2024.03.21

「聴こえない」とはどんな障がいなのか?小学校で「聴覚障がい」に関する授業が行われる

鶴見大学文学部の元木章博教授とその研究室の学生が、あざみ野第一小学校で行った「聴覚障がいに関する授業」は、学校図書館が企画した展示の一環でした。この授業は、昨年の「視覚障がいいまむかし」展に続くものであり、聴覚障がいに対する理解を深める機会として位置付けられました。

 

クイズで障がいを学ぶ

当日は、午前中に3年生3クラス、午後に6年生1クラスが対象でした。元木教授は、手話を交えて声を出さずに自己紹介し、その後、障がいと病気の違いや、18歳未満の聴覚障がい者の数などに関するクイズを出題しました。生徒たちは興味津々でクイズに取り組み、自分たちの知識を試す良い機会となりました。

 

ジェスチャーを通じてコミュニケーション

さらに、音声と文字を禁止した上で、絵で見たものを伝えるゲームが行われました。このゲームでは、児童たちがジェスチャーを駆使して、さまざまな物や場所を表現し合いました。手話やジェスチャーを通じてコミュニケーションをとることの難しさや大切さを実感したことでしょう。

 

『見えない障がい』

元木教授は、授業の終わりに、「聴覚障がいは見た目では分からず、『見えない障がい』とも言われます。誰もが年を重ねると耳の聞こえづらさを感じるように、特別なことではありません。コミュニケーションの取り方などを考え、工夫してほしい」と生徒たちに訴えました。この言葉には、聴覚障がい者とのコミュニケーションにおける理解と配慮の大切さが込められています。

 

2週間にわたって開催

また、この授業は2週間にわたって開催され、他の学年にも共有される予定です。これにより、より多くの生徒が聴覚障がいに関する理解を深め、社会全体での配慮と共感が広がることが期待されます。教育の場でのこのような取り組みは、社会の多様性を尊重し、包括的な教育を実現するために不可欠です。

 

さまざまな原因

聴覚障がいは、聞く能力に問題がある状態を指します。これは、生まれつきのものから後天的なものまで、さまざまな原因によって引き起こされます。

先天性の聴覚障がいは、胎児期や出生時に発生する遺伝的な要因や母体の感染症、薬物の使用、出生時の合併症などが影響することがあります。一方、後天性の聴覚障がいは、疾患やけが、高齢化、環境要因などによって生じることがあります。

 

言語の習得やコミュニケーション能力の発達

聴覚障がいは、個人の日常生活や社会参加に大きな影響を与える可能性があります。特に、言語の習得やコミュニケーション能力の発達においては、聴覚障がいが適切に対処されないと大きな支障をきたすことがあります。

学校や職場、社会の様々な場面で、情報の受け取りやコミュニケーションが困難になる可能性があります。そのため、聴覚障がいに対する理解と配慮が重要です。

 

社会全体の支援が必要

聴覚障がい者が自立し、充実した生活を送るためには、適切な支援が必要です。補聴器や人工内耳などの補助技術が役立つ場合もありますが、それだけではなく、手話や筆談などのコミュニケーション手段の提供や、環境のバリアの除去が重要です。また、聴覚障がいに対する偏見や差別をなくし、社会全体での包摂を促進することも大切です。

 

影響やニーズが理解されにくい場合がある

聴覚障がいは、見えない障がいであるため、その影響やニーズが理解されにくい場合があります。しかし、聴覚障がい者とのコミュニケーションを円滑にし、彼らが自分の声を持ち、意見を表明し、社会参加を果たすことができるようにするためには、私たち全員が協力して取り組む必要があります。

聴覚障がいの原因と種類

聴覚障がいの原因は多岐にわたり、さまざまな要因が絡み合って引き起こされることがあります。その種類によっても、聴覚障がいの症状や影響は異なります。ここでは、聴覚障がいの主な原因とその種類について詳しく見ていきましょう。

 

  • 先天性の聴覚障がい

先天性の聴覚障がいは、生まれつきのものであり、出生前や出生時に様々な要因によって引き起こされます。遺伝的な要因が最も一般的であり、親からの遺伝子の受け継ぎによって聴覚器官の発育や機能に異常が生じることがあります。

また、母体が感染症にかかったり、妊娠中に薬物を使用したりすることも、胎児の聴覚発達に影響を与える可能性があります。さらに、出生時の合併症や早産なども、聴覚障がいのリスクを高める要因となります。

 

  • 後天性の聴覚障がい

後天性の聴覚障がいは、生後に発生することがあり、さまざまな原因が関与します。この種類の聴覚障がいは、感音性、伝音性、および混合性の3つに主に分類されます。

 

  • 感音性聴覚障がい

耳の内部の構造や聴覚神経に問題がある場合に生じます。高齢化や環境要因、さまざまな疾患や外傷などが原因となり得ます。

たとえば、長期間にわたる高音や大音量の騒音にさらされることで、耳の構造に損傷が生じ、聴覚障がいが進行することがあります。

 

