2024.03.22

「保育園留学」発達障がい児受け入れ 小樽市で初の取り組み

各地で広がる「保育園留学」の取り組みは、子どもたちに自然豊かな環境での貴重な経験を提供しています。北海道小樽市では、昨年から全国初の発達障がいを抱える幼児を対象としたプログラムがスタートしました。

この取り組みでは、家族全員が滞在しながら支援や教育を受けることができ、利用者からは「子どもにとって良い刺激になった」という笑顔が見られます。

 

全国に広がる取り組み

保育園留学は、主に首都圏に住む0〜5歳の子どもたちが1〜2週間、地方の保育園に通う仕組みです。この取り組みは、民間企業「キッチハイク」(東京)が2021年に開始しました。

同社によると、これまでに19都道府県、39拠点に広がり、500組以上の家族、計約1650人が利用しています。また、このプログラムは受け入れる自治体にとっても重要であり、田舎暮らしを体験することで将来の移住を促進する可能性が期待されています。

 

小樽市には発達支援専門の事業所が存在

小樽市では、全国的に珍しい発達支援専門の事業所との連携を図り、発達に不安を抱える子どもたちへの療育に特化した保育園留学の取り組みが展開されています。

昨年の7月から募集が開始され、その成果が今年の2月末に受け入れられた東京都在住の男児とその家族によって実証されました。男児は、言語の発達に遅れがあり、これまでに行政や民間機関から支援を受けてきました。

保育園留学に参加することで、新しい環境での成長や運動の楽しみを見出し、その成果が家族や専門家によって喜ばれています。

そのため、市はキッチハイク社と事業所との連携を図り、発達に不安を抱える子どもたちへの療育に特化した保育園留学の募集を昨年7月から開始しました。

 

「新しい環境に慣れるための練習」

昨年7月からの保育園留学募集を経て、実際に受け入れられたのは今年2月末で、東京都在住の6歳の男児とその家族でした。

男児は言語の発達に遅れがあり、3歳ごろから行政や民間機関の支援を受けていました。小学校入学を控え、母親の永見薫さん(41)は「新しい環境に慣れるための練習として利用することにしました」と語っています。

 

「子どもにも成長が見られた」

彼らの滞在期間は7日間でした。保育園留学を提供する事業所には作業療法士や言語聴覚士が所属しており、事前のオンライン面談で療育計画を立てました。男児は他の幼児と一緒に体操や運動を楽しんだそうです。

永見さんは「これまでの療育を客観的に振り返ることができ、子どもにも成長が見られました」と目を細めます。

男児は運動が苦手でしたが、広い遊び場で体を動かした結果、抵抗感が減ったようで、「小樽にまた来る!」と声を弾ませたといいます。

 

自宅に戻った時に笑顔が増えていたらうれしい

この事業所の認定作業療法士である小玉武志さんは「困り事を解決するきっかけを見つける手助けをしたいです。自宅に戻った時に、笑顔が増えていたらうれしいです」と語ります。

市は24年度には、さらに12家族の受け入れを目指しています。担当者は「小樽ならではの支援を提供し、安心して子育てできる環境を整えたいと思っています」と述べました。

「保育園留学」とは?

「保育園留学」とは、都市部に住む子どもたちが一定期間、地方の保育園に滞在し、自然豊かな環境で遊びながら学ぶプログラムです。

この取り組みは、子どもたちに都市の喧騒から離れた場所での貴重な体験を提供し、自然と触れ合う機会を与えることで、成長や発達を促進することを目的としています。

 

自然の中での体験を通じて様々な学びを得る

保育園留学は、通常、0歳から5歳までの幼児が対象となり、1週間から数週間程度の期間を地方の保育園で過ごします。

このプログラムは、都市部の保育園と地方の保育園が連携して実施されることが一般的です。子どもたちは新しい環境で友達と遊び、自然の中での体験を通じて様々な学びを得ます。

 

子どもたちに合わせたプログラム

保育園留学のプログラムには、子どもたちの安全や健康を確保するための専門的なサポート体制が整えられています。保育士や専門のスタッフが常駐し、子どもたちの生活や学習を支援します。

また、滞在前には家族との事前面談や計画を行い、子どもたちのニーズに合わせたプログラムを提供します。

 

子どもたちの自立心や社会性の発達を促す

保育園留学のメリットは多岐に渡ります。まず、自然環境での遊びや体験を通じて、子どもたちの感性や創造力が育まれます。

また、地方の保育園では都市部とは異なる文化や環境に触れることで、地域社会との交流や理解が深まります。さらに、子どもたちの自立心や社会性の発達を促すことが期待されます。

保育園留学は、子どもたちだけでなく、家族や地域社会全体にも良い影響を与えることが期待されています。子育てにおいて、地域のリソースや協力体制を活用することで、子どもたちの成長を支える新たな可能性を開拓する取り組みです。

 

保育園留学における発達障がい児へのメリット

発達障がいを抱える子どもたちにとって、保育園留学は素晴らしい経験となります。以下に、その良い点を紹介します。

 

