発達障がいは障害年金を受給できない?受給するための要件・申請の仕方

発達障がいは障害年金を受給できない?受給するための要件・申請の仕方

「大人の発達障がい」という言葉が話題になり、これまで生きづらさを感じていた方も発達障がいの診断を受けやすくなりました。そこで気になるのは、発達障がいで障害年金はもらえるのか。発達障がいの症状で仕事や生活がままならない場合は、障害年金を受給したいですね。

発達障がいで障害年金を受給する要件や、障害年金がいくら受給できるのか、障害年金の申請方法を解説します。

 

発達障がいは障害年金を受給できる?

発達障がいの方も要件を満たせば、障害年金を受給できる可能性はあります。

障害年金を受給できる対象
・国民年金または厚生年金の被保険者
・60~65歳で、日本国内に住所があり、老齢基礎年金の繰り上げ受給をしておらず、国民年金の被保険者だった方
・20歳未満

さらに、発達障がいで障害年金の受給を申請するには、以下の点も必要です。

 

初診日の証明ができること

初診日とは、初めてその障がいのために受診した日のことです。障害年金の受給を申請するとき、医療機関から発行された書類等で初診日を証明しなければいけません。

知的障がいをともなう発達障がいは、「生まれた日」が初診日となります。知的障がいをともなわない発達障がいは、「初めてその障がいのために受診した日」が初診日です。

発達障がいと診断される前に精神疾患などで受診していた場合は、精神疾患で初めて受診した日が「初診日」となる場合がほとんどです。

カルテの保管義務期間は5年間となっており、その間、医療機関を移っていると、初診日を証明する書類が入手しづらくなります。初診日の証明ができないと障害年金を受給できないおそれがあります。

なお、20歳以上の年に初診日がある方は、この初診日から、1年6か月以上経っていることが要件の一つとなっています。

 

保険料を納付していること

初診日の時点で20歳未満の方は、保険料の納付要件は問われません。

ただし、初診日で20歳以上の方は、①②のどちらかの要件を満たす必要があります。

  1. 20歳から初診日のある月の前々月までの期間、3分の2以上、保険料を納付していること
  2. 初診日のある月の前々月から1年間のあいだに未納がないこと

なお、保険料の支払いに免除制度を利用していた場合は「未納」とされません。保険料を支払っていた期間と免除制度を利用していた期間をあわせて、3分の2以上あれば、①の要件を満たせます。

 

「病歴・就労状況等申立書」を正しく記述・提出する

発達障がいで障害年金を申請するときは、「病歴・就労状況等申立書」の記入・提出が必要です。

病歴・就労状況等申立書とは0才から現在までの病歴や就労状況を記述する書類のことであり、「診断書」とあわせて提出します。

病歴・就労状況等申立書には、

  • 障がいの名称
  • 初診日
  • 障がいの状態
  • 日常生活への支障の度合
  • どのような働き方か(就労している場合)

などを自分または家族が記述します。

病歴・就労状況等申立書に記載した内容は、「診断書」と間違いや矛盾点がないように記載しなくてはいけません。病歴・就労状況等申立書に不適切な点があったとしても、年金事務所の職員からは指摘されず、そのまま審査の対象になり、通過・不通過を判定されます。審査が通らないと障害年金を受給できなくなるので、「病歴・就労状況等申立書」を正しく記述することは大事なポイントです。

 

 

就労していても障害年金は受給できる?

就労している発達障がい者の方も受給できる可能性はあります。初診日の時点で厚生年金に加入しており、障害厚生年金の対象であれば、

・仕事の種類、内容

・仕事場で受けている援助の内容

・就労状況

・ほかの従業員と意思疎通はとれているか

以上などから日常生活能力を見て、障害年金の受給の対象になるか総合的に判断されます。

 

 

確認しておきたい障害年金を受給するデメリット

障害年金を受給すると支障が生じる場合もあるので、しっかりデメリットも確認しましょう。

 

障害年金の受給状況を会社に知られるおそれがある

障害年金を会社に知らせる義務や、年末調整のときに申告する義務はありません。日本年金機構から、障害年金の受給状況が会社に知らされることもありません。

障害厚生年金の受給状況を会社に知られるきっかけになるのは、同じ傷病で傷病手当金を申請したときです。

会社に知られた結果、何かが変わることはありませんが、心理的な理由で会社に知られたくない場合は、この可能性も把握しておきましょう。

 

扶養から外れる可能性がある

障害年金は非課税ですが、社会保険の扶養を判定するときは、「収入」の一部として見られます。そのため、障害年金受給者は、働いた収入+障害年金で年で180万円を超えると、世帯主の社会保険の扶養から外れます。

 

所得制限の対象になる場合がある

所得制限の対象
20歳未満の障がいで障害基礎年金を受給している場合
特別障害給付金の対象者

20歳未満からの障がいで障害基礎年金を受給している方は、本人が年金を納付していないため、所得制限があります。所得額が398万4千円(2人世帯)を超えると、年金額の2分の1相当の金額が支給停止となります。500万1千円を超えた場合には全額支給停止です。

「特別障害給付金」とは、国民年金に任意加入しておらず、障害基礎年金を受給できなかった障害者のためにとられた福祉的な措置のことです。特別障害給付金を受給していた場合は、本人の前年の所得が360万4千円を超えると2分の1支給停止となり、462万1千円を超えると全額支給停止になります。

 

死亡一時金・寡婦年金は受給できない

障害基礎年金1級・2級を受給している場合、障害年金の受給者が亡くなったときに残された家族へ支給される死亡一時金や寡婦年金は受給できなくなります。

 

 

 

 

発達障がいの障害年金の受給額はいくら?

