2022.03.02

障がい者枠の収入で自立した生活を送れる?障がい者枠の給与・待遇・支援制度

障がい者枠

障がい者枠の収入で自立した生活を送れる?障がい者枠の給与・待遇・支援制度

障がいをオープンにして障害者枠で就職活動をするか、一般枠で就職活動をするか、また障害者枠で就職した場合、一人暮らしなど自立した生活を送ることができるのかは気になるところ。障がい者枠での収入、給与、待遇や、障がい者枠をえらんだ場合でも一人暮らしができるような支援・制度をご紹介します。

 

障がい者枠の給与・待遇

一定の障がいがある方が応募できる障がい者枠と、一般の方と同じ条件で応募する必要がある一般枠。障がい者枠の方が障がいに配慮してもらいやすいというメリットはありますが、一般枠より障害者枠の方が給与が低い傾向があります。

厚生労働省が公表した「平成30年度障害者雇用実態調査結果」によると、以下のような結果がわかっています。

 

非正規社員の割合が高い

障がい者の方の雇用形態をみると、身体障がい者は52.5%、知的障がい者は19.8%、精神障がい者は25.5%、発達障がい者は22.7%が「正社員」で働いているという結果が出ています。つまり知的・精神・発達障がい者は約8割が「非正規」で働いているという状況です。

 

平均の給与は12万円程度

身体障碍者の平均月収は21万5千円と、一般の方と同じぐらいに給与がありますが、知的障がい者は11万7千円、精神障がい者は12万5千円、発達障がい者は12万7千円となっています。

身体障がい者よりも平均の給与が下がってしまう理由は、障がいの症状によるものだと考えられます。

勤務時間を見ると、週30時間以上働いている方は身体障碍者が約8割であり、知的・精神・発達障がい者は約5割です。

障がいの特性や、体調が不安定であるため、知的・精神・発達障がい者の方は長時間の労働は厳しく、同時に給与が下がってしまいます。

 

障がい者枠で働く障がい者は一人暮らしできるのか?

平均給与で10万円程度になるので、障がいの程度や体調次第では、もっと給与が低くなる可能性はあります。

一人暮らしに最低限必要な金額は月10万円といわれています。しかし、家賃は給与の3分の1にしないと食費や光熱費などの負担が大きくなるので、10万円の場合は約3万円の賃貸を探さなくてはいけません。地方では見つかる可能性はありますが、東京など土地が高い地域ではむずかしいでしょう。

 

項目別・生活費の平均

総務省がおこなった家計調査(2021年7~9月)によると、単身者(一人暮らし)の項目別・生活費の平均は以下のようになっています。

 

平均

食費

37,352円

光熱費

9,682円

通信費

6,443円

雑費

14,790円

交際費

12,669円

総支出

146,845円

 

食費は毎日自炊できれば抑えることはできますが、体調の悪化で料理ができない日が続き、宅配や外食が多くなると、大きな負担になってしまいます。

通信費は「格安SIM」がありますので、出費を抑えられる項目です。

雑費には、日用品や美容代などが含まれます。病院に通うのに車や公共交通機関を使う場合は交通費もかかるでしょう。

10万円程度の収入だと、多くの人が送るような生活はできず、どこかの項目を節約していく必要があります。

 

自立した生活を送りたい方への支援・制度

障がい者枠で働き、一人暮らしの金銭面の不安をなくしたい方は以下の支援を受けられます。

それぞれ条件や注意点がありますので、よく確認しましょう。

 

障害年金

障害基礎年金は以下の要件を満たしていれば、働いている方にも支給されます。

①障がいの原因となった病気やけがの初診日が次のいずれかの間にあること。

・国民年金加入期間

・20歳前または日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満で年金制度に加入していない期間

②障がいの状態が、障がい認定日(障がい認定日以後に20歳に達したときは、20歳に達した日)に、障がい等級表に定める1級または2級に該当していること。

③初診日の前日に、初診日がある月の前々月までの被保険者期間で、国民年金の保険料納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む)と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あること。

ただし、初診日が令和8年4月1日前にあるときは、初診日において65歳未満であれば、初診日の前日において、初診日がある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよいことになっています。

また、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、納付要件は不要です。

 

障害基礎年金の年金額(2021年4月以降)は、

1級 976,125円

2級 780,900円

となっています。

1級であれば月81,343円、2級は月65,075円が給付されます。

 

厚生年金保険へ加入中に初診日(障がいで初めて医師の診療を受けた日)がある場合は、「障害基礎年金」に加えて、「障害厚生年金」も受けることができます。ただし、等級しだいでは片方のみ支給される場合があります。また障害厚生年金は平均収入や厚生年金保険に加入していた期間によって金額が決まるので、人によって年金額が変わります。

 

障害者控除

所得税法以上の障がいをもっていると認められた場合、障害者控除を受けることができます。障害者控除とは、所得税や住民税の納税額をへらせる制度です。

さらに重度の障がいがあると認められると、より納税額をへらすことができる「特別障害者控除」を受けることができます。

 

生活保護

働けなくなったら生活保護だと考えられる方が多いと思いますが、生活保護は就労している場合でも受け取ることができます。

その就労収入や資産が、厚生労働大臣が定める基準(最低生活費)に満たない場合は、基準から収入を差し引いた差額を「生活保護費」として支給されます。

 

 

特別障害者手当

精神や身体に重度の障がいがあり、常に介護を必要とする方に支給される手当金です。支給月額は令和2年4月以降、27,350円となっています。

 

副業をするという手も

外出する手間をかけたくない方や、外での人間関係が不安な方もできる副業があります。以下の記事でご紹介しているので、ぜひご覧ください。

障がい者雇用で副業はできる?障がい者におすすめの副業は?

 

まとめ

障がい者枠の収入では一人暮らしなど自立した生活を送るのは厳しいです。金銭面の不安はあり、生活費を一部節約していかないといけないでしょう。障害年金や控除などを受けることや、副業で副収入を得ることなども考えて、障害者枠で働くことをえらびましょう。

 

 

参考

令和3年度(2021年度)の障害年金の金額 - NPO法人 障害年金支援ネットワーク

障がい者雇用の給与は低い?年収のリアルと解決方法 – せんとなび

障害者枠の収入では生活できない?デメリットのリアルや解決策も紹介 | 障害者転職・就職のDIエージェント|求人選びから面接対策、在宅ワーク支援も徹底サポート。充実の情報サイト

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