2024.04.24

障がい者基本計画を見てみよう!消費者トラブルの防止と被害からの救済

前回に続き、障がい者基本法を詳しく見ていきましょう。障がい者の権利を尊重し、消費者の安心と安全を確保するため、我々は消費者トラブルの防止と障がい者への救済に向けて、積極的な取り組みを行います。障がい者の消費者教育から始まり、消費者被害の早期発見や法的なサポートまで、幅広い方策を展開し、より包括的な支援体制を構築します。以下に、我々の具体的な施策を示します。

 

情報アクセシビリティの向上及び意思疎通支援の充実

情報アクセシビリティの向上と意思疎通支援の充実は、障がい者基本法の重要な柱です。この取り組みは、障がい者が必要な情報に円滑にアクセスし、意思を適切に伝えることができるよう支援することを目指しています。

 

情報通信機器やサービスの企画、開発、提供を促進

障がい者に配慮した情報通信機器やサービスの企画、開発、提供を促進し、放送や出版の分野でも障がい者が利用しやすい環境を整備することで、情報アクセシビリティの向上を図ります。

また、障がい者が円滑に意思表示やコミュニケーションを行えるよう、意思疎通支援を担う人材の育成やサービスの利用促進、支援機器の開発・提供などの取り組みを通じて、意思疎通支援の充実を目指します。

 

情報通信における情報アクセシビリティの向上

障がい者の情報通信機器やサービスの利用における情報アクセシビリティの確保及び向上・普及を図るため、障がい者に配慮した情報通信機器やサービスの企画、開発、提供を促進します。

研究開発やニーズ、ICTの発展を踏まえながら、情報アクセシビリティの確保及び向上を促進するため、適切な標準化を進め、必要に応じて国際規格提案を行います。また、各府省における情報通信機器等の調達は、情報アクセシビリティの観点に配慮し、国際規格や日本工業規格への準拠・配慮に基づいて実施されます。

 

当該国際規格に基づいて技術仕様を定める

特に、WTO政府調達協定の適用を受ける調達等を行う際には、アクセシビリティに関する国際規格が存在する場合には、当該国際規格に基づいて技術仕様を定めます。さらに、国立研究機関等では障がい者の利用に配慮した情報通信機器・システムの研究開発を推進し、障がい者がICTを利用しやすい環境を整備します。

障がい者がIT相談を受けられる支援施設や、パソコン機器等を使用できるよう支援するパソコンボランティアの養成・派遣の促進などにより、障がい者のICTの利用及び活用の機会の拡大を図ります。また、聴覚障がい者が電話を一人でかけられるよう支援する電話リレーサービスの実施体制を構築します。

 

情報提供の充実等

身体障がい者の利便の増進に資する通信・放送身体障がい者利用円滑化事業の推進に関する法律や放送事業者への制作費助成などを通じて、字幕放送、解説放送、手話放送などの普及を図ります。

聴覚障がい者に対して、字幕(手話)付き映像ライブラリーや手話通訳者の養成・派遣、相談を行う施設の整備を促進し、ICTの発展に応じてニーズの変化にも対応します。また、身体障がい者利用円滑化事業の助成などを通じて、民間事業者が行うサービスの提供や技術の研究開発を促進し、障がいによって利用が困難な通信・放送サービスへのアクセスの改善を図ります。

電子出版物の利用の拡大に向けた技術開発や普及啓発などの取り組みも行います。心身障がい者用低料第三種郵便についても、障がい者の社会参加を促進する観点から検討を続けます。

 

意思疎通支援の充実

聴覚、言語機能、視覚などの障がいにより意思疎通が困難な障がい者に対して、手話通訳者や要約筆記者の派遣、点訳や代読による支援を行い、その他の支援機器の給付や貸与を行います。絵記号などの普及や理解の促進を図ることで、意思疎通の支援を行います。

 

行政情報のアクセシビリティの向上

各府省において、障がい者や障がい者施策に関する情報提供や緊急時の情報提供などに障がい特性に応じた配慮を行います。また、ウェブサイト等で情報提供を行う際には、アクセシビリティに配慮した仕様の採用やウェブアクセシビリティの向上に取り組みます。さらに、災害時や選挙時に障がい者への情報提供を充実させるための施策も行います。

 

防災、防犯等の推進

障がい者が地域社会において安全かつ安心して生活できるよう、国連防災世界会議で採択された「仙台防災枠組2015-2030」を踏まえて、以下の取り組みを推進します。

 

  • 災害に強い地域づくりの推進:障がい者の安全を確保するために、災害に強い地域づくりを推進します。これには、地域の防災意識の向上や適切な避難計画の策定、防災施設の整備などが含まれます。

 

  • 障がい特性に配慮した災害時の支援強化:災害発生時には、障がい者の特性やニーズに応じた適切な情報提供や避難支援が必要です。福祉避難所や応急仮設住宅の確保、福祉・医療サービスの継続など、障がい者が安全に避難し、必要な支援を受けるための体制を整備します。

 

  • 防犯対策と消費者保護の強化:障がい者を犯罪被害や消費者被害から守るために、防犯対策や消費者トラブルの防止に向けた取り組みを推進します。これには、地域社会全体での安全意識の向上や、障がい者が安心して生活できる環境の整備が含まれます。

防災対策の推進

地域防災計画の作成と防災訓練の実施: 障がい者や福祉関係者の参加と防災関係部局、福祉関係部局との連携の下で、地域防災計画の作成や防災訓練を促進し、災害に強い地域づくりを推進します。

 

