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Newsみんなの障がいニュース
みんなの障がいニュースは、最新の障がいに関する話題や時事ニュースを、コラム形式でわかりやすくお届けします。
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どこから「過重な負担」になる?障がい者差別解消法改正に伴う合理的配慮
4月から施行される障がい者差別解消法の改正により、障がいを理由にした「不当な差別的取り扱い」が禁止され、障がいのある人への合理的配慮が義務化されることとなりました。しかし、これに関連してSNS上では様々な意見が出されており、特に障がいを持つ人への「合理的配慮」について議論が巻き起こっています。 専門家による見解が求められている この法改正を受けて、事業者はどのような準備をすべきか、また当事者が必要とする合理的配慮について、専門家による見解が求められています。SNS上では、「合理的配慮とわがままの線引きは難しい」「少しでも障がい者理解が進むことを願う」といった声が見られます。障がい者差別解消法の改正により、4月からは行政機関や事業者が障がい者の困りごとに対応することが義務付けられることになりました。 パリの空港での経験 障がい者理解の促進に努めるeラーニング事業を展開する株式会社Lean on Meの代表取締役、志村駿介氏は、自身もダウン症の弟を持つ立場から、「合理的配慮」の重要性を強調しています。彼はパリの空港での経験を挙げ、「日本の空港では弟ではなく僕に対応することが多い。弟に対してもまず声をかけ、意思疎通ができるか確認し、難しければ僕に話しかけるという一歩の配慮が欲しい」と語ります。 事業者側に求められる「合理的配慮」 事業者側に求められる「合理的配慮」とは、障がいのある人々が日常生活や社会活動を円滑に行うために必要な配慮や支援を指します。具体的には、例えば自閉症スペクトラム症で感覚過敏がある場合、遠くで話される声が耳に近い位置で叫ばれるように聞こえることがあります。このような場合、飲食店などでそのような症状を伝えた際に、個室などの提供や、騒音の少ない場所への案内などが求められます。 また、知的障がいのある方が飲食店で料理を選ぶ際には、文字だけのメニュー表では理解しにくい場合があります。そのような場合には、絵カードなどを用意してメニューに載せることで、指差しで料理を選ぶことができるように配慮することが重要です。 合理的配慮の提供義務に直接的な罰則はない しかし、事業者がこれらの配慮を行う際には、設備や人手不足などの制約がある場合もあります。現状では、合理的配慮の提供義務に直接的な罰則はありませんが、それぞれの状況に合わせたガイドラインを準備し、事業者と利用者がお互いにコミュニケーションをとることが重要です。このような取り組みによって、障がいのある人々が社会参加をより円滑に行える環境が整えられることが期待されています。 正直なコミュニケーションが不可欠 合理的配慮に対する理解を深めるためには、正直なコミュニケーションが不可欠です。事業者は、「何時から何時の間であればお店は空いているので対応できる」といった具体的な情報を提供することで、利用者との信頼関係を築きます。 同時に、「なんとかしてサービスを提供したいけどどうしても無理」という本音を率直に伝えることで、トラブルを回避できます。日本はおもてなしの文化やホスピタリティに富んでおり、事業者が柔軟かつ誠実に対応する姿勢は、この文化の一環と言えるでしょう。 合理的配慮の実践例をリーフレットやデータベースで提供 政府は、合理的配慮の実践例に関する情報をリーフレットやデータベースで提供しています。志村氏は、企業がこうした情報を活用し、柔軟に対応することを呼び掛けています。経営者が合理的配慮を企業の負担とみなす誤解もあるようですが、実際にはケースバイケースでの対応が重要です。失敗しても構わないので、実際の現場での経験を積み重ね、次に活かしていくことが重要です。障がいのある方とのコミュニケーションや経験を通じて、より理解深まった配慮が実現されるでしょう。 対話をして理由を教えてもらい対応策を共に考えるべき 障がいのある人への合理的配慮について、世界ゆるスポーツ協会代表理事の澤田智洋氏は、車椅子の友人と一緒にレストランに行った際に、車椅子という理由だけで拒否されることがあると指摘しています。 彼は、このような場合にはまず対話を始め、理由を教えてもらい、対応策を共に考えるべきだと主張しています。彼の基本的な考え方は、当たり前のコミュニケーションを大切にし、お互いに納得のいく解決策を見つけることです。 事業者側の負担が過度にならない範囲 一方で、義務付けられる合理的配慮については、事業者側の負担が過度にならない範囲で行われるべきだと説明しています。 例えば、飲食業においては店の規模や混雑状況によって対応が異なるため、一律には定められないと述べています。また、具体的なケースで介助などの対応が難しい場合には、断ることができるとも述べています。 可能性のある対応策について考える その上で、澤田氏はお互いに最適な判断をすることの重要性を強調し、可能性のある対応策についても指摘しています。 例えば、車椅子が他のお客さんにぶつかる心配がある場合は、テーブルや椅子の配置を変えることで解決できるかもしれませんし、入り口の段差に対応するために簡易スロープを設置することも考えられます。彼の提案は、柔軟な対応とお互いへの配慮を重視したものであり、現実的な解決策を見つけるための示唆に満ちています。 障がいのある方と対話しながら解決策を模索 澤田氏は、極端に「配慮できる・できない」という白黒の判断が多いことを指摘しています。実際には、少しの工夫やグレーゾーンが多く存在し、義務化された今回の機会を通じて、これらの問題に対処する良い機会だと述べています。 しかし、事業者側だけで考えても見当違いなアイデアになることがあるため、障がいのある方と対話しながら解決策を模索することが重要だと述べています。 解決策は一つではない 感情に基づくのではなく、ファクトに基づいた対話が重要であると強調しています。例えば、狭い店舗で車椅子の方が入店できない場合、店舗改築まで行う必要はなく、代わりにテイクアウトの提案や他の利用方法の検討が可能です。 そして、必ずしも多額の費用をかける必要はなく、解決策は一つではないと述べています。このようなアプローチを続けることで、社会全体の空気感が良くなる可能性があると期待しています。 柔軟で創造的な対応を促し、問題解決において障がいのある方との協力が不可欠であることを示唆しています。この提案は、現実的で包括的なアプローチを通じて、社会の包摂性を高めるための一歩となるでしょう。 障がい者差別解消法: 社会の包摂を促進する法的枠組み 障がい者差別解消法は、障がいのある人々が差別されることなく社会参加を実現するための法的枠組みです。この法律は、障がいのある人々が日常生活や社会活動において様々な障壁に直面し、それが不公平な取り扱いや排除につながる可能性があることを認識し、その解消を目指しています。 重要な要素:合理的配慮の義務化 障がい者差別解消法の重要な要素の一つは、合理的配慮の義務化です。合理的配慮とは、障がいのある人々が平等な機会を享受するために必要な支援や配慮を提供することを意味します。これは、個々のニーズや状況に応じて異なる支援を提供することを意味し、バリアフリーな環境の整備やアクセシブルな情報提供、介助や支援の提供などが含まれます。 この合理的配慮の義務化により、行政機関や事業者は、障がいのある人々が利用するサービスや施設において、個々のニーズや状況に応じた適切な支援を提供する義務を負うこととなりました。例えば、公共交通機関がバリアフリー化されることで、車椅子を利用する人々や高齢者にとっても移動が容易になり、社会へのアクセスが向上します。 法律の実践には課題がある しかし、この法律の実践には課題もあります。例えば、財政的な制約や人材不足などが挙げられます。特に、中小企業や地方自治体など、資源が限られている組織では、合理的配慮の実践が困難な場合があります。そのため、適切な支援が提供されないケースも依然として存在します。 行政機関や事業者、一般市民が連携する必要 障がい者差別解消法の実践においては、法律の枠組みだけでなく、社会全体での意識改革や協力が必要です。行政機関や事業者、一般市民が連携し、障がいのある人々が社会参加を実現するための支援を行うことが重要です。そのためには、情報の提供や啓発活動、資源の共有など、様々な取り組みが必要です。 社会の包摂を促進するための重要な法的基盤 障がい者差別解消法は、社会の包摂を促進するための重要な法的基盤です。この法律の実践により、障がいのある人々が差別されず、平等な機会を享受し、自立して社会に参加することが実現されるでしょう。しかし、課題があることも事実であり、社会全体での取り組みが求められています。 社会の包摂を促進する合理的配慮の重要性 障がい者差別解消法の改正に伴い、合理的配慮が2024年4月から義務化されました。この合理的配慮の導入により、障がいのある人々が社会で平等な参加と活動を実現するための支援が法的に保証されることになりました。しかし、合理的配慮は単なる法的義務に留まらず、社会の包摂を促進するための重要な概念です。 個々のニーズや状況に応じた適切な支援や配慮が重要 障がい者差別解消法における合理的配慮は、障がいのある人々が障壁なく社会に参加できるようにすることを目指しています。そのため、個々のニーズや状況に応じた適切な支援や配慮が提供されることが重要です。これにより、障がいのある人々が自立して活動できる環境が整備され、社会全体がその利益を享受することが期待されます。 合理的配慮の実践には柔軟性と創造性が必要 合理的配慮の実践には、柔軟性と創造性が求められます。事業者や行政機関は、一人ひとりのニーズや状況に合わせて適切な支援を提供する必要があります。そのためには、障がいのある人々との対話や協力が欠かせません。障がいのある人々が自らの経験やニーズを積極的に提供し、その声がしっかりと反映されることが重要です。 社会の多様性を尊重し、包摂性を高めるための重要な手段 合理的配慮は、社会の多様性を尊重し、包摂性を高めるための重要な手段です。法的義務だけでなく、人々がお互いを尊重し、支え合う社会を築くために、合理的配慮の実践が不可欠です。それによって、障がいのある人々が真に平等な機会を享受し、社会全体が豊かさを得ることができるでしょう。 障がい者差別解消法の改正により、合理的配慮が義務化され、障がいのある人々が社会での参加と活動を円滑に行える環境が整備されました。この法改正は、障がいのある人々に対する差別をなくし、社会の多様性と包括性を促進するための重要な一歩です。 障がいのある人々が自立して活動できる環境を整える必要 事業者や行政機関は、一人ひとりのニーズや状況に応じて適切な支援を提供し、障がいのある人々が自立して活動できる環境を整える必要があります。 また、合理的配慮を通じて、社会全体が障がいのある人々との理解と協力を深めることも重要です。お互いを尊重し、コミュニケーションを大切にすることで、障がいのある人々との共生を実現する社会を築くことが可能です。このような社会の構築には、一人ひとりの意識改革と積極的な行動が欠かせません。 まとめ 障がい者差別解消法の改正は、障がいのある人々が平等な機会を享受し、自己実現を果たすための基盤を整備する重要な取り組みです。合理的配慮を通じて、社会全体が包括的で包摂的な環境を実現するために、今後もさらなる努力が求められるでしょう。 参考 障がい者への「合理的配慮」義務化 どこから“過重な負担”? グレーゾーンとの向き合い方(ABEMA TIMES)#Yahooニュース -
「障がい者週間」と「共生社会の構築」障がいのある人に対する理解を深めるための基盤づくり
