2024.03.12

災害公営住宅での活気あるコミュニティー:園児のお散歩コース、障がい者、お年寄りとふれあい

岩手、宮城、福島の3県に整備された災害公営住宅(復興住宅)では、空き住戸の活用が広がり、新たなコミュニティーの形成と地域の活性化が生まれています。こうした取り組みは、地域の再生に寄与するだけでなく、高齢化が進む地域においても新たな活力を生み出すきっかけとなっています。

 

園児たちの元気な声が街に響き渡る

宮城県山元町の復興住宅「町営つばめの杜住宅」では、2021年10月に開園した「なないろ保育園」が、地域の活性化に一役買っています。

園児たちの元気な声が街に響き渡り、近隣住民もその活気に触発されています。特に、一人暮らしの高齢者たちは、園児たちとのふれあいを楽しみながら、新たな日常を見つけています。

中鉢ただこさん(86)は、子どもたちの声が聞こえると自宅の窓を開け、笑顔で呼びかける姿が見られます。彼らは以前は寂しさに包まれていたかもしれませんが、今では園児たちとのふれあいが日々を豊かにしています。

 

障がい者施設や学生の利用も広がる

さらに、保育園だけでなく、障がい者施設や学生の利用も広がっています。地域社会に新たな活気をもたらすだけでなく、地域経済の活性化や人口流出の抑制にもつながります。

地域住民は、これらの施設が提供するサービスや機会を享受することで、より豊かな生活を手に入れることができます。

 

地域コミュニティーの再生と発展に貢献

こうした取り組みは、単なる住宅提供にとどまらず、地域コミュニティーの再生と発展に貢献しています。岩手、宮城、福島の3県を取り巻く状況が変化し続ける中で、災害公営住宅は新たな可能性を切り開いています。

そして、地域住民が共に力を合わせ、より良い未来を築いていくための基盤となっています。

 

子どもの笑顔が災害公営住宅を活気づける

岩手、宮城、福島の3県に整備された災害公営住宅(復興住宅)では、高齢者が施設に移るなどして空き住戸が増える課題に直面していました。しかし、その課題を保育園の運営事業者が解決する新たな取り組みが注目を集めています。地域の未来を担う子どもたちが住民との交流を生み出し、地域の活性化を促しているのです。

 

地域の交流を活性化させる

町が保育園の運営事業者に提案したのは、空き住戸を活用した3LDKの提供でした。開園前の住民説明会では、一部からは「園児の声がうるさいのではないか」という懸念もありましたが、実際には杞憂に終わりました。

復興住宅の高齢化率が上昇し、地域活動への意欲が低下していた中で、子どもたちの存在が地域の交流を活性化させるきっかけとなりました。

 

「地域が明るくなった」

園児たちが通るたびに、高齢の住人が声をかけたり手を振ったりする光景が広がりました。地域の一員として認められた子どもたちは、地域の明るい未来を築くための大きな力となっています。

80歳の渡辺勲さんは、「子どもたちをきっかけに住民同士の会話も増えた。地域が明るくなった」と述べています。

 

コミュニティーの活性化には住民の高齢者がどう関わるかが大切

地域社会学の専門家である高木竜輔准教授も、この取り組みを高く評価しています。

高齢化が進むコミュニティーの活性化には、住民の高齢者がどう関わるかが大切です。子どもたちとの交流を通じて、おじいちゃん、おばあちゃんのような役割を果たすことが理想的です」と指摘しています。

 

地域再生に期待が高まる

子どもたちの笑顔と元気が、災害公営住宅で新たなコミュニティーを形成し、地域の活気を取り戻しています。

岩手、宮城、福島の3県におけるこの取り組みは、地域再生の一翼を担うものとして、ますます注目されています。

 

岩手県の復興住宅:地域振興と共生の新たな試み

岩手県では、復興住宅の空き住戸を積極的に活用し、地域振興や共生を促す施策が展開されています。

これらの取り組みは、地域の活性化と住民の絆を深めるための新たな試みとして注目されています。

 

1年間の期間限定で住戸を貸与するプログラム

陸前高田市の復興住宅では、移住希望者に1年間の期間限定で住戸を貸与するプログラムが行われています。

月額1万円の家賃に加え、家電や無線LANの提供、毎月4キロの県産米の支給などが行われています。古島真子さん(33歳)はこのプログラムに参加し、地域行事への積極的な参加やSNSを通じた地域の魅力の発信を行っています。

 

「学生が町で過ごすだけで地域が活気付く」

楢葉町の復興住宅「中満南住宅団地」では、木造平屋の住戸を復興や地域振興に関心のある大学生に2週間無料で貸与しています。

学生は地域の住民と共に食事をするなど、地域コミュニティーとの交流も行われています。このプログラムを担う一般社団法人は、「学生が町で過ごすだけで地域が活気付く」と期待しています。

空き住戸をグループホームとして活用

また、石巻市十八成浜地区の復興住宅では、空き住戸をグループホームとして活用し、障がい者が暮らす施設として提供されています。

地元の社会福祉法人が貸与を受け、住民からは「明かりがついているだけでありがたい」と歓迎されています。

 

復興の道のりに新たな希望

岩手県の復興住宅では、さまざまなアプローチを通じて地域の発展と共生を図る取り組みが展開されています。これらの施策は地域の絆を深め、復興の道のりに新たな希望をもたらしています。

