2024.05.22

身体障がい者手帳の等級一覧│体幹機能・内部機能障がいの等級について

身体障がいの等級は、適切な支援やサービスを受けるための重要な基準です。この記事では、体幹機能障がいおよび内部機能障がいの等級について詳しく解説します。具体的な等級の基準や判定方法を理解することで、障がいを持つ方々がどのように評価され、どのような支援を受けられるのかを知ることができます。各障がいの特徴や等級の内容について詳しく見ていきましょう。

体幹機能障がい

体幹機能障がいの等級は、以下のように1〜5級まで(4級はなし)となっています。

 

体幹機能障がいの等級

1級 

体幹の機能障がいにより座っていることができないもの

2級

1.体幹の機能障がいにより座位または起立位を保つことが困難なもの

2.体幹の機能障がいにより立ち上がることが困難なもの

3級

体幹の機能障がいにより歩行が困難なもの

4級

該当なし

5級

体幹の機能の著しい障がい

参考:厚生労働省「身体障害者障害程度等級表

 

体幹とは、頸部、胸部、腹部、腰部のことで、それらが動かせるかということ以外に、立ったまま、座ったままというように、体位を保持できるかも重要です。先程の等級の内容を具体的に説明すると、以下のようになります。

座っていることができない(1級)

腰掛ける、正座、横座り、あぐらのどれもできない

座位または起立位を保つことができない(2級)

10分間以上にわたって座ったまま、もしくは立ったままでいることができない

立ち上がることが困難(2級)

寝ている姿勢、もしくは座った姿勢から自力で立つことができず、他人の手や杖などの器具の介護によって初めて立てる

歩行が困難(3級)

100m以上の歩行ができない、もしくは片脚で立ったままいられない

著しい障がい(5級)

2km以上の歩行ができない

参考:東京都福祉局 東京都心身障害者福祉センター「障害種類ごとの基準(3)肢体不自由

 

体幹機能障がい者への配慮ポイント

四肢体幹の麻痺や、運動失調、変形などによって、これらの体幹機能障がいは起こり、車椅子の他に、複数点で支える歩行補助杖(T字杖)を使用している方もいます。体幹機能障がい者への配慮ポイントは以下の通りです。

  • 通勤ラッシュを避けるため、時差出勤や時短勤務、在宅勤務、車通勤を認める
  • 通路幅の確保や段差の解消など、トイレも含めてバリアフリー化する
  • 重量物の運搬や、立作業、頻繁な移動、かがむ作業、階段昇降が必要な作業を避ける

等級によって、歩行や体位を変えるときの安定性が異なるので、安全面に配慮しましょう。

 

乳幼児期以前の非進行性の脳病変による運動機能障がい

乳幼児期以前の非進行性の脳病変による運動機能障がいとは、具体的には脳性麻痺のことです。等級は、以下のように1〜7級まで(身体障害者手帳の交付は6級まで)となっています。

 

乳幼児期以前の非進行性の脳病変による運動機能障がいの等級

上肢機能障がい

移動機能障がい

1級

不随意運動・失調等により上肢を使用する日常生活動作がほとんど不可能なもの

不随意運動・失調等により歩行が不可能なもの

2級

不随意運動・失調等により上肢を使用する日常生活動作が極度に制限されるもの

不随意運動・失調等により歩行が極度に制限されるもの

3級

不随意運動・失調等により上肢を使用する日常生活動作が著しく制限されるもの

不随意運動・失調等により歩行が家庭内での日常生活活動に制限されるもの

4級

不随意運動・失調等により上肢の機能障がいにより社会での日常生活活動が著しく制限されるもの

不随意運動・失調等により社会での日常生活活動が著しく制限されるもの

5級

不随意運動・失調等により上肢の機能障がいにより社会での日常生活活動に支障のあるもの

不随意運動・失調等により社会での日常生活活動に支障があるもの

6級

不随意運動・失調等により上肢の機能の劣るもの

不随意運動・失調等により移動機能の劣るもの

7級

上肢に不随意運動・失調等を有するもの

下肢の不随意運動・失調等を有するもの

参考:厚生労働省「身体障害者障害程度等級表

 

脳性麻痺の上肢機能障がいの等級とひも結びテスト結果

「上肢機能障がい」と「移動機能障がい」の2種類にわかれていて、わかりにくいですよね。まず、脳性麻痺での上肢機能障がいとは、5分間にとじひも(長さ約43cm)を何本結べるかを検査するひも結びテストの結果によって判定されます。両上肢に機能障がいが見られる場合、以下のようにテスト結果に応じて等級が決められます。

等級

ひも結びのできた数

1級    

19本以下

2級 

33本以下

3級

47本以下

4級

56本以下

5級

65本以下

6級

75本以下

7級

76本以上であるが、上肢に不随意運動や失調がある

参考:東京都福祉局 東京都心身障害者福祉センター「障害種類ごとの基準(3)肢体不自由

 

