2021.12.06

【令和3年度報酬改定】福祉型障がい児入所施設

福祉型障がい児入所サービス

【令和3年度報酬改定】福祉型障がい児入所施設

 

令和3年度障害福祉サービス報酬改定の大きな変化は、職員の配置基準の引き上げです。

福祉型障がい児入所施設の職員の配置基準が引き上げられたのは、1976年以降初であり、およそ半世紀ぶりの変化。人員を見直さなくてはいけない事業所もあるでしょう。

福祉型障がい児入所施設の令和3年度報酬改定の内容をまとめたので、ご参考ください。

 

障がい児入所施設の報酬改定の内容

障がい児入所施設「福祉型」「医療型」どちらも対象となる、令和3年度報酬改定の内容をご説明します。

改定内容は以下のとおりです。

  • 小規模グループケアに対応した施設要件
  • ソーシャルワーカー配置加算を新設
  • 自活訓練加算の見直し
  • 身体拘束などの適正化
  • 福祉・介護職員等に関する加算の見直し

 

小規模グループケアに対応した施設要件

重度障がい児支援加算は、

①重度障がい児専用棟を置くこと

②重度障がい児入所の定員がおおむね20人

③居室を1階に設けること

以上3つの要件を満たした施設でないと、加算の対象にならず、小規模のグループケアをおこなう施設に加算がされない、という問題点がありました。

そのため令和3年度報酬改定では、「③居室を1階に設けること」を満たしていれば、重度障がい児支援加算の対象にする、としています。

小規模グループケアをおこなっている施設もしっかり評価されることになります。

 

ソーシャルワーカー配置加算を新設

令和3年度報酬改定では、ソーシャルワーカーを専任で配置すると「ソーシャルワーカー配置加算」として評価されるようになりました。

ソーシャルワーカー
・社会福祉士
・障がい福祉サービス事業・相談支援・障がい児通所支援・障がい児入所支援・障がい児相談支援、いずれかに5年以上の従事経験者

 

自活訓練加算の見直し

自活訓練加算の算定要件が見直され、実施時期、実施期間、実施場所が変わります。

実施時期は「特別支援学校などの卒業後の進路に合わせて設定」から、「高校入学から、20歳までのあいだで柔軟に設定」に変更。

実施期間は、「6か月を1回」から「12か月の範囲内で柔軟に設定」へ。

実施場所は「施設に隣接した借家など」から、「適切に支援をおこなうことができる場所にある借家」に変更されました。障がい者の方を支援しやすくなりますね。

 

身体拘束の適正化

事業の運営基準に、身体拘束に関する要件が追加されます。

①身体拘束をおこなうときは、必要な事項を記録すること。
②身体拘束の適正化のための対策検討委員会を開き、委員会の検討結果を徹底して従業員へ周知すること。
③身体拘束等の適正化のための指針を整備すること。
④従業者へ、身体拘束等の適正化のための研修を定期的におこなうこと。

②~④は1年間の準備期間を設け、令和4年度から義務化されます。

①の運営基準を満たしていない事業所は「身体拘束廃止未実施減算」が適用され、基本報酬が減算されます。

②~④は令和5年4月以降から、身体拘束廃止未実施減算の要件に加えられます。

 身体拘束廃止未実施減算・・・5単位/日

 

福祉・介護職員処遇改善加算・処遇改善特別加算の見直し

福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅳ)(Ⅴ)と、福祉・介護職員処遇改善特別加算は廃止されます。

なお、令和3年3月末時点で同加算が算定されている障害福祉サービス等事業所は、1年間の経過措置を設けられます。

また加算率の算定方法は、障害福祉サービス等経営実態調査にある従業者数や報酬請求事業所数を用いて、加算率が算定されることに。

類似する複数のサービスはグループ分けし、加算率を算定。

福祉型障がい児入所サービス
(Ⅰ)所定単位数× 9.9%
(Ⅱ)所定単位数× 7.2%
(Ⅲ)所定単位数× 4.0%

職場環境要件も変更されました。

職場環境の改善につながる取り組みは、当該年度に実施することを求められます。

ただし、継続して処遇改善加算を取得している事業所は、当該年度に実施できない正当な理由がある場合、例外的に前年度の取り組み実績で要件を満たすことができます。

 

