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2025.06.20

障がいと自他境界|イライラ・嫉妬・気疲れしやすい人へ届けたい「心の距離感」の話

他人の態度や言葉に、いつも振り回されていませんか?

  • あの人の言い方、なんであんなに刺さるんだろう
  • ついSNSで幸せそうな人を見て落ち込んでしまう
  • 頼まれると断れず、無理してあとで爆発してしまう
  • 嫉妬してしまって、そんな自分が嫌になる
  • いつも気を使って、人といるとぐったりする

こんな感情、誰しも一度は経験があるのではないでしょうか?
実はこれらの背景には、「自他境界(バウンダリー)」という心の線引きの難しさがあるのです。

この記事では、発達障がい・精神障がいなどの特性とも関わりが深い「境界線」の保ち方と、その具体的トレーニング法をわかりやすく紹介します。

自他境界とは?|「自分」と「他人」の心の線引き

「自他境界(バウンダリー)」とは、**自分と他人の間にある心の“見えない境界線”**のこと。
これは「どこまでが自分の責任で、どこからが他人の責任か」というラインでもあります。

たとえば

シーン 自他境界があいまいなときの反応
上司が不機嫌だった 「私、何かしたかな?」と自責モードに入る
友達が楽しそう 「なんで私だけうまくいかないの?」と比較して落ち込む
お願いを断りたいけど… 「悪いかな」と我慢して引き受けてしまう

これ、実はすべて「自他境界のゆらぎ」が原因かもしれません。

自他境界を整えると、どう変わる?

  • 「人の機嫌=自分の責任」という思い込みが減る
  • 嫉妬・自己否定に巻き込まれにくくなる
  • 断ることができて、自分を守れる
  • 落ち込んでも立ち直りやすくなる
  • 「私は私、他人は他人」と安心して人と付き合えるようになる

つまり、自他境界があることで「自分軸」で生きられるようになるのです。

✅ 10の質問でわかる!自他境界チェックリスト

自分の“こころの境界線”がどうなっているか、まずは気軽にチェックしてみましょう!

次の10の質問に対して、「はい」が何個あったか数えてください。

質問 はい いいえ
1. 相手の機嫌が悪いと、「自分が悪かったのかな」と感じてしまう
2. 断りたいのに、相手の顔色を見て「いいよ」と言ってしまうことが多い
3. 相手の意見や価値観に流されて、自分の考えがわからなくなることがある
4. 「助けて」と言われると、自分の予定を犠牲にしてでも助けなきゃと思ってしまう
5. SNSや友人の成功を見て、強く嫉妬したり落ち込むことがある
6. 「こう思われたらどうしよう」と他人の評価が気になって動けなくなる
7. 誰かにイライラしたとき、それを自分の「弱さ」や「ダメさ」のせいにしてしまう
8. 自分の気持ちよりも「相手がどう感じるか」を優先してしまう
9. 人の問題を「なんとかしてあげなきゃ」と抱え込みすぎて疲れる
10. 人と一緒にいると、自分の感情がよくわからなくなる

🔍 結果

  • 「はい」が0~2個
     → あなたは自他の境界がしっかりしているタイプ。自分の気持ちと他人の感情を適切に分けて考えられています。
  • 「はい」が3~5個
     → やや境界があいまいになっているかも。他人の感情に影響されやすかったり、自分を後回しにしがちです。
  • 「はい」が6個以上
     → 境界が薄くなっているサイン。自分の心を守るトレーニングや、「断る力」「気持ちの切り分け方」を少しずつ練習してみましょう。

今日からできる!自他境界を育てる5つの実践トレーニング

① 「これは誰の課題?」と思考を整理するワーク

目的:感情に飲まれず、冷静に状況を見つめる力を育てる

やり方:困ったときに以下の質問を書き出してみましょう

  • 今、私が感じているのは何の感情?(例:怒り、悲しみ、嫉妬)
  • これは私の問題?相手の問題?
  • 私は何をコントロールできる?何はできない?

ノートに書くのがポイント。「見える化」することで感情の分離がしやすくなります。

② NOと言う練習帳|やわらかく断る言い方を用意しておく

目的:断れないストレスを減らし、「自分もOK、相手もOK」の関係を築く

例文集(自分の中でストックを持とう)

  • 「今は余裕がないから、また今度でお願いできる?」
  • 「気持ちは嬉しいんだけど、ちょっと難しいかも」
  • 「◯◯ならできるけど、それ以上はちょっと負担かな」

最初は怖いけれど、練習するほど言いやすくなっていきます。
メールやLINEで伝えるのもOK!

③ 比較モードを止める「今ここ」トレーニング

目的:SNSや他人の生活と比べすぎないようにする習慣

やり方(朝の3分)

今日の「自分だけの良かったこと」を3つ書く
例)・ちゃんと歯を磨けた
  ・朝ごはんが美味しかった
  ・イライラしても1回深呼吸できた

「小さな自分の達成」を毎日確認することで、他人への過剰な意識が減っていきます。

④ 感情の責任を持ちすぎない練習

目的:「人が怒っている=自分のせい」と思いがちな癖をほぐす

思い出したいこと

  • 相手が不機嫌でも、それはその人の感情
  • 自分の感情も、相手が責任をとるものではない
  • 感情は天気のようなもので、通り過ぎるもの

「人の感情は天気」とラベリングしてみると、自然と距離を取れるようになります。

⑤ 人間関係の“距離感マップ”を描いてみる

目的:自分にとってちょうどいい距離を再確認する

やり方

  1. 紙に円を描き、中心に自分を書きます
  2. 家族・友人・職場の人などを「近い」「中間」「遠い」の位置に置く
  3. 実際の関係と、心地よい距離が一致しているか確認

客観的に見ることで、「この人とはちょっと離れてもいいんだ」と気づけることも。

📘 さらに理解するためのおすすめ本

心の境界線 穏やかな自己主張で自分らしく生きるトレーニング

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  • 実用的なワーク付き。
  • 読みやすく、ワーク形式で境界線のトレーニング方法を丁寧に解説。
  • 初心者にも安心。少しずつ取り組めるワークで「ちょうどいい距離感」を身につけやすい。

わたしはわたし。あなたじゃない。10代にも響く境界線の引き方

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  • 特に思春期向けとして評価◎
  • 10代を対象に、セルフアイデンティティをもちながら周囲との距離を保つ方法をやさしく解説。
  • 発達障がいのある若者や思春期支援にぴったりの、実用と共感のバランス。

まとめ:“線を引くこと”は、冷たさではなく「優しさ」

自他境界をしっかり持つことは、わがままでも、冷たいことでもありません。

それはむしろ──

  • 自分を守りながら、相手にも無理なく接するための「優しさ」
  • 他人の感情に飲み込まれず、自分らしく生きるための「安心感」
  • 発達障がいやメンタル特性があっても、日々を穏やかに暮らすための「工夫」

「しんどいな」「人間関係がつらいな」と思ったときは、
“自分と他人の境界線”を少し見直してみてください。

あなたの心に、すこしでもやさしい余白が生まれますように。

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