脳性麻痺の移動機能障がいの等級と評価結果

1級     

つたい歩きができない

2級

つたい歩きのみできる

3級

支持なしで立ったままでいられて、その後10m歩行できるが、椅子から立ち上がったり、椅子に座ったりする動作ができない

4級

椅子から立ち上がって10m歩行し、再び椅子に座る動作に15秒以上かかる

5級

椅子から立ち上がって10m歩行し、再び椅子に座る動作が15秒未満でできるが、50㎝幅の範囲を直線歩行できない

6級

50㎝幅の範囲を直線歩行できるが、足を開き、しゃがみこんで、再び立ち上がる動作ができない

7級

6級以上に該当しないが、下肢に不随意運動や失調がある

参考:東京都福祉局 東京都心身障害者福祉センター「障害種類ごとの基準(3)肢体不自由

 

乳幼児期以前の非進行性の脳病変による運動機能障がい者への配慮ポイント

脳性麻痺による運動機能障がいは、筋肉の緊張が強かったり、バランスが悪くてスムーズな動きができなかったりします。このような乳幼児期以前の、非進行性の脳病変による運動機能障がい者への配慮ポイントは、以下の通りです。

  • 通勤ラッシュを避けるため、時差出勤や時短勤務、在宅勤務、車通勤を認める
  • 通路幅の確保や段差の解消など、トイレも含めてバリアフリー化する
  • 重量物の運搬や、立作業、頻繁な移動、かがむ作業、階段昇降が必要な作業を避ける
  • リハビリなどの通院を認める

等級とともに、その人ができることとできないことに寄り添って、配慮しましょう。

 

【内部障がい】の等級は1~4級

内部障がいは以下の7種類にわかれていて、それぞれ1~4級までとなっています。

  • 心臓機能障がい
  • じん臓機能障がい
  • 呼吸器機能障がい
  • ぼうこうまたは直腸の機能障がい
  • 小腸機能障がい
  • ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障がい
  • 肝臓機能障がい

心臓機能障がい

心臓機能障がいの等級は、以下のように1〜4級まで(2級はなし)となっています。

 

心臓機能障がいの等級

1級  

心臓機能障がいにより、自己の身辺の日常生活活動が極度に制限されるもの

2級

該当なし

3級

心臓機能障がいにより、家庭内での日常生活活動が著しく制限されるもの

4級

心臓機能障がいにより、社会での日常生活活動が著しく制限されるもの

参考:厚生労働省「身体障害者障害程度等級表

等級は、18歳未満か18歳以上か、年齢によって判定方法が変わります。18歳以上の場合、医学的所見に加えて、以下のように日常生活での症状によって等級は判定されます。

1級 

・2つ以上の医学的所見があり、安静時や日常生活でも、心不全症状、狭心症症状などが起きる

3級

・医学的所見に加えて、家庭内での極めて温和な日常生活活動には支障がないが、それ以上の活動では心不全症状、狭心症症状や頻脈発作を起こし、繰り返し救急医療を必要とする

4級

・医学的所見と臨床所見で部分的浮腫があり、家庭内での極めて温和な日常生活活動には支障がないが、それ以上の活動では心不全症状、狭心症症状や頻脈発作を起こす

参考:東京都福祉局 東京都心身障害者福祉センター「障害種類ごとの基準(4)心臓機能障害

 

心臓障がい者への配慮ポイント

人工弁やペースメーカーや、体内植え込み型除細動器を植え込んでいる方もいるので、以下の配慮ポイントを気を付けましょう。

  • ペースメーカーの人の場合、電磁波の影響で誤作動を起こす可能性があるので、発電・変電施設や高周波溶着器には近寄らせない
  • 重いものの運搬作業は避ける
  • 立ち仕事や立ち歩きの多い仕事など、運動負荷が大きい業務は避ける
  • 息苦しさを感じることがあるので、こまめな休憩を設ける

ポンプ機能がうまく働かず、動機や息切れ、胸痛などを感じている場合があるので、医師に指示されている活動制限内容を必ず聞いて、配慮するようにしましょう。

じん臓機能障がい

じん臓機能障がいの等級は、以下のように1〜4級まで(2級はなし)となっています。

 

じん臓機能障がいの等級

1級 

じん臓機能障がいにより、自己の身辺の日常生活活動が極度に制限されるもの

2級

該当なし

3級

じん臓機能障がいにより、家庭内での日常生活活動が著しく制限されるもの

4級

じん臓機能障がいにより、社会での日常生活活動が著しく制限されるもの

参考:厚生労働省「身体障害者障害程度等級表

1級の「日常生活活動が極度に制限される」とは、以下のいずれかに該当するものです。

  • じん臓機能検査で内因性クレアチニンクリアランス値が10ml/分未満、または結成クレアチニン濃度が8.0㎎/dl以上で、かつ日常生活活動が著しく制限されるか、極めて近い将来に血液浄化を目的とした治療が必要になる
  • 血液浄化を目的とした治療をすでに行っている
  • じん移植後、抗免疫療法を必要とする期間中である

