障がい者殺傷事件を主題しにた映画「月」社会的背景と人間の尊厳に深く切り込む
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”語られたくない事実”の内部に潜る
辺見庸さんの小説「月」(角川文庫刊)が映画化され、2023年10月13日に公開されました。
障がい者殺傷事件を題材に小説を書いた辺見さんは、個人を裁くのではなく事件を生み出した社会的背景と人間の尊厳という、深いところに切り込み書かなければいけないと感じ、「“語られたくない事実”の内部に潜ることに、小説という形で挑戦した」と語りました。
石井監督「このテーマから目を背けてはならない」
スターサンズの故河村光庸プロデューサーが最も挑戦したかったものでもあり、日本社会に長く根付く福祉や労働、普段の生活にありふれているシステムへの問いであり、人間の尊厳を描くことへの挑戦でした。
オファーを受けた石井監督は撮らなければいけない映画だと覚悟を決め、「このテーマから目を背けてはならない」という信念のもと、映画を撮り上げたといいます。
故河村光庸プロデューサーは映画が公開される前に急逝されており、その早すぎる別れを月刊『創』編集長・篠田博之さんは「今の日本の映画界に絶対必要な人だっただけに、その死は本当に残念だった」と惜しみました。
風化させてはいけない事件
事件は2016年7月26日に起きました。
あるご遺族の方は"残虐な事件を、思い出したくないけれど、忘れてほしくない"と語ります。
障がい者も健常者も同じく生きること自体に意味があるという、当たり前なことを社会全体で今一度共有しなくてはいけないと思います。
被告人と会話を重ねたホームレス支援全国ネットワーク理事長・牧師奥田知志さんは、「生きる意味のない命」という言葉を聞いた際に、ナチズムに傾倒した若者だと思ったそうです。しかし実際はナチスのことなど知らない状態でその考えに至ったことが分かり、日本の社会で生活しているうちに育った思想であり、被告の言葉は「現代の言葉」なのではないかと思ったそうです。
社会全体の問題
この事件は「一人の青年が起こした事件」ということだけでは済まされないと感じます。
日本社会にある「目の前にある問題に蓋をする行為」と、見て見ぬふりをしてきた「社会全体」にこれから何をするのか、できるのかを強く訴えかける事件になりました。
そして近年話題になる「生産性が低いLGBT」や「経済格差を超えた命自体の格差」という考えは、ただ命というものが大切で生きていることそのものに意味があるという、言われるまでもない当たり前のことをおびやかす考えだと思います。
まとめ
障がいを持っている方たちが自分らしく生きる社会にしていくことが重要だと思いました。
差別や偏見がなくなる日を、あきらめることなく目指して社会全体で考え続けていきましょう。
参考
宮沢りえ×石井裕也監督、実際の障害者殺傷事件をモチーフにした「月」でタッグ
間もなく7・26というタイミングで発表された相模原障害者殺傷事件を素材にした宮沢りえ主演映画『月』(篠田博之)Yahooニュース