AIで障がい者の生活は大きく変わる?



家庭で導入されているスマートホーム。AIが搭載されており、音声認識で電気や暖房をつけたりできます。体を動かさなくても操作ができるので、高齢者や身体障がい者の役に立っています。

今後ますますAI技術がすすんでいくと、生活のパターンを学習して、声をかけなくても、自動で電気をつけたり、家電を動かしたりすることができるとされています。 期待が高まるAIは、障がい者支援にどのように関わっているのでしょうか。

AIで障がい者の生活にどのような変化が起きる?

AIが搭載された端末を体に装着し、心身の状態を計測するものや、画像の文字情報や音声を自動でテキスト化するAIなどが、一部の企業で開発されています。 さらに聴覚障がい者も車を運転できるように、まわりの音声情報をディスプレイで表示したり、ハンドルを振動させることでドライバーに伝えたりする技術も開発中のようです。 AIにより、障がいの壁をなくせるかもしれません。 近い将来、AIが具体的にどのような影響をあたえるかをご説明します。

障がい者雇用を促進

「AIでほとんどの職業が奪われてしまう」という記事を見たことはありませんか? むしろAI技術が導入されれば、障がい者雇用での多くの困りごとが解決します。たとえばAIが音声認識をしてテキスト化をすることで、通訳者なしでもリアルタイムで報告や相談などができるようになります。 障がい者が単独でおこなう仕事であれば、AIでたくさんの問題が解消されるので、企業も雇用しやすくなり、障がい者雇用がすすむでしょう。 国際労働機関のデータでは、10年間に約3億5千万人の障がい者が雇用されると想定されています。

医療費の削減

国際労働機関の想定データでは、AIによって医療費が1年間で190億ドルを削減できると考えられています。 AIを搭載した端末を身につけることで、病気が悪化する前に体の異常に気づくことができるようになるので、「早期発見・早期治療」により、医療費を抑えられます。

さらに、これまでは医者の経験や知識で施術をおこなっていましたが、AIは人間の記憶よりも高度な施術ができるのではないかと期待されています。 過去のたくさんのデータの中から的確な情報を探し出すことができるため、より確かな治療を受けられるようになるでしょう。

障がい者の社会参加を促進

障がいがあるとコミュニケーションの取りづらさや、移動の困難などがあり、社会参加がむずかしいものでした。 しかしAIを活用することで、コミュニケーションの取りづらさは解消されます。 聴覚障がい者の方にはリアルタイムで音声情報をテキスト化し、視覚障がい者の方には文字や画像情報などを音声で伝えられるため、健常者と障がい者がコミュニケーションをとりやすくなります。 また移動の困難も、AIの音声案内などにより、スムーズに移動できるようになるので、出かけるのを控えていた障がい者もすすんで外出ができるようになりますね。

障がい者支援のAI活用事例

障がい者支援にAIが用いられている事例を5つご紹介します。

・視覚障がい者用のスーツケース ・視覚障がい者が走れるアプリ ・視覚障がい者の駅での転落防止 ・障がい者の楽器演奏をサポート ・自閉症児とソーシャルロボット

視覚障がい者用のスーツケース

人工知能ニュース 視覚障害者を支援するAIスーツケースが実証実験開始、コンソーシアムも発足

視覚障害者を支援するAIスーツケースが実証実験開始、コンソーシアムも発足

アルプスアルパイン、オムロン、清水建設、日本IBM、三菱自動車の5社が2020年11月12日、「AIスーツケース」の実証実験を開始することを発表しました。 AIスーツケースは、スーツケースの形をしたナビゲーションロボットです。 移動を支援する3つの機能と、3つの行動やコミュニケーションを支援する機能があります。位置情報をつかって最適のルートを探索する機能や、音声案内をする機能、障害物を認識して避ける機能。そのほか音声対話機能や、相手の表情や行動などから状況を判断し、コミュニケーションを支援する機能など、障がい者のお出かけを支援してくれます。

障がい者の走行を助けてくれるアプリ

https://blog.google/outreach-initiatives/accessibility/project-guideline/

https://youtu.be/C_h4HnKVptk

GoogleはAIを活用して、視覚障がい者1人で歩いたり走ったりするのを支援できるアプリを研究・開発中です。 この取り組みの名前は「Project Guideline」といいます。 地面に専用の線を引き、ユーザーが腰にスマホを巻きつけた状態で走ると、線の左側または右側など、ユーザーがどこにいるのかをアプリが検知します。そして線から大きく離れずに進めるようサポートしてくれるので、道を大きく外れることはありません。 障がい者もジョギングなど、体を動かすことを楽しめるようになります。

障がい者の駅での転落防止

2021年3月、京阪電鉄はAI技術をつかって、画像認識で障がい者を見つけ、いち早く駅員に知らせる実証実験を始めました。 約2か月パナソニック製のカメラを置き、AIに白杖や車いすの利用者の見分け方を学ばせ、自動的に検知できるようにします。そしてカメラで障がい者をとらえると、駅員に通知します。 この機能で改札口に駅員がいないときも障がい者に気づき、声掛けをおこなえるので、転落や事故をふせぐことが期待できます。

障がい者の楽器演奏をサポート

日経トレンド NECがAIで障がい者支援 視線や姿勢で音を出せる楽器を開発

https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/casestudy/00012/00390/

2020年3月、NECは障がい者も楽器を演奏できるようになる電子楽器「ANDCHESTRA」を開発しました。 楽器は「トランペット」と「バイオリン」の2種類です。 「トランペット」には、NECが開発したAIの「遠隔視線推定」と呼ばれる技術がつかわれており、人の視線の方向を推定することができます。そして視線の方向で音階を変えられるので、手を動かさなくても、視線の向きで好きな音を出せるようになっています。

「バイオリン」はAIの「姿勢推定」と呼ばれる技術を採用。人の動きと音階をひもづけているので、楽器の前で姿勢をとるだけで好きな音を出すことができます。 AI技術で新しい趣味や楽しみがふえますね。

自閉症児とソーシャルロボット

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image via LuxAi

 

https://luxai.com/

ルクセンブルクでは、自閉症児の不安をへらすためのソーシャルロボットAI「QTrobot」が開発されています。 ルクセンブルクの企業「LuxAI」が開発しました。 「QTrobot」は表情豊かで、子どもの感情をマネするので、自閉症児の感情認識能力を高められると期待されています。さらに人間のような対話機能がついており、子どもの他者への関心を高めたり、パニック行動などをへらしたりできます。 そのほかQTrobotは自閉症トレーニングに関する長年の研究から開発されており、独自の教育プログラムを子どもへ教えることも可能。子どもはスキルを身につけるまで、何度もロボットと練習することができます。

まとめ

AI技術で得られる変化は、障がい者雇用、社会参加の促進や、医療費の削減など。 さらに障がい者1人のお出かけをサポートしたり、趣味や楽しみをふやしたり、教育に役立ったりと、さまざまな場面で活躍するでしょう。 これからAI技術がますます進歩すると、障がい者と健常者のコミュニケーションや生活の大きな違いをなくすことができるかもしれません。

<<参考>>

https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/2011/16/news038.html

https://ideasforgood.jp/2021/01/15/project-guideline/

https://ideasforgood.jp/2018/09/12/qtrobot/

https://www.asahi.com/articles/DA3S14833839.html

世界22億人の視覚障害者をAIで支援する「Lookout」がアップデート

https://hbol.jp/179051

https://blog.global.fujitsu.com/jp/2019-04-19/01/

https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/casestudy/00012/00390/

https://kibit.fronteo.com/case-study/litalico/

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