2021.09.14

【令和3年度報酬改定】就労継続支援B型

就労継続支援B型

【令和3年度報酬改定】就労継続支援B型

 

令和3年度の報酬改定における、就労継続支援B型の改定内容をまとめました。

就労継続支援B型の改定内容は、工賃の向上、障がい者の社会進出を目指すものとなっています。就労継続支援B型を運営されている事業所様はぜひご参考ください。

就労系に関する改定内容

就労継続支援B型ふくめ、就労系全体に関する主な改定内容をご説明いたします。

主な改定内容は、以下の3点になります。

 

・新型コロナウィルスの影響をふまえた実績の算出

・在宅サービス利用の要件の見直し

・一般就労への移行を促進

 

新型コロナウィルスの影響をふまえた実績の算出

令和3年度は、新型コロナウィルスの影響をふまえた実績の算出ができます。令和3年度の報酬算定は、令和元年度または令和2年度の実績を用いなくてもよいとされます。

 

  • 就労継続支援B型の場合

※平均工賃月額に応じた報酬体系では、次のいずれかの年度の実績で評価

(Ⅰ)平成30年度

(Ⅱ)令和元年度

(Ⅲ)令和2年

 

在宅でのサービス利用の要件の見直し

令和3年度から、在宅でのサービス利用要件が緩和されます。

緩和された利用要件は以下です。

 

  • 利用者要件

在宅でのサービス利用を希望しており、在宅でのサービス利用による支援効果が認められると市町村が判断した利用者。

  • 事業所要件

・ 在宅利用者が行う作業活動、訓練等のメニューが確保されていること。

・1日2回の連絡、助言または進捗状況の確認、日報作成を行うこと。作業活動、訓練等の内容などに応じ、1日2回を超えた対応を行うこと。

・緊急時の対応ができること。

・疑義照会等に対し、随時、訪問や連絡等による必要な支援が提供できる体制を確保すること。(ここまで現行と同じ)

 

・事業所職員による訪問、利用者の通所または電話・パソコン等のICT機器の活用により、評価等を1週間につき1回は行うこと。

・原則、月の利用日数のうち1日は事業所職員による訪問または利用者による通所により、事業所内において訓練目標に対する達成度の評価などをすること。

・1週間に1回の評価が通所により行われ、あわせて、月1回の訓練目標にたいする達成度の評価なども行われた場合、月1回おこなう評価などによる通所に置き換えてもよい。

・在宅と通所による支援を組み合わせることも可能。

 

一般就労への移行を促進

一般就労への移行に更なる評価があたえられます。就労継続支援から就労移行支援への移行については「就労移行連携加算」が新しく設けられました。

 

  • 就労移行連携加算・・・ 1,000単位

①就労継続支援A型を受けたあとに、就労移行支援の支給決定を受けた者がいたとき、支給の申請の日までに、就労移行支援事業者との連絡調整や、相談援助などをおこなうこと。

 

②申請をおこなうとき、就労継続支援A型の支援の状況などを文書により相談支援事業者にたいして提供すること。

①②の条件を満たしているとき、1回に限り、所定単位数が加算されます。

 

一般就労への移行や工賃の向上を目指すため、施設外就労加算を廃止・再編。一般就労への移行実績が高い事業所や、高い工賃を実現する事業所、地域連携の取り組みへの評価に組み替えられます。そして一般就労への移行促進を見込んで、就労継続支援の福祉専門職員配置等加算における有資格者に「作業療法士」が新たに追加されます。

 

就労継続支援B型の報酬改定のおもな内容

・基本報酬の報酬体系を8段階へ

・「利用者の就労や生産活動などへの参加等」をもって一律評価する体系を新設

・「地域協働加算」と「ピアサポート実施加算」を新設

・身体拘束などの適正化

・医療連携体制加算の見直し

・福祉・介護職員等に関する加算の見直し

 

基本報酬の報酬体系を8段階へ

平均工賃月額が2万円未満の事業所が8割ある現状から、平均工賃月額に応じて支払われる基本報酬がより細かく区分されることになりました。

「5千円未満」の項目がなくなり、最低「1万円未満」という項目に。そして平均工賃金額が0.5万円ごとに、基本報酬の単位が決められます。

就労継続支援B型

引用:【資料1】令和3年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容

 

また基本報酬はそれぞれ上がっており、たとえば平均工賃金額が1.5万円~2万円の事業所は、589単位→611単位に。22単位変わると大きなちがいですね。

高い工賃を支払う事業所には、さらに評価が上げられます。

 

「利用者の就労や生産活動などへの参加等」をもって一律評価する体系を新設

利用者の就労や生産活動などへの参加を支援した事業所を一律に評価する体系が新しく設けられました。

定員20人以下であり、従業員を7.5:1で配置した事業所は、556単位/日があたえられます。

 

「地域協働加算」と「ピアサポート実施加算」を新設

地域と連携した活動や、障がい者の就労・地域生活を支援した事業所にたいして、「地域協働加算」と「ピアサポート実施加算」の2つの加算が新設されます。

 

