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2025.11.22

【うつ経験者が語る】“休む勇気”が人生を変える理由

「休んだほうがいい」と頭では分かっているのに、
いざ休もうとすると胸がざわつき、罪悪感が押し寄せる――。

うつを経験した人の多くが、この矛盾した苦しさに悩みます。
私自身も、疲れて動けないのに「休むのは甘えだ」「もっと頑張らないと」と自分を追い詰め続けた結果、心と体が限界に達した経験があります。

同じように考えてしまう方々のために、この記事では
・うつ経験者が感じる「休むことの怖さ」
・休むことで起きる心身の変化
・うつ当事者が実際に使った“休む技術”
・家族・職場との向き合い方
などを、経験者の視点からわかりやすく解説します。

後半には、信頼できる参考リンクや動画も掲載しました。
あなたが安心して「休む」という選択を取れるよう、丁寧に届けたいと思います。

休むことが“怖い”のは、あなたの性格の問題ではない

「休む」と聞くだけで罪悪感が出てくる理由

うつ状態にあると、脳は“危険から身を守るモード”に入り、正常な判断が難しくなります。
本当は休んだほうが良いのに、次のような思考が自動的に浮かびやすくなります。

・「私が止まったら周りに迷惑がかかる」
・「ここで休んだら何もできない人間になる」
・「頑張れない自分が嫌だ」

これは根性や性格の問題ではありません。
脳がストレスで疲弊し、“誤作動”を起こしている状態です。

実際、厚生労働省の「こころの耳」でも、うつ症状では「休息が必要」「思考の偏りが起きやすい」と説明されています。

つまり、休むことが怖いのは“あなたが弱いから”ではなく、“脳が疲れ切っているサイン”なのです。

参考リンク:厚生労働省 こころの耳 https://kokoro.mhlw.go.jp/

経験者が語る「限界まで頑張り続けた結果」

私自身、休むことに抵抗があり
・職場に迷惑をかけたくない
・弱い自分を認めたくない
・復帰できなくなったらどうしよう
という思いから無理を続けました。

しかし、実際は逆でした。

・休まなかったことで集中力がさらに落ちる
・小さな作業でもミスが増える
・感情のコントロールがきかない
・体調が悪化し、立ち上がることすら辛い
・結果的にもっと長い休職期間になった

“休む勇気を出せなかったことこそ、回復を遅らせた原因”でした。

「休んだら終わり」ではなく「休むから回復する」

休むことで脳と体が回復するメカニズム

うつになると、自律神経やホルモンバランスが乱れ、脳のパフォーマンスが極端に落ちます。
その状態で無理を続けると、回復に何倍もの時間がかかります。

反対に、“適切に休む”ことで次の変化が起こります。

・脳の過活動が落ち着き、思考がクリアになる
・感情の波が安定しやすくなる
・睡眠の質が上がる
・体のだるさが減り、動ける時間が増える
・「また頑張りたい」という気持ちが自然に戻ってくる

これは、医学的にも裏付けられています。
休むことは“逃げ”ではなく、“治療”なのです。

参考リンク:厚生労働省 こころの耳 うつ病の治療と予後 https://kokoro.mhlw.go.jp/about-depression/ad003/

罪悪感は時間とともに薄れ、できることが増える

休み始めた当初は、正直しんどかったです。
「本当にこれでいいのか?」と不安が押し寄せました。

でも、数日〜数週間と休息を続けるうちに、

・朝のしんどさが少しずつ軽くなる
・気持ちが沈む日が減る
・“できる日”が日単位から週単位に増えていく
・小さな達成感を感じられる瞬間が出てくる

と、ゆるやかに前に進めるようになっていきました。

休むことは、人生の“停止”ではなく、次に進むための“助走”です。

経験者が実践した「休む技術」

「休むと決めること」も行動のうち

最初の一歩は、“休むと決めること”でした。

・「今日は何もしない」と宣言する
・罪悪感が出たら「今は治療中」と言い聞かせる
・1日を“休息のために使う”と意識づける

これは怠けではなく、心のリハビリです。

完全に休む日/少しだけ動く日を分ける

うつの回復期は、波があります。
“動ける日”と“動けない日”が交互に来るのは普通です。

私は、次のように分けました。

・何もできない日は「完全休養日」
・洗濯物をたたむ、買い物に行くなど軽い行動だけの日は「ゆる動く日」
・調子が良い日は散歩や軽い作業を試す

このように“段階をつける”ことで、無理なく活動量を戻せました。

情報を選ぶ:SNSよりも専門サイトを

回復期は不安が強く、ネット検索を繰り返してしまいがちです。
しかし、経験談の中には不安を煽る情報もあります。

私は次のように情報源を絞りました。

・「こころの情報サイト」
https://kokoro.ncnp.go.jp/
・NHKの専門記事や特集
・精神科医の動画(YouTubeなど)

特に、精神科医・樺沢紫苑氏の「うつ病をものすごく改善する休息法」動画は大変参考になりました。

YouTube:精神科医・樺沢紫苑の樺チャンネル
https://www.youtube.com/@kabasawa3

家族・職場にどう伝える?経験者のリアルな視点

正直にすべてを話さなくていい

うつを理解してくれる人ばかりではありません。
私は当初、職場に状況を丁寧に説明しようとしましたが、返って疲れてしまいました。

伝えるべきは、
・今は治療が必要であること
・医師の指示に従って休む必要があること
この2つだけで十分です。

詳しい症状や原因を伝える義務はありません。

家族には「どうしてほしいか」を具体的に伝える

家族は助けたい気持ちが強い一方、どう接すれば良いか分からず戸惑うことがあります。

私は
・言葉はいらないがそっとしておいてほしい時間がある
・相談したい日は自分から話す
・責める意図がなくても、アドバイスが苦しく感じる時がある
などを伝えたことで、お互いが楽になりました。

「理解されない経験」も傷として残る

「休むって甘えでしょ」
「働けるように努力したら?」
と言われたこともあります。

ただ、今振り返れば、
“理解されなかったこと=私がおかしいという証拠” ではありません。

理解がないのは、相手の知識不足であり、あなたの価値とは無関係です。

休む勇気が、人生を大きく変える

休んだからこそ得られた「気づき」

休んで初めて、自分がどれほど疲れていたかに気づきました。
そして、少しずつ感覚が戻ってくることで、

・「心が楽だ」という感覚
・朝の空気が気持ちいいと思える瞬間
・ごはんの味が分かる喜び
・他人と話すエネルギーが湧いてくる感じ

こうした“小さな回復の兆し”に気づけるようになりました。

休まなければ、何ひとつ取り戻せなかったと思います。

人生の優先順位が変わる

うつを経験した多くの人が口を揃えて言うのは、
「働き方や生き方そのものを見直せた」ということです。

私自身も、
・人の期待に応えすぎない
・完璧を目指さない
・疲れたら休む
・“無理しない自分”を許す
という価値観に変わりました。

結果として、人間関係も仕事の仕方も安定し、以前より生きやすくなりました。

まとめ:休むことは、勇気ある選択

うつ経験者として、強く伝えたいことがあります。

休むことを“諦め”と思わないでほしい。
休むことは“治療”であり、“前に進むための準備”です。

そして、
「休まなければならないほど頑張ってきたあなたの努力の証拠」です。

どうか、あなた自身を責めないでください。
あなたはもう十分すぎるほど頑張ってきました。

今必要なのは、
前に進む努力ではなく、
“立ち止まる勇気”です。

その勇気が、あなたの人生を変えていきます。

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