2024.03.29

「働いて輝く」障がいがあっても仕事を通じて成長 4月から法定雇用率引き上げ

障がいを持つ人々の労働力が社会的課題となる中、注目を集めるのはその可能性です。その一例として、松江市のカフェで友人とのブランチを楽しむ藤村光さんの姿が挙げられます。

光さんは進行性の難病であるSMAを抱えながらも、地元企業でデザインやクライアント対応などを担当する正社員として働いています。彼の活躍は、障がい者雇用の転換期にある現在の姿を象徴しています。

 

島根県は障がい者雇用の先進

トレンドの徳田裕成社長は、障がい者雇用に積極的な姿勢を示しています。彼は、最初に出会った障がいを持つ女性にインターンシップの機会を提供し、その姿勢や地域への価値観が会社の理念と合致していると感じ、彼女を仲間に迎えることを熱望していました。

島根県は障がい者雇用の先進として知られており、その取り組みは全国平均を大きく上回っています。法定雇用率の引き上げが進む中、全国的にはまだ3割の企業が障がい者雇用ゼロという現実もあります。しかし、このような状況の中で注目を集めているのが、ある制度です。

 

障がいのある方が働きやすい環境を提供

境港市にある「サンライズさんこう」は、2019年に設立された「三光」の子会社で、廃棄物処理事業などを展開しています。安達賢統轄部長によれば、この会社は「三光株式会社の特例子会社」として認定されており、障がいのある方が働きやすい環境を提供しています。

特例子会社として認定を受けることで、親会社は特例子会社で雇用された障がい者を法定雇用率に算定することができます。

 

障がい者にとって働きやすい環境が整えられている

現在、サンライズさんこうでは10人の障がい者が働いており、統合失調症を抱える男性もその一人です。

彼は定期的な面談や通院休暇などのサポートを受けながら、5年目に入る勤務を続けています。この会社では、障がい者にとって働きやすい環境が整えられており、それが長期的な雇用を支えています。

 

「重度訪問介護」は、就労・通勤の支援としては認められていない

安達賢統轄部長は、精神障がい者や発達障がい者が多く働く会社を目指していると述べています。

一方で、障がい者が日常生活を送るのに必要な支援である「重度訪問介護」は、就労・通勤の支援としては認められていません。このため、「トレンド」が一部介助費用を負担するなど、企業が制度上の課題に対応しながら障がい者雇用に取り組んでいます。

 

障がいを知ること、その人自身を理解すること

トレンドの徳田裕成社長は、制度の重要性について語りますが、さらに重要なのは障がい者自身を知ることだと考えています。養護学校などとの接点を増やし、素晴らしい個人がどれだけいるかを理解することが、企業にとっても重要だと述べます。

一方、サンライズさんこうの安達賢統轄部長は、障がい者も普通の人と同様に個々の特性を持っており、その人自身を理解することが重要だと強調します。障がいを超えて、人としての個性や能力を見ることが大切だと述べます。

 

障がい者自身にも大きな変化が生まれている

そして、障がいを持つ人々が働くことで、彼ら自身にも大きな変化が生まれています。藤村光さんは、就職後に県外に遊びに行くなどの活動を始め、友人からは行動力が増したと評されています。彼らの可能性は、障がいの有無に関わらず、ますます広がっていくでしょう。

4月からの法定雇用率引き上げに関する重要な変更

2024年4月1日をもって、日本における法定雇用率が引き上げられることが決定されました。これは、障がい者雇用促進法に基づくものであり、企業が一定数の障がい者を雇用することを義務付ける規定です。

 

  • 主な変更点

法定雇用率の引き上げ: 新たな規定により、従業員100人以上の企業は、従業員の数に応じて障がい者の雇用率を引き上げなければなりません。これにより、より多くの障がい者が職場に参加する機会が提供されます。

 

  • 企業の取り組み強化

企業は、法定雇用率の達成に向けて積極的な取り組みを強化する必要があります。これには、障がい者の採用や雇用条件の改善、職場環境の整備などが含まれます。

 

  • 支援措置の拡充

障がい者を雇用する企業に対して、政府や地方自治体がさまざまな支援措置を提供します。これには、雇用の促進や職場環境の改善を支援する助成金や情報提供が含まれます。

 

影響と期待される効果

雇用機会の増加:新たな法定雇用率の引き上げにより、障がい者がより多くの職場で雇用される機会が増えることが期待されています。

 

社会的包摂の促進:障がい者が職場で活躍することで、多様性と包括性のある社会の実現に向けた一歩が進むことが期待されています。

 

企業の社会的責任の強化:法定雇用率の引き上げにより、企業は社会的責任を果たす重要性を再認識し、障がい者の雇用を通じて地域社会に貢献する姿勢が求められます。

 

4月からの法定雇用率引き上げは、障がい者雇用促進の取り組みをさらに前進させ、社会全体の包括的な発展に寄与することが期待されています。

 

障がい者雇用の重要性と取り組み

障がい者雇用は、社会的包摂の促進や多様性の尊重、そして企業の社会的責任を果たす上で極めて重要な役割を果たしています。障がいを持つ人々が職場で活躍することは、彼ら自身の自立と幸福感を高めるだけでなく、企業や社会全体に多くの利益をもたらします。

 