障がい者基本計画(第4次)に基づき、障がいのある人との共生社会を推進するため、広報・啓発活動が重要視されています。内閣府が発行する障がい者白書の第2章では、障がい者週間を活用して、国民の理解を深める取り組みが行われています。本記事ではどのような事が行われているのか見ていきたいと思います。 毎年12月3日から9日までの1週間「障がい者週間」 障がい者週間は、毎年12月3日から9日までの1週間が指定され、共生社会の理念の普及と障がいに対する理解を促進することを目的としています。政府は、障がい者週間に向けて様々なイベントを展開しています。 例えば、小・中学生などから障がいのある人とのふれあいをテーマにした作文やポスターの募集が行われ、最優秀作品が選定されます。また、関連行事では、一般国民を対象に障がい者に関するセミナーが開催され、障がい者関係団体との連携も図られています。 障がい者週間の関係表彰式では、最優秀作品や功労者に内閣総理大臣表彰が授与され、その功績が称えられます。これらの取り組みを通じて、障がい者との理解を深め、共生社会の実現に向けた一助となることが期待されています。 各種の広報・啓発活動が行われ障がいのある人への理解を促進 様々な週間・月間の取り組みが行われています。例えば、9月は「障がい者雇用支援月間」、10月は「第65回精神保健福祉普及運動」、12月は「人権週間」となっており、これらの期間を通じて障がいに関する理解を深めるための活動が展開されています。また、4月には「発達障がい啓発週間」があり、地方公共団体や関係団体による啓発活動が行われています。 バリアフリー・ユニバーサルデザインの推進功労者表彰 バリアフリー・ユニバーサルデザインの推進功労者表彰も行われています。高齢者や障がいのある人、妊婦、子供連れの人々が安全かつ快適な社会生活を送るために、バリアフリー・ユニバーサルデザインの推進が重要視されています。内閣総理大臣表彰等を通じて、顕著な功績や功労を持つ個人や団体が表彰され、その取り組みが称えられています。平成29(2017)年度には、9団体が表彰されました。 障がい者政策委員会は会議の情報提供を行う 障がい者政策委員会では、会議の情報提供に積極的で、インターネットを通じて会議の全状況を動画や音声、手話、要約筆記の文字情報として一定期間提供しています。 障がい者白書は、障がい者基本法第13条に基づき、政府が毎年提出する報告書です。平成28年版からは、視覚障がい者や印刷物を読むことが難しい人々のためにデジタル録音図書である「マルチメディアデイジー」版が作成され、内閣府のホームページで公表されています。 福祉教育の推進 福祉教育の推進では、学校教育において交流や共同学習の機会を設けることが規定されています。教育委員会が主体となり、各学校で様々な交流や共同学習が行われ、障がい者理解の推進が図られています。また、「ユニバーサルデザイン2020行動計画」に基づき、「心のバリアフリー学習推進会議」が設置され、交流や共同学習の推進方策についての提言がまとめられています。 地域住民への広報・啓発活動も行われており、社会教育施設や精神保健福祉センターでは、障がいのある人に対する理解を深めるための学習活動や知識の普及・啓発が行われています。これらの取り組みを通じて、障がい者への理解が広がり、共生社会の実現に向けた一助となっています。 ボランティア活動の推進 学校におけるボランティア教育では、学習指導要領に基づき、道徳や総合的な学習の時間などで思いやりの心や助け合いに関する指導やボランティア活動の充実を図っています。特に高等学校では、生徒が行うボランティア活動などの学校外での学修が認められ、単位として認定される場合もあります。 地域福祉等ボランティア活動の促進に向けて、内閣府では「地域コアリーダープログラム」を実施し、共生社会の実現に向けた人材育成を行っています。また、障がい者関連分野では、国内外での青年の交流やリーダー育成を促進しています。 公共サービス従事者等に対する障がい者理解の促進 公共サービス従事者等に対する障がい者理解の促進では、警察や刑務所、更生保護官署、法務省の人権擁護機関などで障がい者理解の研修や教育が行われています。警察学校や矯正研修所では、障がいのある人への配慮やコミュニケーション方法などについての研修が実施され、社会福祉施設での体験実習も行われています。 法務省では、国家公務員や地方自治体職員を対象にした研修が行われ、障がい者に関する理解と認識の向上が図られています。また、日本司法支援センターでは、障がい者支援の知識を持つ担当職員が研修を通じて全国の職員に知識を伝え、利用者の立場を理解した適切な対応が行われるよう支援しています。 障がい者差別解消法の制定経緯と概要 障がい者差別解消法の制定経緯 障がい者の権利を保障するために、国際的な取り組みとして「障がい者の権利に関する条約」が採択され、日本も2007年に署名し、2014年に批准しました。これに基づき、障がい者基本法が改正され、差別の禁止が規定されました。その後、障がい者差別解消法が2013年に成立し、2016年に施行されました。 障がい者差別解消法の概要 (1)対象となる障がい者 身体障がい、知的障がい、精神障がい(発達障がいを含む)など、障がいによって日常生活や社会生活に制限を受ける者が対象です。障がい者手帳の所持者に限定されず、広範な障がい者が含まれます。 (2)対象となる事業者及び分野 行政機関や事業者が対象で、商業や非営利活動など様々な分野が含まれます。特に教育、医療、福祉、公共交通、雇用など、障がい者の自立と社会参加に関わる分野が重視されています。 (3)不当な差別的取扱いの禁止 障がいを理由とした財・サービスの拒否や条件付けなどは不当な差別とされ、法律で禁止されています。ただし、客観的に正当な理由がある場合は例外とされます。 障がい者差別解消法は、障がい者の権利を保障し、差別をなくすための具体的な措置を講じることで、社会の多様性と包摂性を実現するための重要な法律です。 (4)合理的配慮の提供 障がい者や関係者から配慮を求められた場合、負担が過重でない範囲で、社会的障壁を取り除くための必要かつ合理的な配慮を行います。負担の有無は、事案ごとに具体的に判断され、事務・事業の影響や実現可能性、費用などを総合的に考慮します。ただし、行政機関には義務が課される一方で、事業者には努力義務があります。 (5)環境の整備 公共施設や交通機関のバリアフリー化、サービス・介助者の提供、情報アクセシビリティの向上など、不特定多数の障がい者を対象とする事前的改善措置を行います。これには、ハード面だけでなく、職員の研修などのソフト面の対応も含まれます。 (6)障がい者差別解消法 「障がいを理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」を定め、行政機関等は対応要領を定めます。これに加え、各主務大臣は対応指針を定め、事業者が適切に対応するための指針を提供しています。 障がい者差別解消法 内閣府では、関係省庁や地方公共団体、障がい者団体などから障がい者差別解消法に基づく合理的配慮の提供や環境の整備に関する事例を収集し、「合理的配慮の提供等事例集」としてまとめています。 障がい者差別解消法に基づき、地域協議会の設置が促進されています。地域協議会は、相談事例の共有や協議を通じて、事案解決や類似事案の発生防止を図るためのネットワークです。未設置の地域に対しては、有識者をアドバイザーとして派遣するなどの支援が行われています。 地域の障がいのある人や関係者の意見を広く聴取 地域フォーラムが開催され、地域の障がいのある人や関係者の意見を広く聴取し、障がい者差別解消法の円滑な施行を目指し、地域における取り組みの促進と気運の醸成を図っています。 事業者における障がい者差別解消に向けた取り組みが期待されますが、必要に応じて主務大臣や地方公共団体の長が、事業者に対し報告を求めたり、助言・指導・勧告を行ったりすることができます。 2020年東京オリンピック・パラリンピックの基本方針 2015年に閣議決定された「2020年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会の準備及び運営に関する施策の推進を図るための基本方針」では、東京大会を契機に、障がいの有無にかかわらず、相互に人格と個性を尊重し支え合う「心のバリアフリー」を推進し、ユニバーサルデザインの街づくりを進めることが位置づけられました。その基本方針に基づき、2017年には「ユニバーサルデザイン2020行動計画」が決定されました。 行動計画 行動計画では、以下の2つの観点から具体的な取組が行われています。 「心のバリアフリー」の推進:障がいのある人への社会的障壁を取り除く社会の責務を理解し、差別をなくし、異なる条件を持つ他者とコミュニケーションを取る力を養い、共感する力を培うことが重要視されています。 ユニバーサルデザインの街づくり:東京大会に向けたバリアフリー化と全国各地でのユニバーサルデザインの推進が行われ、幅広い施策がとられています。 共生社会を実現するために必要な取り組み 2020年パラリンピック大会まで1000日を切った2018年1月に、「ユニバーサルデザイン2020関係閣僚会議(第2回)」が開催されました。この会議では、ユニバーサルデザインを推進する上での重要な要素である「心」と「街」の両分野における取り組みが共有され、更なる施策の進展が図られました。特に、共生社会を実現するために必要な取り組みの加速化が確認されました。 まとめ 障がい者週間や関連する取り組みは、障がいのある人々と社会全体の理解を深め、共生社会の実現に向けた重要な一歩となっています。これらの活動を通じて、社会の多様性と包摂性を促進し、障がい者の活躍と尊重を推進していくことが期待されます。障がい者週間を通じて展開されるイベントや関連行事は、多様な人々に障がい者とのふれあいや理解を深める機会を提供し、その結果、社会全体がより包括的かつ温かい場所となることが期待されます。 参考 第2章 障がいのある人に対する理解を深めるための基盤づくり|内閣府 -
どんな種類の障がいがあるの?障がいの多様性:身体障がい、知的障がい、精神障がい、発達障がい 知っておきたい基礎知識!
障がいは主に「身体障がい」「知的障がい」「精神障がい」の3つに大別される 障がいとは、障がい者基本法によれば、「身体障がい、知的障がい、精神障がいがあるため、継続的に日常生活や社会生活において相当な制限を受ける者」を指します。この定義に基づくと、障がいは主に「身体障がい」「知的障がい」「精神障がい」の3つに大別されます。 身体障がいは、身体の一部に損傷や機能の制限があり、日常生活に支障をきたすものです。知的障がいは、認知能力や学習能力に問題があり、社会参加や自立が難しい状態を指します。精神障がいは、心の健康に関連する障がいであり、感情や行動の制御が難しくなることがあります。これらの障がいは、個々の人の状況や程度によって異なり、支援や配慮が必要とされる場合があります。 身体障がい 身体障がいとは、先天的な要因や病気、事故などにより身体機能に制限が生じる障がいのことです。身体障がい者福祉法では、5つの主要な種類に分類されています。 視覚障がい 視覚障がい者は、視力に関する問題によって日常生活に様々な困難を抱えます。例えば、移動時には安全なルートの確保や交通手段の利用に課題が生じます。読書や書類の理解、情報の収集、デジタル機器の操作なども困難を伴います。 また、視覚障がいによって生じる社会的孤立や心理的なストレスも考慮する必要があります。支援としては、点字や音声案内、拡大印刷物、音声合成技術などの利用が挙げられます。 聴覚障がい 聴覚障がい者は、コミュニケーションや情報収集において困難を経験します。日常生活では、会話や講義、公共のアナウンスなどが聞き取りにくい場合があります。特に、背景雑音のある環境や複数の話者がいる場面での情報の把握が難しくなります。聴覚障がい者への支援策としては、手話や筆談、口話言語訓練、聴覚補助装置の利用などがあります。 音声・言語機能またはそしゃく機能障がい 音声・言語機能の障がいやそしゃく機能障がいを持つ人々は、コミュニケーションや食事において日常生活におけるさまざまな困難に直面します。言葉の理解や発声が難しいため、コミュニケーションの円滑な進行が難しくなります。 また、そしゃく機能障がいを持つ人々は、食事や嚥下に関する問題により、栄養摂取や健康管理に支障を来すことがあります。これらの障がいへの対応としては、手話や文字によるコミュニケーション支援、食事内容や嚥下訓練の改善などが挙げられます。 肢体不自由 肢体不自由は、四肢や体幹の運動機能に障がいがある状態を指します。この障がいにより、日常生活において様々な困難が生じます。例えば、移動や身の回りの世話、衣服の着脱、食事の準備や摂取、さらには仕事や学校などの社会的な活動にも影響を及ぼします。肢体不自由の原因は多岐にわたります。 先天的な障がい、遺伝的な要因、疾患、事故や外傷など、さまざまな要因が考えられます。また、脳や脊髄の損傷、筋肉や関節の異常、先天性の四肢の発育不全なども肢体不自由の原因となります。リハビリテーションや適切な医療、補助具の利用など、個々の状況に応じた支援が重要です。 内部障がい 内部障がいは、心臓や腎臓、免疫機能などの内部器官の機能に障がいがある状態を指します。これらの障がいにより、全体的な体力低下や疲労感が生じます。心臓の機能障がいによる場合、身体のどこからでも不規則な動悸や息切れが起こることがあります。 腎臓の機能障がいでは、体内の余分な水分や老廃物が排泄されず、浮腫や高血圧などの症状が現れることがあります。免疫機能障がいによる場合、体が感染症に対して充分な抵抗力を持たず、さまざまな健康問題が生じる可能性があります。 これらの障がいの原因は、様々なものが考えられます。心臓や腎臓の機能障がいは、疾患や生活習慣によるものが主な原因です。免疫機能障がいは、遺伝的な要因や環境要因、または病気や治療によるものがあります。内部障がいは、適切な治療や管理が不可欠であり、それによって生活の質を改善することが可能です。 知的障がい 知的障がいの特徴を掘り下げると、以下のような点が挙げられます。 知的発達の遅れや制限 知的障がいは、一般的な知的発達の遅れや制限が主な特徴です。これは、認知能力、言語能力、学習能力、社会的な適応能力などに影響を与えます。 この遅れや制限は、人々が情報を処理し、問題を解決し、日常生活のスキルを獲得する能力に影響を及ぼします。 知的機能と適応機能の評価 個々の知的障がいの程度は、知的機能と適応機能のレベルに基づいて評価されます。知的機能は、知的テストによって測定されます。これには、言語、数学、記憶、問題解決能力などが含まれます。 適応機能は、日常生活や社会生活における能力を示します。これには、自己ケア、コミュニケーション、社会的相互作用、職業訓練などが含まれます。 年齢に応じて、個人の能力や成長を評価し、必要な支援やサービスを提供するために、定期的な評価が行われます。 このような詳細な評価を通じて、個々のニーズや能力に合わせた適切な支援が提供され、知的障がいを持つ人々が最大限の可能性を引き出すことができるようになります。 