2024.03.08

天才とは発達障がいのことだった?「自閉スペクトラム症」と「ADHD」新たな視点からの考察

近年、天才性と発達障害との間には興味深い関連があるという見方が広がっています。特に、「自閉スペクトラム症」と「ADHD」という2つの発達障害に関連する特性が、いわゆる天才にも見られるのではないかという仮説が浮上しています。

 

自閉スペクトラム症

自閉スペクトラム症について考えてみましょう。この精神疾患の診断基準には、子どもの頃から「社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応における持続的な欠陥」という特徴があります。これを分かりやすく説明すると、以下の3つの点が挙げられます。

 

  • 他者との関わりが苦手

自閉スペクトラム症者は情緒的な交流が難しく、他者との関わり方が異常であったり、会話が自然でなかったりすることがあります。感情や興味を共有することが難しく、他者との理解が不足していると言えます。

 

  • 非言語コミュニケーションが苦手

非言語のコミュニケーションが苦手であり、視線を合わせられなかったり、顔の表情が異常であったりすることがあります。身振りや表情の範囲が独特であることも特徴的です。

 

  • 人間関係を築くのが苦手

人間関係を発展させるのが難しく、友人を作りにくいことがあります。他者理解や想像力を共有する遊びが苦手であるため、社会的な関係性を築くことが難しいのです。

 

コミュニケーションの問題を抱えることも

自閉スペクトラム症者は、自己完結的な言動が目立つことがあります。彼らは「その場の空気」を読み取ることが苦手であり、他者と容易に同調することが難しい場合があります。また、冗談の理解やユーモアの操り方が独特であり、創作物には特徴的な奇妙さが見られることもあります。このような特性から、自閉スペクトラム症者は時に他者との意思疎通が難しくなり、パートナーとの間でコミュニケーションの問題を抱えることもあります。

 

適応しづらいようにみなされがち

このように、自閉スペクトラム症の特性は、一見すると一般的な社会生活に適応しづらいものと見なされがちですが、その背後には驚くべき才能や能力が秘められている可能性があります。この視点から、天才性と自閉スペクトラム症との関連性を新たな角度から考えることが重要であり、今後の研究や支援活動においても注目されるべきでしょう。

 

自閉スペクトラム症と「こだわり」の関係:独自の感覚世界

自閉スペクトラム症には、他者と異なる独自の特性があります。その中でも、特に注目すべきなのが「こだわり」と呼ばれる特性です。自閉スペクトラム症者は、限定された興味関心や行動を反復し、特定の対象や感覚に強い愛着を示す傾向があります。ここでは、「こだわり」の特性について、簡潔に紹介しましょう。

 

  • 常同行動(繰り返しおこなわれる行動)

自閉スペクトラム症者は、常同行動を示すことがあります。例えば、おもちゃを一列に並べたがったり、物をしつこく叩くことがあります。また、オウム返しや独特な言い回しを好むこともあります。

 

  • 習慣やルーティンにこだわる

彼らは決まった習慣やルーティンにこだわり、変化を嫌う傾向があります。毎日同じ道を歩くことや、同じものばかりを食べることなどがその例です。

 

  • 強い愛着を示す

自閉スペクトラム症者は一般的ではない対象に強い愛着を示すことがあります。また、特定の対象や活動に没頭することがあります。

 

  • 特定の感覚に対して過敏または鈍感

特定の感覚に対して過敏または鈍感であることがあります。例えば、光や動き、音、味、匂いなどに敏感であり、周囲の五感的情報に強く反応することがあります。

 

感覚の解像度が高い

こうした「こだわり」の特性から、自閉スペクトラム症者は独自の感覚世界を持っています。

彼らは同じような行動や興味を繰り返し行ったり、特定の対象や感覚に強い愛着を示したりすることがあります。また、感覚の解像度が高いため、周囲の情報に敏感であり、特定の刺激に魅了されやすい傾向があります。

このように、「こだわり」の特性は、自閉スペクトラム症者の特徴の一つであり、彼らが独自の感覚世界を持つことにつながっています。

今後の研究や支援活動においても、この特性を理解し、適切な支援を提供していくことが重要です。

 

自閉スペクトラム症と「こだわり」:異常との境界線

自閉スペクトラム症の特性は、対人関係において困難を抱えることが多く、その結果、自然との一体感や安定を求める傾向があります。

この特性から、自閉スペクトラム症者は自身の感覚世界に憧れを抱き、依存性の高い物質や行為に嗜癖したり、超感覚的な体験に魅了されることがあります。

 

頑固な印象を与えることがある

自閉スペクトラム症の感覚世界は独特であり、他者には理解しがたいものがあります。彼らは自身の感じていることが他者には理解されないと考えがちであり、そのため頑固な印象を与えることがあります。

また、自閉スペクトラム症の感覚は非常に敏感であり、さまざまな刺激から連想が飛躍的に発生し、些細なことでもフラッシュバックすることがあります。

このような特性は、他者とのコミュニケーションや社会的相互作用において、理解しにくい部分があることを示しています。

 

「こだわり」が強いと言われるのは他者にとって異常に見えるため

一方で、自閉スペクトラム症者が「こだわり」が強いと言われるのは、彼らのこだわりが他者にとって異常に見えるためです。しかし、これを公平に考えると、定型発達者にも「こだわり」を持つ人が多いことがあります。

たとえば、恋愛や性愛の対象として好む顔立ちや体つきについて、多くの人が「こだわり」を持つことは一般的です。

しかし、これらの「こだわり」は多数派に共有されるものであるため、異常とは見なされません。

 

