2024.05.28

発達障がいを公表し「気持ちが少し楽になった」プロレス界で輝くちゃんよたが向き合った“個性”

女子プロレスラーのちゃんよたは、リング内外で常に話題の中心にいる存在です。3月には彼女自身がプロデュースする興行を新木場1stRINGで開催し、満員の観客を集める快挙を成し遂げました。大規模な会場ではないものの、団体の規模を考えるとこれは大きな成功と言えます。

 

「生き物として強くなりたい」

ちゃんよたはボディコンテストに出場することを宣言し、その過程をSNSで公開しながら体重を絞り込んでいきました。5月31日には写真集も発売される予定です。彼女はプロレスラーとしてだけでなく、筋肉系YouTuberやセクシー女優としても活動し、その全ての活動が「生き物として強くなりたい」というテーマに結びついています。

 

ADHDとASDを公表し「気持ちが少し楽になった」

ちゃんよたは自身のADHDとASDを公表し、「気持ちが少し楽になった」と語っています。彼女のプロデュース興行では、EvolutionのZONESと共に「マッスルシスターズ」を結成し、高橋奈七永&水波綾という実力派タッグと対戦しました。特に印象的だったのは、キャリアのある相手に全力で立ち向かう彼女の姿です。スターダムにも参戦経験がある彼女は、派手なカードを組むことも可能でしたが、あえて実力重視の相手を選びました。

 

ちゃんよたの姿勢「プロレスに対して本気であることを証明」

所属する団体PPPTOKYOの代表であり、自身も選手である三富兜翔は、ちゃんよたの姿勢についてこう評しています。「奈七永さん、水波さんは女子プロレスの本流とも言える存在です。逆に我々は若い団体であり、亜流と見られがちです。しかし、だからこそ本流と向き合い、プロレスに対して本気であることを証明したいのだと思います。

 

自分がダメ人間になってしまったのかと思っていた

女子プロレスラーのちゃんよたは、4月に自身の発達障がいをYouTubeで公表しました。病院で「注意欠陥多動障がい(ADHD)と自閉症スペクトラム障がい(ASD)」と診断されたことを明かしました。「自分がダメ人間になってしまったのかと思っていたので。でもそうじゃなく、ADHD、ASDは脳の特性なんです」と彼女は言います。

 

警察官だった時代「仕事があまりにできなくて」

ちゃんよたが悩み始めたのは警察官だった時代です。上司からの指示をうまく理解できず、空気を読んだり察したりすることが苦手だったため、「仕事があまりにできなくて」何もしていないのに涙が出てくることもあったといいます。最終的にはうつ病になり、警察を辞めることになりました。

 

暗黙の了解も多い

警察の仕事は、毎日起きることが違います。それに対応しなきゃいけないですし、“こういう時は指示されなくてもこう動く”という暗黙の了解も多いんです。それが腑に落ちることならいいんですけど、そうじゃないと自分は行動に移せなかった。マルチタスクで臨機応変が求められる職場は、自分が一番苦手なところでした。病院に行って、それが分かりましたね」とちゃんよたは述べています。

 

「悩んでいる人の後押しができるなら嬉しい」

病院で診断を受けるにはお金も時間もかかるため、つい足が遠のいていたとちゃんよたは言います。しかし、発達障がいを公表することで、同じような悩みを持つ人たちにも良い影響があればと考えています。

「当事者の方からのコメントも届きましたし、“検査に行ってみようと思います”という人もいました。検査を受けるのは抵抗があるという人もいると思いますが、今は10人に1人は発達障がいがあると言われています。私の発言で悩んでいる人の後押しができるなら嬉しいです」とちゃんよたは語ります。

 

「プロレスに向いている」と確信

警察官時代のちゃんよたを悩ませていたものの“正体”は発達障がいでした。原因が分かれば、対応もできます。プロレスでも同様です。三富兜翔は、ちゃんよたが練習を始めた頃から「プロレスに向いている」と確信していたそうです。

「いま思えばADHD、ASDの特性ということだったのかもしれませんが、練習に一心不乱に打ち込む、のめり込む姿勢が素晴らしいなと」と三富は言います。

 

愚直な努力で成長してきた

プロレスデビューには風当たりもありました。ちゃんよた自身も述べていますが、彼女は毎日コツコツと続けることが得意です。筋トレや勉強、掃除など、コツやセンスよりも継続と積み重ねを重視するタイプです。プロレスに関しても、彼女は愚直な努力で成長してきました。

