2024.02.15

「合理的配慮の提供」とは?障がい者が直面する制約を考慮

障がい者差別解消法は、2013年に施行された法律であり、障がいを理由とする差別の撤廃を目指しています。この法律は、行政機関や事業者に対し、障がいのある人々に対する不当な差別的取り扱いを禁止し、合理的配慮の提供を義務付けています

この法律における「障がい者」とは、障がい者手帳を持つ人に限らず、身体障がい、知的障がい、精神障がいなどにより日常生活や社会参加に制限を受ける人々を指しています。障がいや社会的なバリアによって、人々が直面する制約を考慮しています。

「事業者」とは、企業、団体、個人事業主など、サービスを提供するすべての組織や個人を指していて、障がいのある人々に対する平等なサービス提供を保障する責務を負っています。

 

不当な差別的取扱いとは?

不当な差別的取扱いとは、障がいを理由にして正当な根拠なく、財・サービスの提供を拒否し、または条件を付けたり、異なる取り扱いをすることを指します。これは、障がいのある人々を不利益にさせるものであり、障がい者差別解消法によって禁止されています。

 

具体例

不当な差別的取扱いの具体例としては、以下のような行為が挙げられます。

 

・障がいのある人への入店を拒否することや、介助者の同伴を条件とすること。

・障がいのある人に対する言葉遣いや接客の態度を差別的に変えること。

・障がいの程度を考慮せず、漠然とした安全上の理由でサービス提供を断ること。

・障がいのない人とは異なる場所での対応を強制すること。

 

ただし、障がいを理由とした異なる取り扱いが正当な理由に基づく場合、事業者はその理由を丁寧に説明し、障がいのある人々に理解を求めなくてはいけません。安全や必要なサポートの確保など、合理的かつ必要な理由がある場合には、誠意をもって対応することが求められます。

 

合理的配慮の提供:障がい者の社会参加を支援する新たな枠組み

障がい者差別解消法の改正により、「合理的配慮の提供」が障がいのある人々の社会的包摂を促進するための重要な措置となりました。この改正は、障がい者が日常生活や社会活動を自由に行うことができるよう、障がいに起因するバリアを取り除くことを目指しています。

 

合理的配慮の定義

「合理的配慮の提供」とは、障がいのある人々が社会的なバリアを克服し、平等な機会を享受できるよう、個々の状況に応じて必要かつ合理的な支援を提供することです。この提供は、障がい者の日常生活や社会参加における制約を最小限に抑えるために重要です。

・法改正の意義

改正法の施行により、事業者は障がいのある人々に対して、合理的配慮を提供することが法的義務となります。この法的要件の下で、障がいのある人々はより包括的なサービスや施設へのアクセスを期待できるようになります。

 

合理的配慮の提供の具体例

物理的環境への配慮:車いすを利用する人が飲食店を訪れた場合、障がいを考慮して車いすが使用できるスペースを確保する。

意思疎通への配慮:難聴や視覚障がいを持つ人に対し、筆談や大きな文字でのコミュニケーションを提供する。

ルールの柔軟な変更:学習障がいを持つ人がセミナーに参加する際、ホワイトボードの代わりにデジタル機器を使用する。

 

合理的配慮の提供は、以下の条件を満たす必要があります

業務に必要な範囲内であること:本来の業務や事業に付随し、業務の本質的な変更を必要としないこと。

同等の機会を提供すること:障がいのない人々と同等の機会を提供することが目的であること。

負担が過重でないこと:提供に伴う負担が過重でない範囲であること。

これらの条件を満たすことで、事業者は障がい者に対する包括的な支援を提供し、社会的なバリアの撤廃に貢献することができます。

障がい者の社会参加

法の遵守は、社会全体の責務であり、違反が繰り返される場合には国の行政機関からの助言や指導が行われることがあります。事業者は、法に基づく義務を果たすとともに、障がい者の社会参加を促進するための努力を継続して行うことが求められます。

 

対話の重要性

建設的対話は、単なる対立解消だけでなく、両者の理解を深め、共感を生み出すための貴重な機会です。障がいのある人が直面する課題やニーズを理解し、事業者が適切な支援を提供するためには、双方が率直に意見を交換し合うことが不可欠です。

難しい場面への対応

障がいのある人からの申し出に対して、事業者が容易に対応できない場合でも、建設的対話を通じて解決策を見出すことが可能です。情報や意見を共有し合うことで、目的に沿った代替手段を模索し、バリアを取り除く新たなアプローチを発見することができます。

対話の進め方

建設的対話を進めるためには、以下のポイントに留意することが重要です。

共感と理解:互いの立場や困難を理解し、共感することで、対話の土台を築きます。

情報の共有:双方が持つ情報や意見を率直に共有し、問題解決に向けて協力します。

柔軟性と創造性:新たなアイデアやアプローチを受け入れる柔軟性を持ち、創造的な解決策を探求します。

コミュニケーションの円滑化:コミュニケーションの円滑化のために、明確で分かりやすい言葉を用い、適切な情報提供を心がけます。

まとめ

建設的な対話を重ねることで、双方が納得できる解決策が見出され、社会的なバリアを取り除くための前進が実現されます。また、今後もこの対話を継続し、障がいのある人々の社会参加を促進するための取り組みを進めていくことが重要です。

建設的対話は、社会の多様性を尊重し、包摂的な社会の実現に向けた重要な一歩です。

合理的配慮の提供において、障がいのある人と事業者との間で行われる「建設的対話」は、社会的なバリアを取り除くために欠かせない重要なプロセスです。この対話を通じて、双方が共に解決策を模索し、実現可能な方法を見出していくことが可能です。

 

参考

事業者による障がいのある人への「合理的配慮の提供」が義務化されます

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