2024.04.15

子供の成長における「褒め方の重要性」と「愛着の問題」とは?たくさん褒めて甘えさせるのは危険?

子供の成長を促すには、単純な「褒める」だけではなく、愛着の問題も考慮する必要があります。心理学者の米澤好史さんによれば、特に愛着の問題を抱える子供に対しては、褒めることがすべてではないと指摘されています。

単に「褒めて伸ばす」というやり方では、子供の欲求がますます強くなり、褒めることが「おだてること」にすり替わり、支配関係に発展してしまうリスクがあると言います。大人は子供の感情に寄り添いながら、具体的にどの点が褒められたのかをしっかり伝えることが重要です。

 

叱られると混乱することがある

愛着の問題を抱える子供が叱られると、学ぶどころか混乱してしまうことがあります。もし、お子さんの言動に愛着の問題の特徴を見いだした場合、対処法には気を配る必要があります。

特に、困った行動に直面したときの接し方が重要です。愛着の問題が原因である場合、誤った接し方が状況を悪化させることがあります。一般的な子育てで良いとされる対応が、逆に問題を引き起こすこともあります。

 

感情の問題が関わっている

愛着の問題を抱える子供が困った行動をする背景には、感情の問題が関わっています。そのため、叱ることで解決することはできません。

なぜなら、愛着の問題を抱える子供は自分の行動を反省し、修正する能力が未熟であるため、叱られることで混乱するからです。叱られると、子供たちはさらに混乱し、自己防衛的になる傾向があります。

叱ることで子供のネガティブな感情が増幅され、混乱がますます深刻化します。愛着の絆が弱い子供にとっては、叱ることが解決策になることはありません。逆に、叱って行動が改善される子供であれば、愛着の問題を心配する必要はないでしょう。

 

叱ることよりも適切なアプローチが重要

こうした状況では、叱ることよりも適切なアプローチが必要です。例えば、子供の行動に対して理解を示し、共感することで、愛着の問題を抱える子供が自己を安心して表現できる環境を提供することが重要です。

また、適切なサポートやガイダンスを通じて、子供が自分の感情を理解し、適切に対処できるようにすることも大切です。愛着の問題を抱える子供にとって、叱ることよりも理解とサポートが、成長と発達にとってより有益であることを忘れないようにしましょう。

 

「とりあえず叱る」態度は問題の解決にもならない

最近、子供を叱った場面を思い起こすと、たいていの場合、私自身が余裕がない状況でした。例えば、時間が迫っていたり、周囲の目が気になっていたり、親としての責任感から焦っていたりすると、ついつい子供に対して叱ってしまうことがあります。

しかし、この「とりあえず叱る」態度は、子供を混乱させるだけでなく、問題の解決にもつながりません。だからこそ、子供の行動に反応する前に、「なぜその行動が問題だと感じるのか」を自分自身に問いかけることが重要です。

自分の感情に気づくことで、子供に対する接し方も変わってきます。つまり、叱る前に自分の気持ちを冷静に把握し、その理由を考えることで、より建設的なコミュニケーションが可能になるのです。

 

理由を具体的に伝えることが大切

また、叱ることが避けられない場面でも、子供の行動が問題だと感じた理由を具体的に伝えることが大切です。子供に対して、なぜその行動が問題であるのかを説明することで、叱り方がより理解されやすくなります。

そして、叱るだけでなく、子供の感情や視点にも目を向けることが重要です。子供の行動に対して叱ることが適切であるかどうかを判断する際には、子供の立場に立って考えることが必要です。

繰り返しになりますが、叱ることは決して悪いことではありません。しかし、その際には自分の感情や理由を把握し、子供とのコミュニケーションを大切にすることが、より良い関係を築くための第一歩となるでしょう。

 

愛着の問題を抱える子供たちは自分の感情がわからない

愛着の絆がしっかりと築かれている子供は、叱られてもそれほどダメージを受けません。彼らには安心基地や安全基地があり、自分を守られているという実感があるため、指摘された悪い部分を認めてもネガティブな気持ちになりません。