福祉・介護職員等特定処遇改善加算の見直し

福祉・介護職員等特定処遇改善加算の平均の賃金改善額の配分ルールが、より柔軟な配分をできるように見直されます。

経験・技能のある障害福祉人材は、ほかの障害福祉人材の「2倍以上とすること」としているルールを、「より高くすること」に変更。

 

また福祉・介護職員等処遇改善加算と同じく、類似している複数のサービスはグループ分けして加算率が設定されます。

 (Ⅰ)所定単位数× 4.3%

 (Ⅱ)所定単位数× 3.9%

 

福祉型障がい福祉入所施設の報酬改定の内容

つぎに福祉型障害福祉入所施設に関わる改定の内容をご紹介します。

福祉型障がい福祉入所施設の報酬改定のおもな内容は以下のとおりです。

  • 人員基準や基本報酬の見直し
  • 幼児加算の見直し
  • 小規模グループケア加算の見直し
  • 看護職員加算の見直し

 

人員基準や基本報酬の見直し

基本報酬は上げられます。たとえば定員31人~40人で、おもに知的障がい児を入所させる施設の場合は、655単位から688単位に。

職員の人員基準は約半世紀ぶりの見直しです。子ども一人ひとりに細かなケアするには、職員の人数が足りていないとして、以下のように見直されました。

出典:令和3年度障害福祉サービス等報酬改定
における主な改定内容 https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000734439.pdf

主に知的障がい児を入所させる施設の「4.3:1」の割合や、主に肢体不自由児を入所させる施設の少年にたいする人員基準「5:1」が変更され、子ども4人に、1人の児童指導員または保育士がつくことが求められます。

 

幼児加算の見直し

幼児加算

出典:障害児入所施設の現状 https://www.mhlw.go.jp/content/12204500/000540810.pdf

幼児加算の対象は幼児である障がい児(盲児またはろうあ児のみ)と非常に限られていましたが、全国の0~5歳の入所児童数をふまえ、すべての乳幼児が加算の対象になるように見直されました。

「幼児加算」は「乳幼児加算」と変更され、乳幼児である障がい児が利用した場合、1日に78単位あたえられるようになります。

 

 

小規模グループケア加算の見直し

障がい児が家庭的な環境で養育されるよう、支援の小規模化をすすめていく動きがあります。そのため、本事業所とは別のアパートや、別の建物などで支援をおこなうサテライト型がさらに評価されるようになりました。もとからある小規模グループケア加算にくわえて、380単位あたえられます。

  • 小規模グループケア加算・・・240単位/日
  • サテライト型を実施した場合・・・+380単位/日

 

看護職員配置加算Ⅱの見直し

令和3年度障害福祉報酬改定では、医療的ケア児を受け入れる体制に力をいれています。医療的ケアの新しい判定スコアを導入し、算定要件も見直されます。

放課後等デイサービス

出典:令和3年度障害福祉サービス等
報酬改定に関する意見等 https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000653734.pdf

現行では、「判定基準のスコアが8点以上の障がい児の前年度の利用日数の合計」÷「前年度の開所日数」=5以上。

見直し後は、「医療的ケア児の親判定基準のスコア」×「前年度の出席率(開所日数÷利用日数)」

=医療的ケア児全員の合計点数が40点以上になること。

に算定要件が見直されました。

これにより、少数ながら重い医療的ケア児を支援していた施設もしっかり評価されるようになりますね。

 

まとめ

福祉型障がい児入所施設の令和3年度の障害福祉報酬改定は、支援の質や量を上げること、医療的ケア児の受け入れ体制を整えることなどが求められています。人員をふやしたり、支援の小規模化をすすめたりと準備をしなくてはいけません。

このほか全サービスに関わる報酬改定の内容は別記事にまとめたので、ご参考ください。

【令和3年度障害福祉サービス報酬改定】全サービス

 

参考

令和3年度障害福祉サービス等報酬改定の概要

令和3年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容

 

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