2024.06.10

発達障がいの息子3人の子育てを乗り越えた母の挑戦 障がいのある人々の居場所を創る“カフェ”オープンへ

軽度の発達障がいがある3人の子どもを育てた母親が、発達障がいの若者が働ける「カフェ」を開こうとしています。自身も、子育てでさまざまな壁にぶつかってきました。そんな経験から、障がいがある人やその家族の“居場所”を作ろうという取り組みです。

いつも、元気いっぱい。明るい笑顔の吉村貴世(よしむらきよ)さん。土佐市にある小児科があったこの場所に、クラウドファンディングを使ってあるカフェをオープンしようとしています。貴世さんは、軽度の発達障がいがある3人の子どもの母親です。

 

周りが敵だと思っている

「周りが敵だと思ってる方がすごく多くて…私もそうだった」そう語るのは、発達障がいの息子3人を育てた母親、吉村貴世さんです。

 

彼女は、自身の子育て経験から、発達障がいの若者たちが働ける「カフェ」をオープンすることを決意しました。このカフェは、発達障がいの若者たちが社会を学び、地域の交流ができる場所として位置づけられています。

 

「カフェgringrin」と名付けられたこの場所は、笑顔を意味する「grin」という言葉が込められています。吉村さんは、「みんなが笑顔になれるようなカフェになったらな」と願っています。

 

それぞれの個性や特性を理解し受け入れることが大切

吉村貴世さんの息子たちの特性は、一人一人異なります。長男はサッカーが得意で、次男は車と絵が好きであり、三男は勉強が得意で完璧主義です。それぞれの個性や特性を理解し、受け入れることが大切だと吉村さんは訴えます。

 

彼女はまた、発達障がいの子どもたちが普通の子どもたちとは異なる部分があることについて、誤解が多いと指摘します。外見や受け答えが普通の子どもと変わらないため、周囲からの理解が得られないことがあると説明します。

 

発達障がいは、生まれつきの脳機能の違いによるものであり、本人の努力や育て方によって改善されるものではありません。このような理解を深めるためにも、カフェgringrinのような場所が必要だと吉村貴世さんは考えています。

 

診断結果を聞いて安心

「注意欠陥多動性障がい」と「学習障がい」の両方を抱える子どもたちを育てる中で、吉村貴世さんは自らの限界を感じました。彼女は、子どもたちが暴れたり言うことを聞かないことが、自分の育児方法の問題だと考えたり、愛情が足りないのではないかと不安に感じたりしました。しかし、診断結果を受けて子どもたちに障がいがあることがわかった時、同時に安心も感じました。

 

「障がいがあるんだな」という事実を受け入れることで、今後の対処法を考えることができるようになったのです。主治医からの言葉が、彼女の心を少し和ませました。それは、自分が子育てを間違っていたわけではないという安心の言葉でした。

 

放課後等デイサービスも大きな支え

放課後等デイサービス「スマイルプラス」は、子どもたちにとってだけでなく、吉村貴世さんにとっても大きな支えとなりました。特に、次男のことに関しては、スマイルプラスのスタッフが彼女のことを心配して声をかけてくれることが、彼女にとっては心強いものでした。彼らの配慮は、貴世さんが子育てに全力を尽くしていることを認めてくれるものであり、彼女にとってはとても感謝できることでした。

 

吉村貴世さんは、「自分の味方がおるっていうのはすごい大事なことなので、だからこそ今の子供たちの成長があるんで」と述べ、家族や支援者との絆の重要性を強調しています。その絆が、子供たちの成長と発達において不可欠な要素であり、彼らが自己肯定感を持ち、前進するための力になっています。

 

自立訓練や療育が行われる

スマイルプラスでは、人との関わり方や個性に合わせた自立訓練や療育が行われています。要求カードを使ったコミュニケーションや、リラックス空間での五感刺激は、子供たちが自分らしくありながら必要なサポートを受け、成長できる環境を提供しています。

 

池那於人さんは、子供たちが成長する過程で保護者と共有できる喜びを強調します。その中で、保護者と共に喜びを分かち合い、共感し合うことが大切であると指摘します。彼が述べるように、子供たちの成長を保護者と共有することは、支援の一環であり、保護者との絆を深める重要なプロセスです。

 

「自分の人生も楽しみながら子育て」

しかし、放課後等デイサービスへの理解が不足している保護者も存在します。そのような状況下で、吉村貴世さんは自身の経験を通じて、周囲の理解と支援が子育てにおいて重要であると訴えます。周囲の理解と支援があれば、子育ての悩みに立ち向かう力になります。

 

吉村貴世さんは、「自分の人生も楽しみながら子育てをしようと思って。じゃないともし自分がつらくなったときに、子どものせいにしてしまうなと思ったんですよ。だから自分も楽しんで絶対子どものせいじゃない」と語ります。彼女は、子育てを通じて自分自身も楽しみ、責任を子供に押し付けることなく、自分の人生を楽しむことを決意しています。

 

