2024.04.18

発達障がいの子供たちのコミュニケーション、なぜすれ違ってしまうのか…特徴と理由を知ろう!

発達障がいを抱える子供たちにとって、日常の会話は時に大きな挑戦です。相手の言葉に耳を傾けることが難しく、自分の考えや感情をうまく伝えることも難しいことがあります。会話の中で相手の話を聞かずに熱弁をふるったり、相手の話の途中で気が散ってしまったりすることは珍しくありません。

そのため、彼らが他の人と異なる独自のコミュニケーションスタイルを持っていることを学習してみましょう。そして、同じような経験を共有する仲間との出会いが、彼らにとっては心地よいコミュニケーションの場となることもあります。

 

会話には一定のパターンが存在

発達障がいの子供たちが会話で苦手な部分を理解するために、会話の研究者たちは一つひとつの言葉を分析し、会話には一定のパターンが存在することを明らかにしています。以下では、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、そして学習障がい(LD)の子供たちがそれぞれ会話でどの部分が苦手なのかを見ていきましょう。

『発達障がいの子の「会話力」を楽しく育てる本』には、発達科学の知見に基づいた実践的なアドバイスが満載です。この本では、子供たちが楽しみながら会話力を向上させるための具体的な方法が提案されています。発達障がいの子供たちがなぜ会話でつまずくのか、その特徴や困難の背景を理解することは、彼らに適切なサポートを提供する上で非常に重要です。

 

自閉スペクトラム症:相手とのコミュニケーションが難しい

自閉スペクトラム症の子供たちは、自分の話したいことを熱心に語ることが得意ですが、会話が一方的になりがちで、相手とのコミュニケーションが難しい場合があります。彼らにとって相手の立場や感情を考慮して話すことや、相手の話に対して適切に反応することが難しい場合があります。

また、相手に適切なタイミングで話しかけることが難しい子供もいます。さらに、「説明力」や「解像度」「語用論」「協調性」「丁寧さ」といった要素においても、特徴が現れることがあります。たとえば、細かいディテールにこだわる一方で、会話全体の流れを把握するのが難しいことがあります。

 

注意欠如・多動症(ADHD):話の途中で内容を確認することが苦手

注意欠如・多動症の子供たちは、社交性が高く、初対面の相手でも気軽に話しかけることがあります。しかし、相手との交互のコミュニケーションや話の途中で内容を確認することが苦手です。

そのため、「説明力」を身につけるのが難しい場合があります。また、注意力が散漫になりやすいため、話の中で重要なポイントを見逃したり、相手の話を聞き逃したりすることがあります。

 

学習障がい:自分の考えを言葉や文章でうまく表現することが難しい

学習障がいの子供たちは、自分の考えを言葉や文章でうまく表現することが難しい傾向があります。会話の進行がゆっくりであり、特に話をはじめることや掘り下げることが苦手で、「説明力」が弱いことがあります。また、情報を整理して表現することや、相手の話に対して適切に反応することが難しい場合があります。

 

「相手とのキャッチボールにならない」

自閉スペクトラム症(ASD)の子供たちの会話は、しばしば「相手とのキャッチボールにならない」と表現されます。彼らは言葉を一方的に投げかけることが多く、相手の言葉を受け入れることが難しいように見えます。これは、ASDの子供たちが自分の興味ややり方を優先しやすいという特徴に関連しています。彼らが相手の話を無視しているのではなく、むしろ自分の話に意識が集中しているのです。

 

テーマや目的のない雑談には特に苦手意識

ASDの子供たちは言葉の意味や話の内容にこだわる傾向があります。そのため、テーマや目的のない雑談には特に苦手意識があります。このような雑談の中で会話力を発展させるのは難しい場合があります。その代わりに、彼らにとって興味深い趣味のグループなどに参加し、共通の話題がある場で会話を繰り返すことが、より良い経験となるでしょう。

ASDの子供たちが自分のペースで会話を進め、自分の興味に沿った話題を楽しむことができる環境を提供することが重要です。彼らが安心してコミュニケーションを取ることができるよう、適切な支援と理解が必要です。

ASDの子の特徴

急に話し始める: ASDの子供たちは突然相手に話しかけることがあります。しかも、その内容は相手への質問攻めや趣味の詳細な解説などで、普通の会話の流れからは外れることがあります。

 

  • 一方的に話す: 興味を示さなくても、ASDの子供たちは相手が興味を示さないまま話を続けることがあります。また、本で読んだ内容をそのまま解説し続けることもあり、演説のような状況になることがあります。

 

  • 相手の言葉をスルー: 会話中に相手が言葉を挟んでも、ASDの子供たちは無視したり、相手の発言を遮ったりすることがあります。彼らは自分の話に集中しすぎて、相手の言葉を聞き逃すことがあります。

 