視点や社会的な基準によって変わる

つまり、自閉スペクトラム症者の特性が「こだわり」に現れることはあるものの、それが異常であるかどうかは、視点や社会的な基準によって変わると言えます。

このような理解を持ち、個々の特性を尊重することが、より包括的で理解のある社会を構築するための第一歩となるでしょう。

自閉スペクトラム症者の感覚世界やこだわりに対する理解と配慮が、彼らの生活や社会参加の質を向上させる重要な要素であることを肝に銘じておくべきです。

ADHD(注意欠如・多動性障害)

ADHD(注意欠如・多動性障害)の特性について理解を深めましょう。ADHDは不注意の症状と多動性および衝動性の症状に依拠して診断されます。不注意の症状は子どもの頃から現れ、以下のうち6つ以上が少なくとも6ヶ月間持続する必要があります。

 

  • タスクに集中するのが難しい

「学業や仕事などで、しばしば綿密に注意することができず、失敗する」という特性です。このような人は、タスクに集中するのが難しく、綿密な作業が必要な場面で注意が散漫になる傾向があります。

また、「講義、会話、読書などに集中できない」ということも挙げられます。彼らは外部の刺激に敏感であり、長時間の集中が難しい傾向があります。

 

  • 指示に従うのが難しく義務から脱線する

「指示に従うのが難しく、学業、用事、職場での義務から脱線する」という特性があります。簡単に気が散り、指示に従うことが難しくなることがあります。

また、「持ち物を整理できず、時間も管理できず、ものごとを順序立てて遂行できない」という特性もあります。日常生活での整理整頓や時間管理が苦手であり、タスクの遂行において計画性や組織性が不足していることが示されます。

 

  • 必要なものを紛失する

「学校や職場で必要なものをしばしば紛失する」という特性も挙げられます。彼らは持ち物の管理が苦手であり、よく物を紛失することがあります。

また、「外からの刺激に弱く、すぐに気が散る」という特性も見られます。外部の刺激によって簡単に注意が散漫になり、タスクの遂行が困難になることがあります。

 

  • やるべきことを忘れてしまう

「やるべきことをすぐに忘れてしまう」という特性もあります。彼らは短期記憶が弱く、やるべきことをすぐに忘れてしまうことがあります。

これらの特性が組み合わさることで、日常生活や学業、職場での適応に困難を抱えることがあります。

 

6つ以上の特性が6ヶ月間継続

しかし、重要な点として、これらの特性が一時的なケアレスミスや落とし物とは異なり、持続的に起こることが必要です。

また、診断の基準を満たすためには、6つ以上の特性が少なくとも6ヶ月間継続している必要があります。それ以外の場合、一般的なミスや落とし物として扱われることになります。

 

ADHD:多動性と衝動性

ADHDの特性には不注意、多動性、衝動性の3つがありますが、ここでは多動性と衝動性に焦点を当ててみましょう。

 

  • 子どもの頃から現れる

多動性と衝動性の症状は、子どもの頃から現れることが一般的であり、診断の基準には少なくとも6つ以上の症状が6ヶ月以上持続する必要があります。これらの症状には、以下のようなものが含まれます。

 

  • 多動性の症状

多動性の症状は、手足をそわそわと動かし、物を叩いたり、踏んだりすること、長時間座っていることが難しく、立ち上がったり歩き回ったりすること、不適切な場面で走り回ったり、高い場所に登ったりすることなどが挙げられます。

これらの行動は、常にエネルギッシュであり、静かに座っていることが難しいと感じる人によく見られます。

 

  • 衝動性の症状

衝動性の症状は、静かに遊んだり、のんびりとした時間を楽しむことができないこと、落ち着きなく行動し、エネルギッシュな振る舞いをすること、やたらとしゃべることなどがあります。

また、人の話を遮ったり、質問の前に答えたりすること、列に並んで待つことが難しいこと、他人を妨害したり、他人のものを勝手に使ったりすることもあります。

 

常にエネルギッシュ

これらの症状は、ADHDのある人々が日常生活で直面する課題の一部です。

多動性と衝動性の症状は、ADHDのある人々は常にエネルギッシュであり、行動が活発であることを示しています。彼らはしばしば冷静さを欠き、思考や行動が速くなる傾向があります。

 

驚異的な業績を上げることもある

一方で、このような特性は彼らの個性や才能を形成する一因でもあります。

多動性と衝動性によって、彼らは常に新しいアイデアや刺激を求め、創造性や行動力に満ちた人々として輝きます。彼らは常に新しい挑戦を求め、その結果として驚異的な業績を上げることもあります。

 

天才の特性といえる

環境が合えば驚異的な集中力を発揮することができるが、そうでなかった場合、失敗を繰り返し周囲から誤った評価を受けることがあります。天才とはまさにこのような特性を持っているのではないでしょうか。

多動性と衝動性は、ADHDのある人々にとって特徴的な面であり、彼らの個性や能力を理解する上で重要な要素です。

彼らが持つこの特性を肯定的に捉え、適切なサポートを提供することで、彼らは自己実現を果たし、成功を収めることができるでしょう。

まとめ

これらの症状は、ADHDのある人々が日常生活で直面する課題の一部であり、彼らの行動や思考の特徴を理解する上で重要です。多動性と衝動性によって、彼らは常に新しいアイデアや刺激を求め、活動的で創造的な人々として活躍します。しかし、同時に、これらの特性は彼らの日常生活においても挑戦を伴うこともあるため、適切なサポートが必要です。

 

参考

天才とは発達障害のことだった?「自閉スペクトラム症」と「ADHD」の特性を考える(SmartFLASH)Yahooニュース

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