2024.05.17

身体障がい者手帳の等級一覧│視覚障がい、聴覚または平衡機能の障がい者手帳の等級による支援サービスの重要性

身体障がい者手帳の等級には、何段階あるのか?それぞれの障がいによって異なるの?例えば、視覚障がいや聴覚障がい、身体的な障がいなど、様々なタイプの障がいに対応するために、等級が設けられています。そして、等級が変わる可能性もあるとすれば、その基準や背景についても知りたいところです。障がいの程度に応じて均等にサポートする目的から、どのような基準が設けられているのでしょうか?

【視覚障がい】の等級は1〜6級

視覚障がいの等級は、以下のように1〜6級までとなっています。

1級

両眼の視力の和が0.01以下

2級

(1)両眼の視力の和が0.02以上0.04以下

(2)両眼の視野がそれぞれ10度以内で、かつ両眼による視野について視能率による損失率が95%以上

3級

(1)両眼の視力の和が0.05以上0.08以下

(2)両眼の視野がそれぞれ10度以内で、かつ両眼による視野について視能率による損失率が90%以上

4級

(1)両眼の視力の和が0.09以上0.12以下

(2)両眼の視野がそれぞれ10度以内

5級

(1)両眼の視力の和が0.13以上0.2以下

(2)両眼による視野の2分の1以上が欠けている

6級

一眼の視力が0.02以下、他眼の視力が0.6以下のもので、両眼の視力の和が0.2を超える

初めて見た方は、聞き慣れない言葉が多くて、イメージが湧きにくいですよね。視覚障がいの等級は、視力障がいと視野障がいの2つのポイントから認定されます。

例えば、右(矯正不能)0.1、左(矯正不能)0.3なら等級には該当しませんが、合わせて視野障がいがあり、両眼による視野の2分の1以上が欠けていれば5級の判定となるのです。判定については、以下のポイントを守る必要があります。

 

■視力

  • 万国式試視力表によって測ったもの
  • 屈折異常のある者については、最も適当な矯正眼鏡(コンタクトレンズ、眼内レンズを含む)を掛けた矯正後の視力

 

■視野

  • ゴールドマン視野計か自動視野計、またはこれらに準ずるものによって測ったもの

参考:函館視力障がいセンター「視覚障がい支援ハンドブック

 

これらの基準に従って、視覚障がい者の等級が判定され、それに基づいて支援やサービスが提供されます。等級に関する聞き慣れない言葉の説明については、以下をご覧ください。

両眼の視力の和

両眼で見て測った視力ではなく、右眼・左眼の視力を別々に測った数値の和

※視野障がいがない場合、右(矯正後)0.02、左(矯正後)0.04だと、視力の和は0.06なので、3級

※視野障がいがない場合、右(矯正後)0、左(矯正後)0.7であれば、等級には該当せず、身体障害者手帳は交付されない

両眼の視野が10度以内

視野が全周にわたって、周辺部から中心に向かって見えなくなる求心性視野狭窄

(この症状がある場合、中心部の視野は最後まで保たれ、視力も進行するまでは比較的保たれる)

両眼の視能率による損失率

各眼ごとに8方向(内、内上、上、上外、外、外下、下、下内)の視野の角度を測定し、その合算した数値から計算式で求める

参考:函館視力障がいセンター「視覚障がい支援ハンドブック

 

色覚障がい(赤や緑など特定の色が見えにくい)や夜盲(暗いところで見えにくい)については、身体障害者手帳の交付対象になっていません。視覚障がい者への配慮ポイントは、以下の通りです。

 

視覚障がい者への配慮ポイント

  • 突然体に触ったり、手を引っ張ったりせず、「何かお困りですか?」「〇〇しましょうか?」と声を掛ける。
  • 声だけで誰かを判断するのは難しいため、名乗ってから話し掛ける。
  • 物の説明は、大きさや色をふまえる。
  • 状況の説明は「あっち」や「こっち」ではなく、実際の方向などを具体的に伝える。

等級や、視力障がいと視野障がいのどちらが重いかによって、必要となる配慮は変わってくるので、まずはゆっくりはっきりとコミュニケーションを取ってみましょう。

これらの配慮ポイントを心がけることで、視覚障がい者と円滑なコミュニケーションができ、彼らの日常生活の支援に貢献することができます。

【聴覚または平衡機能の障がい】の等級は2〜6級

聴覚または平衡機能の障がいの等級は、以下のように聴覚障がいは2〜6級まで(5級はなし)、平衡機能障がいは3級と5級のみです。

     