ちゃんよたには“生き物として強くなる”というテーマ、大義名分がありました。肉体的にも精神的にも、そして性的な意味でも強くエネルギッシュに生きていく。すべての活動がそこにつながっています。興味本位でやっているわけではなく、私としても話題性重視でデビューさせたつもりはありません。だから“むしろ堂々と応援してあげてください”と言えました。きちんと大義名分を打ち出せば、支持してくれる人も増えるんです」と三富は説明します。

 

プロレスに対する本気度の表れ

プロデュース興行で高橋奈七永、水波綾という“本流”と対戦したのも、プロレスに対する本気度の表れです。実力だけでなく観客を巻き込むエネルギーがある2人は、ちゃんよたにとって理想のレスラーでもあります。

自分の“特性”を理解したことで、プロレスへの取り組み方も明確になったとちゃんよたは言います。

「検査して分かったのは、私は目で見たものを理解するのが得意で、耳で聞いたものに関しては苦手だということです。だから試合映像を見ることが大事なんだなと」とちゃんよたは語ります。

 

たくさんの指示を受けると理解できなかった警察官時代

警察官として勤務していた時、ちゃんよたは上司から一度にたくさんの指示を受けるとうまく理解できませんでした。プロレスでは、試合後に先輩からアドバイスをもらうことがありますが、それが完全には頭に入ってこないこともあります。今では「それが自分なんだ、別のやり方があるんだ」と納得できるようになったといいます。

 

「プロレスって、思ってたより自由でしたね」

「試合中は、自分の得意な攻撃パターンができている時はいいんです。問題は予想外の展開になった時。たぶん他の選手より“どうしよう”と慌ててしまうんですよ」と彼女は言います。

しかし、その感覚は高橋奈七永や水波綾と対戦することで変わっていきました。自分が思うような展開にならない時、一つの“正解”があってそれをやらなければと考えがちでしたが、そうではないのだと気づいたのです。「プロレスって、思ってたより自由でしたね。それを教わりました」とちゃんよたは語ります。

 

選手たちに試合内容について細かい指導は控えている

PPPTOKYOの代表である三富兜翔さんも、選手たちに試合内容について細かい指導は控えています。慶應大学出身で、プロレスと同時に大手広告代理店の博報堂で働いていた経験がある三富さん。

会社を辞めてプロレスに専念すると発表した時も話題となり、さまざまなメディアに取り上げられました。それだけに、既存のプロレスや根拠が分からない慣習に対して疑問を隠しません。彼ははっきりと「プロレス界の常識は反面教師です」と言います。

 

お客さんが喜ぶことならそれが正しい

プロレス界には“いい試合とはこういうもの”、“こういう場面ではこう動くべき”という謎のセオリーがあります。“こういうことはするもんじゃない”とか。もちろん、受身や相手にケガをさせない闘い方といった基本は身につけなければいけません。でも、それ以外は自由でいいはずです。プロレス界の常識がそんなに正しかったら、各団体もっとお客さんが入っていますよ(笑)。昔からこうだからではなく、お客さんが喜ぶことならそれが正しいと僕は思っています」と三富は語ります。

 

プロレスへの取り組み方も明確になった

ちゃんよたは、自分の特性を理解したことでプロレスへの取り組み方も明確になったといいます。PPPTOKYOの主力選手である八須拳太郎は、ちゃんよたとともに“1分間格闘技”BreakingDownに出場し、“胸毛ニキ”のニックネームで人気を博しました。

さらに4月には老舗MMA団体DEEPにも参戦しています。本人にも団体にも「格闘技で負けたらプロレスのキャリアに傷がつく」という考え方はありません。また、所属選手にはトランスジェンダーの女子プロレスラーとしてデビューしたエチカ・ミヤビもおり、現在は性別適合手術を受けて欠場中です。

 

“なりたい自分に世界一近づけるリング”

「これは八須やちゃんよたから学ばせてもらった部分も大きいのですが、PPPTOKYOの個性、魅力は“なりたい自分に世界一近づけるリング”ということじゃないかなと感じます。団体の方向性の中で選手を役割やポジションに当てはめるのではなく、それぞれがやりたいことをやるのが一番いい」と三富は言います。

 

個々のブランディングも入念に行う

個々のブランディングも、選手まかせにはしません。「たとえばSNSで使う言葉にしても、入念に戦略会議を行っています。広告代理店での経験が大きいですね。広告で使われる一つの言葉にどれだけの人が関わって、どれだけの時間とお金が使われているかを知っているので。各プロレス団体もSNSの強化は意識していますが、まだ選手の自主性とセンスに頼る部分が大きいです」と三富は説明します。

