障がいの種類ってどのくらいあるの?身体・知的・精神の3種類:内部障がい、知的障がい
内部障がいとは、見た目では分からない体の内部に潜む障がいのことです。これらの障がいは、身体の特定の器官や機能に問題があり、日常生活や健康に影響を及ぼす可能性があります。以下では、内部障がいの種類とその症状について詳しく見ていきます。
内部障がいの種類
■心臓機能障がい
- 不整脈、狭心症、心筋症などにより心臓機能が低下する
- 作業負荷が大きいと、倦怠感、呼吸困難、手足のむくみ、嘔吐、圧迫感などを感じることがある
- 機能を正常化するため、ペースメーカーや人工弁による治療が必要になることもある
■じん臓機能障がい
- じん臓機能低下により老廃物を排泄できなくなり、不必要な物質や有害な物質が体内に蓄積する
- 症状が進行すると、定期的な人工透析が必要になる
■呼吸器機能障がい
- 肺機能が低下する
- 風邪や肺炎を起こしやすい
■ぼうこうまたは直腸の機能障がい
- 事故や脳障がいによってぼうこう、直腸が機能低下する
- 残尿感、頻尿、尿失禁、尿意切迫感、排便困難、便失禁などが起こる
- 排泄物を体外に排泄するための人工肛門や人工ぼうこう(ストマ)を造設することがある
■小腸機能障がい
- 小腸機能が損なわれ、食事での栄養維持が困難である
- 食事制限があり、定期的に経管栄養を行う
■ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫機能障がい
- HIVによって免疫機能が低下する
- 発熱や下痢、体重の低下、全身の倦怠感といった症状が出ることがある
- 感染症が起こりやすくなったり、脳や神経の障がいを負う
■肝臓機能障がい
- 肝臓機能の低下によって、栄養分を体内で分解したり、有害な物質を無害な物質に変化させたりするのに支障が出る
- 自覚症状が出るころには、非常に悪化していることが多い
症状が進行すると、疲れやすくなったり、就業時間中の通院が必要になったりします。
内部機能障がい者への配慮ポイント
内部機能障がいを抱える人々に対する配慮は、見た目からは分からないため、特に重要です。以下は、各種障がいに対する配慮ポイントです。
■心臓機能障がい
- 作業負荷を体力に合わせて調整し、過労を防ぐ。
- ペースメーカーを装着している場合、高エネルギーの電磁波を出す機械に近づかないように気を付ける。
■じん臓機能障がい
- 刺激ガスや冷気、乾燥した環境を避ける。
- 冷房の風が直接当たらない席を確保する。
- タバコの煙が当たらないようにする。
■呼吸器機能障がい
- 疲れやすいことを理解し、柔軟に勤務時間や形態を調整する。
- 人工透析が時間を要することを考慮し、勤務時間の調整を行う。
■ぼうこうまたは直腸の機能障がい
- トイレの頻度やトイレの失敗に理解を示す。
- トイレに行きやすい席を確保する。
■小腸機能障がい
- 経管栄養が必要な場合は、時間とスペースを確保する。
- 職場の交流の機会も障がい者が楽しめるように配慮する。
■HIVによる免疫機能障がい
- HIVは日常生活では感染しないことを理解する。
- 症状に応じて休憩や早退ができるように配慮する。
■肝臓機能障がい
- 自覚症状が出るころには悪化していることが多いため、症状に応じて休憩や早退ができるように配慮する。
内部機能障がいを持つ人々とのコミュニケーションは重要です。定期的に配慮を示し、必要なサポートを提供することで、彼らが安心して働き、生活することができる環境を築くことができます。
知的障がい
知的障がい者の分類は、彼らの日常生活での能力や課題に応じてIQ(知能指数)に基づいて行われます。以下に、知的障がい者の分類とその範囲を示します。
知的障がい者の分類
- 軽度(IQ約50~70): 軽度の知的障がいを持つ人々は、基本的な日常生活のスキルを持っていますが、学習や理解には支援が必要です。読み書きや計算などの学習にも苦労する場合があります。
- 中等度(IQ約36~49): 中等度の知的障がいを持つ人々は、日常生活のスキルが限られており、基本的な生活の自立が難しい場合があります。指示を受けることや基本的な作業を行うことができますが、一般的な学習には困難を抱えることが多いです。
- 重度(IQ約20~35): 重度の知的障がいを持つ人々は、日常生活のほとんどの領域で支援が必要です。基本的なコミュニケーションや自己世話を行うことができますが、高度な学習や複雑な作業は難しい場合があります。