日常生活における困難 影響について更に掘り下げると、知的障がいが日常生活や教育、雇用に及ぼす具体的な影響を理解することができます。 日常タスクの理解と実行 知的障がいを持つ人々は、日常のタスクやルーチンを理解し、実行することに困難を抱えることがあります。これには、自己ケア、家事、買い物、交通手段の利用などが含まれます。 コミュニケーションの困難 コミュニケーションは、言語能力や社会的な適応能力が必要なため、知的障がいを持つ人々にとって困難な場合があります。言葉の理解や表現、会話の流れや社会的なルールの理解に問題を抱えることがあります。 教育や雇用の制約 学習の制約 知的障がいを持つ人々は、学習や教育においても障がいを抱えることがあります。特別な教育プログラムや支援が必要となることがあります。 雇用の制約 一部の人々は、知的障がいを克服し、職場で十分な支援を受けることで、一定の成果を達成することができます。しかし、適切な教育や雇用の機会へのアクセスが難しい場合があります。また、雇用先での適切な支援や配慮がないと、適切な役割を果たすことが難しいこともあります。 これらの影響を考慮することで、知的障がいを持つ人々に対する支援やサービスが改善され、彼らがより満足度の高い生活を送ることができるようになります。 社会的な関係の構築と維持 社会的な関係と自立について更に掘り下げると、以下の点が挙げられます。 コミュニケーションの障がい 知的障がいを持つ人々は、言語理解や表現の障がいから、コミュニケーションにおいて困難を抱えることがあります。これにより、友情や家族関係の構築や維持に影響を与えることがあります。適切なコミュニケーション手段や支援が必要です。 適応能力の制限 社会的な状況や関係に対する適応能力の制限も、知的障がいを持つ人々に影響を与えます。新しい環境や社会的なイベントに対する適応が難しく、社会的な孤立や不安感を引き起こすことがあります。 自立生活の目標の達成 生活スキルの向上 自立生活を送るためには、生活スキルの向上が不可欠です。これには、日常生活の基本的なスキル(料理、清掃、買い物など)や社会生活に必要なスキル(コミュニケーション、交渉、問題解決など)の獲得が含まれます。 適切な住居の提供 自立生活を支援するためには、適切な住居の提供が必要です。これには、安全で快適な住環境や必要なサポートサービスへのアクセスが含まれます。 職業訓練 自立生活を実現するためには、適切な職業訓練や就労支援が必要です。これにより、自己価値感や生活の質が向上し、社会参加が促進されます。 これらの支援が提供されることで、知的障がいを持つ人々が社会的な関係を築き、自立的かつ充実した生活を送ることができるようになります。 精神障がい(発達障がいを含む) 精神障がいは、感情や思考、行動に変化が現れ、日常生活に支障をきたす障がいを指します。その中でも、統合失調症や気分障がいはよく知られた代表的な例です。 統合失調症 統合失調症は、現実感覚の歪みや幻覚、妄想などの症状が特徴的です。これにより、患者は日常生活において困難を経験し、社会的な関係や職業生活に支障をきたすことがあります。例えば、幻聴や被害妄想によって周囲とのコミュニケーションが困難になることがあります。 発症の原因は、遺伝的な要因や生活環境、神経化学の変化などが関与すると考えられています。また、ストレスやトラウマも発症に影響を与えることがあります。心理的な治療や薬物療法が一般的な治療法ですが、個々の症状や経過に応じてアプローチが異なります。 気分障がい 気分障がいには、うつ病や双極性障がいなどが含まれます。うつ病では、患者は長期間にわたって抑うつ状態が続きます。双極性障がいでは、患者は抑うつと興奮の状態が交互に現れます。これらの気分変動により、患者は日常生活において様々な問題を抱えることがあります。 気分障がいの原因は、脳の神経化学の変化や遺伝的な要因、ストレスなどが関与します。特定の生活イベントや季節の変化も発症に影響を与えることがあります。治療法としては、薬物療法や心理療法、生活習慣の改善が行われますが、個々の症状や重症度によって治療方針が異なります。 これらの精神障がいは、個々の症状や影響が異なるため、適切な診断と治療が重要です。また、ストレスへの脆弱性を持つ人々が発症しやすいとされるため、心理的なサポートや適切なケアが必要です。 発達障がい 発達障がいは、脳の発達に関する先天的な異常によって引き起こされるものであり、その特性は個々の障がいによって異なります。ここでは、よく知られている発達障がいのいくつかを詳しく見てみましょう。 自閉スペクトラム症(ASD) 自閉スペクトラム症は、社会的な相互作用やコミュニケーション、興味や行動における制限されたパターンなどが特徴です。例えば、他人との関わりを避ける傾向や、反復的な行動が見られることがあります。 ASDは、生涯にわたって持続する障がいであり、個々の症状や重症度は大きく異なります。多くの場合、早期の介入や適切な支援が必要です。 注意欠陥・多動症(ADHD) ADHDは、注意力の欠如、衝動性、多動性などが特徴的な障がいです。これにより、学校や職場での集中力や組織力が低下し、日常生活に支障をきたすことがあります。 環境要因や遺伝的な要因が発症に関与する可能性があります。多くの場合、行動療法や薬物療法などが症状の管理に用いられます。 学習障がい(LD) 学習障がいは、読み書きや計算などの基本的な学習スキルの獲得に困難を抱える障がいです。これにより、学業成績や学習へのモチベーションが低下し、自己価値感に影響を与えることがあります。 環境要因や遺伝的な要因が発症に関与する可能性があります。個々のニーズに応じた教育的な支援や学習療法が重要です。 これらの発達障がいは、個々の特性や症状に応じて様々な支援や介入が必要です。早期の診断と適切な支援を提供することで、個々の能力を最大限に引き出し、日常生活における成功や満足度を高めることができます。 特性や影響は異なるが共通して理解される必要がある これらの障がいには、個々の特性や影響が異なりますが、共通して理解される必要があります。支援やケアの提供においては、その人のニーズや特性を十分に理解し、個別化されたアプローチが重要です。また、二次障がいを引き起こす可能性も考慮する必要があります。 まとめ 障がいは、身体的な制約から知的な遅れ、精神的な変化、発達上の課題まで、様々な形で現れます。それぞれの障がいは、個々の人の生活や関係に異なる影響を与えますが、理解と支援を通じて、誰もが充実した生活を送る機会を得ることができます。 参考 どんな種類の障がいがあるの? 知っておきたい基礎知識をご紹介|ワークリア -
先進国で精神疾患が増え続けている”理由”とは?多くの精神疾患は治療対象ではなかった?
現代社会が以前に比べて便利で快適なはずなのに、なぜ精神疾患が増加し続けているのか。精神科医であり、『人間はどこまで家畜か 現代人の精神構造』を執筆した熊代亨氏は、先進国の社会や文化、環境が、かつては「普通」とされていた人々にも精神医療を必要とさせるほどの圧力をかけていると指摘しています。 アメリカでは5人に1人がうつ病 アメリカの若者の5人に1人がうつ病に苦しんでいるという現実があります。ニューヨーク市立大学の研究によれば、アメリカ人の10人に1人、特に若者の5人に1人がうつ病と診断されています。ただし、精神疾患の有病率はさまざまな要因によって左右されるため、これらの結果を解釈する際には慎重さが求められます。 近世以降、精神医療は徐々に整備されてきました。初期の段階では、犯罪者や浮浪者との区別なく精神病者を収容する施設が設立されました。しかし、これらの施設はしばしば人権を無視した取り扱いが行われ、同様の症状を持つ人々を単純に集める場として機能していました。 精神医療は、かつては社会からはみ出した人々を対象としていましたが、同時に社会からの防衛システムとしても機能してきました。しかし、過去の反省に基づき、より人権を尊重した精神医療の実践が求められ、制度改革が進められています。 古代ギリシア時代では異なる文脈で捉えられていた 古代ギリシア時代においては、私たちが現代で「病気」として認識する精神疾患は、まったく異なる文脈で捉えられていました。 プラトンの哲学によれば、狂気は神話的な世界と密接に結びついており、神の啓示や創造的な活動に関与するものと見なされていました。そのため、統合失調症やうつ病のような現代の精神疾患が、古代ギリシア社会において「病気」として完全に理解されていたわけではありませんでした。 古代ギリシアの人々は、精神の異常を神秘的な力や神の介入として解釈する傾向がありました。症状が現れた場合、それは神々の意志によるものと考えられ、神託や神秘的なメッセージを受け取る者として特別視されることもありました。 そのため、現代のような医学的なアプローチや生物学的な裏付けに基づく診断は存在せず、疾患の根本的な理解が欠けていました。 近代の医学の進歩 統合失調症やうつ病などの精神疾患が、生物学的なメカニズムや遺伝的特徴と関連していることが明らかになったのは、近代の医学の進歩によってでした。しかし、古代ギリシア社会では、これらの疾患が単なる生理学的な異常ではなく、神話や宗教的な文脈で解釈されていました。 時代や文化によって病気の認識や評価が変わることは、精神疾患において特に顕著です。身体の病気については、その病理学的特徴が基本的に不変であり、肺がんや痛風などはその性質が変わらずに病気として認識されます。 精神疾患の場合は異なる しかし、精神疾患の場合は異なります。文化や環境の違いによって、病気としての評価が大きく変わることがあります。限局性学習症やゲーム症のような疾患は、その文化や環境の中で初めて発見されたり、認識されたりします。 社会が進展し、文化や環境が変化するにつれて、人々に求められる能力や行動も変わってきます。新たに求められる能力や行動に対応できない人々が、精神疾患として扱われ、治療や支援の対象となることがあります。 精神医療の歴史を振り返ると、過去の英雄や尊敬された人々が、現代においては精神疾患として苦しむ姿が見えてきます。かつては社会や文化の期待に応え、尊敬され、生きる喜びを感じていたであろう彼らが、現代では精神疾患によって苦しむ姿があります。そのような事実を見ると、彼らが中世の英雄であったかもしれないと思うこともあります。 時代や文化の違いがその判断に影響を与える 私たちが病気について考える際、時代や文化の違いがその判断に影響を与えることは明白です。身体の病気に関しては、その病理学的特徴が基本的に不変であり、肺がんや痛風などはその性質が変わらずに病気として認識されます。 しかし、精神疾患の場合は異なります。文化や環境の違いによって、病気としての評価が大きく変わることがあります。 文化や環境が変化し求められる能力や行動も変化 社会が進展し、文化や環境が変化するにつれて、人々に求められる能力や行動も変わってきます。新たに求められる能力や行動に対応できない人々が、精神疾患として扱われ、治療や支援の対象となることがあります。 精神医療の対象となる人々の数は近年急激に増加 認知症や発達障がいなど、精神医療の対象となる人々の数は、近年急激に増加しています。 精神科を標榜する診療所の推移を見ると、1996年から2020年の24年間で2倍以上に増加しています。さらに、厚生労働省の「患者調査」でも増加が確認されています。しかし、令和2年の数値は集計方法の変更の影響もありますので、注意が必要です。 認知症の増加は、日本人の平均寿命の延長によるものです。一方、近年注目されている発達障がいは、「その他の精神及び行動の障がい」に含まれます。その特性から、統計上は目立ちにくいですが、2002年から2017年の15年間で約3倍に増加しています。 注意すべき点 ただし、注意すべき点があります。患者統計では、通院間隔が1カ月以内の患者のみが計上されています。発達障がいの患者は通院間隔が長めであるため、この統計に漏れやすい傾向があります。令和2年の統計では通院間隔が99日以内に改められたことで、発達障がいの増加割合が2倍以上と大幅に増加しました。 また、発達障がいに該当する患者が他の精神疾患の主病名とみなされている場合もありますので、統計の解釈には慎重さが求められます。 軽度のパニック症や双極症なども、現代では治療の対象に含まれています。うつ病や双極症(双極性障がい、躁うつ病とも)などの気分障がいや、不安症やストレス関連障がいも、治療の対象となっている病気のカテゴリーです。こうした病気の増加率も高いです。 適切な治療が行われることがなかった 昔は、比較的軽度の不安症やパニック症、社交不安症などは精神科を受診することが少なかったです。不安神経症や赤面恐怖といった名称で診断されることもありましたが、精神科のクリニック数や受診者数が少なかったため、適切な治療が行われることはありませんでした。 双極症も、過去には激しい興奮や誇大妄想を伴う患者に対して診断されることが一般的でした。しかし、20世紀以降、双極症の診断範囲が拡大し、双極症II型など、より広範囲の患者が適切な診断と治療を受けるようになりました。 セロトニンの重要性 現代社会において、セロトニンの重要性がますます高まっています。うつ病といった精神疾患の診断基準が拡大する中、最もポピュラーな精神疾患であるうつ病もその例外ではありません。 アメリカ精神医学会の診断基準(DSM)では、20世紀以前には異なる病名が付けられていた状態も、今日ではMajor depressive disorderとして一括されています。 