参考:東京都福祉局 東京都心身障害者福祉センター「障害種類ごとの基準(5)じん臓機能障害

 

じん臓機能障がい者への配慮ポイント

血液浄化を目的とした治療とは、透析治療のことで、一回あたり5時間程度の治療が週に3回も必要になります。じん臓機能障がい者への配慮ポイントは、以下の通りです。

  • 透析治療を受けている場合、治療のための早退や、時間内通院、透析日の残業免除、フレックスタイム制などを認める
  • 高温環境では発汗による脱水が腎機能に悪影響を及ぼしたり、寒冷環境では腎不全の進行要因となるため、適切な温度を保つ
  • 重労働や夜勤勤務を制限する

呼吸器機能障がい

呼吸器機能障がいの等級は、以下のように1〜4級まで(2級はなし)となっています。

 

呼吸器機能障がいの等級

1級 

呼吸器機能障がいにより、自己の身辺の日常生活活動が極度に制限されるもの

2級

該当なし

3級

呼吸器機能障がいにより、家庭内での日常生活活動が著しく制限されるもの

4級

呼吸器機能障がいにより、社会での日常生活活動が著しく制限されるもの

参考:厚生労働省「身体障害者障害程度等級表

呼吸器機能障がいの等級は、指数(予測肺活量1秒率)と、動脈血ガス、医師の臨床所見の3つで判定されます。先程の等級について具体的に説明すると、以下のようになります。

1級 

・呼吸困難が強くて、歩行がほとんどできない

・呼吸障がいのため、指数の測定ができない

・指数が20以下、または動脈血O2分圧が50Torr以下

3級

・指数が20~30、動脈血O2分圧が50Torr~60Torr

4級

・指数が30~40、動脈血O2分圧が60Torr~70Torr

参考:東京都福祉局 東京都心身障害者福祉センター「障害種類ごとの基準(6)呼吸器機能障害

 

呼吸器機能障がい者への配慮ポイント

1級では酸素療法か、人工呼吸器を装着する必要があるため、音声でのコミュニケーションが不便になることも少なくありません。3級・4級であれば、健康管理を適切にすれば、軽作業やデスクワーク、接客などの仕事も可能です。呼吸器機能障がい者への配慮ポイントは、以下の通りです。

 

ぼうこうまたは直腸の機能障がい

ぼうこうまたは直腸の機能障がいの等級は、以下のように1〜4級まで(2級はなし)となっています。

 

ぼうこうまたは直腸の機能障がいの等級

1級 

ぼうこうまたは直腸の機能障がいにより、自己の身辺の日常生活活動が極度に制限されるもの

2級

該当なし

3級

ぼうこうまたは直腸の機能障がいにより、家庭内での日常生活活動が著しく制限されるもの

4級

ぼうこうまたは直腸の機能障がいにより、社会での日常生活活動が著しく制限されるもの

参考:厚生労働省「身体障害者障害程度等級表

1級の「日常生活活動が極度に制限される」とは、以下のいずれかに該当するものです。

  • 腸管のストマに尿路変更のストマを併せ持ち、いずれかのストマにおいて排便・排尿機能障がいがある
  • 腸管のストマを持ち、ストマにおける排便処理が著しく困難な状態で、高度の排尿機能障がいがある
  • 尿路変更ストマに治癒困難な腸瘻を併せ持ち、ストマでの排尿処理が著しく困難な状態、もしくは腸瘻における腸内容の排泄処理が著しく困難な状態
  • 尿路変更ストマを持ち、ストマにおける排尿処理が著しく困難な状態で、高度の排便機能障がいがある
  • 治癒困難な腸瘻があり、腸瘻における腸内容の排泄処理が著しく困難な除隊で、高度の排尿機能障がいがある

参考:東京都福祉局 東京都心身障害者福祉センター「障害種類ごとの基準(7)ぼうこう又は直腸機能障害

 

ぼうこうまたは直腸機能障がい者への配慮ポイント

ストマとは、手術で尿管や腸の一部を体外に引き出し、そこから排泄できるようにした人工ぼうこうや人工肛門のことです。ストマを通してうまく排尿・排便ができない状態になると、1級に相当します。においを感じることはほとんどないので、偏見を持たずに接するようにしましょう。ぼうこうまたは直腸機能障がい者への配慮ポイントは、以下の通りです。

  • 定期通院できるように、配慮する
  • ストマ装具の交換には10分以上かかるため、休憩時間を長めに設定する
  • トイレに行く回数が多いことがあることを理解する

まとめ

体幹機能障がいや内部障がいの等級は、生活の質を維持し、適切な支援を受けるために重要な指標です。等級の判定には医学的な診断と日常生活の状況が考慮されるため、正確な理解が必要です。各等級の具体的な基準を把握することで、障がいを持つ方々が適切な支援を受けやすくなるでしょう。

 

参考

身体障害者手帳の等級一覧│基準や違い、等級別のサポートを解説


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