障がい者雇用の重要性

  • 多様性の尊重

障がい者の雇用は、企業内の多様性を高め、異なるバックグラウンドや経験を持つ人々が協力して働くことを促進します。これにより、新しいアイデアや視点が生まれ、企業のイノベーション力が向上します。

 

  • 社会的包摂

障がい者が職場で働くことは、社会的な包摂を促進し、差別や偏見を減少させます。障がい者に平等な雇用機会を提供することで、彼らが社会の一員として尊重されることが示されます。

 

  • 企業の社会的責任

障がい者の雇用は、企業の社会的責任を果たす一環として重要です。企業は、地域社会に貢献し、社会的な課題に対処することが求められます。障がい者雇用は、そのような企業の責任を果たすための具体的な取り組みの一つです。

 

障がい者雇用への取り組み

  • 雇用の促進

障がい者雇用を促進するために、企業は積極的な採用プログラムや障がい者向けの就業支援を提供することが重要です。また、障がい者の適切な配置や職場環境の調整も重要な要素です。

 

  • 教育と訓練

障がい者が職場で成功するためには、適切な教育や訓練が必要です。企業は、障がい者向けの職業訓練プログラムやキャリア支援を提供することで、彼らの能力を最大限に引き出すことができます。

 

  • 職場環境の整備

障がい者が働きやすい環境を整えることも重要です。アクセシビリティの向上やバリアフリーな職場づくりは、障がい者が能力を発揮しやすい環境を作るための重要な手段です。

 

障がい者雇用は、企業や社会にとって双方向に利益をもたらす取り組みです。障がい者が能力を発揮し、自己実現を果たすことで、企業の業績向上や社会の発展に貢献することが期待されます。

 

就労支援施設:障がい者の自立と社会参加を支援する場

障がい者の雇用機会を増やし、彼らが自立して社会に参加できるよう支援するために、さまざまな就労支援施設が設立されています。これらの施設は、障がい者が職業訓練や就労準備を行い、適切な職場に就くためのスキルや自信を身につけることを目的としています。

 

就労支援施設

  • 職業訓練プログラム

就労支援施設では、障がい者が自分の能力や興味に合った職種を見つけるための職業訓練プログラムが提供されます。これには、職場で必要なスキルや技術を磨くためのトレーニングが含まれます。

 

  • 労働市場への準備

就労支援施設は、障がい者が労働市場に参加する準備をするための支援を提供します。これには、履歴書の書き方や面接の練習など、就職活動に必要なスキルの向上が含まれます。

 

  • 職場適応支援

障がい者が職場で成功するためには、適切な職場環境への適応が重要です。就労支援施設では、障がい者の個々のニーズに合わせた職場適応支援が提供されます。これには、職場でのコミュニケーションや仕事の遂行方法のトレーニングが含まれます。

 

就労支援施設の役割と重要性

  • 自立支援

就労支援施設は、障がい者が自立して生活し、自己実現を果たすための支援を提供します。適切な職業訓練や準備を通じて、障がい者が自らの能力を最大限に活かし、独立した生活を送ることができるようサポートします。

 

  • 社会参加の促進

障がい者が労働市場に参加することは、社会参加の一形態です。就労支援施設は、障がい者が社会の一員として自己実現を果たし、社会に貢献することを支援します。

 

  • 人材育成の貢献

就労支援施設は、障がい者が適切な職場で活躍することで、企業や社会全体に有益な人材を供給します。障がい者が能力を発揮し、職場で貢献することで、多様性が尊重された社会の実現に貢献します。

 

障がい者の自立と社会参加を支援するために、就労支援施設は重要な役割を果たしています。これらの施設は、障がい者が自らの能力を最大限に発揮し、社会の一員として活躍するための基盤を提供しています。

 

多様性と包摂の実現に向けた重要なステップ

障がい者が社会進出することは、多様性と包摂の実現に向けた重要なステップです。まず、障がい者の雇用は、企業に多くの利益をもたらします。

多様な視点や経験を持ち、新しいアイデアやソリューションを提供する可能性があります。また、彼らの参加により、企業の労働力が多様化し、イノベーションと創造性が促進されます。

 

経済と労働市場にもプラスの影響

障がい者の社会進出は、社会的な包摂の推進にもつながります。彼らが社会の一員として活動することで、差別や偏見が減少し、より包括的な社会が実現されます。障がい者が自分の能力を発揮し、自己実現を果たすことで、彼ら自身の尊厳と自信が高まります。

さらに、障がい者の社会進出は、経済と労働市場にもプラスの影響を与えます。彼らの雇用により、労働力が増加し、経済成長が促進されます。また、障がい者が働くことで、彼ら自身やその家族に収入と安定がもたらされ、貧困や社会的排除のリスクが低減されます。

まとめ

最後に、障がい者の社会進出は、社会の多様性と共生を促進する重要な要素です。彼らの参加により、社会全体がより豊かで包括的なものになります。彼らの経験や視点は、社会のあり方や政策の形成に影響を与え、より公正で包括的な社会の実現に寄与します。

障がい者の社会進出は、単なる個人の問題ではなく、社会全体の課題であり、その重要性はますます高まっています。彼らが自分の能力を最大限に発揮し、自己実現を果たすための支援が必要であり、社会全体が包括的な支援体制を構築することが求められています。

 

参考

障がいがあっても働いて輝く「成長しているなってすごく実感できる」 変わる“障がい者雇用” 4月から法定雇用率引き上げも…課題と現状は?(BSS山陰放送)Yahooニュース

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