この診断範囲の広がりは、DSMのバージョンアップに伴う診断基準の変化からも読み取れます。さらに、1980年代からアメリカ、1999年から日本で使用されているSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)の登場も大きな要因です。SSRIはセロトニンの利用可能量を増やすことで抗うつ効果を持つため、うつ病や不安症、月経前症候群などの治療に広く使われています。 アメリカでは過剰な診断と治療に警鐘 精神医療の範囲は広がり続け、不安や恐怖、気分や感情の幅広い領域が治療の対象となっています。この過剰な診断と治療に対し、アメリカでDSMの改訂に関わった精神科医のアレン・フランセスは、著書『〈正常〉を救え』の中で警鐘を鳴らしました。彼は、診断と治療が過剰になり、抗うつ薬などが濫用される可能性について懸念を示しています。 アメリカでは、成人の双極症が15年間で2倍に、ADHDは3倍に、ASDは20倍に、子どもの双極症は40倍に増加したとの報告があります。これらの増加は医療化の影響を受けているとされ、医療者や製薬会社の関与に批判的な声が上がっています。 「文化的な自己家畜化」 社会学者のピーター・コンラッドも、医療化を批判的に論じています。彼は医療化の進展に医師の功名心が関与していると指摘しており、新しい疾患概念を提唱する医師が名声を得ることで、新たな専門分野や地位が生まれることを指摘しています。 医療者や製薬会社の責任は否定できませんが、社会全体が「文化的な自己家畜化」の進展によって影響を受けているとも言えます。 日本の文化や環境では、安全・安心が重視され、功利主義が強く根付いています。このような環境下では、感情の安定やアンガーマネジメントが求められ、ストレスや不安を抱えていることが許されないと感じる人も少なくありません。 精神疾患の領域が拡大することは避けられない 人々が生物学的な自己家畜化により、穏やかなHPA系と豊富なセロトニンを持つようになったとしても、中世以前の環境に適応した人々にとって、現代の文化や環境への適応は容易ではありません。現代社会では、常にHPA系の自己抑制が求められ、セロトニンの重要性が高まっています。そのため、抗うつ薬SSRIのような救済策が待望されるのは当然のことです。 社会契約や資本主義、個人主義の進展と関連して、精神疾患の領域が拡大することは避けられないように思われます。『分裂病と人間』に記されたように、古代ギリシアでは勤勉さは極端ではありませんでしたが、現代社会では状況が異なります。 先進国の方が精神疾患の有病率が高い 現在のアメリカ精神医学会の診断基準では、わずか2週間の抑うつでうつ病の診断が可能ですが、アメリカ社会では個人の自由と自己責任が重視され、勤勉で効率的な生活が求められます。実際、先進国と開発途上国を比較すると、先進国の方が精神疾患の有病率が高くなっています。 精神疾患の有病率の増加は、生物学的な問題の増大よりも、先進国の文化や環境が人々に課している課題や、個々の行動特性や状態が許容されなくなっている度合い、精神医療の普及状況などを反映している可能性があります。 「勤勉が猖獗をきわめる」問題 精神医療の普及は、現代社会における「勤勉が猖獗をきわめる」問題を解決していると言えるでしょうか。 私としては、ある程度までは解決していると考えています。早期診断・早期治療が、メンタルヘルスを守り、個人を守る防波堤として機能していることは間違いありません。現代の精神医療や福祉が果たしている役割は重要であり、軽視すべきではありません。 しかし、問題も多く存在します。まず第一に、精神医療の普及が進む一方で、現代社会はますます競争が激しくなり、個人がますます働かされることになっているように見えます。また、精神疾患が生物学的側面に焦点が当てられる中、それが個人の生物学的な問題として矮小化され、社会や職場の問題として考えられにくくなっているように感じます。 医療や福祉がどの程度貢献しているか 精神医療や福祉が患者の自由にどの程度貢献しているかという点も問題です。精神科病院に長期入院する患者や、社会復帰が限定的な患者も多く存在します。日本の精神医療は保護が手厚い反面、患者の選択に対する介入も多いと感じます。 患者の社会復帰が真の意味で成り立っているかどうかも疑問です。障がい者雇用の代行ビジネスが急増する中、それが障がい者の排除を隠れ蓑にしたものである可能性も考えられます。 個々の自由や尊厳を尊重することも重要 医療や福祉の充実は重要ですが、個々の自由や尊厳を尊重することも同じくらい重要です。社会が高度化し、ニーズが増大する中で、ひとりひとりの自由を尊重し、インクルーシブな社会を目指すことが必要です。 まとめ 医療や福祉の充実は確かに重要ですが、同じくらい重要なのは個々の自由や尊厳を尊重することです。精神医療の進展に伴い、社会や文化が生じる圧力や要求に、個人が適応できるよう支援することも重要です。社会が高度化し、ニーズが増大する中で、ひとりひとりの自由を尊重し、個人の尊厳を守るインクルーシブな社会を目指すことが必要です。 参考 かつての「普通の人」が、現代では「心を病んだ人」に…先進国で精神疾患が増え続けている"本当の理由" 多くの精神疾患は治療対象ではなかった #プレジデントオンライン -
「発達障がい?愛情不足?」困った子供の行動を見極める:愛着の問題と発達障がいの特徴
困った子供の行動の原因を見極めるには、心理学者の米澤好史さんが指摘するように、愛着の問題や発達障がいなどの要因を考慮する必要があります。愛着の問題を抱える子供は、ADHDを持つ子供と似た行動を示すことがありますが、その特徴には違いがあります。 例えば、「多動」の場合、愛着の問題を抱える子供は多動に「ムラがある」一方で、ADHDの子供は「いつでもどこでも」「何をしているときでも」多動します。さらに、ASDの場合は居場所感を失ったときに多動が起こります。これらの違いを理解することで、心配する必要がなくなり、子供の支援や対応の方針をより適切に取ることができます。 愛着の問題は修復可能 愛着の問題がいつでも、誰にでも修復できるという考え方は、非常に重要です。愛着は子供が健やかに成長し、自己肯定感を築き、信頼を持ち、自立して歩むための重要な土台となります。このため、愛着形成はどの子供にとっても不可欠な要素です。 しかし、愛着の問題はしばしば乳幼児期の養育に関する誤った理解から、親にとってはタブーとされ、避けられがちです。実際には、愛着の問題は子供たちをよく観察し、適切な対応を重ねることで修復可能なものです。そのため、愛着の問題に直面した場合には、決して絶望せずに取り組むことが大切です。 特徴を見極めるための5つのポイント では、その子供の特徴を見極めるためには、何が重要でしょうか?行動、認知、感情という観点から子供の振る舞いを観察することが重要です。特に、以下の5つのポイントで子供の行動を観察することで、彼らの特徴が明らかになります。この観察を通じて、愛着の問題と発達障がいの特徴を見分けることができ、適切な支援や対応を行うことが可能となります。 ポイント①「多動」のあらわれ方をチェックする こどもと共に生活する大人であれば、誰でも見分けられるのが、「多動」のあらわれ方です。多動は、落ち着きがなく動き回る行動です。一般的には、このような行動はADHDに特有だと思われがちですが、実際にはASD(自閉スペクトラム)のこどもや愛着の問題を抱えるこどもにも見られることがあります。ただし、その違いを見分けるのは難しくありません。 ADHDのこどもはいつでも多動 ADHDのこどもは、「いつでもどこでも」「何をしているときでも」多動します。学校、保育園、学童保育、放課後クラブ、スーパー、公園、そして自宅でも、どこでも落ち着きなく動き回ります。彼らの多動は「普段と違うから」や「居心地が悪いから」といった認知的要因や、「楽しいから」や「怒っているから」といった感情的要因とは無関係です。単純に行動の問題として多動しているのです。 そのため、自宅での行動だけで判断せず、学校や保育園などでも同様に多動しているかを確認する必要があります。さまざまな人からの情報を集め、「いつでもどこでも」多動している場合は、その子がADHDである可能性が高いと考えられます。 多動という特徴があっても、それが「いつも」ではないと気づいたら、他の可能性を探ることが重要です。 ASDのこどもは居場所感を失ったとき ASDのこどもに起こる多動は、「居場所感」という認知と関係しています。居場所感とは、自分がその場所にいてもよいと感じることや、その場所で何をすればよいかを理解することです。ASDのこどもは、自分の好きなことをしている居心地のいい場所ではとても落ち着いています。 しかし、いつ多動が起こるのでしょうか?それはこの居場所感を失ったときです。例えば、こどもが好きな本を読んでいるときに、予定変更やルール変更があると、その居場所感が奪われたと感じ、急に多動することがあります。たとえば、本を取り上げられると部屋を飛び出してしまうなどの反応が見られます。 このような状況がASDのこどもの多動の特徴です。彼らが特定の状況で多動することは、居場所感の変化に対するストレスや不安から生じるものです。そのため、多動が発生する背景や状況を理解し、彼らのニーズに合ったサポートを提供することが重要です。 感情によってムラがあるか 愛着の問題を抱えているこどもの場合、多動に「ムラがある」のが特徴です。例えば、昨日は落ち着いていたのに、今日は落ち着きなく動き回るという現象がしょっちゅう起こります。このムラを生じさせているのは感情です。 感情は一瞬にして変わるものであり、一日中同じ気持ちで過ごすことはありません。この変わりやすい感情の影響を受けて、多動になったりならなかったりするのです。 刺激が多い環境では感情が高ぶり多動が起こることも たとえば、学校で、好きな教科の授業では落ち着いているのに、嫌いな教科では落ち着きなく動き回ることがあります。これは、「好き/嫌い」という感情に左右される“ムラのある多動”です。ネガティブな気持ちが、多動を引き起こすこともあります。 また、過去の感情が原因で多動が起こることもあります。たとえば、朝お母さんに怒られたことが気になって感情がコントロールできないというような状況です。 他にも、刺激が多い環境では感情が高ぶり、多動が起こることがあります。お母さんとふたりきりのときは大丈夫なのに、スーパーに行くと多動になる子どももいます。 感情に左右される したがって、愛着の問題を抱えるこどもにあらわれる多動は、感情に左右されます。そのため、その子の感情の発達や混乱具合によって、日ごとに多動の度合いが変わったり、独自のパターンが現れることもあります。 こうした多動のあらわれ方の違いは、日常的に一緒に過ごす人であるほど、見極めは難しくないはずです。一方で、普段の姿を見ていない医師や専門家には、正しく判断するのが難しいかもしれません。 見分けるポイント②友だちとトラブルが起きたときの様子をチェックする 人間関係は愛着という絆を築いた後に育まれるものであり、愛着の絆がうまく形成されていない場合、他者とのトラブルがより頻繁に起こります。 愛着の絆が十分に形成されていないこどもは、感情の未発達で自分の感情を理解できず、「謝れない」特徴があります。罪悪感を抱くことが難しく、謝ることで感情が軽くなることを理解していないためです。 ADHDとASDでは反応が違う さらに、感情の問題が常に根底にあるため、集団の中での影響を受けやすく、特に「1対多」の状況ではアピール行動が増え、落ち着きがなくなることがあります。ADHDのこどもも友だちとの関係に影響を及ぼす行動の問題を抱えていますが、自分の行動が原因で相手に不快感を与えたと気づいた場合はすぐに謝ることができます。 この点で愛着の問題を抱えるこどもとの違いが見られます。ADHDは先天的な行動の問題であり、状況の変化による影響は少ないですが、ASDのこどもにとって問題となるのは認知です。自分がとらえている世界に他者が入ってくることを好みませんし、その理由を理解できないため、トラブルが生じることがあります。 友だちとの関係にトラブルが起きた際、その後の言動を観察することで、こどもたちの特徴がより明確になります。 見分けるポイント③片づけられない・ルールを守れない理由をチェックする 「片づけができない」「ルールを守れない」現象は、ADHDのこどもにも、愛着の問題を抱えるこどもにも見られるものですが、その理由は異なります。 まず、ADHDのこどもは片づけが本当に苦手です。片づけは複数の工程を経て行われる作業であり、注意欠如や衝動性の特性から、途中で他のことに気が取られたり、突発的な行動を取ったりして、最後まで片づけを遂行することが難しいのです。これは〈行動〉の問題です。 自己制御が難しいために規則を守れない 片づけをする際には、一連の作業を一気にやらせるのではなく、段階的に分けて取り組むことが重要です。作業ごとに小分けにして取り組むことで、注意を集中させやすくなり、片づけを完了させることができます。 ルールを守れない理由も同様です。ルールを守りたいと思っていても、自己制御が難しいために規則を守れないことがあります。この場合も、反省はするものの、同じ行動を繰り返してしまうことが特徴です。 段階的な指導やサポート 片づけやルールの守り方については、ADHDのこどもや愛着の問題を抱えるこどもそれぞれに適したアプローチが必要です。段階的な指導やサポートを通じて、彼らがより効果的に片づけやルールを守ることができるように支援することが重要です。 