なぜなら、彼らは叱られた行為を修正し報告すれば、また認めてもらえるということを理解しているからです。そのため、行動を正す意欲もわいてくるのです。

しかし、愛着の問題を抱える子供たちは、自分の感情がわからないため、叱られても混乱するだけです。彼らのほとんどは、何を叱られているのか理解できていません。このような状況では、叱る前にこどもの感情を察知し、その気持ちを言葉にして伝えることが重要です。

もし、あなたに余裕があり、こどもが何を感じているのかを理解できたなら、それを伝えてあげてください。叱る前に、こどもの感情を確認する作業を行うことで、彼らは自分の感情に気づき、学ぶことができます。そして、このプロセスが安心・安全な絆を育んでいくのです。

 

叱らないというアプローチも適切ではない

困ったを増やす接し方、何をしても叱らないというアプローチも適切ではありません。愛着の問題を抱える子供は、「こんなことをしても叱られない」と受け取ると、ますます自己高揚し、やりたい放題になる傾向があります。

 

行動をエスカレートさせることがある

例えば、「お母さんは人前では叱らないんだ」「先生は○○の時は怒らないな」といった状況を見つけ出し、行動をエスカレートさせることがあります。このようにして叱られない状況を見つけると、子供は自分のほうが上だと思い始め、周囲の大人を支配しようとするようになります。

そして、子供が周囲の大人を支配し始めると、大人は子供に対して腫れ物に触るような態度を取るか、子供の言いなりになってしまう傾向があります。このような状況は、愛着の問題を抱える子供が安心基地を持っていないために起こるものです。彼らは安心感を得るために、自分の優位性を確保しようとします。

 

子供の支配欲もエスカレート

周囲の大人が子供の命令や支配に従うと、子供の支配欲もエスカレートしていく可能性があります。その結果、子供はますます自分の意見や行動を押し通すようになり、大人との関係が悪化してしまうことも考えられます。

 

嫌な感情が増幅

大人がこどもに対してカッとなって怒ってしまったとき、私たちは罪悪感を抱くことがあります。しかし、こどもにとっては、大人が怒り燃え上がって火の粉を振りまいているように見えるだけで、嫌な感情が増幅されるだけです。

実際、「怒る」という行為は、お互いにとって良いことが何もありません。怒ってしまった後も、ネガティブな感情は長引く傾向があります。そのため、気持ちを切り替えない限り、嫌な気持ちが残り続けることになります。

 

フォローを入れることが大切

怒ってしまった場合、後で必ずフォローをすることが大切です。「さっきは怒っちゃったけれど、あなたを嫌な気持ちにさせたくて言ったわけじゃないんだよ」と、こどもに対して伝えることで、関係を修復し、お互いの気持ちを理解することができます。

大人側に余裕がないと、叱った後にフォローを省略してしまうことがあります。しかし、これは好ましくありません。なぜなら、こどもは叱られた後に放置され、嫌な気持ちで混乱したままになるため、安心感を得ることができません。その結果、絆が結べないままになってしまいます。

 

理由をしっかり伝える

怒ってしまった理由や何がよくなかったのかを、こどもにちゃんと伝えることが重要です。また、怒ってからフォローまでの時間差はできるだけ短くすることが望ましいです。年齢が上がれば、翌日でも受け入れてくれるかもしれませんが、小さい子供ほどすぐのフォローが重要です。

自分の気持ちに素直に向き合えば、フォローは難しくありません。しっかりとこどもをフォローすることで、自分自身の精神的な安定も得られます。実際、こうした場面でこどもの気持ちの切り替えを主導することが、愛着の絆を結ぶ大切なポイントです。

 

「たくさん褒めて甘やかす」は間違えると問題が起こる可能性

困ったを増やす接し方で、「たくさん褒めて甘やかす」というアプローチもあります。最近は育児や教育の現場でもよく耳にする「褒めて伸ばす」という考え方がありますが、これも愛着の問題を抱えるこどもにとっては単純ではありません。