  • 話を元に戻せない: 相手の話題とは関係のないことを話し始めた場合、ASDの子供たちはそれに気づいても元の話題に戻るのが難しいことがあります。

 

ASDの子のすれ違いの背景

  • 相手の話を取り入れられない: ASDの子供たちは相手の発言を受け入れ、その話題を発展させるような返答が上手くできないことがあります。

 

  • 反応が乏しい: 相手の話に対して適切な反応を返すことが少ないため、会話がスムーズに進まないことがあります。

 

会話に集中できなくなる傾向

ADHDの子供たちは、会話の途中で他のことに気を取られると、急に話題を変えたり、会話に集中できなくなる傾向があります。その結果、会話がまとまりにくくなります。周囲の人が会話の流れを修復する意識を持ち、説明や理解を補うことで、会話の乱れが減少し、会話が成立しやすくなります。

 

ADHDの子の特徴

  • 話が分散していく: 思いつきで話題を次々に変えることがあります。話が広がっていく一方で、まとまりにくくなります。そのため、周囲の子供たちが会話についていけないことがあります。

 

  • 説明が中途半端になる: 会話の途中で他のことに気を取られるため、話が中途半端に終わってしまい、十分な説明や理解ができないことがあります。

 

ADHDの子のすれ違いの背景

  • 話を整理できない: 会話の「修復」が苦手で、話が乱れたときに元に戻すことができません。また、話の順番を待つことも難しい特徴があります。

 

本人が自分の気持ちをうまく表現できていないことがある

学習障がい(LD)の子供たちは、受け答えが正確であり、会話がキャッチボールとして成立しているように見えても、本人が自分の気持ちをうまく表現できていないことがあります。彼らが自分の考えや感情を十分に伝えるのを助けるためには、周囲の人が積極的に質問をし、じっくりと話を聞くことが重要です。

このように、子供たちが話題を継続していけるようにするには、周囲の人が積極的に関与し、彼らが自分の考えや感情を表現できるようにサポートすることが必要です。

 

LDの子の特徴

  • 聞き漏らしがある: 言葉や文章をスムーズに聞き取るのが苦手で、一部を聞き漏らしたり、聞いてはいるものの理解できていないことがあります。

 

  • 言葉がうまく出てこない: 言いたいことはあるものの、それを言葉や文章でうまく表現することが難しいです。

 

LDの子のすれ違いの背景

  • 話を組み立てられない: 言葉や文章を扱うことに苦労しており、会話の継続が難しいです。言葉を重ねて、詳しく説明することが苦手です。

 

発達障がいの子供たちは、説明が苦手な傾向があります。ASD、ADHD、LDのいずれにも共通する困難であり、多くの子供が悩んでいます。

 

自分の考えや感情をうまく伝えられない

彼らは自分の考えや感情をうまく言葉で表現するのが難しく、家族や先生、友達にうまく伝わらないことがあります。彼らの話がわかりにくいのは、個々の子供によって異なります。話がいったりきたりする子供や、感情的で断片的な話し方をする子供、説明をはしょる傾向がある子供など、さまざまなパターンがあります。さらに、事実と空想を混ぜて話す子供もいます。

 

話の流れを整えるサポートが有効

いずれの場合も、彼らの話の流れを整えるサポートが有効です。周囲の大人が子供たちの話を注意深く聞き、必要な場合には質問をしたり、説明を補ったりすることで、子供たちが自分の意思や気持ちを適切に表現できるよう支援することが重要です。また、コミュニケーションスキルを向上させるために、継続的な訓練や指導も役立ちます。

 

全タイプに共通する特徴

  • 話に筋道がない: 物語や出来事を伝える際に、筋道を立てて話すことが難しいです。突然結末を語ったり、話の流れが不連続になることがあります。

 

  • 感情的な説明に: トラブルなどを説明すると、感情的な話になりがちで、客観的な事実が見えにくくなります。

 

全タイプに共通するすれ違いの背景

  • 元の話を覚えていない: 物語や出来事の全体像を覚えておらず、興味を持った部分だけを中心に覚えています。そのため、話が微妙に変化することがあります。

 

  • 状況を理解できていない: 物語や出来事を一度目にしたが、その状況を理解できていないことがあります。後で振り返って説明するのが難しいです。

 

  • 過去と現在がつながりにくい: 過去の出来事とその後の経過をつなげて考えるのが難しいです。関連性に気づきにくい子供や、流れを整理できない子供がいます。

まとめ

発達障がいを抱える子供たちのコミュニケーションは時に大きな挑戦ですが、理解とサポートがあれば、彼らの成長と自信につながることでしょう。彼らの独自のコミュニケーションスタイルを尊重し、適切な支援を提供することで、彼らが豊かなコミュニケーションを楽しめるよう促進しましょう。

 

参考

発達障がいの子の会話は、なぜすれ違ってしまうのか…話し方の特徴を知れば、理由がわかる!(現代ビジネス)#Yahooニュース

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