 

「生活支援相談員」の減少と地域コミュニティーの維持

震災後の生活支援と地域のコミュニティー維持を担う「生活支援相談員」が、各地で活動しています。

しかし、その役割は時代と共に変化し、需要の変化や財政の制約により、相談員の配置が減少しています。

 

仙台市では訪問先が減少

阪神大震災や東日本大震災の教訓から、高齢者の孤独死を防ぐために生活支援相談員が配置されました。

しかし、震災から時間が経ち、自治体の支援重点が個人の生活再建から地域のコミュニティー維持に移行する中、相談員の数は減少しています。

仙台市社協などでは、訪問先が減少し、通常の支援制度で対応可能として、相談員の廃止が進んでいます。

 

福島県では地域のコミュニティー作りを重視

一方、福島県では原発事故の避難者が多い地域において、地域のコミュニティー作りを重視し、新たな活動を展開しています。相談員の役割は、単なる支援だけでなく、地域の交流の場を提供することも含まれています。

 

相談員の役割は不可欠

相談員の人件費は国が復興財源で全額負担していますが、第2期復興・創生期間が終わる25年度までの予定です。地域の自治体や社会福祉団体は、今後も相談員の必要性を訴え、国の財政支援を求めています。

特に、まだ支援が必要な対象世帯が多い地域では、相談員の役割が不可欠であり、その支援体制の維持が求められています。

生活支援相談員の役割は、地域の絆を深め、被災者や高齢者の孤立を防ぐために重要です。地域の課題やニーズに応じて、柔軟に活動することが求められています。

 

「カツオシンク」が暮らしを豊かに:気仙沼市の復興住宅での取り組み

宮城県気仙沼市の復興住宅では、全2082戸に幅80センチの通称「カツオシンク」が備えられています。生鮮カツオの水揚げ日本一を誇るこの地域では、被災者がカツオをもらう機会が多く、その大きさに合わせて「カツオシンク」が設置されました。

マンションタイプの「南郷住宅」に住む植垣みどりさん(75歳)も、カツオシンクを大変気に入っています。手際よくカツオをさばくことができる便利さに、「すごく助かる」と笑顔を見せています。

 

狭い仮設住宅に対する不満を踏まえ生まれた

このような取り組みは、狭い仮設住宅に対する不満を踏まえて、復興住宅の建設検討会が自治会長らを含めて行った議論の結果生まれました。

カツオシンクのほかにも、漁師の安全を祈願するための仏壇や神棚の設置スペースを確保するなど、住民の要望を反映した設計が行われました。

気仙沼市交通政策課課長「終の住処として安心して生活できる住宅」

岩手県立大などの調査では、集合住宅タイプの復興住宅において、使い勝手が悪いと感じる世帯が11.6%であるのに対し、気仙沼市では3.9%にとどまりました。

気仙沼市交通政策課の村上忠大課長は、「終の住処として、安心して生活できる住宅を作ることに心を砕いた結果」と述べています。

気仙沼市の復興住宅では、住民の声に応えた設備やサービスが提供され、地域の再生と住民の生活の向上に寄与しています。

 

共生社会の実現:障がい者やお年寄りとの交流がもたらす意義

私たちの社会において、障がい者やお年寄りと健常者、子どもたちとの交流は非常に重要です。この交流がもたらす意義は多岐にわたり、共生社会の実現に向けた重要な一歩となります。

 

互いの理解を深める貴重な機会

障がい者やお年寄りとの交流は、互いの理解を深める貴重な機会となります。普段接することの少ない障がい者やお年寄りとの交流を通じて、健常者や子どもたちは彼らの生活や思いに対する理解を深めることができます。

同時に、障がい者やお年寄りも、健常者や子どもたちとの交流を通じて、自らの存在や価値を再確認し、社会とのつながりを感じることができます。

 

支え合い、助け合う

また、この交流は共感と連帯を生み出し、社会の結束を強める役割を果たします。障がい者やお年寄りと健常者、子どもたちが互いに支え合い、助け合う姿は、人々の心に温かさと希望をもたらします。

さらに、このような交流が社会全体に広がれば、差別や偏見が薄れ、誰もが自分らしく生きることができる共生社会が実現するでしょう。

 

健康や心の豊かさにもプラスの影響

さらに、障がい者やお年寄りとの交流は、健康や心の豊かさにもプラスの影響を与えます。研究によれば、交流やコミュニケーションが豊富な人ほど、ストレスや孤独感が少なく、心身の健康状態が良好であるとされています。

 

まとめ

障がい者やお年寄りと健常者、子どもたちとの交流は、社会全体の幸福と共生の実現に欠かせない要素です。私たちは、彼らとの交流を通じて、互いに支え合い、豊かな共生社会を築いていくことが大切であると認識し、積極的な交流を促進していく必要があります。

 

参考

復興住宅が園児のお散歩コース、お年寄りとふれあい「地域が明るくなった」…コミュニティー維持へ取り組み工夫(読売新聞オンライン)Yahooニュース

関連情報

みんなの障がいへ掲載希望の⽅

みんなの障がいについて、詳しく知りたい方は、
まずはお気軽に資料請求・ご連絡ください。

施設掲載に関するご案内