「農福連携」で農業と福祉の問題が解決できる!

「農福連携」で農業と福祉の問題が解決できる!

各地で農福連携に関するセミナーや研修が開かれ、農福連携による効果が公表されているなど、「農福連携」は積極的にすすめられており、今広まりつつあります。
「農福連携」とはなにか、農福連携がすすめられている理由や、実施状況をお知らせします。


「農福連携」とは?

農福連携とは、福祉分野と農業分野をひとつにする取り組みのことをいいます。たとえば障がい者や高齢者など福祉に関わる人たちが、農業をしたり、農業に関わる仕事をしたりすることです。
このように福祉と農業が連携すると、福祉にある問題、農業にある問題をどちらも解決できます。
農業分野と福祉分野にどのような問題が起こっているのか、見ていきましょう。


農業の人口減少・高齢化問題

農業に起こっている問題は、以下の3つです。

・農業をする人の人口減少
・農業をする人の高齢化
・耕作面積の減少

農業をする人は年々減少しており、2000年には400万人近くの人が農業をしていましたが、年々減少していき、2020年には136万1000人となりました。 136万1000人のうち65歳以上の人は、94万9000人もいるといわれています。農業をする人の平均年齢も年々上がっており、2020年には平均年齢が67.8歳と、高齢化が見られています。

グラフ1

単位:千人・歳
出典:農林水産省「農業労働力に関する統計」

グラフ2

出典:農林水産省「農業センサス」「農業構造動態調査」


農業をする人の減少や高齢化により、土地を管理することがむずかしくなり、耕作を放棄された土地がふえていることも問題となっています。


●障がい者の雇用問題

少子高齢化社会といわれ、人口が減少しているにも関わらず、障がい者の数は増加傾向にあります。すると問題になるのが、障がい者の働く場所です。 障がい者の雇用率は年々上がっていますが、まだまだ求職する障がい者には厳しい状況です。
厚生労働省が発表した「令和元年度 障害者の職業紹介状況等」によると、ハローワークに申し込みがあった障がい者の就職率は46.2%であり、前年度から2.2%減少したことがわかっています。



●「農福連携」で福祉と農業の問題を解決

福祉分野にいる障がい者が農業に関わることで、農業の人口減少・高齢化の問題が解決されます。

「農福連携の効果と課題に関する調査結果」というアンケート調査をおこなったところ、農業経営体の約8割が「受け入れた障がい者が貴重な人材になった」「年間売り上げが増加した」、約6割が「労働力が確保できて、農作業以外の時間をふやすことができた」と回答しています。

障がい者は働く場所をふやせるだけでなく、良い効果が得られることがわかっています。 農業にはたくさんの種類の仕事があるので、障がいに合う仕事を見つけやすいというメリットがあります。
さらに平成26年の調査「農と福祉の連携についての調査研究報告」では、農業に関わることで精神状況が改善した障がい者が多くいることがわかりました。

グラフ3

出典:農と福祉の連携についての調査研究報告(特定非営利活動法人日本ヘルプセンター)



平成30年度に実施された「農福連携の効果と課題に関する調査結果」でも、農福連携をおこなう事業所のうち、約8割が「利用者に体力がつき、長く働けるようになった」、約7割が「過去5年間の賃金・工賃がふえた」、約6割が「障がい者たちの表情が明るくなった」と回答しています。農福連携により、農業と福祉の問題が上手く解消されていることがわかりますね。


農福連携の種類

農福連携はおもに4つの種類があります。
①障害福祉事業所が作業内容に農業をとりいれる
②共同受注窓口を利用する
③企業が農業に特化した特例子会社をつくる
④農家や農業生産をする法人が障がい者を雇う


①障害福祉事業所が作業内容に農業をとりいれる

就労継続支援A型や就労継続支援B型をおこなう事業所が、作業内容に農業をとりいれることも「農福連携」のひとつの取り組みです。

②共同受注窓口を利用する

共同受注窓口とは、一部の作業をしてほしい農業者や農業法人と、その作業ができる障がい者支援施設をつなげるインターネットサイトです。 農業だけでなく、パンやお菓子、家具などの発注・受注もあります。

③企業が農業に特化した特例子会社をつくる

特例子会社とは、障がい者の雇用のために特別な配慮がされた会社のことです。特例子会社で障がい者を雇い、法定雇用率を達成すると、その親会社やグループ会社も法定雇用率を達成したことになります。そのため企業は法定雇用率を達成するため、または障がい者が働きやすい環境を作るために、特例子会社をつくる場合があります。
農業にはさまざまなメリットがあるため、特例子会社をつくるときに選ばれています。平成30年には500以上の特例子会社があるなか、約40社が農業分野に進出していました。

④農家や農業生産をする法人が障がい者を雇う

農家や農業生産をする法人が障がい者を雇い、障がい者が農業をすることです。農業の障がい者雇用は年々ふえています。

グラフ4

単位:千人、千経営体
出典:農林水産省「農林業サンセス」



農福連携の実施状況は?

米作りに必要なドローンの操作を障がい者が補助したり、農作物を入れるエコバッグを障がい者がつくったりするなど、各地で農福連携による取り組みが見られています。


●約4割の事業所が「農福連携」に取り組んでいる

グラフ5

出典:農と福祉の連携についての調査研究報告(特定非営利活動法人日本ヘルプセンター)

平成25年の調査では障害福祉サービス事業所の33.5%がすでに農業活動をしており、「今後農業活動を取り組みたい」と回答した事業所は12.7%です。
農業活動に取り組み始めたのが「4年以内」である事業所が23.7%だということから、最近になって農業を始めた事業所が多いこともわかります。 これは農福連携に関する交付金や制度が充実してきたことが、理由のひとつでしょう。
平成31年4月には「農福連携等推進会議」が設置され、令和元年の6月には「農福連携等推進ビジョン」がとりまとめられました。 国の強力な推進と、農福連携によるメリットが多く見られると、今後さらに農福連携がすすむと考えられます。



まとめ

農福連携とは、障がい者や高齢者が農業に関わる仕事をするなど、農業分野と福祉分野をひとつにする取り組みです。
農福連携は農業分野の問題である「人口減少・高齢化」と、福祉分野の問題である「障がい者雇用」どちらも解決します。
農福連携によるメリットが明らかになっており、さらに国では積極的にすすめられているので、今後も農福連携が広まっていくでしょう。
将来的には障がい者の就職に有効になるかもしれないので、農業について勉強しておくのも良いでしょう。



▼参考

おすすめの記事