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はじめての認知行動療法(CBT)こころのクセを見直し、「わたし」を楽にする方法

認知行動療法(CBT)ってなに?

「考え方」と「行動」を整えて、こころを軽くする治療法
認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy / CBT)とは、「自動的な思考」や「思い込み」に気づき、それをバランスのよいものに修正していく心理療法です。
落ち込み・不安・イライラなど、つらい感情は「ものの受け取り方(認知)」と深く関わっています。
たとえば…
- 「また失敗した。私は何をやってもダメだ」
- 「あの人が挨拶しなかった。嫌われているのかも」
こういった思考のクセに気づき、「他の見方はないかな?」と視点を変える練習を通じて、気持ちを落ち着かせていくのが認知行動療法です。
どんな悩みに効果があるの?
幅広い精神的な問題に対応|再発予防にも有効
認知行動療法は、うつ病や不安障害、パニック障害、強迫性障害(OCD)、PTSD、摂食障害、睡眠障害、社会不安障害など、多くの心理的困りごとに有効とされています。
日本の厚生労働省やWHO(世界保健機関)も、有効性の高い治療として推奨しています。
また、薬物療法と比べて「スキルが身につきやすく再発予防にもなる」という点が注目されています。
CBTの基本的な考え方
「出来事」→「考え」→「感情」→「行動」
私たちは、「出来事そのもの」ではなく、それをどう“解釈したか”によって感情が決まります。
例:職場で上司に声をかけられなかった
- Aさん:「嫌われてるのかも」→不安になって1日中落ち込む
- Bさん:「忙しかったんだろう」→気にせず仕事を続ける
このように、“同じ出来事”でも受け取り方によって心の反応がまったく変わるのです。
CBTでは、この「自動的な考え=思考のクセ」に気づき、よりバランスの取れた見方に変えていくことを目指します。
実際にやること|どんなセッションなの?

話すだけじゃない。書く・考える・行動するワークが中心
認知行動療法は、カウンセラーと一緒に課題を“整理しながら”進める実践型のセラピーです。
具体的には…
✅ 認知再構成法
思考のクセや極端な思い込みに気づき、柔軟に考え直す練習。
✅ 行動活性化
うつ状態で動けないとき、小さな行動(掃除・散歩など)を計画・実行して「できた感覚」を取り戻す。
✅ 曝露療法
恐怖や不安を避けていた場面に、少しずつ慣れていく練習(対人不安、強迫などで有効)。
✅ 課題(ホームワーク)
毎回、自宅で簡単な記録や実験を行い、それを次回に一緒にふりかえる。
CBTは受け身ではなく、自分自身が「練習することで変化を体感できる」心理療法です。
CBTのメリットと注意点
メリット|再発予防、自己理解、短期で成果が見えやすい
✅ スキルとして身につくので再発しにくい
✅ 感情の理由がわかり、自分を責めなくなる
✅ 数ヶ月(10~20回前後)で効果が期待できる
注意点|相性・継続・重症度によっては限界もある
- CBTが合わないと感じる人もいます(性格・相性の問題)
- 重度のうつや統合失調症などでは、薬物療法と併用が推奨されることも
- 継続して取り組む姿勢が必要(習慣づけが大切)
CBTを受けるにはどうすればいい?

病院?カウンセラー?保険はきく?
▼ ① 医療機関での認知行動療法(保険適用あり)
・精神科や心療内科での診察と併用(要紹介状の場合あり)
・臨床心理士や公認心理師が担当
・うつ病・不安障害など一部疾患では保険適用される(自己負担3割程度)
▼ ② 自費カウンセリング
・心理士によるカウンセリングルーム、オンライン対応も増加中
・1回あたり5,000円〜12,000円程度
・保険適用外だが、自由度が高く、気軽に始めやすい
▼ ③ オンライン・書籍・アプリでもできる
- CBTワークブック(書籍)や認知記録表でのセルフ実践
- アプリ(例:Awarefy, CogSelf, iCBT など)を使った自己練習も可能
認知行動療法を受けたい人へ|クリニック・カウンセラーの探し方アドバイス
1. 保険適用で受けたい人向け(精神科・心療内科)
ポイント
- 医師が診察した上で、CBTの必要性を判断 → 臨床心理士/公認心理師が実施
- 一部の疾患(うつ病・不安障害など)では健康保険が適用され、費用が3割負担に
探し方
- 厚生労働省が認可する「CBT 外来」「うつ病 CBT 専門外来」などの名称で検索
例)「認知行動療法 外来 ○○(地名)」「うつ CBT 外来 ○○(地名)」 - 心療内科・精神科の公式HPで「認知行動療法対応」「臨床心理士在籍」などの記載をチェック
注意点
- CBT実施中の施設は全国的にまだ少なめ
- 対応できる疾患・年齢(子ども/大人)に制限がある場合も
自費でじっくり取り組みたい人向け(民間カウンセリング)
ポイント
- 健康保険は使えないが、時間をかけて自分のペースで取り組みやすい
- 初回無料カウンセリングやお試しプランを設けている所もあり始めやすい
探し方
- Googleやポータルサイトで
「認知行動療法 カウンセリング ○○(地名)」で検索 - オンライン対応のカウンセリングも増加中。「オンラインカウンセリング CBT」などで検索
見ておきたいチェックポイント
- 「臨床心理士」「公認心理師」の資格があるか
- 認知行動療法の実践経験・得意分野
- 料金体系、継続のしやすさ(高すぎないか、無理なく通える距離か)
自分で試したい人向け(アプリ・書籍)
オススメアプリ
- Awarefy(アウェアファイ):認知記録やマインドフルネス機能付き(iOS/Android)
- こころログ:思考と気分の記録ができる日本語対応アプリ
- 認知行動療法思考日記:セルフモニタリングにオススメ
書籍+ノートでの自己実践も可能
『こころが晴れるノート』や『マンガでわかる認知行動療法』など、やさしく学べる本からスタートするのもおすすめです。
CBTをもっと知りたい人におすすめの本
📘『こころが晴れるノート うつと不安の認知療法自習帳』(大野裕/創元社)
やさしい言葉と書き込み式ワークで進められる定番入門書。精神科医が監修しており信頼性も◎。
📘『マンガでわかる認知行動療法』(福井至/池田書店)
ストーリー仕立てで、感情と行動のつながりがわかりやすい。初心者にぴったり。
📘『心がスッと軽くなる 認知行動療法ノート 自分でできる27のプチレッスン』(福井至/貝谷久宜 / ナツメ社)
1レッスン15分程度で取り組める、プチワーク満載のノート形式。手軽に継続できる工夫が豊富。
まとめ:考え方を変えることで、気持ちは変えられる
「自分を責めるクセがつらい」
「このままじゃ何も変わらない気がする」
そんなあなたに、認知行動療法はきっと役立ちます。
私たちは「考え方」や「行動パターン」によって、自分を縛ってしまうことがあります。
でもそれらは、見直すことで“変えることができる”のです。
小さな一歩でも、確実に未来は変わっていきます。
「こころのトレーニング」、始めてみませんか?