片づけに心地よさや意味を感じられるか、それに対して、愛着の問題を抱えるこどもが片づけられない理由は別にあります。 愛着の問題を抱えるこどもの場合 愛着の問題を抱えるこどもが片づけられないのは、片づけが苦手だからではなく、「なぜ片づけないといけないのか」「片づけるとどんな気持ちになるのか」がわからないからです。 彼らにとって片づけることが気持ちいいと感じる経験がないため、片づけに対する意欲が湧きません。気分がいいときは片づけに取り組むこともありますが、その気持ちが持続せず、最後まで遂行することが難しいのです。 ルールを守る動機が生まれない 同様に、ルールを守れないのも、感情の問題です。ルールを守ることで得られる気持ちよさや満足感を学べていないため、ルールを守る動機が生まれません。むしろルールを逸脱して注目を集めようとする特徴があります。 ASDのこどもは自分のとらえ方によって異なる 一方で、ASDのこどもは、自分のとらえ方(認知)によって片づけやルールを守るかどうかが異なります。彼らにとって片づけやルールが心地よさや意味を持つかどうかが重要であり、自分の理解に基づいて行動します。 このように、愛着の問題を抱えるこどもとASDのこどもの片づけやルールへのアプローチは異なります。彼らが片づけやルールを理解し、意欲を持って取り組むためには、彼ら自身の感情や認知に対する理解が欠かせません。 見分けるポイント④不適切な行動を注意したときの反応をチェックする 不適切な行動を指摘されたときの反応は、こどもたちの特徴を見極めるための重要なポイントです。 ADHDのこどもは、注意されるとすぐに気づいてその行動を正すことができます。しかし、注意された内容をすぐに忘れて同じ行動を繰り返すことがあります。そのたびに確認を行う必要があります。 また、理由を尋ねても、振り返りが苦手なために自分の行動の理由を思い出せないことがあります。また、指示されたことを待たずに即座に行動する傾向があります。なんでもすぐに行動に移すことがADHDの特徴です。 愛着の問題を抱えるこどもは自己防衛的な反応 一方、愛着の問題を抱えるこどもたちは、不適切な行動を指摘されると自己防衛的な反応を示します。理由を尋ねても知らないと答えることがあり、他の誰かのせいにすることもあります。安全基地を体感できていないため、自分を守るためにウソをついたり正当化しようとするのです。 指示に対する反応も気分に左右されます。指示に従うこともありますが、ご褒美だけ先にもらって肝心のことを後回しにすることもあります。これらの反応を観察することで、こどもたちの特徴をより深く理解し、適切なサポートやアプローチを行うことが重要です。 ASDのこどもは自分の理屈で反論する傾向 ASDのこどもは、困った行動を注意されると、「だって……」と自分の理屈で反論する傾向があります。 彼らは自分が納得できないことはなかなか受け入れません。それぞれが独自の世界観を持っているため、他人との認識の違いが起こりやすく、意思疎通が難しい場合があります。 そのため、外部から見れば不適切な行動でも、彼らが自分の世界でその行動を正当化することがあります。自分がしたいと思えば、彼らの基準に従って行動することがあります。 理由を尋ねると、彼らなりの独自の返答が返ってくることがあります。彼らの行動の基準はいつでも自分の認知であり、外部からの判断に左右されません。 見分けるポイント⑤あえて無視してこどもの反応を観察することも重要 ADHDのこどもは、その行動に報酬を与えられなかった場合、自然とその行動が減少する傾向があります。これは、「計画的無視」という方法であり、応用行動分析や認知行動療法でよく使われます。また、ペアレントトレーニングでも頻繁に採用されています。 愛着の問題を抱えるこどもはアピール行動が増加 一方で、愛着の問題を抱えるこどもは、感情の問題があるため無視されることで「こっちを向いてほしい」という気持ちが高まり、アピール行動が増加することがあります。このため、困った行動が増えたり、無視された人の言うことを聞かなくなったりすることがあります。無視することによって関係性が形成されないためです。 ASDのこどもはどうとらえるかで反応が異なる ASDのこどもたちは、無視されたことをどうとらえるかで反応が異なります。彼らは基本的に自分の行動を他の人がどうとらえるかについてあまり興味がないため、無視されてもそれほど影響を受けないことがあります。そのため、無視されたことに対して特別な反応を示すことは少ないでしょう。 しかし、親が自分の行動に注意を向けず、無視することで、彼らはますます自己中心的な行動を取る傾向があります。これは、彼らが他人の視点や感情を理解するのが難しいためです。 日常生活の中で反応を観察することが大切 親が彼らの行動を観察し、適切な対応をすることが重要です。ポイントを参考にしながら、日常生活の中でお子さんの反応を観察してみてください。そうすることで、彼らの特徴をよりよく理解し、適切なサポートを提供できるでしょう。 まとめ 愛着の問題や発達障がいなど、異なる要因を考慮することで、子供の行動の背景を理解し、適切な支援やアプローチを行うことが可能です。親が子供の行動を観察し、困難な状況にも決して絶望せずに取り組むことが大切です。 参考 これで子供の困った行動が不安でなくなる…「発達障がいか」「愛情不足か」子供の特徴を一発で見極めるポイント 困った行動を無視したときの反応をチェックする #プレジデントオンライン -
発達障がいの子供たちのコミュニケーション、なぜすれ違ってしまうのか…特徴と理由を知ろう!
発達障がいを抱える子供たちにとって、日常の会話は時に大きな挑戦です。相手の言葉に耳を傾けることが難しく、自分の考えや感情をうまく伝えることも難しいことがあります。会話の中で相手の話を聞かずに熱弁をふるったり、相手の話の途中で気が散ってしまったりすることは珍しくありません。 そのため、彼らが他の人と異なる独自のコミュニケーションスタイルを持っていることを学習してみましょう。そして、同じような経験を共有する仲間との出会いが、彼らにとっては心地よいコミュニケーションの場となることもあります。 会話には一定のパターンが存在 発達障がいの子供たちが会話で苦手な部分を理解するために、会話の研究者たちは一つひとつの言葉を分析し、会話には一定のパターンが存在することを明らかにしています。以下では、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、そして学習障がい(LD)の子供たちがそれぞれ会話でどの部分が苦手なのかを見ていきましょう。 『発達障がいの子の「会話力」を楽しく育てる本』には、発達科学の知見に基づいた実践的なアドバイスが満載です。この本では、子供たちが楽しみながら会話力を向上させるための具体的な方法が提案されています。発達障がいの子供たちがなぜ会話でつまずくのか、その特徴や困難の背景を理解することは、彼らに適切なサポートを提供する上で非常に重要です。 自閉スペクトラム症:相手とのコミュニケーションが難しい 自閉スペクトラム症の子供たちは、自分の話したいことを熱心に語ることが得意ですが、会話が一方的になりがちで、相手とのコミュニケーションが難しい場合があります。彼らにとって相手の立場や感情を考慮して話すことや、相手の話に対して適切に反応することが難しい場合があります。 また、相手に適切なタイミングで話しかけることが難しい子供もいます。さらに、「説明力」や「解像度」「語用論」「協調性」「丁寧さ」といった要素においても、特徴が現れることがあります。たとえば、細かいディテールにこだわる一方で、会話全体の流れを把握するのが難しいことがあります。 注意欠如・多動症(ADHD):話の途中で内容を確認することが苦手 注意欠如・多動症の子供たちは、社交性が高く、初対面の相手でも気軽に話しかけることがあります。しかし、相手との交互のコミュニケーションや話の途中で内容を確認することが苦手です。 そのため、「説明力」を身につけるのが難しい場合があります。また、注意力が散漫になりやすいため、話の中で重要なポイントを見逃したり、相手の話を聞き逃したりすることがあります。 学習障がい:自分の考えを言葉や文章でうまく表現することが難しい 学習障がいの子供たちは、自分の考えを言葉や文章でうまく表現することが難しい傾向があります。会話の進行がゆっくりであり、特に話をはじめることや掘り下げることが苦手で、「説明力」が弱いことがあります。また、情報を整理して表現することや、相手の話に対して適切に反応することが難しい場合があります。 「相手とのキャッチボールにならない」 自閉スペクトラム症(ASD)の子供たちの会話は、しばしば「相手とのキャッチボールにならない」と表現されます。彼らは言葉を一方的に投げかけることが多く、相手の言葉を受け入れることが難しいように見えます。これは、ASDの子供たちが自分の興味ややり方を優先しやすいという特徴に関連しています。彼らが相手の話を無視しているのではなく、むしろ自分の話に意識が集中しているのです。 テーマや目的のない雑談には特に苦手意識 ASDの子供たちは言葉の意味や話の内容にこだわる傾向があります。そのため、テーマや目的のない雑談には特に苦手意識があります。このような雑談の中で会話力を発展させるのは難しい場合があります。その代わりに、彼らにとって興味深い趣味のグループなどに参加し、共通の話題がある場で会話を繰り返すことが、より良い経験となるでしょう。 ASDの子供たちが自分のペースで会話を進め、自分の興味に沿った話題を楽しむことができる環境を提供することが重要です。彼らが安心してコミュニケーションを取ることができるよう、適切な支援と理解が必要です。 ASDの子の特徴 急に話し始める: ASDの子供たちは突然相手に話しかけることがあります。しかも、その内容は相手への質問攻めや趣味の詳細な解説などで、普通の会話の流れからは外れることがあります。 一方的に話す: 興味を示さなくても、ASDの子供たちは相手が興味を示さないまま話を続けることがあります。また、本で読んだ内容をそのまま解説し続けることもあり、演説のような状況になることがあります。 相手の言葉をスルー: 会話中に相手が言葉を挟んでも、ASDの子供たちは無視したり、相手の発言を遮ったりすることがあります。彼らは自分の話に集中しすぎて、相手の言葉を聞き逃すことがあります。 話を元に戻せない: 相手の話題とは関係のないことを話し始めた場合、ASDの子供たちはそれに気づいても元の話題に戻るのが難しいことがあります。 ASDの子のすれ違いの背景 相手の話を取り入れられない: ASDの子供たちは相手の発言を受け入れ、その話題を発展させるような返答が上手くできないことがあります。 反応が乏しい: 相手の話に対して適切な反応を返すことが少ないため、会話がスムーズに進まないことがあります。 会話に集中できなくなる傾向 ADHDの子供たちは、会話の途中で他のことに気を取られると、急に話題を変えたり、会話に集中できなくなる傾向があります。その結果、会話がまとまりにくくなります。周囲の人が会話の流れを修復する意識を持ち、説明や理解を補うことで、会話の乱れが減少し、会話が成立しやすくなります。 ADHDの子の特徴 話が分散していく: 思いつきで話題を次々に変えることがあります。話が広がっていく一方で、まとまりにくくなります。そのため、周囲の子供たちが会話についていけないことがあります。 説明が中途半端になる: 会話の途中で他のことに気を取られるため、話が中途半端に終わってしまい、十分な説明や理解ができないことがあります。 ADHDの子のすれ違いの背景 話を整理できない: 会話の「修復」が苦手で、話が乱れたときに元に戻すことができません。また、話の順番を待つことも難しい特徴があります。 本人が自分の気持ちをうまく表現できていないことがある 学習障がい(LD)の子供たちは、受け答えが正確であり、会話がキャッチボールとして成立しているように見えても、本人が自分の気持ちをうまく表現できていないことがあります。彼らが自分の考えや感情を十分に伝えるのを助けるためには、周囲の人が積極的に質問をし、じっくりと話を聞くことが重要です。 このように、子供たちが話題を継続していけるようにするには、周囲の人が積極的に関与し、彼らが自分の考えや感情を表現できるようにサポートすることが必要です。 LDの子の特徴 聞き漏らしがある: 言葉や文章をスムーズに聞き取るのが苦手で、一部を聞き漏らしたり、聞いてはいるものの理解できていないことがあります。 言葉がうまく出てこない: 言いたいことはあるものの、それを言葉や文章でうまく表現することが難しいです。 LDの子のすれ違いの背景 話を組み立てられない: 言葉や文章を扱うことに苦労しており、会話の継続が難しいです。言葉を重ねて、詳しく説明することが苦手です。 発達障がいの子供たちは、説明が苦手な傾向があります。ASD、ADHD、LDのいずれにも共通する困難であり、多くの子供が悩んでいます。 自分の考えや感情をうまく伝えられない 彼らは自分の考えや感情をうまく言葉で表現するのが難しく、家族や先生、友達にうまく伝わらないことがあります。彼らの話がわかりにくいのは、個々の子供によって異なります。話がいったりきたりする子供や、感情的で断片的な話し方をする子供、説明をはしょる傾向がある子供など、さまざまなパターンがあります。さらに、事実と空想を混ぜて話す子供もいます。 話の流れを整えるサポートが有効 いずれの場合も、彼らの話の流れを整えるサポートが有効です。周囲の大人が子供たちの話を注意深く聞き、必要な場合には質問をしたり、説明を補ったりすることで、子供たちが自分の意思や気持ちを適切に表現できるよう支援することが重要です。また、コミュニケーションスキルを向上させるために、継続的な訓練や指導も役立ちます。 全タイプに共通する特徴 話に筋道がない: 物語や出来事を伝える際に、筋道を立てて話すことが難しいです。突然結末を語ったり、話の流れが不連続になることがあります。 感情的な説明に: トラブルなどを説明すると、感情的な話になりがちで、客観的な事実が見えにくくなります。 全タイプに共通するすれ違いの背景 元の話を覚えていない: 物語や出来事の全体像を覚えておらず、興味を持った部分だけを中心に覚えています。そのため、話が微妙に変化することがあります。 状況を理解できていない: 物語や出来事を一度目にしたが、その状況を理解できていないことがあります。後で振り返って説明するのが難しいです。 過去と現在がつながりにくい: 過去の出来事とその後の経過をつなげて考えるのが難しいです。関連性に気づきにくい子供や、流れを整理できない子供がいます。 まとめ 発達障がいを抱える子供たちのコミュニケーションは時に大きな挑戦ですが、理解とサポートがあれば、彼らの成長と自信につながることでしょう。彼らの独自のコミュニケーションスタイルを尊重し、適切な支援を提供することで、彼らが豊かなコミュニケーションを楽しめるよう促進しましょう。 参考 発達障がいの子の会話は、なぜすれ違ってしまうのか…話し方の特徴を知れば、理由がわかる!(現代ビジネス)#Yahooニュース -