- 最重度(IQ約19以下): 最重度の知的障がいを持つ人々は、高度な支援が必要な場合があります。日常生活のほとんどの活動において、他者の支援や監督が必要です。身体的なケアや基本的なコミュニケーションが困難な場合があります。
この幅広い範囲は、知的障がいの原因がさまざまであるためです。遺伝的要因、出生時の問題、脳の損傷、環境要因など、さまざまな要因が知的障がいを引き起こす可能性があります。それぞれの個人の状況に応じて、適切な支援やケアが提供されることが重要です。
発生時期別に見た知的障がいの原因
知的障がいの原因はさまざまであり、不明な場合もありますが、特定の原因が明らかになっていることもあります。以下に、発生時期別に見た知的障がいの主な原因を示します。
■出生前
- 遺伝子や染色体の異常などの内的原因
- 母体の感染症や薬物の影響、外傷などの外的要因
■周産期
- 出産時のトラブル、例えば酸素不足や循環障がいなど
■出生後
- 交通事故などの頭部外傷
- 感染症
- 不適切な養育環境や虐待などの社会的要因
これらの原因の発生時期や要因によって、知的障がいの程度や症状が異なることがあります。このため、知的障がいはIQに応じた分類がされます。
内閣府の「障がい者の状況」によれば、知的障がい者の概数は109万4,000人で、1,000人あたり9人となります。この数字は身体障がい者や精神障がい者に比べて少ないですが、彼らとの出会いに備え、理解を深めておくことが重要です。彼らが社会で生き生きと参加できるように、適切な支援と理解を提供することが大切です。
知的障がいの定義
知的障がいは、個人差が大きいため、知的障がい者福祉法では以下のように定義されていますが、具体的な細かい規定は設けられていません。知的障がいは、日常生活で読み書き計算などを行う際の知的行動に支障がある状態のことを指します。
■発達期(おおむね18歳未満)において(知的行動に)遅滞が生じること
- (知的行動に)遅滞が明らかであること
- (知的行動の)遅滞により適応行動が困難であること
このように、法律上の定義では知的行動に支障がある状態が述べられていますが、具体的な基準や詳細な規定はないため、個々の状況やケースに応じて、柔軟かつ個別化された支援が必要です。
軽度知的障がいの特徴
■生活面
- 読み書きや金銭などの概念は、支援があれば理解できる
- 買い物や家事なども1人でできる
■コミュニケーション
- パターン化されている
- 細かい部分や、抽象的な理解が難しいことが多い
■苦手なこと
- 記憶、計画、感情のコントロール
軽度知的障がい者は周囲から気付かれにくいため、配慮を忘れがちになりますが、細かい部分や抽象的な理解は難しくなります。身近な環境でのサポートや理解が重要です。
軽度知的障がい者への配慮ポイント
- イラストや写真なども使って説明する。
- 一度では理解するのが難しいことは、何度か繰り返して覚えてもらう。
- 仕事の手順を1つずつ分解して、少しずつ教える。
- 製造加工、卸売小売、清掃などの仕事を割り当てる。
より具体的に伝えることで仕事の手順や方法を理解できるので、着実に取り組んでくれることでしょう。
中等度知的障がい者への配慮ポイント
- 根気強く繰り返し何度も教えて、仕事を覚えてもらう。
- サポート担当者が常に支援できる環境を整える。
- 製造加工などのルーティンワークを割り当てる。
困ったときにすぐに支援できるように、サポート担当者を配置することで、活動的に仕事に取り組んでくれることでしょう。
重度知的障がい者への配慮ポイント
- 顕著な運動障がいや、中枢神経系(脳や脊髄)の障がいを併発している場合が多いことを理解する。
- その人と相談したり、移行支援の担当者のアドバイスをもらったりして、仕事を割り当てる。
就業中も身の回りのことの支援が必要になるため、一般企業ではなく、就労継続支援事業所で働く場合も少なくありません。
最重度知的障がい者への配慮ポイント
- 身振りや絵、カードなど、その人に合った手段でコミュニケーションを取る。
一般企業では、担当者が支援に付きっきりになるのは難しいため、最重度知的障がい者の中でも就労意欲が高い人は、就労継続支援事業所を利用することが多いです。
まとめ
内部障がいを持つ人々とのコミュニケーションは重要です。彼らが生き生きと参加できるよう、適切な支援と理解を提供することが、彼らの健康と幸福につながります。
法律上の定義からわかるように、知的障がいの支援は柔軟で個別化されたアプローチが求められます。彼らの個々の状況やニーズに応じて、適切なサポートを提供することが重要です。
参考