  • 伝音性聴覚障がい

耳の中の鼓膜や中耳の構造に障がいがある場合に生じます。中耳炎や鼓膜の穿孔、骨折などが代表的な原因です。これらの状況では、音波が正しく内耳に伝わらず、聴覚障がいが生じることがあります。

 

  • 混合性聴覚障がい

感音性と伝音性の両方の要因が組み合わさって生じる場合があります。たとえば、高齢化による内耳の老化と同時に、中耳の構造にも問題がある場合などが考えられます。

 

これらの聴覚障がいの種類と原因を理解することは、早期の検出や適切な治療・支援の提供につながります。また、個々の症例に合わせたアプローチや対応策を検討する上でも重要な情報となります。

 

影響と対応の詳細

聴覚障がいは、個人の生活のさまざまな側面に影響を与える可能性があります。特に、言語発達やコミュニケーション能力の獲得において、聴覚刺激が不足すると大きな障がいとなります。

幼少期における言語の発達は、聴覚情報を通じて行われることが多く、聴覚障がいがある場合には、言語理解や表現能力に遅れや困難が生じることがあります。

 

早期の診断と適切な支援が不可欠

このような問題に対処するためには、早期の診断と適切な支援が不可欠です。例えば、聴覚検査を行い、聴覚障がいが疑われる場合には、専門家による詳細な評価が行われます。

その結果に基づいて、補聴器や人工内耳などの補助技術が適切である場合には、それらの装置が提供されます。これらの装置は、聴覚刺激を増幅したり、再生することで、聴覚障がい者が音声情報を受け取る能力を向上させます。

 

コミュニケーション手段の提供も重要

また、コミュニケーション手段の提供も重要です。手話や筆談などの非音声コミュニケーション手段を提供することで、聴覚障がい者が自己表現や他者とのコミュニケーションを円滑に行うことができます。

さらに、特別支援教育や職業リハビリテーションプログラムなど、個々のニーズに合わせた支援が提供されることもあります。

 

環境の整備

その他にも、聴覚障がい者が社会参加を促進するための環境の整備やバリアフリーの推進、聴覚障がいに関する啓発活動などが重要です。こうした取り組みによって、聴覚障がい者が自立し、自己実現を果たすための支援が提供されます。

社会的包摂と理解の促進

聴覚障がい者が社会的に完全に参加できるようにするためには、社会全体での理解と配慮が不可欠です。

これには、教育機関や職場でのバリアの除去や情報のアクセシビリティの向上など、具体的な取り組みが求められます。聴覚障がい者が学校や職場で同等な機会を得るためには、環境や制度の改善が必要です。

 

教育機関での環境

教育機関では、聴覚障がい者が学びやすい環境を整備することが重要です。これには、適切な補助技術や支援者の提供、授業内容の適切な修正などが含まれます。

また、職場では、聴覚障がい者が十分なサポートを受けられるように、職場環境のアクセシビリティを向上させることが必要です。これには、通訳者の提供やコミュニケーション手段の多様化などが含まれます。

さらに、情報のアクセシビリティを向上させることも重要です。ウェブサイトや文書のアクセシビリティを向上させることで、聴覚障がい者が情報にアクセスしやすくなります。また、重要な情報を手話や文字情報で提供することも有効です。

 

教育や啓発活動が重要

聴覚障がいに対する偏見や誤解を取り除くためには、教育や啓発活動が重要です。聴覚障がい者の生活やニーズについて正しい理解を広めることで、社会全体がより包括的で理解ある環境を築くことができます。

また、聴覚障がい者の声を尊重し、彼らの経験や意見を積極的に取り入れることも大切です。

 

適切な支援と理解が重要

聴覚障がいは、聞こえることの当たり前さを考えさせる状態です。しかし、適切な支援と理解があれば、聴覚障がい者も自分の声を持ち、豊かな生活を送ることができます。彼らの経験や能力を活かし、社会全体が包括的で多様性を尊重する社会を築くことが重要です。

 

手話を覚えてみよう

手話は、聴覚障がい者や聴覚障がいのある人々がコミュニケーションを取るための重要な手段です。手話は言葉だけではなく、ジェスチャーや表情を使って情報を伝える方法であり、豊かな表現力を持っています。手話を学ぶことは、聴覚障がい者とのコミュニケーションを円滑にするだけでなく、異なる文化やコミュニティについても理解を深める素晴らしい機会です。手話に興味がある方は、ぜひその記事をチェックしてみてください。

 

簡単なあいさつから手話を覚えてみませんか?

https://www.minnanosyougai.com/article1/syuwa-gakusyu/

 

まとめ

聴覚障がいは、聞こえる能力に問題があり、生まれつきのものから後天的なものまでさまざまです。早期の検出と適切な支援が必要で、補聴器や手話などが使用されます。社会全体での理解と配慮が重要です。聴覚障がい者のニーズに応え、包括的な支援を提供することで、彼らの生活の質と社会参加が向上します。

 

参考

 【タウンニュース青葉区版】「聴こえない」ってどんな障がい あざみ野第一小で授業

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