  • 自然療法の効果

自然豊かな環境での保育園留学は、発達障がい児にとって自然療法としての効果が期待されます。自然の中での遊びや触れ合いは、リラックス効果や感覚統合の促進につながります。

 

  • 新たな刺激の提供

都市部とは異なる地方の保育園での生活は、発達障がい児にとって新たな刺激を提供します。異なる環境や文化に触れることで、興味を持ち、成長する機会が増えます。

 

  • 専門的なサポート体制

保育園留学では、専門のスタッフが発達障がい児をサポートします。作業療法士や言語聴覚士などが常駐し、個々のニーズに合わせた支援を提供します。

 

  • 社会性の向上

異年齢の子どもたちと一緒に過ごす保育園留学では、社会性の向上が期待されます。発達障がい児も自然な形で他の子どもたちと関わり、コミュニケーションスキルを発展させます。

 

  • 家族との絆の強化

保育園留学は、家族全員での参加が可能です。家族が一緒に新しい環境で過ごすことで、お互いの絆が深まります。特に発達障がい児にとって、家族のサポートは非常に重要です。

 

  • 成長への自信と希望

保育園留学を通じて、発達障がい児は新たな経験や挑戦を通じて成長への自信と希望を得ることができます。自らの可能性を信じ、未来に向けて前向きに歩む姿勢が育まれます。

 

発達障がい児も参加できる保育園留学は、彼らの成長と発達を促進し、豊かな人間性を育む重要な機会となります。

 

子どもたちの成長を支える新たな試み「保育園留学」

近年、日本各地で注目されている「保育園留学」が、子どもたちの成長と発達を支える新たな試みとして広がりを見せています。

この取り組みは、子どもたちが都市部の喧騒から離れ、自然豊かな環境で過ごしながら貴重な経験を積むことを可能にします。

特に、北海道小樽市では、全国初の発達障がいを抱える幼児を対象としたプログラムがスタートし、その成果が注目されています。

 

自分自身の可能性を広げる

保育園留学には、滞在期間中に作業療法士や言語聴覚士などの専門家がサポートを行い、事前のオンライン面談を通じて療育計画が立てられます。

子どもたちは他の幼児たちと一緒に体操や運動を楽しむことで成長し、自分自身の可能性を広げることができます。また、保育園留学を通じて地域社会全体が子育て支援に協力し、安心して子どもたちを育てる環境が整えられることも期待されています。

今後も保育園留学は、子どもたちの成長と地域社会の活性化に貢献する重要な取り組みとして注目され、さらなる発展が期待されています。

日本各地で保育園留学が可能な都道府県の魅力

保育園留学は、子どもたちが自然や地域社会と触れ合いながら成長する貴重な機会を提供します。日本全国には多様な地域で保育園留学が実施されており、その一部を紹介します。

 

  • 北海道

北海道は豊かな自然が広がる地域で、多くの保育園留学プログラムが展開されています。特に小樽市では、発達障がいを抱える幼児を対象としたプログラムがスタートし、注目を集めています。雄大な自然環境での留学体験は、子どもたちの成長を豊かにします。

 

  • 熊本県

熊本県は温暖な気候と豊かな自然が魅力の地域です。熊本市や熊本県内の各地で、保育園留学プログラムが実施されています。子どもたちは緑豊かな公園や川辺での体験を通じて、自然とのふれあいを楽しむことができます。

 

  • 岐阜県

岐阜県には美しい山々や清流が広がり、子どもたちが自然の中での生活を満喫できる環境が整っています。岐阜市や大垣市などで保育園留学が行われており、子どもたちは四季折々の自然を感じながら成長します。

 

  • 富山県

富山県は海と山に囲まれた自然豊かな地域であり、保育園留学プログラムが展開されています。富山市や高岡市などで子どもたちが地域の自然や文化に触れながら、新たな体験を積むことができます。

 

  • 長野県

長野県は日本アルプスや信州の自然が広がる地域で、多くの保育園留学プログラムが実施されています。長野市や松本市などで子どもたちは四季折々の美しい自然を体感し、冒険心を育てます。

 

  • 石川県

石川県は日本海に面し、美しい海岸線や山々が広がる地域です。金沢市や小松市などで保育園留学が実施されており、子どもたちは海や山、田園風景など多彩な環境での体験を通じて成長します。

 

各都道府県で実施されている保育園留学の魅力を紹介しました。子どもたちが自然や地域の文化に触れながら成長するこの取り組みは、地域社会全体にとっても貴重なものです。

 

まとめ

保育園留学は、都市部に住む子どもたちが一定期間、地方の保育園に滞在し自然や地域社会と触れ合うプログラムです。自然豊かな環境での経験は、子どもたちの感性や創造力を育み、社会性や自立心の発達を促します。保育園留学は、地域の特性や文化を体験するだけでなく、地域社会全体が子育てに協力し、子どもたちの成長を支える新たな可能性を拓くものです。

 

参考

「保育園留学」発達障がい児にも 小樽市で初の取り組み―利用者「良い刺激」・北海道:時事ドットコム

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