単に褒めるだけではその子の成長にはつながらず、褒め方を間違えると問題が起こる可能性があります。

愛着の問題を抱えるこどもは、自分から「褒めて」と要求することがあります。安心・安全の基地がないため、常に安心感を求めています。そのため、相手にアピールして要求に応えてもらうことで、一時的にポジティブな感情を得ようとします。

 

適切なタイミングや内容で褒めることが重要

このような場合、ただ褒めるだけではなく、適切なタイミングや内容で褒めることが重要です。また、過度な褒めや甘やかしは、こどもが自立心や努力する意欲を失う原因になる可能性があります。愛着の問題を抱えるこどもにとっては、安心感を与えることが最も重要なので、バランスの取れた接し方が求められます。

ただ、このポジティブな気持ちは持続しませんので、要求はすぐにエスカレートします。こどもからの「褒めて」という要求に応えてしまうと、「これも褒めて」「もっと褒めて」と、欲求がどんどん強くなってしまうのです。

 

「おだてること」に変わる

もちろん、「褒められたい」というのは人の自然な欲求ですから、それ自体を否定するつもりはありません。ただし、こどもが大人に「褒めさせる」という状況を作ってしまうと、良くありません。

前述した命令がエスカレートしていく現象と同様に、褒めることがいつの間にか「おだてること」に変わり、支配関係に発展してしまうリスクがあります。では、どのように褒めるべきかについて考えてみましょう。

 

具体的な行動や取り組みを褒めることが重要

まず、単純な「がんばったね」「すごいね」「えらいね」といった褒め方ではなく、具体的な行動や取り組みを褒めることが重要です。こどもが何を褒められているのかを理解できるように、褒める内容を明確に伝える必要があります。

褒める際には、そのときの感情と結びつけながら行うことがポイントです。例えば、「片づけが上手ね。すっきりして気持ちがいいね」「○○ちゃん、自分の意見が最近言えるようになってきてうれしいね、えらいね」といった具体的な表現が効果的です。

 

褒められたときの適切な反応が分からない

愛着の問題を抱えるこどもの多くは、褒められたときの適切な反応がわかりません。そのため、大人が褒めたことに対して正しい解釈ができるように、褒める際には具体的な理由や感情を伝えることが重要です。

大人が絆を意識しながら褒めることは重要ですが、こどもが褒められたことに対して適切な反応を示せるようにするためには、具体的な褒め方が欠かせません。

 

褒める際には具体的に

褒める際には、必ず「何を」褒めているのか、それに伴う「どんな気持ち」が素晴らしいのかを伝えることが重要です。このような対話の中で、こどもは自分の感情を理解し、学んでいくことができます。

褒める際には、具体的に「褒めた結果、その子にどんな気持ちになってほしいのか」「どんな気持ちを感じる子になってほしいのか」を意識することが重要です。この意識的なアプローチが、褒める行為の真の意味を明確にし、こどもの成長や愛着の修復につながります。

このような意識的なアプローチがある限り、周囲からは甘やかしているように見えても問題ありません。一方で、ただ機嫌が良くなるからという理由だけで甘やかしている場合、こどもの成長や愛着の修復には繋がらないことを理解する必要があります。

まとめ

子供の成長において、褒めることは重要ですが、単純な褒め方だけでなく愛着の問題にも注意を払う必要があります。愛着の問題を抱える子供に対しては、具体的で適切な褒め方をすることが重要であり、その際には褒めた結果に伴う子供の気持ちや成長への期待を明確に伝えることが大切です。絆を育みながら適切に褒めることで、子供の成長と安心感を促進することができます。

 

参考

子供を「たくさん褒めて甘えさせる」は危険すぎる…頭のいい親が絶対にやらない"子供への態度" 感情と結びつけながら褒めどころをしっかり伝える #プレジデントオンライン

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