 

新しいイベント運営の形を目指している

PPPTOKYOのモットーは「新進気鋭」。昭和・平成の「放映権料ビジネス」ではなく、新しいイベント運営の形を目指しています。ちゃんよたの“発達障がいを個性として受け入れる、セクシー女優かつ本格派プロレスラー”というあり方も、新しい時代の新しい団体だからこそ生まれたと言えるでしょう。

発達障がい:理解とサポートの重要性

発達障がいは、先天的な脳の機能の偏りによって引き起こされる症状の総称であり、主に自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠陥多動性障がい(ADHD)、学習障がい(LD)などが含まれます。これらの障がいは個人の生活にさまざまな影響を与えるため、理解とサポートが非常に重要です。

 

発達障がいの種類と特徴

  • 自閉スペクトラム症(ASD)

ASDは、対人関係やコミュニケーションに困難を感じることが特徴です。行動や興味の範囲が限定され、同じパターンの行動を繰り返すことが多いです。ASDの症状は個人によって大きく異なり、知的障がいを伴う場合もあれば、非常に高い知能を持つ場合もあります。

 

  • 注意欠陥多動性障がい(ADHD)

ADHDは、不注意、多動性、衝動性が主な特徴です。集中力を維持することが難しく、落ち着きがなく、計画性に欠けることがあります。これにより、学業や職場でのパフォーマンスに影響を及ぼすことが多いです。

 

  • 学習障がい(LD)

LDは、読み書きや計算など、特定の学習に関する能力に困難を感じる障がいです。知能には問題がないにもかかわらず、学習に対して特異的な困難を経験します。これにより、学校での成績や自己評価に悪影響を及ぼすことがあります。

 

発達障がいの診断とサポート

発達障がいの診断は、専門の医療機関で行われる評価と観察に基づいて行われます。早期診断と適切なサポートが、発達障がいを持つ人々の生活の質を向上させる鍵となります。

 

  • 早期診断と介入

幼少期に発達障がいの兆候が見られる場合、専門家による評価を受けることが重要です。早期に適切な介入を行うことで、症状の改善や適応能力の向上が期待できます。

 

  • 教育と職場でのサポート

学校や職場では、発達障がいを持つ人々が適応しやすい環境を整えることが重要です。具体的には、個別の教育プランの作成、適切な支援員の配置、作業環境の調整などがあります。

 

  • 家族とコミュニティの理解と支援

発達障がいを持つ人々の家族や周囲のコミュニティも、理解とサポートが必要です。発達障がいについての正しい知識を持ち、共感と支援を提供することで、彼らの生活を豊かにすることができます。

 

社会における発達障がいの認知と受け入れ

発達障がいについての認識は年々高まっていますが、依然として偏見や誤解が存在します。社会全体で発達障がいに対する正しい知識を広め、受け入れることが求められます。

 

  • 啓発活動

発達障がいに対する理解を深めるための啓発活動が必要です。講演会やワークショップ、メディアを通じた情報発信などが有効です。

 

  • 法的支援

発達障がいを持つ人々の権利を保護し、平等な機会を提供するための法的枠組みも整備されています。例えば、日本では発達障がい者支援法が施行されており、支援体制の充実が図られています。

 

  • インクルーシブ社会の実現

発達障がいを持つ人々が社会で活躍できるよう、インクルーシブ社会の実現を目指すことが重要です。多様な人々が共生し、それぞれの能力を発揮できる環境作りが求められます。

発達障がいを持つ人々の可能性を引き出し、彼らがよりよい生活を送るためには、社会全体の理解と協力が不可欠です。正しい知識と温かいサポートが、発達障がいを持つ人々の未来を明るく照らす鍵となるでしょう。

まとめ

ちゃんよたのプロレスラーとしての活躍、そして発達障がいを公表したことで得た新たな視点は、多くの人々に勇気と希望を与えています。PPPTOKYOのモットーである「新進気鋭」を体現する彼女の姿勢は、団体の未来を明るく照らし出しています。これからも、彼女のさらなる成長と挑戦を見守り続けたいです。

 

参考

発達障がいを公表したちゃんよたの本音「気持ちが少し楽になった」 セクシー女優レスラーが向き合った“個性”「(警察時代は)仕事ができなくて…」

 


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