2022.08.12

空気を読みすぎるアスペルガー?過剰同調性とは?

空気を読みすぎる発達障がい

空気を読みすぎる発達障がい?過剰同調性とは?

自閉症スペクトラム、とくにアスペルガー症候群の方はよく「空気が読めない」といわれます。空気が読めなさすぎる人を見ると、多くはアスペルガー症候群を疑うかもしれません。けれど、逆に空気を読みすぎるアスペルガー症候群も存在します。空気を読みすぎて毎日疲れる、空気を読んでいるつもりだけどうまくいかない、自分はアスペルガー症候群ではないのか、とお悩みの方へ、空気を読みすぎるアスペルガー症候群の特徴や原因、気持ちの疲れをへらす方法などをご紹介します。

 

空気を読みすぎる発達障がいの特徴とは?

空気を読みすぎて常に気疲れしている状態を「過剰同調性」といいます。

以下の特徴に当てはまると、空気を読みすぎているおそれがあります。

  • 誰か一人でも嫌われるのが怖い
  • 人の機嫌が悪かったり、悪いことが起こると「自分のせいかも」とよく考える
  • 相手の顔色が変わることに敏感
  • まわりに合わせることができたら、正しいことだと思う
  • 頼まれごとを断るほうが不安なので(自分が大変でも)つい引き受けてしまう
  • 一人の時間になるとグッタリ
  • 家族や友達、恋人相手でも気疲れすることがよくある

 

空気を読みすぎるが空回る

ただ空気を読みすぎる健常者の方は、もとより空気を読める人は、「なんとなくわかる」「なんとなく○○してほしいんだとわかる」といったように、「直感」に近いかたちで空気を読めます。ちゃんと空気が読めているので、相手に合わせた配慮や行動ができ、人付き合いがしやすいです。

しかし、アスペルガー症候群の方は、この「直感に近い感覚」がむずかしい特性があります。なので、空気を読むというよりも「今まで成功した言動はコレ」「相手の機嫌や今の状況に合った行動はたぶんコレだ」というように考えがちです。

その行動が正解のときもあれば、カラ回ることもあります。また人の気持ちや空気は変わりやすく複雑なので、パターン化できません。アスペルガー症候群の方が苦手な「臨機応変」を求められ、失敗してしまうことが多いです。

 

パターンを記録している

同じように困っている人がいたとして、相手との仲の良さや相手の性格を考えず、「困っている人がいる=声をかけなければいけない」と考えて、誰にでもまったく同じように声をかけるのが、空気を読みすぎるアスペルガー症候群のひとつの特徴です。

逆に空気が読める人は、相手との距離感や性格を考えて、声をかけないことをえらぶことができますし、声のかけ方をその人によって変えたりすることができます。

気づかいのし方がパターン化していませんか?

 

 

空気を読みすぎる発達障がいになるのはなぜ?

アスペルガー症候群の人のなかには、多くの人がイメージするように、空気を読まず発言や行動をする人がいます。では、なぜ同じアスペルガー症候群なのに、空気を読まない人と、空気を読みすぎる人がいるのでしょうか。

 

本人の気質

アスペルガー症候群を含む自閉症スペクトラムの対人関係で見られる気質は、4つのタイプがあるといわれています。

・孤立型

・積極奇異型

・尊大型

・受動型

孤立型
周囲とコミュニケーションをとろうとせず、自分から孤立する
積極奇異型
・人との交流に積極的で、人との距離感が誰にでも近すぎる
・自分の話したいことをずっと話し続ける
尊大型
・自分の主張を一方的に押しつけて、まわりを圧倒しようとする
・高圧的な態度でふるまう
受動型
・集団の中で人と関わろうとするが、自分からは関わりにいかない
・命令されやすく、流されやすく、自分の意見をもてない

以上4タイプのなかで、空気を読みすぎるようになりやすいとされているのは、「受動型」です。

 

自己防衛

アスペルガー症候群の特性がある方は、記憶力が高いことが多いです。

とくにイヤなことを記憶しやすいので、イヤなことを避けようと動くことがしばしばあります。

親に激しく叱られたときは、同じ目に合わないように、叱られた行動をしないようにします。ただ、適切な程度がわからないので、その言動を「する」「しない」の二択になります。または空気を読みすぎるのと同じように、過剰に反応してしまうことも。

「○○していたら、まわりからいじめられた」

「○○をして、ひどい言葉を言われた」

など、過去につらいことがある方は、自己防衛のために、人と上手く生きようとして、しかし程度がわからず、空気を読みすぎることが考えられます。

 

 

空気を読みすぎる発達障がい!気をラクにする方法は?

空気を読みすぎて毎日疲れている方は、認知(物事のとらえ方)のゆがみに気づくことや、リフレッシュ方法を得ることが大切です。

 

認知(物事のとらえ方)のゆがみに気づく

まわりの人が不機嫌なとき、挨拶をしたらそっけなく返されたとき、つい「自分が何かしたんだ」と考えてしまう方。まるで、相手の心が読めるといわんばかりに、「自分が○○したからに違いない」と思い込んでしまう傾向があります。

不機嫌な方は、別の誰かが原因で怒っているかもしれません。または、その人の体調が悪かったり、個人的にイヤな思いをして不機嫌なだけであったりする可能性も、たくさんあります。

たくさんある可能性を否定できるような、自分が原因だと思う根拠はありますか?

その想像のし方や、つまり認知(物事のとらえ方)が歪んでいると考えられます。自分の不安が「事実」ではないことに気づくと、少し気持ちがラクになるでしょう。

障がい福祉サービスでは、認知のゆがみを治す『認知行動療法』をおこなっている事業所が多くあります。大人の方は就労系の福祉サービス、お子様は児童系の福祉サービスで受けられますので、障害福祉サービスの利用を検討している方は、事業所で認知行動療法を受けられるかどうか確認しましょう。

 

一人の時間を確保する

一人の時間を確保し、自分の好きなこと・やりたかったことを実現することが必要です。発達障がいのある方は、好きなことができない事にストレスを感じやすいので、まわりに合わせて一人の時間をつくれないでいると、大きなストレスになりやすいです。

なんでも好きなことをしていい時間をしっかり確保し、ストレスを発散しましょう。

 

 

まとめ

空気をまったく読めない=アスペルガー症候群だと疑われることがよくあります。けれど、空気を読みすぎるアスペルガー症候群もいて、空気を読みすぎるゆえの悩みや課題があります。
人と会うとグッタリする、常にまわりのことを考えていて自分のことを考えられない、など。このような悩みをためこむと、ひどいストレスから二次障がいを引き起こすおそれがあります。

もしかしたら自分は空気を読みすぎる発達障がいかも、と思われた方。認知のゆがみに気づくことや、自分に合ったリフレッシュ方法を見つけましょう。

参考

空気を読みすぎて疲れてしまう「過剰同調性」とは?その特徴と克服法を解説

【発達障害、対人関係4つのタイプ】 | 兵庫・大阪障害年金相談センター

 

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