2024.03.08

障がい者が障がい者を支える自立生活センター「まちで生きる、まちが変わる つくば自立生活センターほにゃらの挑戦」

「障がい者が障がい者を支える」、そんな新しい形の支援組織、自立生活センターの一端が、柴田大輔さんの筆によって明らかにされました。

柴田さんが描く「まちで生きる、まちが変わる つくば自立生活センターほにゃらの挑戦」は、自立生活センター「ほにゃら」の歴史とその活動を通して、当事者が当事者を支え、社会を変えていく様子を描いたノンフィクションです。

 

障がいのある当事者が主体となって運営される支援組織

自立生活センターとは、障がいのある当事者が主体となって運営される支援組織であり、医療や福祉の専門家ではなく、当事者同士が支え合うことを基本としています。

柴田さんは本書を通じて、自身が介助スタッフとして参加し、2年にわたって「ほにゃら」の活動を追いかけました。

彼はその中で、当事者が抱える問題や願望に深く寄り添い、新たな支援体制を作り上げる過程に触れ、自立生活センターの魅力を見出しました。

 

独立生活を送るためのサポート

自立生活センターの最大の特徴は、障がい者がヘルパーの支援を受けながら、自宅や施設を離れて独立生活を送るためのサポートを提供する点です。

全国に100か所以上存在し、利用者が自らの生活を主体的に計画し、実現させるための支援を行っています。

そして、その支援には障がい者同士が互いの立場を理解し合い、困難に立ち向かう強い絆があることが特筆されます。

 

当事者以外の支援者や地域の人々も巻き込む

柴田さんの取材により、自立生活センターが当事者の力で地域社会を変えていくプロセスが明らかになりました。

彼らは、当事者以外の支援者や地域の人々も巻き込みながら、より包括的な支援体制を構築し、社会の理解と受容を促進しています。その活動は、単なる支援だけでなく、社会そのものの変革をもたらす可能性を秘めています。

自立生活センター「ほにゃら」の挑戦は、障がい者が自らの力で自立し、社会と共に歩む未来を切り拓く姿を象徴しています。

柴田さんの本は、その姿を捉えると同時に、私たちに新たな支援の在り方や共生の可能性を問いかけます。

 

障がい者自立生活センター「ほにゃら」共に歩む、自立の道

2001年に設立された「ほにゃら」は、障がいのある人々が自らの人生を主体的に切り拓く場として、その存在感を示し続けています。このセンターの事務局長、斉藤新吾さんは、自身も難病と闘いながら、障がい者が自立生活を送る意義やその背景について語りました。

 

重い障がいを抱える人々を自立生活に導く

「ほにゃら」は、これまでに5人ほどの重い障がいを抱える人々を自立生活に導き、支えてきたといいます。

現在の利用者数は約30名で、そのうち毎日介助を必要とする人は7人ほどです。障がいを持つスタッフ3名のほか、介助スタッフ50人ほどが利用者を支える重要な存在です。

斉藤さんは、「ほにゃら」の理念を次のように語りました。

「障がいのある人のことを、従来は家族や医者、福祉の専門家など、障がいのない人が決めてきた歴史があります。しかし、我々は『自分たちのことは自分たちで決めていこう』という理念のもと、自立生活センターを立ち上げました。」

 

障がい者が自らの意見を優先

彼はまた、「重度の障がいを抱える人々が自らの意思を表明することの重要性」についても触れました。

「多くの場合、他者に介護を依存している人々は、自らの考えを表明することを恐れる傾向があります。家族や施設の職員が良くしてくれるという理由で、自らの意見を後回しにしてしまうことがよくあります。しかし、我々は障がい者が自らの意見を優先し、自らの人生を決定する権利を持つことを尊重しています。」

 

社会全体に大きな影響を与える

「ほにゃら」は、障がい者が自らの意思を尊重され、自立生活を送るための支援を受けながらも、自分自身の人生を主体的に歩むことを支援する存在です。その活動は、障がい者の尊厳と自己決定権を守るための貴重な取り組みであり、彼らの姿勢は社会全体に対して大きな影響を与えています。

 

障がい者の権利と尊厳を守りながら共に歩む未来

自立生活センター「ほにゃら」は、障がい者が自分自身の生活を主体的に選択し、自らの意思で道を切り拓くことを支援する場であり、それは彼らにとって尊厳と自己実現のための貴重な機会です。これからも「ほにゃら」は、障がい者の権利と尊厳を守りながら、共に歩む未来を築いていくことでしょう。

 

「ほにゃら」が築く福祉の新たな道 地域との共創に向けて

「ほにゃら」は、その特色を、行政にアプローチして福祉の取り組みを変える点に置いています。

2014年には、「ほにゃら」と地域の当事者団体らが連携して、茨城県初となる「障がいのある人もない人も共に歩み幸せに暮らすための茨城県づくり条例」(通称『茨城県障がい者権利条例』)を採択させることに成功しました。

この条例は、2015年4月に施行され、障がい者の権利を保護し、社会参加を促進するための基盤を築くこととなりました。

 

つくば市が関東地域で初めて「合理的配慮支援事業者補助金制度」

さらに、2018年には、つくば市が関東地域で初めて「合理的配慮支援事業者補助金制度」を制定するために、ほにゃらが尽力しました。

この制度は、障がい者が自立した生活を送るためのサポートを受けることができるようにするためのものであり、地域の福祉政策に大きな変革をもたらしました。

 

