2024.04.16

発達障がいのオーナーが築く『カオスガーデン』渋谷の新たなる境界なきオアシス

発達障がいのある山田健太郎さん(42)が、昨年秋にオープンした「カフェ&バー カオスガーデン」(東京都渋谷区神南)が、クラウドファンディング(CF)でサポートを募っています。山田さんは「注意欠陥多動性障がい」(ADHD)と「自閉症スペクトラム障がい」(ASD)の診断を受けており、同じような障がいを抱える人々が遠方からも訪れる店舗です。

 

大人になってから発達障がいであることが判明

山田さんは、自身が大人になってから発達障がいであることが判明し、そのきっかけは自身の子供の診断でした。長男が小学校5年生の時に発達障がいと診断され、それがきっかけで自分も検査を受けたところ、ADHDとASDの診断を受けたのです。その後、大人の発達障がいとして扱われることが多いということを知り、自らの体験をもとに店舗を立ち上げました。

 

「境界のない場所」

店名の「カオスガーデン」は、「境界のない場所」という意味を込めています。誰もが歓迎される、線引きのない場所を提供したいとの想いから、この名前が選ばれました。店舗は、渋谷の賑やかな街並みの中にあり、カラフルでアットホームな雰囲気が特徴です。

 

雑貨店やコミュニティースペースとしても発展を狙う

山田さんは、子育てとの両立を図るため、営業は週末の昼間に限定されています。将来的には、NPO法人としての活動も視野に入れ、カフェだけでなく、雑貨店やコミュニティースペースとしても発展させていきたいと考えています。山田さんは、「同じような悩みを抱える人々が安心して訪れられる場所を提供し、社会に貢献したい」と語っています。

クラウドファンディングとは

クラウドファンディング(CF)は、インターネットを通じて資金を集めるための仕組みです。通常、起業家やプロジェクトの発起人が、自身のアイデアやビジネスを実現するために資金を必要とします。クラウドファンディングでは、そのような個人や団体がインターネット上で自身のプロジェクトを紹介し、一般の人々から小額の寄付や投資を募ることができます。

クラウドファンディングの主な特徴は以下の通りです。

 

  • オンラインプラットフォーム上での募集

クラウドファンディングは、専用のウェブサイトやプラットフォームを通じて行われます。そこでプロジェクトの説明や目標金額、報酬の提供などが公開されます。

 

  • 一般の人々からの支援

資金は一般の人々からの小額の寄付や投資によって集められます。これにより、多くの人々が自分の興味や価値観に合ったプロジェクトを支援することができます。

 

  • リターンや報酬の提供

支援者に対して、プロジェクトの成功に応じてリターンや報酬が提供されることがあります。例えば、製品の先行予約、特別な体験、クレジットなどが挙げられます。

 

  • リスクと報酬の関連性

投資型のクラウドファンディングでは、プロジェクトの成功に応じて投資家にはリターンが得られますが、プロジェクトが失敗した場合には投資が損失になる可能性があります。

 

クラウドファンディングは、新しいビジネスやプロジェクトの立ち上げにおいて資金調達の手段として広く利用されています。また、クリエイターやアーティスト、社会的な取り組みを支援するための資金調達手段としても人気があります。

 

注意欠陥多動性障がい(ADHD): 理解と対処法

注意欠陥多動性障がい(ADHD)は、神経発達障がいの一つであり、主に注意力の欠如、多動性、衝動性の3つの主要な症状が特徴です。この障がいは、子供から成人まで影響を及ぼし、学校や仕事、人間関係など日常生活のさまざまな面に影響を与えることがあります。

 

注意力の欠如

ADHDの人々は、集中力を維持するのが難しく、作業中や授業中に簡単に気が散ってしまう傾向があります。このため、複数のタスクに同時に取り組むことが難しく、継続的な注意を維持することが困難です。結果として、宿題や仕事の完了が遅れたり、重要な詳細を見逃したりすることがあります。この注意力の欠如は、日常生活において困難な状況を引き起こし、自己肯定感や自己効力感を低下させる可能性があります。

 

多動性

ADHDの人々は、静かに座っていることが難しく、常に身体を動かしたり、手や足を絶えず動かしたりする傾向があります。特に子供の場合、授業中や静かな場所での活動中に、机や椅子を叩いたり、歩き回ったりすることがよく見られます。この多動性は、周囲の人々にとって騒音や不安を引き起こすことがあり、集中力を低下させることがあります。また、学業や仕事の成果にも悪影響を与える可能性があります。

 

衝動性

ADHDの人々は、衝動的な行動や思考が特徴であり、状況を十分に考えずに行動する傾向があります。このため、意思決定や行動の制御が困難になり、後悔やトラブルの原因になることがあります。例えば、衝動的な買い物や突然の行動によって財政問題や人間関係のトラブルが生じることがあります。衝動性は、人々の社会的な対応や人間関係に影響を与える可能性があります。

 

ADHDの影響

ADHDの影響は、学業、仕事、人間関係など、日常生活の様々な面に及びます。これらの影響を詳しく見てみましょう。

 