  • 要配慮者利用施設の土砂災害対策:自力避難の困難な障がい者等が利用する施設の立地箇所において、土砂災害のおそれのある場所では、砂防えん堤の施設整備や危険区域の明示など、土砂災害対策を重点的に推進します。

 

  • 災害時の障がい者への情報伝達の体制整備:災害発生時に障がい者に適切な情報を伝達できるよう、民間事業者や消防機関などと協力して、障がい特性に配慮した情報伝達の体制を整備します。

 

  • 障がい者への避難支援と安否確認:災害発生時には、避難行動要支援者名簿などを活用して障がい者への適切な避難支援や安否確認を行うため、地方公共団体に必要な体制整備を支援します。

 

  • 避難所と応急仮設住宅のバリアフリー化:避難所や応急仮設住宅のバリアフリー化を推進し、障がい者が適切な支援と合理的配慮を受けられるよう、市町村の取り組みを促進します。

 

  • 災害時の福祉・医療サービスの継続:災害発生後も福祉・医療サービスを提供できるよう、障がい者支援施設や医療機関の災害対策を推進し、広域的なネットワークの形成に取り組みます。

 

  • 聴覚・言語機能障がい者向けの緊急通報システムの導入:火災や救急事案の発生時に、聴覚・言語機能障がい者が円滑な緊急通報ができるよう、音声によらない緊急通報システムの導入を推進します。

 

  • 要配慮者の避難確保計画の実施:水害・土砂災害時に、要配慮者の円滑な避難を確保するため、要配慮者利用施設における避難確保計画の作成と訓練を促進します。

 

  • 防火安全体制の強化:非常災害時における障がい福祉サービスの提供継続や、消防団や近隣住民との連携体制の構築を促進し、防火安全体制を強化します。

 

  • 男女共同参画の視点からの防災・復興の取組:防災体制や避難所、応急仮設住宅において、男女共同参画の視点からの取り組みを促進し、障がいのある女性を含めた配慮を行います。

 

東日本大震災を含む災害からの復興の推進

地域のまちづくりへの障がい者の参画促進: 各地域の復興施策において、障がい者やその家族などの参画を促進し、地域全体のまちづくりを推進するため、事例集の作成や公表などの情報提供を行います。

 

  • 被災地での障がい福祉サービスの安定的な提供:被災地の障がい福祉サービス事業者に対する支援を実施し、被災地での障がい者の生活継続や帰還を支援し、安定的な障がい福祉サービスの提供を図ります。

 

  • 避難生活を送る障がい者への心のケア:避難生活を送る障がい者に対して心のケアや見守り活動、相談活動などの取り組みを充実させます。

 

  • 雇用の創出と求職支援の推進:被災地における雇用情勢を考慮し、産業政策と連携した雇用の創出や求人と求職のミスマッチの解消を図り、障がい者の就職支援を推進します。

 

防犯対策の推進

110番通報の利用促進と的確な対応: ファックスやEメールなどを活用した110番通報の利用を促進し、事案の内容に応じた迅速かつ的確な対応を行います。

 

  • 警察職員の障がい理解とコミュニケーション支援:警察職員の障がい理解を深めるための研修を充実させ、手話を行うことのできる警察官の配置やコミュニケーション支援ボードの活用などを推進します。

 

  • 地域との連携による犯罪被害の防止と早期発見:警察と地域の障がい者団体や福祉施設、行政などとの連携を促進し、犯罪被害の防止と早期発見に努めます。

 

  • 障がい者支援施設等の安全確保:障がい者支援施設等を利用する障がい者が安心して生活できるよう、施設整備や職員の対応に関する点検などの取り組みを促進し、安全確保体制の構築を図ります。

 

  • 性犯罪被害者への支援体制の充実:障がい者を含む性犯罪被害者や配偶者暴力被害者への支援体制の充実を図り、ワンストップ支援センターの設置促進や相談機能の充実を推進します。

 

消費者トラブルの防止及び被害からの救済

障がい者の消費者教育の推進: 障がい者やその支援を行う者に対して、消費者関連の情報提供や各種消費者関係行事への参加を促進し、障がい者等に対する消費者教育を推進します。

 

  • 消費者被害防止のための見守りネットワークの設置促進:障がい者団体、消費者団体、福祉関係団体、行政などの連携により、消費者被害防止のための見守りネットワークの設置を促進します。

 

  • 障がい者の消費生活相談体制の整備:地方公共団体における消費生活センター等での障がい者に対する消費者相談の受付や相談員の障がい者理解のための研修を促進し、障がい者の特性に配慮した消費生活相談体制の整備を図ります。

 

  • 法制度の利用促進:被害を受けた障がい者の被害回復に関する法制度の利用を促進するため、日本司法支援センター(法テラス)の業務充実に努めます。

 

  • 振り込め詐欺や悪質商法への対応強化:法テラスの契約弁護士が福祉機関等との連携・協力体制を密にし、配慮を要する障がい者などの振り込め詐欺の被害や悪質商法による消費者被害の早期発見と被害回復に努めます。

まとめ

消費者トラブルの防止と被害からの救済は、障がい者が安心して消費生活を送るための重要な取り組みです。障がい者やその支援を行う者に対して消費者教育を推進し、消費者被害防止のための見守りネットワークの設置を促進します。さらに、消費生活相談体制の整備や法制度の利用促進、振り込め詐欺や悪質商法への対応強化を通じて、障がい者の消費者権利の保護と被害からの救済を図ります。

 

参考

障がい者基本計画(第4次計画 平成30年度~平成34年度)

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