「非正規雇用」の現実 年収1500万が中途障がいで暗転 障がい者雇用の現状と挑戦
障がい者の雇用は、一定数以上の従業員を抱える事業主にとって義務です。法定雇用率は、全従業員のうち身体や知的、精神障がい者の割合を示し、今年4月には2.3%から2.5%に引き上げられました。 これは、40人の従業員のうち1人が障がい者であることを意味します。そして、2026年には2.7%にさらに引き上げられる予定です。しかし、現状でも従来の2.3%でさえ、達成率は約50%にとどまります。達成できない場合は、納付金の支払いや行政指導、企業名の公表などのペナルティが課されますが、これらが改善に繋がるかは不透明です。 突然身体障がい者になってしまう 突然の障がいで職を失った濱田靖さん(58歳)は、神奈川県茅ヶ崎市に暮らしています。彼は肢体不自由で、身体障がい者手帳2級を所持しています。右半身がマヒしており、上肢は親指と人さし指しか動かせず、下肢はひざから下の感覚がほとんどありません。 彼の障がいは2004年9月に発生しました。茅ヶ崎市の病院で健康診断を受けている最中に、採血中に意識を失いました。目が覚めると、全身の筋肉が硬直しており、動けませんでした。妻に迎えに来てもらい、借りた車いすに乗って帰宅しましたが、玄関で再び昏倒し、翌朝まで意識が戻りませんでした。 「働く中で一番つらい」 濱田さんは療養のために実家がある佐賀県へ帰省し、医師から脳に小さな梗塞のような痕跡がたくさんあると告げられました。さらに、頸椎や脊髄の損傷も発覚しました。約1カ月半の入院と懸命なリハビリの末、杖をつけば歩けるまで回復しましたが、医療事故を主張しても健康診断を実施した病院側から認められず、民事訴訟でも敗訴に終わりました。 彼は自らの経験から、「ただ障がい者というだけで、周囲から『何もできない人』と見なされる。それが働く中で一番つらい」と語ります。 身体障がい者となってから一変 濱田さんはそれまで、特に大病を患った経験はありませんでした。高校卒業後、難関大学の受験で2年間浪人しましたが、合格せずに就職しました。何度か転職を経験し、30歳の時には接着剤や塗料を開発するベンチャー企業の立ち上げに携わりました。少人数だったため、営業や施工、新製品の研究など、多岐にわたる業務をこなしました。 激務と引き換えに事業は軌道に乗り、ピーク時の年収は約1500万円に達したといいます。しかし、経済的に恵まれた生活環境は、身体障がい者となってから一変しました。勤め先に事情を説明すると、すぐにリストラされ、退職金も出ず、生活のために貯金を切り崩す毎日を送りました。佐賀では障がい者向けの求人が少なかったため、神奈川の自宅へ戻り、ハローワークに通いました。 「何か自分にもできる仕事があるはず」 「体が不自由になったとはいえ、頭はハッキリしている。何か自分にもできる仕事があるはず、という思いが心の支えだった」と濱田さんは語ります。しかし、新しい職場は見つかりませんでした。企業が優先的に雇いたがるのは、受け入れが容易な軽度の障がい者であり、症状が比較的重い濱田さんはなかなか採用に至りませんでした。 「自分は誰からも必要とされていない」 8年間で4社を渡り歩いた濱田さんの人生は、困難と挑戦に満ちたものでした。彼は半年ほど経った頃に「自分は誰からも必要とされていない」と感じ、心が折れました。精神科を受診すると、重度の鬱病と診断されました。飼い犬に癒やされながらも、立ち直るまでには時間がかかりました。その間、約10年間もの間、働くことができずに無収入の状態が続きました。 妻は濱田さんの介護のために仕事を辞め、パートタイマーとして働いていました。しかし、その収入だけでは家計を支えきれず、貯金も底をついてしまいました。再びハローワークに通い始めると、障がい者向けの合同面接会への参加を勧められました。 働き口は以前よりも見つけやすくなっていたが… ここから、濱田さんの「流浪」が始まりました。2015年から8年間で4回の離職を経験しました。これらの会社はすべて大企業であり、障がい者の法定雇用率が上がり、企業の社会的責任(CSR)を重視する風潮が高まったため、働き口は以前よりも見つけやすくなっていました。 しかし、どの会社でも待遇はパートか契約社員であり、月給は低く、仕事に満足できない状況でした。彼が入社した最初の会社では、コールセンターのオペレーターとして採用されましたが、ただ法定枠を埋めるための数合わせに過ぎず、満足に仕事を与えられない状況でした。 障がいへの無理解 濱田さんが「ちゃんと働きたい」と訴えると、ようやく業務が割り振られました。しかし、障がいへの無理解も感じました。例えば、大量の書類を運ぶように指示されても、濱田さんはそれを持つことができませんでした。「できない」と言うと、「業務をより好みしている」と受け止められてしまいました。心理的に落ち込み、約3カ月で退職しました。 急な欠勤を認めてくれる職場でなければ働くことが難しい かつての経験を生かそうと、営業職の求人を探しました。しかし、障がい者枠では求人が見つからず、一般枠での応募も考えましたが、それでは障がいへの合理的配慮を受けられなくなる懸念がありました。濱田さんは低気圧の日に体調を崩しやすく、通院が必要でした。急な欠勤を認めてくれる職場でなければ、働くことが難しいのです。 結局、事務職で貿易やコンサルなどの会社を転々としました。しかし、この間の年間最高収入は約260万円にとどまりました。濱田さんは「戦力になれる自信はあったのに、社会は中途障がい者に冷たいなと感じた」と振り返ります。 やりがいを感じた職場の一つ 濱田さんがやりがいを感じた職場の一つは、種苗メーカーのサカタのタネでした。2016年から3年間、契約社員として在籍し、造園を担当する部署に配属されました。当時の上司である富張公章さんは、最初はどう接したらいいのかわからず、トラブルを避けるために簡単な作業ばかりを頼んでいました。 お互いの本音をぶつけ合う しかし、濱田さんもフラストレーションを感じており、怒りっぽくなり、部署内で腫れ物のように扱われていました。転機となったのは、2人で酒を飲みに行った際に、濱田さんが「障がい者でも働ける。自分の価値を認めてほしい」と直談判したことです。 富張さんは「それなら会社に『欲しい』と思われる人材にならなきゃいけない」と返答し、お互いの本音をぶつけ合いました。その結果、富張さんは濱田さんの半生や悔しさを知り、彼のポテンシャルを認めることになりました。 独学でPCスキルを学び同僚からの信頼も得ていく 部署内では各々が自分の案件を管理しており、全体の進捗状況を俯瞰する手段がなかったため、濱田さんはエクセルで工程を管理する表を作成しました。これにより、部内の全員が情報を共有し、進捗状況を一元化することができるようになりました。このような協力体制の下で、濱田さんは自らの価値を発揮し、やりがいを感じることができました。 濱田さんは独学でPCスキルを学び、行政機関の報酬基準などを基に、造園工事の見積もり額を自動で算定するシステムを構築しました。これにより、部署にとってなくてはならない戦力となりました。「精神的にも安定したのか、とっつきにくさが減った。同僚からの信頼も徐々に得ていた」と富張氏は語ります。 パソコンの操作に健常者よりも時間を要した 濱田さんは障がいのため、パソコンの操作に健常者よりも時間を要しました。最初は「仕事が遅い」と不満を募らせる社員もいましたが、コミュニケーションが深まるにつれて、文句を言う人はいなくなりました。周囲が彼の特性を理解し、それを受け入れたことで、チーム全体が協力し合う雰囲気が生まれました。 富張氏は、「濱田さんは今も仲間だと思っている。相手の状況を知り、立場に沿って対応を考える大切さを学んだ。健常者だろうと障がい者だろうと、その重要性は変わらない。部下と接するうえで、共に働いた経験はずっと役立っている」と語ります。 「障がい者になった後、初めて自分を認めてくれた」 会社側も濱田さんを評価し、雇用契約の無期転換を提示しました。しかし、分社化に伴う事業再編で決まりかけていた昇給が白紙となり、条件面で折り合わずに退社することになりました。それでも濱田さんは「障がい者になった後、初めて自分を認めてくれた」と深く感謝しています。 濱田さんは2018年、早稲田大学人間科学部のeスクールに入学し、福祉工学のゼミで障がい者の労働環境の改善方法を研究しました。亡くなった母親の遺産を学費に充て、終業後や休日に受講を進めながら少しずつ単位を取得しました。2023年3月には卒論を提出し、今年3月に卒業しました。 誰の身にも起こりうる 現在は月に4~5件ほど採用面接を受けていますが、まだ就職先は見つかっていません。しかし、これまでの経験や大学で得た知識を活かし、企業と障がい者を仲立ちするような事業を始める構想を練っています。また、障がい当事者の目線から働きやすい職場環境を説く講演活動にも取り組みたいと考えています。 濱田さんは自身が障がい者になるとは夢にも思っていなかったことから、誰の身にも起こりうるということを強調します。彼は障がいを持つ労働者が特別扱いされず、「やればできる」という可能性を広く認められる社会を目指しています。 肢体障がいについて 肢体障がいは、身体の一部の機能や構造が制限されたり、欠損したりしている状態を指します。この障がいは、生まれつきのものや後天的なもの、事故や疾病によって引き起こされることがあります。肢体障がいは、手や腕、足、またはその他の身体の部位に影響を及ぼすことがあります。 肢体障がいにはさまざまな種類があります。その例としては以下が挙げられます。 四肢麻痺(四肢まひ): 脳や脊髄の損傷によって引き起こされることがあります。この状態では、手や腕、足などの四肢の一部または全部の運動や感覚が制限されます。 先天性肢体障がい: 出生時に身体の発達に問題があり、手や足が不完全な形で生まれることがあります。例えば、先天性四肢欠損症や先天性脊椎側弯症などがあります。 後天性肢体障がい: 事故、疾病、または外傷などによって後から肢体の機能が制限されることがあります。交通事故やスポーツのケガによる骨折、または糖尿病による末梢神経障がいなどが含まれます。 筋肉や骨の障がい: 筋ジストロフィーや関節炎など、筋肉や骨に影響を与える疾患も肢体障がいの一形態です。 影響と支援 肢体障がいは、日常生活や職場での活動に大きな影響を及ぼす場合があります。障がいの程度によって異なりますが、運動能力や日常生活動作、またはコミュニケーション能力に支障をきたすことがあります。 しかし、技術の進歩や社会の理解の向上により、肢体障がい者へのサポートや支援が増えています。リハビリテーションや物理療法、義肢や補助具の利用などがその一例です。また、法律によって障がい者の権利が保護され、差別や偏見のない社会を目指す取り組みも行われています。 障がい者に対する配慮や合理的配慮 さらに、職場や学校などの環境においても、障がい者に対する配慮や合理的配慮が求められています。障がいを持つ個人が自己実現や社会参加を果たすための支援が重要であり、そのためには包括的なアプローチが必要です。 肢体障がいは個々の能力や生活への影響が異なりますが、社会が包摂的で理解のある支援を提供することで、障がい者も自己実現を果たし、充実した生活を送ることが可能です。そのためには、医療や教育、雇用などの分野での取り組みが不可欠です。 まとめ 濱田靖さんの人生は、突然の障がいという壁にぶつかりましたが、その壁を乗り越えてきました。彼は数々の挑戦と苦難を経ても諦めず、自らの価値を示すために努力し続けました。その姿勢は、彼が障がい者としてだけでなく、人としても尊敬される存在となった理由です。彼の物語は、困難に直面しても希望を持ち続け、自らの可能性を信じることの大切さを教えてくれます。 参考 年収1500万が中途障がいで暗転「非正規雇用」の現実 #東洋経済オンライン @Toyokeizai -
「軽度認知障がい(MCI)」と「アルツハイマー病」診断と治療の鍵:アルツハイマー病の予兆か、回復の可能性か?