  • 地域協働加算 ・・・30単位/日

利用者にたいして、地域や関係者と連携して支援(生産活動収入があるもの)をおこなうこと。さらに、その活動内容をインターネットなどを利用して公表した事業所に、支援を受けた利用者の数に応じて、1日につき30単位が加算されます。

  • ピアサポート実施加算 ・・・100単位/月

利用者にたいして、一定の支援体制のもと、就労や生産活動への参加などに関するピアサポートを実施した事業所へ、ピアサポートを受けた利用者の数に応じて、月単位で100単位加算されます。

(支援体制は、「障がい者ピアサポート研修」を修了した障がい者と管理者を配置すること。そして「障がい者ピアサポート研修」を修了した障がい者や管理者から、障がい者に関する研修が年に1回以上おこなわれていることが必須です。

なお、令和6年3月31日までは、都道府県や指定都市、中核市が上記の研修に準ずると認めた研修でも可、といった経過措置が設けられます。)



身体拘束などの適正化

事業の運営基準に、身体拘束に関する要件が追加されます。

 

①身体拘束をおこなうときは、必要な事項を記録すること。

②身体拘束の適正化のための対策検討委員会を開き、委員会の検討結果を徹底して従業員へ周知すること。

③身体拘束等の適正化のための指針を整備すること。

④従業者へ、身体拘束等の適正化のための研修を定期的におこなうこと。

 

②~④は1年間の準備期間を設け、令和4年度から義務化されます。

①の運営基準を満たしていない事業所は「身体拘束廃止未実施減算」が適用され、基本報酬が減算されます。

②~④は令和5年4月以降から、身体拘束廃止未実施減算の要件に加えられます。

 身体拘束廃止未実施減算・・・5単位/日

 

医療連携体制加算の見直し

医療連携体制加算の報酬単位は、医療的ケアがあるかどうか等で区分されるようになります。また、原則、利用者を診察している主治医から個別に受けるものを「医師からの指示」とすることが決められます。

看護職員が看護する利用者

単位数

医療連携体制加算(Ⅰ)

32単位

医療連携体制加算(Ⅱ)

63単位

医療連携体制加算(Ⅲ)

125単位

医療連携体制加算(Ⅳ)

1人

800単位

2人

500単位

3人以上8人以下

400単位

医療連携体制加算(Ⅴ)

500単位

医療連携体制加算(Ⅵ)

100単位

 

福祉・介護職員処遇改善加算・処遇改善特別加算の見直し

福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅳ)(Ⅴ)と、福祉・介護職員処遇改善特別加算は廃止されます。

(令和3年3月末時点で同加算が算定されている障害福祉サービス等事業所は、1年間の経過措置を設けられます。)

 

また加算率の算定方法は、障害福祉サービス等経営実態調査にある従業者数や報酬請求事業所数を用いて、加算率が算定されることに。

類似する複数のサービスはグループ分けして、以下の通りに加算率が算定されます。

 (Ⅰ)所定単位数× 5.4%

 (Ⅱ)所定単位数× 4.0%

 (Ⅲ)所定単位数× 2.2%

 

※指定障害者支援施設の場合

 (Ⅰ)所定単位数× 6.7%

 (Ⅱ)所定単位数× 4.7%

 (Ⅲ)所定単位数× 2.6%

 (Ⅳ)(Ⅲ)の90/100

 (Ⅴ)(Ⅲ)の80/100

 

職場環境要件も変更されました。職場環境の改善につながる取り組みは、当該年度に実施することを求められます。

ただし、継続して処遇改善加算を取得している事業所は、当該年度に実施できない正当な理由がある場合、例外的に前年度の取り組み実績で要件を満たすことができます。

 

福祉・介護職員等特定処遇改善加算の見直し

福祉・介護職員等特定処遇改善加算の平均の賃金改善額の配分ルールについて、より柔軟な配分をできるようにするため、「経験・技能のある障害福祉人材」は「ほかの障害福祉人材」の「2倍以上とすること」としているルールを、「より高くすること」に見直されます。

また福祉・介護職員等処遇改善加算と同じく、類似している複数のサービスはグループ分けして、加算率が設定されます。

 (Ⅰ)所定単位数× 1.7%

 (Ⅱ)所定単位数× 1.5%

指定障害者支援施設の加算率は、「所定単位数× 1.8%」です。

 

まとめ

就労継続支援B型の令和3年度報酬改定では、これまで工賃を比較的高めに設定していた事業所が正しく評価され、障がい者が働くために、給与や環境をもっと良くすることができるようになります。この報酬改定を機にサービスの向上を目指しましょう。

また全サービスに関わる報酬改定の内容は別記事にまとめていますので、ご参考ください。

【令和3年度障害福祉サービス報酬改定】全サービス

 

<<参考>>

令和3年度障害福祉サービス等報酬改定の概要

令和3年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容

 

 

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