社会と障がいのある人々やその家族をつなぐ場所

彼女がオープンさせようとしているのは、発達障がいの若者たちが働けるカフェです。吉村貴世さんは、「カフェがあるってことは私が常にいるじゃないですか、何かの緊急ときにたずねてこられる場所ができるのでそれもよかったなって。『ちょっとコーヒー飲みに来たがよ』って言いながら『ちょっとこうこうでよ』って言うたった何回かのやり取りやっても解決することっていっぱいあるんで」と語ります。彼女の目指すのは、社会と障がいのある人々やその家族をつなぐ場所であり、発達障がいの若者たちが一般社会で働くことのできる環境を提供することです。

 

「卒業させて新たな場所へ」

カフェgringrinでは、通常のカフェとしての運営を行いながら、発達障がいのある人々に一般社会を体験させ、人との関わり方や社会で必要なスキルを身につける機会を提供します。貴世さんは、「卒業させて新たな場所へ」と考え、彼らがカフェで学んだことを次のステップに生かせるよう支援を行います。

 

現在、カフェgringrinはクラウドファンディングで支援を募っています。彼女の熱意と想いに賛同する多くの人々が、カフェの実現に向けて支援を寄せています。

 

発達障がいについて

発達障がいは、個々の発達のパターンやペースが通常よりも異なる状態を指します。これは、認知、社会性、行動など、さまざまな領域で問題を引き起こす可能性があります。一般的には、幼児期から始まる発達の遅れや逸脱が見られ、その影響は成人期にも及ぶことがあります。以下では、主な発達障がいについて詳しく見ていきます。

 

自閉スペクトラム障がい(ASD)

自閉スペクトラム障がい(ASD)は、社会的相互作用、コミュニケーション、興味・活動の範囲など、広範な領域で特徴づけられる神経発達障がいです。ASDは、幅広い症状のスペクトラムであり、症状の程度や特性は個々に異なります。

例えば、軽度の場合では社会的な困難さやコミュニケーションの障がいが見られる一方で、重度の場合ではコミュニケーションの完全な不可能性や反復行動の強い傾向が見られることもあります。

 

ASDの症状

ASDの症状は、幼児期から始まることが一般的であり、早期の発見と介入が重要です。典型的な症状には、社会的な相互作用の困難、コミュニケーション能力の制限、特定の興味や行動の繰り返し、感覚過敏などが含まれます。

ASDの人々は、日常生活や学校、仕事などのさまざまな状況で支援が必要とされることがありますが、適切な支援や療法を受けることで、彼らの生活の質を向上させることができます。

 

注意欠如・多動性障がい(ADHD)

注意欠如・多動性障がい(ADHD)は、注意の持続や集中、衝動の抑制に問題がある状態です。この障がいは、子どもや成人の学業、職業、社会的機能に影響を与えることがあります。ADHDの症状は、注意力不足、多動性、衝動性の3つの基本的な特徴に分類されます。

 

ADHDの症状

注意欠如は、指示やタスクの細部に気を配ることが難しく、物事に集中し続けることができない傾向があります。多動性は、座っていることが難しく、よく動き回ります。衝動性は、行動や発言を抑制することが難しく、即座に欲求や衝動に従ってしまう傾向があります。

ADHDは、家庭や学校、職場での日常生活にさまざまな問題を引き起こす可能性がありますが、早期の発見と適切な管理が効果的な支援を提供する上で重要です。

 

学習障がい

学習障がいは、基本的な学習スキルの獲得に困難を抱える状態です。これには、読み書き、計算、言語理解などが含まれます。学習障がいのある人々は、同年齢の他の人と比較して、学校での学業成績や成長に遅れが生じることがあります。

 

学習障がいの症状

学習障がいは、個々の認知的な特性や学習スタイルに起因することがあります。例えば、読解や数学の理解に困難を抱えることがあります。

このような障がいは、子どもや成人の学習や社会的な活動においてさまざまな障がいを引き起こす可能性がありますが、個々のニーズに合わせた支援や特別な教育プログラムによって管理することが可能です。

 

多くの場合他の心理的または身体的な健康問題と共存している

これらの発達障がいは、個々の症状や重症度によって異なります。また、多くの場合、他の心理的または身体的な健康問題と共存していることもあります。早期の診断と適切な支援は、発達障がいの管理や症状の緩和に役立ちます。

家族や教育者、医療専門家は、発達障がいを理解し、支援するために情報を収集し、適切な介入を提供する必要があります。また、社会全体が発達障がいの理解と受容を促進することで、障がいのある人々が健全な生活を送ることができる環境を構築することが重要です。

まとめ

吉村貴世さんは、自身の経験から、発達障がいの若者たちが働けるカフェを開くことを決意しました。カフェgringrinは笑顔と共に、社会を学び成長する場として生まれます。

吉村さんの子育ては、さまざまな壁にぶつかりました。その経験から、彼女は障がいのある人やその家族のための"居場所"を作ろうと奮闘しています。彼女の夢は、社会とのつながりを築き、障がいのある人々が活躍できる場所を提供することです。

彼女の言葉からは、自分の子育てに関する悩みや不安、そして希望が伝わってきます。彼女の想いがカフェgringrinの実現につながることを願っています。

 

参考

「周りが敵だと思ってる方がすごく多くて…私もそうだった」発達障がいの息子3人を育てた母の挑戦 発達障がいの若者が働ける“カフェ”オープンへ(テレビ高知) #Yahooニュース


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