脳の奥深くに潜む謎めいた状態、それが軽度認知障がい(MCI)です。日常生活にわずかな影響を及ぼす物忘れや思考の曖昧さ、その先にはアルツハイマー病の影が忍び寄っているのでしょうか?それとも、MCIからの脱出は可能なのか?私たちはこの神秘的な状態に迫り、その解決策を模索していきます。 軽度認知障がい(MCI)への関心の高まり 軽度認知障がい(MCI)への関心が高まっています。アルツハイマー病に対する新薬「レカネマブ」の登場が、MCIの治療や早期診断についての研究を加速させています。MCIは、認知症と正常な状態の中間に位置し、その特徴を正しく理解することがますます重要とされています。 MCIの特徴に関する誤解 MCIの特徴に関する誤解の一つは、MCIになった人が正常な状態に戻ることはないという点です。しかし、実際には、脳の認知機能が低下しているにもかかわらず、自立した生活を維持できる場合もあります。物忘れや迷子になるなどの症状が現れても、個々の対処法や周囲の支援によって生活を送ることが可能です。 MCIの診断基準 MCIの診断基準には、年齢や教育レベルだけでは説明できない記憶障がい、本人または家族の物忘れの訴え、全般的な認知機能の正常範囲、日常生活動作の自立などが含まれます。 自覚症状がある場合でも、ヒントで思い出せる場合は加齢による自然現象として考えられ、MCIや認知症の可能性は低いとされています。このような理解が、MCIの早期発見や適切な支援を促進する上で重要です。 回復や進行で鍵となるのは「アルツハイマー病の有無」 MCIからの回復や進行について、その鍵となるのは「アルツハイマー病の有無」です。MCIはしばしば認知症の前段階や予備群と見なされますが、必ずしもすべてのMCI患者が認知症に進行するわけではありません。実際、MCI患者の約5~6割は状態が維持されたり、回復したりすることもあるとされています。残りの5割程度は認知症に進行する可能性があります。 MCIからの回復率 日本神経学会のガイドラインによれば、MCIからの回復率は1年で16~41%であり、進行率は1年で5~15%です。では、回復や維持が可能なケースと認知症への進行が起こるケースの違いは何でしょうか。 その主な違いは、「アルツハイマー病の有無」にあります。MCIの背景には約5割がアルツハイマー病が関与しているとされています。認知機能の低下は、アルツハイマー病や他の認知症を引き起こす疾患だけでなく、脳血管障がいやうつ病、栄養不足、薬の副作用などによっても生じることがあります。原因によってMCIが引き起こされている場合、その原因に対処することで回復する可能性があります。 将来的に認知症への進行が高い しかし、アルツハイマー病がMCIの背景にある場合は、将来的に認知症への進行が高いと指摘されています。そのため、認知症専門医の間では、「MCI due to AD」(アルツハイマーを起因とするMCI)として区別されます。このような区別がなされるのは、予後が大きく異なるためです。 原因に応じた治療や管理が重要 アルツハイマー病に起因するMCIの場合、治療法や介入によって症状を遅延させることが可能な場合もあります。それに対して、他の原因によるMCIの場合は、その原因に応じた治療や管理が重要となります。したがって、MCIの患者に対する適切な診断と治療は、将来の予後や生活の質に大きな影響を与えることが示唆されています。 アルツハイマー病:認知症の最も一般的な原因 アルツハイマー病は、認知症の最も一般的な原因の一つであり、認知機能の進行的な喪失をもたらす難病です。この病気は、認知症の原因の約7割を占めています。アルツハイマー病は、患者やその家族にとって心身に大きな負担をかけることがあります。 アルツハイマー病の症状 アルツハイマー病の初期症状には、以下のようなものがあります。 記憶障がい アルツハイマー病の最も早い症状の一つとして、記憶障がいが挙げられます。患者は、過去の出来事や人々の名前、日常のルーチンなどを覚えにくくなります。また、新しい情報の取り込みにも困難が生じます。これは、脳内の神経細胞がβアミロイドプラークとτタンパク質の異常な蓄積によって損傷されることによるものと考えられています。 認知機能の低下 アルツハイマー病の進行に伴い、患者の思考力、判断力、計画力が徐々に低下します。複雑な問題を解決する能力や抽象的な思考能力が衰え、日常的な決定を下すことが難しくなります。これは、脳内の神経細胞の機能が阻害されることによって引き起こされます。 日常生活の困難 アルツハイマー病の進行により、患者は日常生活の中でますます困難を経験します。日常の活動や計画を実行することが難しくなり、家事や個人のケアなどの日常的な活動に支障が出ます。これは、思考機能の低下や記憶の障がいによって生じるものです。 言語障がい アルツハイマー病の進行に伴い、言語能力も影響を受けます。患者は言葉を理解することや話すことに困難を感じるようになります。適切な言葉を見つけることが難しくなり、文章を理解したり表現したりする能力が低下します。これは、脳内の神経細胞の損傷によって引き起こされるものであり、コミュニケーションにおいて深刻な影響を与えます。 これらの症状は、アルツハイマー病の進行に伴い徐々に悪化し、患者の生活に大きな制約を与えることがあります。早期の診断と治療は、これらの症状の進行を遅らせ、患者の生活の質を改善する上で重要です。 アルツハイマー病の原因の詳細 アルツハイマー病の正確な原因は複雑で、まだ完全に解明されていません。しかし、研究者たちは以下の要因が関与している可能性があると考えています。 βアミロイドプラークの蓄積 アルツハイマー病の特徴的な特徴の一つは、脳内に異常な量のβアミロイドプラークが蓄積することです。これらのプラークは、正常な脳機能を妨げ、神経細胞の死につながることが示唆されています。βアミロイドプラークが形成される過程は、アルツハイマー病の病態生理学において重要な役割を果たしています。 τタンパク質の異常な蓄積 アルツハイマー病では、神経細胞内でτ(tau)タンパク質が異常な形で蓄積します。正常なτタンパク質は、神経細胞内の細胞骨格を維持するために重要ですが、異常な蓄積によってタンパク質が変性し、神経細胞の機能が妨げられる可能性があります。このプロセスは、神経細胞の損傷や死に寄与する可能性があります。 神経伝達物質の減少 アルツハイマー病の進行に伴い、脳内の神経伝達物質の量が減少することが観察されます。特に、アセチルコリンという神経伝達物質の減少が顕著です。この減少は、神経細胞間の情報伝達の妨げにつながり、認知機能の低下や他の症状を引き起こす可能性があります。 これらの要因が相互に影響し合い、アルツハイマー病の発症や進行に寄与すると考えられています。ただし、これらのメカニズムの詳細な理解はまだ進んでおらず、将来的な研究が必要です。 アルツハイマー病の治療 現在のところ、アルツハイマー病に対する完全な治療法は存在しませんが、症状の進行を遅らせたり、患者の生活の質を改善するためのいくつかの治療法や介入があります。 薬物療法 一部の薬物は、アルツハイマー病の症状を軽減したり、病気の進行を遅らせたりする可能性があります。アセチルコリンエステラーゼ阻害剤やNMDA受容体拮抗剤などの薬物が一般的に使用されます。これらの薬物は、神経伝達物質の機能を調整することで、症状の一部を改善し、患者の生活の質を向上させることができます。 認知症行動症状に対する療法 アルツハイマー病の患者はしばしば認知症行動症状(BPSD)と呼ばれる問題行動を示すことがあります。これには、不安、抑うつ、興奮、不穏、幻覚、妄想などが含まれます。これらの症状に対処するために、心理社会的介入や行動療法が使用されます。これらのアプローチは、薬物療法と組み合わせて、患者の安定した状態の維持に役立ちます。 アルツハイマー病の予防 アルツハイマー病の発症を遅らせるために、以下の予防策が推奨されています。 バランスの取れた食事 心臓に良い食事は、脳にも良い影響を与えます。抗酸化物質やオメガ-3脂肪酸が豊富な食品、ビタミンEやCなどの栄養素が含まれる食品を摂取することが重要です。 適度な運動 適度な運動は、血流を改善し、脳の健康を維持するのに役立ちます。有酸素運動や筋力トレーニングなど、身体を動かすことは脳にも良い影響を与えます。 知的な刺激を提供する活動 学習や知的な活動は、脳の神経回路を刺激し、認知機能を維持するのに役立ちます。読書、パズル、言語学習などの活動を定期的に行うことが重要です。 社会的なつながりの維持 社会的なつながりは、心理的な健康を維持するだけでなく、認知機能にも良い影響を与えます。友人や家族との交流を持つことは、脳の活性化につながります。 これらの予防策を取り入れることで、アルツハイマー病の発症を遅らせる可能性があります。しかし、これらの方法は予防策としてのみ有効であり、アルツハイマー病の完全な予防は保証されていません。 まとめ アルツハイマー病に関連する軽度認知障がい(MCI)は、認知症への進行の可能性がある一方で、治療や介入によって症状を遅延させることができる場合もあります。正しい診断と適切な管理は、患者の生活の質や将来の展望に大きな影響を与える可能性があります。このような知識を深め、患者とその家族にとってより良いサポートを提供することが重要です。 参考 認知症の前段階とされる「軽度認知障がい」の特徴は?:Goodayクイズ:日経Gooday(グッデイ)
Movieみんなの障がい動画
みんなの障がい動画は、障がいに関する基礎知識などを、動画でわかりやすくお伝えしていきます。
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【大人の障がい】睡眠障がいとは?動画で詳しく解説!
『大人の障がい動画』では、様々な障がいに焦点を当て、理解と共感を促進していきます。 今回の動画では、睡眠障がいについて詳しく紹介します。 睡眠障害とは "睡眠障害とは、睡眠をとるときに問題があり、からだに適した睡眠をとることができない状態のことです。統計によると、5人に1人が睡眠障害に悩まされています。 睡眠障害には複数の種類があります。代表的なものは、「不眠症」「過眠症」「概日リズム障害」「睡眠時呼吸障害」です。 そのほか、「むずむず脚症候群」「周期性四肢運動障害」「睡眠時随伴症」や、身体や精神疾患が引き起こす睡眠障害があります。睡眠障害の原因は、「ストレス」「精神疾患」「加齢」「体型」「不規則な生活習慣」「音など環境」「薬の副作用」「カフェインやアルコール」など、多くの原因があり、原因ごとに症状が変わります。" 主な症状 "主な症状は、「入眠困難」「中途覚醒」「早期覚醒」「過眠」の4つです。布団に入ってから1時間以上眠りにつけない「入眠困難」夜中に何度も起きてしまう「中途覚醒」、予定より早く起き、その後眠ることができない「早期覚醒」 睡眠時間は十分なのに熟睡した感じがしない、日中に激しい眠気が生じる「過眠」以上、4つの症状から、「頭痛やめまい」「適切な時間に起きられない」「集中力の低下」「疲れやすくなる」といった体の不調が起こります。" 治療方法について "睡眠障害は基本的に内科に受診し、治療を始めます。しかし、睡眠障害の原因がわかっている場合は、原因に合った診療科を受診しましょう。 ストレスが原因の場合は、精神科や心療内科に受診します。睡眠時の呼吸が原因だと思う場合は、呼吸器科内科が合っています。睡眠中に足がつる、手足がむずむずする、など身体的な問題で睡眠ができなくなっている場合は、脳神経内科の受診をすすめます。 睡眠障害の治療は、症状によって異なりますが、睡眠の質を高める、または睡眠を妨げる原因に作用する薬を使う「薬物治療」、医師による睡眠・生活習慣の見直し、照明を使って体内時計を整える「高照度光療法」などが主に用いられます。" -
【大人の障がい】適応障がいとは?動画で詳しく解説!
