2021.12.07

【令和3年度報酬改定】医療型障がい児入所施設

【令和3年度報酬改定】医療型障がい児入所施設

令和3年度障害福祉サービス等報酬改定では、医療型障がい児入所施設の支援のむずかしさを考慮した見直しが多くされています。

令和3年2月4日に発表された、令和3年度報酬改定のおもな内容をまとめたので、ご参考ください。

障がい児入所施設の報酬改定の内容

障がい児入所施設「福祉型」「医療型」どちらも対象となる、令和3年度報酬改定の内容をご説明します。

改定内容は以下のとおりです。

  • 小規模グループケアに対応した施設要件
  • ソーシャルワーカー配置加算を新設
  • 自活訓練加算の見直し
  • 身体拘束などの適正化
  • 福祉・介護職員等に関する加算の見直し

小規模グループケアに対応した施設要件

重度障がい児支援加算は、

①重度障がい児専用棟を置くこと

②重度障がい児入所の定員がおおむね20人

③居室を1階に設けること

以上3つの要件を満たした施設でないと、加算の対象にならず、小規模のグループケアをおこなう施設に加算がされない、という問題点がありました。

そのため令和3年度報酬改定では、「③居室を1階に設けること」を満たしていれば、重度障がい児支援加算の対象にする、としています。

小規模グループケアをおこなっている施設もしっかり評価されることになります。

ソーシャルワーカー配置加算を新設

令和3年度報酬改定では、ソーシャルワーカーを専任で配置すると「ソーシャルワーカー配置加算」として評価されるようになりました。

ソーシャルワーカー
・社会福祉士
・障がい福祉サービス事業・相談支援・障がい児通所支援・障がい児入所支援・障がい児相談支援、いずれかに5年以上の従事経験者

自活訓練加算の見直し

自活訓練加算の算定要件が見直され、実施時期、実施期間、実施場所が変わります。

実施時期は「特別支援学校などの卒業後の進路に合わせて設定」から、「高校入学から、20歳までのあいだで柔軟に設定」に変更。

実施期間は、「6か月を1回」から「12か月の範囲内で柔軟に設定」へ。

実施場所は「施設に隣接した借家など」から、「適切に支援をおこなうことができる場所にある借家」に変更されました。障がい者の方を支援しやすくなりますね。

身体拘束の適正化

事業の運営基準に、身体拘束に関する要件が追加されます。

①身体拘束をおこなうときは、必要な事項を記録すること。
②身体拘束の適正化のための対策検討委員会を開き、委員会の検討結果を徹底して従業員へ周知すること。
③身体拘束等の適正化のための指針を整備すること。
④従業者へ、身体拘束等の適正化のための研修を定期的におこなうこと。

②~④は1年間の準備期間を設け、令和4年度から義務化されます。

①の運営基準を満たしていない事業所は「身体拘束廃止未実施減算」が適用され、基本報酬が減算されます。

②~④は令和5年4月以降から、身体拘束廃止未実施減算の要件に加えられます。

 身体拘束廃止未実施減算・・・5単位/日

福祉・介護職員処遇改善加算・処遇改善特別加算の見直し

福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅳ)(Ⅴ)と、福祉・介護職員処遇改善特別加算は廃止されます。

なお、令和3年3月末時点で同加算が算定されている障害福祉サービス等事業所は、1年間の経過措置を設けられます。

また加算率の算定方法は、障害福祉サービス等経営実態調査にある従業者数や報酬請求事業所数を用いて、加算率が算定されることに。

類似する複数のサービスはグループ分けし、加算率を算定。

医療型障がい児入所サービス
(Ⅰ)所定単位数× 7.9%
(Ⅱ)所定単位数× 5.8%
(Ⅲ)所定単位数× 3.2%

職場環境要件も変更されました。職場環境の改善につながる取り組みは、当該年度に実施することを求められます。

ただし、継続して処遇改善加算を取得している事業所は、当該年度に実施できない正当な理由がある場合、例外的に前年度の取り組み実績で要件を満たすことができます。

 

 

福祉・介護職員等特定処遇改善加算の見直し

福祉・介護職員等特定処遇改善加算の平均の賃金改善額の配分ルールが、より柔軟な配分をできるように見直されます。

経験・技能のある障害福祉人材は、ほかの障害福祉人材の「2倍以上とすること」としているルールを、「より高くすること」に変更。

また福祉・介護職員等処遇改善加算と同じく、類似している複数のサービスはグループ分けして加算率が設定されます。

 (Ⅰ)所定単位数× 4.3%

 (Ⅱ)所定単位数× 3.9%

 

 

医療型障がい児入所施設の報酬改定内容

医療型障がい児入所施設の報酬改定の内容をご説明します。

ポイントは以下のとおりです。

  • 重度重複障がい児加算の見直し
  • 強度行動障がい児特別支援加算を新設
  • 小規模グループケア加算の見直し

 

重度重複障がい児加算の見直し

重度重複障がい児加算は「3つ以上の障がい」をもつ子どもにたいして支援をおこなった場合、加算されるようになっていました。

報酬改定からは、視覚障がい、聴覚または平衡機能の障がい、音声、言語、そしゃく機能の障がい、肢体不自由、内部障がい、知的障がい、精神障がいのうち、「2つ以上の障がい」をもつお子さんにたいして支援をおこなった場合、評価されます。

 

強度行動障がい児特別支援加算の新設

強度行動障がいをもつ子どもはより医療的アプローチや福祉的な支援が必要だとし、「強度行動障がい児特別加算」が新設されました。

強度行動障がい児を支援する施設は、1日781単位あたえられます。

さらに加算の算定を開始した日から90日のあいだは、781+700単位をあたえられます。

障がい児が安心できるように環境を整えるなど、サポートをさらに強化することができますね。

 



 

小規模グループケア加算の見直し

障がい児はより良好な家庭環境のなかで、特定の大人と継続して安定した関係を築き、養育することが必要です。

医療型障がい児入所施設も支援を狭く深くする動きがあり、小規模グループケア加算の要件が見直されることに。

以下の要件を満たした場合、台所、浴室、便所の設置をしなくてもよいとされます。

要件
台所・・・利用者の障がいにより、小規模グループケア内で調理をすることがむずかしく、敷地内にある別の建物で調理をするほうが適しているとき。

浴室・・・小規模グループケアと同じ敷地内にある、ほかの建物の浴室を利用できるとき。

便所・・・利用者の障がいにより、小規模グループケア内に便所を設置する必要がないとき。

 

まとめ

強度行動障がいや重度重複障がいなど、障がいが重い子どもを適切にサポートするには、支援の質や量をふやす必要があります。令和3年度障害福祉サービス報酬改定は、このような医療型障がい児入所サービスの支援のむずかしさ、大変さなどを評価するように見直されました。

このほか全サービスに関わる報酬改定の内容は別記事にまとめたので、ご覧ください。

【令和3年度障害福祉サービス報酬改定】全サービス

 

参考

令和3年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容

令和3年度障害福祉サービス等報酬改定の概要

 

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