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2025.09.26

白黒思考をやめよう「グラデーション」を生きる方法

白黒思考とは何か? ― 極端な考え方が生まれる背景

白黒思考の特徴

「白黒思考」とは、物事を「正しい/間違い」「成功/失敗」「全部/ゼロ」と極端にとらえる考え方です。

たとえば、仕事で小さな失敗をしただけで「自分は全部ダメだ」と思い込んでしまったり、片付けで少し手をつけただけなのに「完璧にできなかったから意味がない」と感じてしまうような状態です。

発達障がいや精神障がいと白黒思考

発達障がい、とくにASD(自閉スペクトラム症)の人は「曖昧さが苦手」「ルールにこだわる」といった特性から白黒思考になりやすいといわれます。
ADHDの人も「全部やるか、全くやらないか」といった両極端に陥ることが多いです。

また、うつ病や不安障害のときも「すべて失敗だ」と極端に感じてしまう傾向が強まります。

日常に現れる具体例

  • 「こうじゃないとだめ」
  • 「これができなかったから、もう全部やめる」
  • 「100点じゃなきゃ意味がない」

このような思考は、一見「真面目で完璧主義」とも受け取れますが、心の負担を大きくします。

白黒思考が生活に与える影響

人間関係のトラブル

「少しでも間違えたらアウト」と考えると、相手の小さな失敗も受け入れにくくなり、衝突を招きやすくなります。

また、自分自身を「全部ダメ」と否定してしまい、人との距離をとってしまうこともあります。

チャレンジできなくなる

「成功しなければ意味がない」と思うと、新しいことに挑戦できなくなります。

本来なら「半分成功」や「途中までできた」ことにも価値があるはずですが、白黒思考では「ゼロ」と見なしてしまうのです。

自己肯定感の低下

完璧を目指すあまり、少しの失敗でも「全否定」してしまうため、自信が育ちにくくなります。

その結果、「どうせ自分はダメだ」という気持ちが積み重なってしまいます。

グレーゾーンを認める ― 「物事はグラデーション」という考え方

グレーゾーンの存在

現実は白と黒だけではなく、多くの「グレーゾーン」があります。

たとえば、勉強で「今日は30分だけできた」、片付けで「机の上だけ整理できた」、人間関係で「最後まで怒らずに話せた」など、小さな達成にも価値があります。

グラデーションという表現

物事は0か100ではなく、20や50、70という段階もあります。
グレーゾーンは「できなかった」と「完璧にできた」の間にある“色合い”のようなものです。

「物事はグラデーションでできている」と意識することで、極端な考えから少し距離をとることができます。

心理学からのアプローチ

心理療法のひとつである「認知行動療法(CBT)」では、白黒思考のような「認知のゆがみ」を修正していく方法が用いられます。

これは「小さな成功を認める」「中間の評価を探す」といった練習を繰り返すものです。
参考リンク:認知行動療法センター 認知行動療法(CBT)とは

白黒思考を和らげる具体的な工夫

1. 言葉の置き換え

「絶対に」「必ず」「全部だめ」といった言葉を、「たぶん」「一部できた」「まあまあ大丈夫」と置き換える習慣を持つと、思考の幅が広がります。

2. 小さな成功を記録する

ノートやアプリに「今日できたこと」を書き出すだけで、自分の中の「グレーゾーン」に光を当てられます。

完璧でなくても「やれた部分」を見える形に残すことが大切です。

3. 他人の視点を借りる

自分では「失敗」と感じても、周囲からは「十分できている」と評価されることがあります。

信頼できる人にフィードバックをもらうと、自分の極端な評価を修正できます。

4. 専門家や当事者の声を聞く

同じ悩みを抱える人の体験談や、専門家のアドバイスにふれることも役立ちます。

たとえばYouTubeには、認知のゆがみをやさしく解説する動画があります。

https://youtu.be/kEOj3H461y0?si=iAMcVzBy6aFRp71T

白黒思考から「カラフル思考」へ

白黒の世界から抜け出す

白黒思考を手放すことは、「中間を認める」だけではありません。

それは物事をより豊かに、カラフルに感じられる力を持つことです。

思考をやわらかくする言葉の例

  • 「全部ダメ」 → 「ここは良かった」
  • 「失敗」 → 「学びになった」
  • 「完璧じゃない」 → 「十分できている」

このように言葉を少し変えるだけで、心の負担は軽くなり、世界の見え方も変わります。

少しずつ変えていく

白黒思考は一日で変わるものではありません。
しかし「20%でもできた」「半分だけでも進んだ」と意識するだけで、毎日は少しずつ楽になります。

グレーやカラフルな世界を受け入れることは、自分を生きやすくする第一歩です。

まとめ

白黒思考は、発達障がいや精神障がいを持つ人にとって大きな壁になることがあります。
しかし、「物事はグラデーション」という考え方を取り入れ、言葉の置き換えや小さな成功の積み重ねを意識することで、その壁は少しずつやわらぎます。

大切なのは「完璧でなくてもいい」と認めること。
白でも黒でもなく、やさしい色合いを持つ世界の中で、あなた自身のペースで生きていけますように。

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