大人の障がい「適応障がい」って? 『大人の障がい動画』では、様々な障がいに焦点を当て、理解と共感を促進していきます。 今回の動画では、適応障がいについて詳しく紹介します。 適応障害とは "適応障害とは、特定の環境や状況に慣れることができず、気分や行動に重度の障害が起こることです。転勤や転職、結婚、引っ越し、新しい人間関係など、環境が大きく変わるときに発症しやすいです。 適応障害の原因はストレスです。ストレスになることがあってから3か月以内に症状があらわれた場合は、適応障害の疑いがあります。また、ストレスの感じ方は人それぞれのため、同じ環境の変化があっても、適応障害になる人と、ならない人がいます。そのため、本人の内面が適応障害の要因になることも考えられます。 適応障害になりやすいとされている人は、「ストレスが溜まっていることに気づかない」「心配性」「繊細で傷つきやすい」「まじめで几帳面」「完璧主義」などの特徴があります。" 主な症状 "症状は「身体」と「情緒」の2つに現れます。「身体」に現れる症状は、「眠れなくなる・眠りが浅くなる」「食欲不振」「涙が出やすくなる」「のどに異物感がある」「過呼吸」「動悸が激しくなる」「肩こり」「腰痛」などがあります。 「情緒」に現れる症状は、「イライラしやすくなる」「緊張や不安が続く」「むなしい気持ちになる」「集中力が下がる」「物事に敏感に反応する」などです。 このような症状から、「無断遅刻・無断欠勤を繰り返す」「ひきこもりになる」「暴飲暴食」「ギャンブルやアルコールに依存する」など、仕事だけでなく、健康生活にも支障をきたしてしまいます。" 治療方法について "適応障害の治療方法は、「環境調整」「心理療法」「薬物療法」の3つです。適応障害は、ストレスの原因がなくなると約6カ月以内に症状がなくなることが、大きな特徴です。そのため、適応障害の治療には、まずストレスの原因をなくす「環境調整」がよくおこなわれます。 たとえば、ストレスの要因が「職場」のときは、「休職する」「異動・役職の変更」「転職」になります。心理療法は、「認知行動療法」や「問題解決療法」が使われます。認知行動療法とは、物事のとらえ方や考え方のゆがみを治し、ストレスにたいして適切な行動がとれるようにして、本人の適応力を高める療法です。 問題解決療法は、本人が抱えている問題や症状に最も有効な解決策を見つけ出す療法です。薬物療法は、適応障害の症状が重いときに、その症状を緩和するために使用されます。薬物療法で適応障害が治るわけではないので、薬の使用には慎重になる必要があります。" -
【大人の障がい】DCDとは?動画で詳しく解説!
大人の障がい「DCD」って? 『大人の障がい動画』では、様々な障がいに焦点を当て、理解と共感を促進していきます。 今回の動画では、DCDについて詳しく紹介します。 DCDとは? "ディーシーディーとは、「発達性協調運動障害」といい、身体に問題がないにも関わらず、協調運動をおこなうことに困難がある障害です。協調運動とは、手や足、目など複数の部位を動かす運動のことです。 たとえば、「歩く」は、足を交互に前に出すという複数の動作があります。「字を書く」は「ノートを見る」「鉛筆をもつ」「動かす」、「縄跳び」は「縄を回す」「飛ぶ」など、複数の部位を動します。 このように全身運動や、手先を動かすことに困難が生じるので、日常生活や仕事にも支障をきたすケースがあります。ディーシーディーは小脳の機能不全によって起こることがわかっています。生まれつき脳機能に偏りがある「発達障害」と併発し、「ADHD」や「ASD」とともに、ディーシーディーの症状が見られることが多くあります。 そのほか、「ビタミンE欠乏症」や「熱中症」で小脳の機能に異常が起きて、ディーシーディーの症状が現れるケースもあります。ディーシーディーの発症頻度は6~10%とされており、とくに「男児」がディーシーディーになりやすいと考えられています。" 主な症状 主な症状は、運動に関する感覚に障害が起こること、細かな動作や全身運動に重い困難が生じることです。日常生活では、「字をすらすらと書けない」「ひもを結ぶことに時間がかかる」「箸を正しく動かせない」などがあります。また、ディーシーディーは運動に関する「平衡感覚」や「固有感覚」にも影響します。 平衡感覚とは、身体のバランスを保つ感覚のことです。平衡感覚に障害があると、「まっすぐ歩けない」「姿勢が崩れやすい」「めまいがよく起こる」などの症状があります。固有感覚とは、自分の体の動きや位置の把握、力に関わる感覚のことです。 固有感覚に障害があると、「よく物を落とす」「転びやすくなる」「力加減ができない」などがあり、自分の思うとおりに体を動かせにくくなります。仕事では、「化粧ができない」「自動車を運転できない」「料理ができない」「メモをとれない」「パソコンのタイピングができない」など、広く困難が生じます。 ディーシーディーは「不器用」「重度の運動音痴」だと思われやすいので、障害に気づかないと、自信をなくしたり、いじめの対象になったりして、ほかの精神疾患を引き起こすこともあります。" 治療方法について ディーシーディーの根本的な治療はないため、「理学療法」「作業療法」「感覚統合療法」などの3つを組み合わせて症状を改善します。理学療法士や作業療法士の支援を受けながら、感覚を意識ながら体を動かすトレーニングをします。 指先の細かい作業が苦手な方は、細かな作業に集中して訓練し、困難をへらしていくことを目標にします。 -
【大人の障がい】LD(学習障がい)とは?動画で詳しく解説!
大人の障がい LD(学習障がい)って? 『大人の障がい動画』では、様々な障がいに焦点を当て、理解と共感を促進していきます。 今回の動画では、LD(学習障がい)について詳しく紹介します。 LDとは LDとは、学習障害と呼ばれ、「読み書き」や「計算・推論」に困難が見られる状態のことをいいます。LDは発達障害の一種であり、生まれつき脳機能に偏りがあることから症状が現れます。しかし、子どものころにLDがまわりに気づかれず、大人になってからLDが発覚する「大人のLD」があります。 「大人のLD」は子どものLDより複雑であり、二次障害を発しているケースが多く見られます。二次障害とは、LDのような発達障害が原因で、不安障害や睡眠障害など他の障害が引き起こされることです。LDは見た目からすぐわかる障害ではないので、まわりからは怠けていると評価されたり、勉強や仕事ができないため自信をなくしたりして、働くことをやめてしまう方もいます。 主な症状 LDの主な症状は、読字障害(ディスレクシア)、書字表出障害(ディスグラフィア)、算数障害(ディスカリキュリア)の3つがあります。読字障害は、読むことに困難がある障害です。「読むことに多くの時間がかかる」「文末を読み違える」「文や行を読み飛ばす」など、読むことに困難が見られます。 書字表出障害は、書くことに困難がある障害です。「鏡文字を書いてしまう」「似ている文字の判別ができない」「書き写すことができない」など、書くことに困難が見られます。 算数障害は、計算や推論することに困難がある障害です。「数を数えることが苦手」「時計を見て時間を知ることがむずかしい」「数を使って推論することがむずかしい」など、数字に関することで困難が見られます。このような症状が6カ月以上続くと、LDの疑いがあると診断されます。 治療方法について 学習障害を根本的に治療する方法は現在ありません。自分やまわりの環境を整えて、学習障害による困りごとを減らす方法になります。 読字障害の場合は、「資料には文章だけではなく図や画像をつかう」「読み上げアプリを使用する」 書字障害の場合は、「メモではなく写真を撮って記録する」「ボイスレコーダーを使う」「指示をあらかじめ文書でもらう」 算数障害の場合は、「電卓を使用する」「自分で計算をおこなうときは合っているかどうかを確認する」 このように、便利なアプリやツールの使用と、周囲の理解・協力が必要になります。自分の苦手な仕事を把握し、アプリやツールの利用の許可をとるなど、周囲へ協力を求めましょう。 -
【大人の障がい】ADHDとは?動画で詳しく解説!
大人の障がい ADHD自閉スペクトラムって? 『大人の障がい動画』では、様々な障がいに焦点を当て、理解と共感を促進していきます。 今回の動画では、ADHDについて詳しく紹介します。 ADHDとは? ADHDとは、発達障害の一つであり、生まれつき脳機能に偏りがある障害のことです。 生まれつきとされていますが、近年では「大人のADHD」と呼ばれており、大人になってからADHDの症状で病院を受診する方が増えています。 とくにADHDは近年、最も急増している発達障害です。芸能人がADHDであることを告白するなど、認知度も高くなっています。ADHDは生まれつきのため、直接的な原因は明らかになっていません。しかし、睡眠障害や愛着障害、虐待など生育環境により、ADHDと同じ症状が引き起こされることがわかっています。 主な症状 ADHDの主な症状は、「不注意」「多動性」「衝動性」の三つがあります。 「不注意」があると、集中力を維持することができず、「人の話を聞いていないように見られる」「ケアレスミスが多くなる」「大事な会議に事前連絡なしに遅刻または欠席する」など、大きく仕事に影響します。 「多動性」があると、じっとしていることができず、「会議中に席を立ってしまう」「人の話を遮って一方的に話してしまう」「集団のペースに合わせて仕事することができない」などが見られます。 「衝動性」があると、我慢することができず、「思ったことを衝動的に言ってしまう」「順番を守れない」「金銭管理ができない」などが見られます。 ADHDの症状の現れ方は三つあります。 「不注意」が強く現れる「不注意優勢型」 「多動性」や「衝動性」が強く現れる「多動性・衝動性優勢型」 「不注意」「多動性」「衝動性」すべての症状が見られる「混合型」の三つです。 治療方法について ADHDを根本的に治療する方法はありません。ADHDの治療は症状を改善することが目的になります。治療法として使われているのは、「心理療法」「環境調整」「薬物療法」の3つです。心理療法は、認知行動療法がよく用いられます。 認知行動療法とは、物事の受け止め方や考え方を整えて、その場面にふさわしい行動がとれるように変えていく療法です。環境調整とは、ADHDの特性による困りごとをへらすために、自分やまわりの環境を整えることです。 集中力が持続しない場合は、気が散る原因をなくすために「スマホや気が散るものは目に入らないところに置く」「耳栓などを使用して雑音をへらす」「間仕切りを使う」 忘れっぽく、ミスが起こる場合は、「メモをとって身につける」「カレンダー機能やリマインダー機能を使う」「タスク管理アプリを使う」 衝動性が強く、衝動買いをよくしてしまう方は、「買い物に行く前に必要なものをメモにとり、そのメモにあるものを買う」ことを徹底しましょう。 症状が重い場合は、医師の判断で薬物療法が使われます。脳機能を整える薬を服用し、不注意や衝動性、多動性を減らすことができます。ただし、薬の服用は依存性が生じることがあるので、医師とよく相談して決めましょう。 -
【大人の障がい】ASD(自閉スペクトラム症)とは?動画で詳しく解説!
大人の障がい ASD 自閉スペクトラム症って? 『大人の障がい動画』では、様々な障がいに焦点を当て、理解と共感を促進していきます。 今回の動画では、ASD(自閉症スペクトラム障害)について詳しく紹介します。 ASDとは? ASDとは、発達障害の一つであり、自閉スペクトラム症といいます。発達障害は生まれつき脳機能に偏りがあり、得意な分野と苦手な分野に大きな差が生じるのが一つの特徴です。生まれつきといわれていますが、現在は「大人の発達障害」という言葉もあり、大人になってからASDの症状で病院を受診する方が増えています。 ASDは、コミュニケーション障害や、非常に強いこだわりが見られたりします。人によっては「感覚過敏」という特性もあり、聴覚や視覚などが過敏に反応して、通常の生活を送れない方もいます。大人のASDの原因は明らかになっていません。生活習慣の乱れや過剰なストレスが、ASDと似た症状を引き起こすことはあります。 主な症状 主な症状は「コミュニケーションの障害」と「非常に強いこだわり」です。コミュニケーションの障害は、「相手との距離がわからない」「あいまいなことがわからない」「冗談が理解できない」などがあります。あいまいなことがわからないので、「少し」「しばらく」という言葉や、空気を読むことがむずかしいです。 コミュニケーションが仕事で必要になってくると、指示が伝わらなかったり、暗黙のルールを守れなかったりして、仕事に支障をきたしてしまいます。「非常に強いこだわり」には、「同じ行動を繰り返す」「集中するとまわりが見えなくなる」「物事をおこなう順番にルールがある」などがあります。 臨機応変な対応ができないため、集団行動が苦手である方が多いです。強いこだわりにより、同じものばかり食べる「偏食」になったり、聴覚や視覚などの五感が敏感になり、外を歩けなくなり、健康生活そのものに影響をおよぼすケースがあります。 治療方法について ASDなど発達障害は生まれつきのものとされており、根本的な治療はありません。ASDによる困りごとを改善するために、「環境調整」「心理療法」「薬物療法」の3つをおこないます。 環境調整とは、自分の得意・苦手を知り、苦手なことが起こらないように環境を整えることです。「苦手なことが起こる状況を避ける」「ASDの特性を家族や周囲に伝えて配慮をお願いする」などがあります。ASDの心理療法には「認知行動療法」がよく使われます。認知行動療法は、物事にたいしての感じ方や考え方を改善し、ストレスをへらしていく方法です。薬物療法は、ASDを根本的に治すものではなく、ASDによる困りごとを薬で改善するものになります。 ASDにより不安障害や睡眠障害が起こっている場合は、不安障害や睡眠障害の治療を目的に薬を使用します。あくまで薬は最後の手段であり、基本的な治療は「環境調整」と「心理療法」が中心です。
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