聴覚障がい

平衡機能障がい

2級

両耳の聴力レベルがそれぞれ100デシベル以上(両耳全ろう)

該当なし

3級

1.両耳の聴力レベルが90デシベル以上

(耳介に接しなければ大声語を理解し得ない)

平衡機能の極めて著しい障がい

4級

1.両耳の聴力レベルが80デシベル以上

(耳介に接しなければ話声語を理解し得ない)

2.両耳による普通和声の最良の語音明瞭度が50%以下

該当なし

5級

該当なし

平衡機能の著しい障がい

6級

1.両耳の聴力レベルが70デシベル以上

(40㎝以上の距離で発声された会話後を理解し得ない)

2.一側耳の聴力レベルが90デシベル以上、他側耳の聴力レベルが50デシベル以上

該当なし

聴覚障がいの判定については、以下のポイントを守る必要があります。

  • オージオメータ(JIS規格)による測定を主体とする。
  • 補聴器を装着しない状態で行う。
  • 検査は防音室で行うことを原則とする。

    これらの基準に従って行われる検査により、聴覚障がいの程度が判定されます。東京都の「聴覚・平衡機能、音声・言語機能又はそしゃく機能障害等級表と診断のポイント」を参考にすることで、適切な判定が行われ、必要な支援やサービスが提供されることになります。

     

    デシベルと音の事例

    ■100デシベル

    • 電車が通るときのガード下
    • 太鼓の音

     

    ■90デシベル

    • 怒鳴り声
    • 犬の吠える声
    • 騒々しい工場
    • カラオケ音

     

    ■80デシベル

    • かなり大きな声
    • 走行中の電車内
    • パチンコ店内

     

    ■70デシベル

    • 大きな声
    • 騒々しい事務所内
    • 電話の呼び出し音
    • セミの鳴き声

     

    ■50デシベル

    • エアコンの室外機
    • 静かな事務所内

     

    これらの音が聞こえないと考えると、日常生活が極めて困難に感じることが想像できます。例えば、怒鳴り声や犬の吠える声などの警告音に反応できず、交通事故や危険な状況に気づかない可能性があります。

    また、騒々しい工場やパチンコ店内のような環境では、コミュニケーションが困難になり、集中力を維持することも難しくなります。さらに、静かな事務所内でさえ、電話の呼び出し音やエアコンの室外機が聞こえないと、情報にアクセスする障壁となります。そのため、聴覚障がいを持つ人々にとって、周囲の環境や情報にアクセスすることがより困難になります。

     

    平衡機能障がいの等級の詳細

    • 【3級】平衡機能の極めて著しい障がい

    この等級では、四肢体幹に器質的異常は見られませんが、症状や他覚的なデータによって平衡機能障がいが認められます。眼を閉じて立ち上がることができず、または眼を開いて直線を歩行中に10m以内で転倒するか、あるいはよろめいて歩行を中断せざるを得ない状況です。


    • 【5級】平衡機能の著しい障がい

    この等級では、眼を閉じて直線を歩行中に10m以内で転倒するか、あるいはよろめいて歩行を中断せざるを得ない状況が認められます。

     

    聴力または平衡機能障がい者への配慮ポイント

    ■聴力障がい者

    • 話し掛けるときはできるだけゆっくり、一言一言をはっきりと話すことを心がける。

     

    ■平衡機能障がい者

    • 高所や人混みで転倒・転落する可能性があるので、そういった場所を避ける。

     

    等級によって障がいの程度は異なるため、相手に合わせて配慮することを心がけましょう。

    まとめ

    聴力と平衡機能の障がいを持つ人々への配慮は、日常生活の中で重要です。聴力障がい者には、ゆっくりとはっきりと話すことが求められます。一方、平衡機能障がい者には、高所や人混みなどでの転倒や転落のリスクを考慮する必要があります。等級に応じて障がいの程度が異なるため、相手の状況に合わせて配慮することが大切です。

     

    参考

    身体障がい者手帳の等級一覧│基準や違い、等級別のサポートを解説

     


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