障害基礎年金と障害厚生年金は、等級が分かれており、等級ごとに支給額が変わります。

 

障害基礎年金

障害基礎年金は、国民年金加入中に初診日がある方や、20歳前や60歳以上65歳未満で日本国内に住んでいるときに初診日がある方が受給できます。

等級は障がいの重い順に1級と2級があり、以下のような金額になっています。

等級

月額

年額

1級

81,343円

976,125円

2級

65,075円

780,900円

※18歳未満のお子さんがいる場合は、お子さん1人につき一定の金額がさらに給付されます。

 

障害厚生年金

障害厚生年金は、厚生年金保険加入中に初診日がある人が受給できます。

等級は障がいの重い順に1級・2級・3級に分かれており、さらに一時金として支給される「障害手当金」もあります。「障害手当金」は報酬比例の2年分(最低保証1,1714,00円)が一時金として給付されます。

等級

金額

1級

障害基礎年金1級額

+

報酬比例の年金✖1.25+配偶者加給年金

2級

障害基礎年金2級額

+

報酬比例の年金+配偶者加給年金

3級

報酬比例の年金(最低保証585,700円(月額48,808円)

※「報酬比例」・・・厚生年金保険加入期間中の所得や加入期間に基づいて計算される年金額。

 

 

発達障がいの等級の判定目安

障害年金の等級と、障害者手帳に記載されている等級はちがいます。障害者手帳が重い1級であっても、障害年金では等級が2級となることもあります。ちなみに、障害者手帳をもっていなくても障害年金を申請することは可能です。

発達障がいの障害年金の等級を決める目安は、

精神の障害に係る等級判定ガイドラインに記載されています。

 精神障がい

画像引用:精神の障害に係る等級判定ガイドライン

表の「程度」は、診断書の裏面に記載されている「日常生活能力の程度」の回答から5段階で評価したものです。「判定平均」は診断書の裏面の「日常生活能力の判定」という項目の答えから、その平均を算出したものです。

診断書の裏面の項目の2つを掛け合わせたものが、障害年金の等級の目安になります。

 

診断書の裏面

発達障がい 目安

画像引用:精神の障害年金で外せない等級判定ガイドラインとは | 群馬で障害年金の申請なら|小川早苗社会保険労務士事務所

 

以上の目安と、

  1. 現在の障がいの症状(障がいによって日常生活が制限されているかなど)
  2. 療養状況(どのような療養を受けているか)
  3. 生活環境(在宅での援助が必要か、施設入所の有無など)
  4. 就労状況(仕事の内容や周囲と意思疎通をとれているかなど)

その他、総合的に審査して、障害年金の等級が決定されます。

 

 

障害年金の申請のし方

障害年金を申請するときは、本人またはご家族による年金の支給申請の手続きが必要です。障害基礎年金の受給を申請する場合は、お住まいの市区町村役場または年金事務所、年金相談センターが窓口となっています。

厚生年金に加入しており、障害厚生年金を申請するときは、お近くの年金事務所や年金相談センターにご相談ください。

 

申請時に必要な持ち物

障害基礎年金も障害厚生年金も、主に必要とされる書類や持ち物は以下のとおりです。

  • 年金請求書
  • 年金手帳
  • 戸籍を証明できるもの、住民票or住民票の記載事項証明書
  • 医師の診断書(所定の様式あり)
  • 受診状況等診断書
  • 病歴就労状況等申立書
  • 受取先の金融機関の通帳(本人名義)
  • 印鑑

 

※20歳未満で障害のある子どもがいる場合は以下の書類も必要です。

  • 戸籍謄本(記載事項証明書)
  • 世帯全員の住民票の写し
  • 子の収入が確認できる書類
  • 医師の診断書(20歳未満で障害のある子どもがいる場合)

 

障害年金の受給までには時間がかかるので注意が必要です。障害基礎年金は約3か月、障害厚生年金は約3か月半ほどで審査結果が出ます。傷病によっては半年程かかる場合もあるので、早めに書類等を用意しましょう。

 

 

まとめ

発達障がいの方、働いている発達障がいの方も、障害年金を受給できる可能性はあります。

初診日を証明できること、初診日から1年6か月以上経っていること(20歳以上で初めて医療機関にかかった場合)、病歴・就労状況等申立書を正しく記述することなどが大事なポイントです。

より詳しく知りたい方は、障害年金ガイド 令和3年度版をご参考ください。

 

 

参考

発達障害で障害年金を受給できる状態とは | よくあるQ&A,認定基準 | 北海道札幌市の障害年金専門社労士|TAMA社労士事務所

障害年金の金額や申請方法は?支給日や更新の必要はあるのかを解説します

障害年金をもらうための要件(受給要件) - NPO法人 障害年金支援ネットワーク

発達障害の認定困難な申請の成功事例 - 精神疾患専門 横浜障害年金申請相談室

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ADHDと診断。障害年金は受給できる?(ファイナンシャルフィールド) - Yahoo!ニュース

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