2024.04.09

「ボッチャ」有田正行さんと一戸彩音さんペア、パリパラリンピック代表内定!彼女たちが抱える「脊髄性筋萎縮症」「脳性まひ」とは?

ポルトガルで開催されたパリパラリンピックの最終予選で、有田正行選手と一戸彩音選手のペアが準優勝し、日本代表に内定しました。この喜びに満ちた瞬間は、彼らにとって長年の努力と訓練の成果を象徴しています。

 

運動機能に障がいのある人々のためのスポーツ

ボッチャは運動機能に障がいのある人々のためのスポーツであり、その精度と戦略性が競技の醍醐味です。赤と青のボールを巧みに操り、白い的球にどれだけ近づけられるかを競います。

このペアは10か国の激しい予選リーグを勝ち抜き、決勝で敗れたものの、上位3チームに与えられるパリパラリンピックの出場枠を手に入れました。彼らの成功は、努力と情熱がどれほど大きな成果を生み出せるかを示しています。

彼らは初めてのパラリンピック出場となりますが、これまでの実績から期待が高まっています。彼らの姿勢と決意は、世界中の人々に勇気と希望を与えています。

 

脊髄性筋萎縮症という先天性の難病を抱える有田正行選手

有田正行選手は大阪府出身の44歳で、脊髄性筋萎縮症という筋力が徐々に低下していく先天性の難病を抱えています。15年以上にわたり、電動車いすサッカーの選手として活躍してきましたが、37歳の時に「世界で活躍する選手になる」という夢に向かってボッチャに転向しました。

競技転向後、妻の千穂さんがアシスタントを務め、東京パラリンピック出場を目指しましたが、代表入りには至りませんでした。その後、夫婦二人で協力しながら練習を重ね、おととしの日本選手権で初優勝を果たすとともに、去年には中国で開催されたアジアパラ大会の個人戦で銅メダルを獲得しました。

パラリンピックへの出場は初めてですが、彼の過去の努力と成果から、期待が高まっています。

 

脳性まひを抱える一戸彩音選手

一戸彩音選手は東京都東久留米市出身の18歳で、脳性まひを抱えています。彼女は特別支援学校中学部1年生の時に部活動に参加し、その後競技にのめり込んでいきました。彼女の父である賢司さんがアシスタントを務め、1日当たり最大で8時間もの猛烈な練習を行い、着実に実力を伸ばしてきました。

彼女はまばたきが難しいため、プレーの際には左目側が黒いカバーで覆われたメガネを着用し、右目だけで狙いを定めてボールを放ちます。去年、初めて出場した日本選手権で初優勝を果たした彼女は、その後のアジア・オセアニア選手権でも銀メダルを獲得するなど、国際大会でも実力を示してきました。

彼女にとって、今回のパラリンピックは初めての出場ですが、彼女の熱意と才能から、多くの期待が寄せられています。

脊髄性筋萎縮症(SMA)とは?症状、治療、そして研究の最前線

脊髄性筋萎縮症(Spinal Muscular Atrophy、SMA)は、遺伝性の神経筋疾患であり、主に運動神経細胞(運動ニューロン)を侵害します。

この疾患は筋肉の衰弱と萎縮を引き起こし、しばしば重度の身体的障がいをもたらします。以下では、SMAの症状、治療法、および研究の最新動向について詳しく説明します。

 

症状

SMAの症状は重篤さによって異なりますが、一般的な特徴は次のとおりです。

 

  • 筋力の低下と萎縮:主に四肢の筋肉が影響を受けます。初期には、赤ちゃんや幼児の場合、座位や歩行の遅れがみられることがあります。

 

  • 呼吸困難:SMAの進行に伴い、呼吸筋の衰弱が進み、呼吸困難が生じる可能性があります。

 

  • 摂食・嚥下の困難:嚥下筋の弱さから、摂食や嚥下に問題が生じることがあります。

 

  • 身体の姿勢や動作の制限:筋肉の衰弱により、姿勢や運動能力に影響が出ることがあります。

 

治療

SMAの治療は、症状の軽減や進行の遅延を目指しています。現在、以下の治療法が一般的に使用されています。

 

  • 遺伝子治療:最近では、SMAの原因となるSMN1遺伝子の欠損を補うための遺伝子治療が開発され、臨床試験が行われています。

 

  • 薬物療法:スピナザ製剤(Nusinersen)やオンセヌロン製剤(Risdiplam)などの薬物が、筋肉の神経接続を向上させるために使用されます。

 

  • 支持療法:呼吸療法や物理療法など、症状の管理や生活の質を向上させるための支持療法が重要です。

 

研究の最前線

SMAの治療法は常に進化しており、新しい治療法や研究が進行中です。これには、遺伝子編集技術の発展や新たな薬物療法の開発が含まれます。また、SMAの早期診断や個々の治療法の最適化に向けた研究も進行中です。

脊髄性筋萎縮症は重篤な疾患であり、その治療と管理には多くの労力と専門知識が必要です。しかし、最新の治療法や研究の進展により、SMA患者とその家族にとって希望の光が見えています。