地域社会における福祉の重要性を訴える

地域の行政にも積極的に関わる「ほにゃら」は、市長や市議の選挙の際には、立候補者に対して福祉政策に関する公開質問を行い、地域社会における福祉の重要性を訴えてきました。

これにより、地域の行政においても福祉政策の改善や推進に向けた動きが生まれ、地域全体の福祉に対する意識が高まっています。

 

障がいのある子どもが健常者と同じように生活できるよう支援

さらに、「ほにゃら」は、障がいのある子どもが家族の介護から離れ、福祉サービスを活用して健常者と同じように生活できるよう支援する取り組み「ほにゃらキッズ」も行っています。

この取り組みは、子どもたちが健全な成長を遂げ、自立した生活を送るための重要な一歩となっています。

 

本の題名である「まちが変わる」を実現する

「ほにゃら」の活動は、柴田さんの本の題名である「まちが変わる」を実現するものです。彼らの地道な取り組みによって、地域社会全体が障がい者の権利を尊重し、共に歩む社会への理解と支援が進んでいます。

これからも、「ほにゃら」は地域との共創に向けて邁進し、より包括的で包容力のある社会の実現に貢献していくでしょう。

障がい者が地域を変える「まちで生きる、まちが変わる」からの学び

柴田大輔さんの「まちで生きる、まちが変わる」は、障がい者が健常者と同じように暮らすために、自立生活センターが果たす役割と地域の変革を具体的に描いています。

この本では、著者自身が「ほにゃら」という自立生活センターでの活動を通じて得た洞察や、センターの利用者たちの生活や思いが綴られています。

そして、著者による活動の背景にあるメッセージや、彼がこの本をどのように読んでほしいかについても触れられています。

柴田さんは、本の中で「ほにゃら」の利用者たちが、幼少期からの葛藤や困難を乗り越え、地域社会を変える主人公として描かれていることに触れています。

彼らは、自らの経験や思いを活かし、障がいのある子供たちにも「したいことを実現できる道がある」という希望を与えるために活動しています。

柴田さんは、このようなメッセージを本を通じて伝えることで、障がいのある人々が自らの可能性を信じ、行動する勇気を持つきっかけとなることを期待しています。

 

個人の行動が社会を変える力を信じ積極的に関与

また、柴田さんは自身の体験を通じて、「ほにゃら」の活動に参加したことで、自分も社会の一員であることを実感し、個人の変化が社会の変化に繋がることを学んだと述べています。

本書を通じて障がい者や地域の取り組みに関心を持つ読者に、個人の行動が社会を変える力を信じ、自らも積極的に関与することの重要性を伝えたいと考えています。

 

声を上げることの重要性

「まちで生きる、まちが変わる」の終盤では、斉藤さんが電動車椅子で海外旅行をする姿が描かれています。このようなエピソードから、障がいがあっても声を上げれば、やりたいことを実現する道があることが示されています。

さらに、健常者と障がい者が共に暮らす街づくりについても、多角的な視点から考えることができる貴重な一冊です。

 

障がい者が自らの可能性を信じ地域社会を変える

柴田大輔さんの「まちで生きる、まちが変わる」は、障がい者が自らの可能性を信じ、地域社会を変えるための活動に参加する姿を描いた重要な書籍です。

そのメッセージは、障がいのある人々や地域の福祉に関心を持つ読者にとって、大きな示唆と希望を与えるものであり、多くの人々に読んでほしいと感じます。

 

個人の行動が社会を変える力を信じる励ましとなる活動

「まちで生きる、まちが変わる」は、障がい者の声を通じて、地域社会の可能性と変革を描き出す貴重な一冊です。柴田大輔さんの活動と、彼が伝えるメッセージは、個人の行動が社会を変える力を信じる励ましとなります。

この本が、より包括的で包容力のある社会を築くための一歩となることを願っています。

 

地域全体の課題に対する解決策としても注目

障がい者が自らの声を上げ、自立生活センターを通じて地域社会に変化をもたらす姿は、社会全体にとって重要な示唆を与えます。

彼らの活動は、単なる個人の成就に留まらず、地域全体の課題に対する解決策としても注目されるべきものです。

柴田さんが本書を通じて伝えたいのは、私たち一人ひとりが社会の一部であり、自らの行動が社会のあり方を変えることができるということです。

 

共に成長する社会を築くための道筋を見出す

この本は、単なる障がい者の問題を超え、より包括的で包容力のある社会を築くための一助となるでしょう。

私たちは、彼らの活動やメッセージから学び、障がい者と健常者が共に暮らし、共に成長する社会を築くための道筋を見出すことができます。

そして、個々の力が社会全体を変える可能性を信じ、その実現に向けて積極的に行動することが求められています。

まとめ

柴田さんの活動と、彼が伝えるメッセージは、単なる本の中の言葉に留まらず、読者の心に響き、行動へとつながる可能性を秘めています。私たちは、この本を通じて得た洞察を生かし、地域社会の課題に向き合い、より包括的で包容力のある社会を築くための一助となることを願っています。

 

参考

障がい者が運営する自立生活センターを描く「まちで生きる、まちが変わる」(TBS NEWS DIG Powered by JNN)Yahooニュース

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