2022.05.19

スペシャルオリンピックスとは?独自の理念・ルール・専門用語を解説

スペシャルオリンピックス

スペシャルオリンピックスとは?独自の理念、ルールや専門用語を解説

 

オリンピック、パラリンピックにならんで「スペシャルオリンピックス」という国際的なスポーツ大会があることを知っていますか?

スペシャルオリンピックスは、パラリンピックとはちがった競技精神、宣誓などをおこなう、障がい者のためのスポーツ大会です。スペシャルオリンピックスとはどんな大会か、スペシャルオリンピックス設立までの歴史、スペシャルオリンピックスの独自の競技精神・ルール・専門用語などを解説します。

 

スペシャルオリンピックスとは?

スペシャルオリンピックスとは、知的障がい者のみでおこなわれる国際的なスポーツ大会です。国際オリンピック委員会にも認定されており、パラリンピックにならぶ正式の障がい者スポーツ大会です。運営委員会は、パラリンピックともオリンピックともちがっており、「スペシャルオリンピックス組織」が運営しています。

加盟国は169か国。パラリンピックの105か国より多いです。オリンピックと同じく4年ごとに1度、世界大会が開かれます。

 

 

スペシャルオリンピックス設立まで

設立はパラリンピックよりも古く、1968年7月20日です。

ジョン・F・ケネディ大統領の妹であるユニス・シュライバー氏が、ケネディ邸の庭を解放し、知的障がい者たちを招いてデイキャンプをおこなったことが始まりです。これは慈善活動だけではなく、政治的意図もありました。

当時、ユニス・シュライバー氏の姉が父親によりロボトミー手術を受けさせられ、重い知的障がいとなってしまいました。

(ロボトミー手術とは、当時、精神障害を強制的に治すためにされた外科手術です。脳の一部を切除する行為や、廃人になる患者も現れたため、多くの批判を受けた手術です。)

ロボトミー手術によって知的障害になったことは秘密とされていましたが、ケネディ大統領の就任でまわりに知られ、激しく批判されてしまいます。その批判をかわすために、デイキャンプをおこなったといわれています。

ただ、ユニス・シュライバー氏が重度知的障がい者になった姉のことを気にかけていたこともあって、この活動は長く続けられ、国際オリンピック委員会からの認定も受け、現在の「スペシャルオリンピックス」になっています。日本では認知度が低いですが、アメリカでは「スペシャルオリンピックス」の認知度は高く、積極的に活動がおこなわれています。

 

スペシャルオリンピックスの競技会精神・宣誓

スペシャルオリンピックスの競技会精神は、「試合で勝つこと」ではなく、「大会に参加すること」「大会に参加するまでの選手の努力をたたえる」ことに意味があります。

ユニス・ケネディ・シュライバー氏も以下のように、言葉を残しています。

「スペシャルオリンピックスで大切なものは、最も強い体や、目を見晴らせるような気力ではない。大切なものは、各個人のあらゆる障害に負けない精神である。この精神なくしては勝利のメダルは意味を失う。しかしその気持ちがあれば決して敗北ではない。」

スペシャルオリンピックスに参加する選手たちは、以下の言葉を宣誓します。

"Let me win, but if I cannot win, Let me be brave in the attempt."

【意味】

「私たちは、精一杯、力を出して勝利を目指します。たとえ勝てなくても、がんばる勇気をください」

 

 

スペシャルオリンピックス独自のルール

「勝つことよりも参加すること、努力することに意義がある」とするスペシャルオリンピックスの精神にそって、スペシャルオリンピックスでは独自のルール・試合方法があります。

 

ディビジョニング・マキシマムエフォートルール

選手たちは同じ競技レベルの選手と競えるように、「ディビジョニング」という「クラス分け」をおこないます。

ディビジョニングによるクラス分けは、年齢、性別、競技レベルでおこなわれます。

選手たちは予選で競い合い、勝ち抜いて決勝にいくのではなく、予選で競技レベルをはかり、全員が決勝にいき、決勝で同じ競技レベル同士で試合をして、成績の順位をつけるシステムです。なので、スペシャルオリンピックスには「予選落ち」がありません。

しかし、それだと、あえて予選で実力を出さず、決勝で優勝をねらう選手も現れるおそれがあるため、「マキシマムエフォートルール」が設けられています。

「マキシマムエフォート」は「最大限の努力」を意味します。予選と決勝で成績に「15%以上」の差がある選手は失格になるというルールです。このルールがあるので、選手たちは最大限努力し、同じレベルの選手たちと競うことができます。

 

全員表彰

スペシャルオリンピックスの大きな特徴は、「参加者全員が表彰されること」です。

競技の目標は競争ではなく、努力・参加になります。そのため、成績の順位はつけられますが、全員が表彰台に立ちます。失格になってしまった選手も表彰台に立つことができます。

一位、二位、三位には「メダル」が与えられます。

四位からは「リボン」が授与されます。

さらに、特に努力したと思われる選手を表彰するため、「特別努力賞」も用意されています。

このようにすべての選手が表彰台に立ち、努力を評価されるチャンスがあります。

 

日々のトレーニングや体調管理もおこなう

スペシャルオリンピックスは4年に1回の大会だけではなく、参加する選手たちの日々のトレーニングを助けたり、健康管理もおこなったりするなど、さまざまなイベントを開催しています。世界中で、年間10万8千以上のイベントが開催されました。

多くの活動をおこなっているため、「オリンピック」ではなく「オリンピックス」という複数形の名前がついています。

オリンピックスに参加する選手たちは、スペシャルオリンピックスのボランティアのコーチからトレーニングを受けられます。各地によりますが、多くの場合は1週間に1度、2時間程度のトレーニングを受けられるようになっています。

ひとりひとりに合わせたプログラムにそってトレーニングができ、さらに健康管理もしてもらうことができ、万全の状態で競技の成績を残すことができます。

 

 

まとめ

スペシャルオリンピックスは、知的障がい者の体力向上、健康管理のほかに、知的障がい者に、努力する価値があると知ることや、自分に自信をつけられる、一つの機会を提供しています。

この大会は記録や成績で参加が決まるのではなく、参加したい知的障がい者の方はだれでも参加できます。ぜひ、各地区の事務局へ問い合わせてみてください!

参考

スペシャルオリンピックス日本

SO用語集 | スペシャルオリンピックス日本・熊本

「スペシャルオリンピックス」知的障害者スポーツにおける一つの到達点 - 成年者向けコラム | 障害者ドットコム

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