2024.02.16

聴覚障がい者をサポートする救急車 前橋市の新たな取り組み

聴覚障がい者が事故や急病に遭遇した際、救急車の利用は不安なものです。通常のコミュニケーション手段が利用できない状況下で、的確な情報の伝達は困難を極めます。そこで、前橋市は先駆的なアプローチを採り、救急車全17台に「コミュニケーションボード」を導入しました。これは、県内で初めての取り組みであり、聴覚障がい者が安心して救急車を利用できるようにするための施策です。

 

話すことができない状態でも意思疎通が可能

これまでの救急車では、筆談用の白板が用意されていました。しかし、高齢の障がい者にとっては筆談が難しい場合も多く、また、救急隊員が使う用語が理解されないこともありました。市聴覚障がい者福祉協会の山田浩臣会長は、隊員への情報伝達に不安を感じ、救急車を呼ぶことをためらう人々がいることを手話で訴えています。

 

より分かりやすい表現を採用

この問題に対処するため、前橋市消防局は2022年6月から、当事者である市聴覚障がい者福祉協会や市手話通訳者協会と協力して、コミュニケーションボードの作成を開始しました。実際の障がい者を対象に試行し、フィードバックを受けながらボードの内容を改善してきました。例えば、「かかりつけ病院」を「いつも行く病院」に言い換えるなど、より分かりやすい表現を採用しています。また、文章を簡潔にし、敬語を避けることで、情報の伝達をスムーズにしています。さらに、触れることで痛みを確認する場合には、事前に絵で通告するなど、細やかな配慮も行っています。消防局職員自らがイラストを描くなど、この取り組みには多くの人々が積極的に関わっています。

 

スマートフォンのチャット機能を利用して119番通報ができるシステム

約80人の救急隊員は、17枚のボードを使用した疑似体験や手話の講習を受けています。救急課の岡本由起子さんは、「講習を通じて、意思疎通に不安を抱える場面があることを知りました。聴覚障がい者が安心して利用できる環境を整えたい」と述べています。

また、聴覚障がい者が事前に登録すると、外出先でもスマートフォンのチャット機能を利用して119番通報が可能な「NET119緊急通報システム」も導入されています。しかし、登録者は約70人にとどまっており、まだまだ利用者数の増加が求められています。積極的な登録を促すための取り組みも重要です。

この取り組みはまだまだ改善の余地があり、より多くの聴覚障がい者がこれらのサービスを利用するためには、周知と啓発が不可欠です。地域社会や行政機関は、積極的な情報発信や啓発活動を通じて、聴覚障がい者への支援体制をより充実させなくてはいけません。

また、技術の進化や社会の変化に合わせて、さらなる支援策の開発や導入も求められます。例えば、音声認識技術や手話通訳システムの活用などが考えられます。これらの取り組みにより、聴覚障がい者がより自立した生活を送ることができるようになるでしょう。

 

緊急時の適切なコミュニケーション

聴覚障がい者が日常生活で直面する課題の1つは、緊急時の適切なコミュニケーションです。事故や急病に見舞われた際、効率的な情報の伝達が困難であることは、非常に深刻な問題です。そのため、地域社会や行政機関は、この課題に対処するためにさまざまな取り組みを展開しています。

従来、救急車には筆談用の白板が置かれていましたが、高齢の障がい者や救急隊員の使う専門用語に馴染みのない人々にとっては、効果的なコミュニケーション手段とは言えませんでした。この新しい取り組みにより、聴覚障がい者が安心して救急車を呼ぶことができるようになりました。

 

聴覚障がい者をサポートする方法

聴覚障がいは、個々のコミュニケーションや生活に大きな影響を与える可能性がある障がいの一つです。聴覚障がい者が十分なサポートを受けることは、彼らが社会参加を促進し、自立した生活を送る上で極めて重要です。そして周囲の人が聴覚障がい者をサポートするための方法について知ることも重要です。

・手話の学習

手話は、聴覚障がい者とのコミュニケーションを円滑にするための重要な手段です。一般の人々が手話を学ぶことで、聴覚障がい者とのコミュニケーションの壁を取り除くことができます。

・字幕や手話通訳の提供

映画やテレビ番組、公共のイベントなど、聴覚情報を伝えるメディアには、字幕や手話通訳を提供することが重要です。これにより、聴覚障がい者も情報にアクセスしやすくなります。

・バリアフリーな環境の整備

聴覚障がい者が安心して移動できるよう、公共の場や建物にはバリアフリーな環境を整備する必要があります。これには、手すりの設置や非常用情報の視覚表示などが含まれます。

・テクノロジーの活用

近年、テクノロジーの進化により、聴覚障がい者向けの補助機器やアプリケーションが多数開発されています。これらのテクノロジーを活用することで、聴覚障がい者の生活をより豊かにすることができます。

・教育と啓発

聴覚障がい者に関する理解を深めるために、教育と啓発活動が重要です。学校や職場、地域社会での啓発イベントや講座を通じて、聴覚障がい者に対する理解と支援を促進しましょう。

・コミュニティのサポート

聴覚障がい者は、地域のコミュニティのサポートを受けることで、より充実した生活を送ることができます。地域の団体や支援グループに参加することで、情報交換や助け合いの場を提供しましょう。

まとめ

緊急時のコミュニケーション支援は、聴覚障がい者の生活の質を大きく向上させることができる重要な要素です。地域社会や行政機関、そして技術者や専門家が連携し、包括的な支援体制を構築することが、より包括的で包括的な社会の実現につながるでしょう。

また、聴覚障がい者をサポートすることは、彼らが自立した生活を送る上で欠かせない要素です。私たち一人一人が、理解と配慮を持ちながら、聴覚障がい者を支援し、共に豊かな社会を築いていきましょう。

 

参考

「痛い どこ?」指さしでOK 全救急車に意思疎通ボード 前橋(毎日新聞)

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