2024.02.19

マイナ保険証一本化による障がい者の置き去り問題

東京・永田町の衆院第1議員会館で、現行の健康保険証廃止に反対する障がい者団体などが集まり、態勢整備の不備などを訴えました。主催は全国保険医団体連合会(保団連)で、国会議員や障がい者団体関係者ら約140人が参加しました。

「障がい者の生活と権利を守る全国連絡協議会」(東京)の家平(いえひら)悟事務局長は、「自己決定を支援する必要がある障がい者がいる。そのような支援が進まないまま、医療のデジタル化は誰のためのものなのか」と強調しました

今年12月2日から、現行の保険証は原則として廃止され、マイナンバーカードと統合されたマイナ保険証に切り替わります。保団連の竹田智雄会長は、「政府は医療機関を巻き込んで強引なマイナ保険証推進策を進めていますが、現行の保険証はトラブル時のためにも残すべきだ」と述べました。

 

保険証の役割を果たせないマイナカード

マイナ保険証が導入されましたが、実際には新たな問題が生じています。保険証の役割を果たせないマイナカードが次々に発行され、混乱が広がっています

この「保険証もどき」は、医療機関や施設での利用に限定され、その他の場面では役に立たないため、利用者にとっては不便な存在となっています。このような状況下で、マイナ保険証の導入に対する批判が高まっています。

 

保険証としてしか使えないマイナカード新設

マイナ保険証として登録されたカードは、保険証としての機能しか持ちません。これにより、カードの利用価値が健康保険証に限定されることから、利便性が低下しています

たとえば、従来の健康保険証には身分証明書としての機能もありましたが、マイナ保険証ではそのような多機能性が失われています。

その結果、保険証としてのみ使用可能なカードを携帯する必要が生じ、利用者にとっては負担となっています。また、一般の身分証明書としての有用性がないため、さまざまな場面での利便性が低下し、不便を強いられるケースも増えています。

このような問題が発生する中で、マイナ保険証のシステム設計や運用方法に対する再考が求められています。

 

手続きの複雑さや効率性に疑問

一部の利用者からは、マイナ保険証として登録した後に機能を外すことが提案されています。

しかし、その手続きの複雑さや効率性に疑問が呈されています。マイナ保険証としての登録を解除する手順が十分に明確でないため、利用者が適切に手続きを行うことが難しいとの声が挙がっています

また、手続きに時間がかかる場合や、必要な書類や情報が不足している場合には、解除が困難となる可能性もあります。さらに、解除手続きの過程で個人情報漏洩のリスクが懸念されることもあります。

このため、マイナ保険証の登録解除手続きを簡素化し、利用者が円滑に行えるような仕組みが求められています。制度や手続きの改善が行われない限り、利用者は不必要な機能を持つマイナ保険証を使用し続けることになり、その結果、利便性やプライバシーの懸念が残る可能性があります。

利用率の停滞

現在、マイナ保険証の利用率は半年連続で減少し、停滞しています。この傾向は、健康保険証の廃止とマイナ保険証の導入に関する議論を巡る懸念の一端を示しています。導入初期に期待された効果が現れず、利用者の間でマイナ保険証への信頼が揺らぐ中、その運用方法や利便性に対する不満や不安が広がっています。

健康保険証の廃止という大きな制度変更に伴い、利用者は新たなシステムや手続きに適応する必要があります。しかし、実際の利用経験やシステムの安定性に問題が生じ、利用者が十分な利便性を享受できないという声が上がっています。

このため、マイナ保険証の導入効果や運用方法についての疑問や不安が強まり、利用率の停滞に繋がっています。

このような状況下では、健康保険証の廃止という大きな政策変更に伴う課題や問題点が明らかになっています。政府や関連団体は、利用者の声に耳を傾け、マイナ保険証の運用改善や利便性向上に向けた取り組みを積極的に行う必要があります。利用者のニーズや利便性を考慮した対策が求められる中、今後の対応には慎重な検討が欠かせません。

 

マイナ保険証の利用率5%未満

厚生労働省は、健康保険証の廃止を来年秋に予定していますがこれにより、マイナ保険証が唯一の公的な健康保険証となります。

しかし、現在のマイナ保険証の利用率は5%未満と、予想を大きく下回っています利用者からは、マイナ保険証の利便性やセキュリティに対する不安が広がっており、制度の移行に対する懸念が高まっています。

厚生労働省は、マイナ保険証の普及促進策を強化するとともに、利用者の不安を解消するための取り組みを進める方針です。その一環として、利用者への情報提供やサポート体制の充実が図られる予定です。

 

まとめ

マイナ保険証の利用率が低迷する中、健康保険証の廃止に対する慎重な議論が求められています。障がい者や配慮が必要な方、利用者のニーズに十分に応えた上で、安定したシステムの構築や情報セキュリティの確保が不可欠です。今後の動向に注目が集まります。

参考

マイナ保険証への一本化で障がい者が置き去りに…「誰のためのデジタル化か」当事者団体が国会議員に訴え:東京新聞TOKYO Web

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