学業成績の低下

  • 注意力の欠如

ADHDの人は、授業中や宿題の際に注意を維持するのが難しく、重要な情報を見逃すことがあります。これにより、テストの成績が低下したり、課題の達成が困難になることがあります。

 

  • 多動性

静かに座っていることが難しいため、教室での集中や教師の指示に従うことが難しくなります。このため、授業中に他の生徒や教師との関係が悪化することがあります。

 

職場での問題

  • 気が散る傾向

仕事中に注意が散漫になりやすいため、タスクの完了や期限の遵守が困難になることがあります。また、重要な業務に集中するのが難しく、業務の効率が低下する可能性があります。

 

  • 衝動性

衝動的な行動や意思決定が、仕事上のトラブルを引き起こす可能性があります。急な行動や意思決定が、他のチームメンバーや顧客との信頼関係を損なうことがあります。

 

友人や家族との関係の悪化

  • 衝動性とコミュニケーション

衝動的な行動や発言が、友人や家族とのコミュニケーションに問題を引き起こすことがあります。衝動的な反応が他者を傷つけたり、関係を悪化させたりする可能性があります。

 

  • 不注意な行動

注意力の欠如により、家族や友人との予定や約束を守るのが難しくなります。これにより、信頼関係や親密さが損なわれることがあります。

 

これらの問題に対処するためには、適切な治療やサポートが必要です。薬物療法や行動療法、または教育的な支援を通じて、個々のニーズに合った対策を講じることが重要です。また、家族や教育者、職場のサポートも欠かせません。ADHDの人々が充実した生活を送るためには、包括的なアプローチが必要であり、個々の状況に応じたサポートが重要です。

 

診断と治療

  • 薬物療法

薬物療法は、ADHDの管理において一般的なアプローチの一つです。主に刺激薬と非刺激薬が使われます。

 

  • 刺激薬

アンフェタミン系やメチルフェニデートなどの刺激薬は、脳内の神経伝達物質のバランスを調整し、注意力や衝動性の管理に効果を発揮します。これらの薬物は一般的に効果が高く、即効性があるため、日常生活の様々な場面で利用されます。しかし、副作用や依存症のリスクがあるため、医師の監督のもとでの使用が必要です。

 

  • 非刺激薬

刺激薬に反応しない患者や、刺激薬に対して副作用がある場合には、非刺激薬が選択肢となります。この薬物は、脳内の神経伝達物質を安定させることで、注意力や衝動性を改善します。刺激薬よりも副作用のリスクが低い傾向がありますが、効果が刺激薬ほど即効性を示さないことがあります。

 

行動療法

行動療法は、ADHDの管理において重要な役割を果たします。これは、カウンセリングや行動療法士とのセッションを通じて、問題の行動パターンを理解し、新しいスキルや戦略を学ぶプロセスです。

 

  • 注意力の向上:行動療法は、注意力を向上させるための技術やツールを提供します。例えば、時間管理や計画能力の向上、タスクの優先順位付けなどが含まれます。

 

  • 社会的なスキルの向上:行動療法は、社会的なスキルの向上を促すための支援を提供します。コミュニケーションスキルや人間関係の構築、ストレス管理技術などが含まれます。

 

  • 教育的支援:教育的支援は、学校や職場での特別な配慮や支援を提供することを指します。これには、個々のニーズに合わせた教育的なアプローチや環境の調整が含まれます。

 

  • 個別教育計画(IEP):学校での特別なニーズに対応するために、個別の教育計画が策定されることがあります。これには、特別な教室でのサポートや補助技術の利用などが含まれます。

 

  • 職場での配慮:ADHDの人々が職場で成功するためには、柔軟なスケジュールやタスクの調整、適切な指導やフィードバックなどの配慮が必要です。これにより、個々の能力やニーズに合わせた効果的なサポートが提供されます。

 

薬物療法、行動療法、教育的支援を組み合わせることで、ADHDの人々が健康で充実した生活を送るための包括的なアプローチが実現されます。

 

生活への影響

ADHDは、学業成績や職場でのパフォーマンス、人間関係に影響を及ぼすことがあります。適切な支援と管理が行われれば、多くの人が充実した生活を送ることができます。

注意欠陥多動性障がい(ADHD)は、注意力、多動性、衝動性の問題を引き起こす神経発達障がいです。適切な治療や支援を受けることで、生活の質を向上させることができます。また、ADHDの理解と啓発が、より寛容な社会を築く一助となるでしょう。

まとめ

「カフェ&バー カオスガーデン」は、発達障がいを抱える人々にとって心地よい居場所を提供し、社会に貢献する使命を背負っています。山田健太郎さんの想いと努力が込められたこの場所は、誰もが歓迎され、線引きのない交流が行われる場として、渋谷の街に光を放っています。彼の夢は、この場所を通じて、より包括的で寛容な社会を築く一助となることでしょう。

 

参考

発達障がい 悩み共有し居場所守りたい 38歳カフェ店長、CF募る | 毎日新聞

関連情報

みんなの障がいへ掲載希望の⽅

みんなの障がいについて、詳しく知りたい方は、
まずはお気軽に資料請求・ご連絡ください。

施設掲載に関するご案内