 

脳性まひとは?原因、症状、治療、そして支援

脳性まひは、出生前(胎児期)、出生時、または出生後の初期に脳に損傷が生じることによって引き起こされる障がいです。

この状態は、脳の発育や機能に影響を与え、身体の運動や姿勢、または認知機能に問題を引き起こすことがあります。以下では、脳性まひの原因、症状、治療、および支援について詳しく説明します。

 

原因

脳性まひの主な原因は、以下のような要因によって引き起こされます。

 

  • 出生前の要因:胎児期における脳の発育異常や発育障がい、または母体での感染症や出血などの問題が原因となることがあります。

 

  • 出生時の要因:出生時の窒息や脳の損傷、または早産などの問題が引き起こすことがあります。

 

  • 出生後の要因:乳幼児期に脳を損傷する事故や感染症、または神経発達上の問題が原因となることがあります。

 

症状

脳性まひの症状は、その原因や重症度によって異なりますが、一般的な特徴は以下の通りです。

 

  • 筋肉の強弱の不均衡:片側の筋肉が弛緩している(麻痺)一方で、他の側の筋肉が過剰に硬直している(痙攣)ことがあります。

 

  • 運動障がい:歩行困難や動作の制限、筋肉の動きのコントロールが難しいことがあります。

 

  • 姿勢の異常:姿勢の不安定さやバランスの悪さ、または特定の方向に体が曲がっていることがあります。

 

  • 認知機能の問題:学習能力や記憶力、言語能力に影響を及ぼすことがあります。

 

治療

脳性まひの治療は、その症状や重症度に応じて個々に適応されます。一般的な治療法には以下のようなものがあります。

 

  • 理学療法:筋力の強化や柔軟性の向上、運動機能の改善を目指して行われます。

 

  • 作業療法:日常生活動作の独立性を向上させ、身体的な機能を最大限に活用するための技術を提供します。

 

  • 発話療法:言語能力の向上やコミュニケーションスキルの向上を支援します。

 

  • 薬物療法:痙攣や疼痛の管理、または筋肉の弛緩を促すために使用されることがあります。

 

支援

脳性まひを持つ個人やその家族には、心理的、社会的、および医療的な支援が重要です。支援団体や専門家の助言を受けることで、日常生活の課題に対処し、最善のケアを提供することができます。

脳性まひは、その原因や症状の多様性から、個々の状況に合わせた総合的なアプローチが必要です。適切な治療とサポートにより、脳性まひを持つ個人が最大限の可能性を発揮し、充実した生活を送ることができるよう支援することが重要です。

 

パラリンピック:障がい者スポーツの祭典

パラリンピックは、身体的または知的な障がいを持つアスリートたちが競技する世界最大のスポーツイベントの一つです。オリンピックと同様に、パラリンピックも4年に1度開催され、世界中の障がい者アスリートが一堂に集まります。以下では、パラリンピックの歴史、競技種目、目的、そして影響について解説します。

 

パラリンピックの歴史

パラリンピックは、1948年に第二次世界大戦で負傷した軍人のリハビリテーションを目的として、イギリスのストーク・マンデヴィル病院で始まりました。その後、1960年にイタリアのローマで初めての公式なパラリンピック大会が開催されました。以降、パラリンピックは着実に成長し、今ではオリンピックと同じくらい注目を集める国際的なイベントとなっています。

 

競技種目

パラリンピックでは、様々な障がいに対応した競技種目が行われます。身体的な障がいを持つアスリートのためのスポーツ、脳性まひや知的障がいを持つアスリートのためのスポーツ、視覚障がい者向けのスポーツなど、さまざまなカテゴリーがあります。代表的な競技には陸上競技、水泳、車いすバスケットボール、車いすテニス、ボッチャなどがあります。

 

パラリンピックの目的

パラリンピックの主な目的は、障がい者にスポーツの機会を提供し、彼らが自己を表現し、能力を発揮する場を提供することです。また、パラリンピックは障がい者のスポーツの普及と啓発を促し、世界中の人々に障がい者の能力と可能性を示すことを目指しています。さらに、パラリンピックは社会の偏見や差別を打破し、障がい者が社会の一員として尊重されることを訴えます。

 

パラリンピックとその影響

パラリンピックは、世界中の障がい者アスリートたちにとって大きなインスピレーションとなります。彼らの競技によって、偏見や差別を克服し、自己を超える力を示すことができます。また、パラリンピックは障がい者のスポーツの発展と普及にも貢献し、障がい者に対する社会の理解と認識を高めることに役立っています。

まとめ

パラリンピックは、障がい者アスリートたちが勇気と決意を持って競技し、世界中の人々に感動と希望を与える場です。その重要性はますます高まり、パラリンピックの精神は世界中に広がっています。将来に向けて、障がい者スポーツの発展とパラリンピックの価値を支持することが、より包括的で包括的な社会の構築に貢献するでしょう。

 

参考

ボッチャ 有田正行と一戸彩音ペア パリパラリンピック代表内定 | NHK

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