、学業成績や学習へのモチベーションが低下し、自己価値感に影響を与えることがあります。
環境要因や遺伝的な要因が発症に関与する可能性があります。個々のニーズに応じた教育的な支援や学習療法が重要です。
これらの発達障がいは、個々の特性や症状に応じて様々な支援や介入が必要です。早期の診断と適切な支援を提供することで、個々の能力を最大限に引き出し、日常生活における成功や満足度を高めることができます。
特性や影響は異なるが共通して理解される必要がある
これらの障がいには、個々の特性や影響が異なりますが、共通して理解される必要があります。支援やケアの提供においては、その人のニーズや特性を十分に理解し、個別化されたアプローチが重要です。また、二次障がいを引き起こす可能性も考慮する必要があります。
まとめ
障がいは、身体的な制約から知的な遅れ、精神的な変化、発達上の課題まで、様々な形で現れます。それぞれの障がいは、個々の人の生活や関係に異なる影響を与えますが、理解と支援を通じて、誰もが充実した生活を送る機会を得ることができます。
参考
どんな種類の障がいがあるの? 知っておきたい基礎知識をご紹介|ワークリア