2022.06.24

思い出し怒りをやめたい…発達障がいに多いタイムスリップ現象とは?思い出し怒りを抑えるには?

思い出し怒りをやめたい…発達障がいに多いタイムスリップ現象とは?思い出し怒りを抑えるには?

 

ストレスをへらすには「規則的な生活が大事」とよくいわれていますが、いやなことを思い出して腹が立って眠れなかったり、明日の朝が来るのがユウウツで眠れなかったりして、「そもそもストレスがなければ、規則的な生活を送れる」と思う方も多いのではないでしょうか。

発達障がいの脳機能の偏りにより、いやなことが頭に残りやすく、過去の事だと割り切ることがむずかしい方がいます。同じレベルの怒りを何度も再燃することがあります。このような「思い出し怒り」や、思い出し怒りを抑える方法について解説します。

 

 

こんな「思い出し怒り」はありませんか?

過去と同じレベルの不快感や怒りを感じながら過去の出来事を思い出し、今のことがまったく考えられなくなる現象を「タイムスリップ現象」といいます。フラッシュバックと違う点は、フラッシュバックは「嫌な記憶の再体験」、タイムスリップ現象は「過去の記憶を完全に想起して感じる」ことです。

またフラッシュバックは強い引き金になる出来事がありますが、タイムスリップ現象は引き金になることがなくても、不快だと感じた記憶が脳内で勝手に再生されます。

発達障がいに多いといわれているのは、タイムスリップ現象です。タイムスリップ現象では、次のような思い出し怒りが起こることがあります。

 

まったく関係ないときに嫌なことを思い出す

ぼーっとしているとき。手だけ動かせばいいような単調な作業をしているとき。勝手に頭の中にふわっと記憶が出てきて、いやな思いをすることはありませんか?

そういうときは、何度も「同じ出来事」を思い出して、ムシャクシャしたり、ツラくなったり。このような思い出し方のせいで、強迫観念を植えつけられることもあります。

「気にしなくていいことはわかっているのに、○○と言われたことを何度も思い出して、人に会うのが怖い」というように。自分ではそうじゃないと思っていても、考え方が変わってしまうおそれがあります。

 

詳細な記憶は思い出せないけど感情だけが再燃する

「キライな人に似ている人」「いやな場所」など、いやなことを思い出しやすい状況で、実際にあった「いやな出来事」を思い出すことはできず、なんとなく不快だったりイライラしたりするタイプの方もいます。このときは、いやな記憶を詳細に思い出せないので、いやなことと似ていたり、ときにはまったく関係のないものでも、不快に感じます。

 

 

発達障がい者が思い出し怒りをしやすいのはなぜ?

何度も思い出すのは、「思い出すぐらい、強いストレスを感じる記憶だから」と考えられやすいですが、それ以外にも理由があります。

 

記憶のコントロール能力が弱い

発達障がい者ではなくても、突然いやなことを思い出してしまうことがあります。けれど、多くの方はすぐに切り替えて、仕事など今のことに集中できます。発達障がいによる脳機能の偏りが強いと、いやなことを思い出すと頭がいっぱいになり、切り替えがなかなかできません。

なので、思い出し怒りをする原因のひとつは、「記憶をコントロールする能力が弱いから」です。

またアスペルガー症候群の方はからだの動かし方が不器用だったり、要領よく勉強できない人がいます。これと同じく、思考のコントロールも不器用だから、つい過去の記憶にとらわれてしまうのだと考えられます。

 

何度も思い出して記憶が強化される

勉強の「復習」のように、同じ記憶を何度も思い出すと、さらに思い出しやすくなります。

特別なイベントを強く覚えていることが多いですが、発達障がいの脳機能の偏りか、イベントに関心が薄いためか、興味があったことや、たまたま覚えていたこと、いやな思い出をよく覚えていたりします。

たとえば、「学生時代で思い出すことは?」と聞かれると、体育祭や卒業式だと答える人が多いです。発達障がい者は、在学中にいやな思いをしたことや、授業の内容だったりすることが見られます。

そして何度も思い出すことで記憶が定着し、「思い出し怒り」により苦しめられることになります。

 

 

思い出し怒りをやめたい!どうしたら?

発達障がい者のタイムスリップ現象にはキッカケがいくつもあり、それにあった対処方法が必要になります。

 

やるべきことがわかるようにする

やるべきことが明らかで、今日は○○をする、明日は○○が終わる、というように見通しがつきやすく、今現在や少し先のことで不安にならない状況では、タイムスリップ現象は起きにくいとされています。

一日の終わりに、明日することの「To Do リスト」を作成したり、自分の叶えたいことや将来のために、何をしたらいいのかなど考えて、メモに書いてみましょう。

日記をつけることもおすすめです。ADHDの特性があると、頭の中が常にいろいろなことがいっぱいで、ストレスが重なると、ますます夜に眠れなくなります。日記に書くことで考えが整理でき、頭の中がスッキリします。またミスをした日の夜はいろいろなことを考えてしまうかもしれませんが、

・今日のミス

・ミスを改善するには具体的にどうしたらいいか

・明日は何をするのか

などを記録し、頭をスッキリさせてから眠りに入りましょう。

 

家にいるときの過ごし方を変える

ぼーっとテレビを見ているときに、いやな記憶をふわっと思い出してしまう方は、暇な時間の過ごし方を変える必要があるでしょう。

何もしていないときに思い出すのは、脳が暇をしているためだという指摘もあります。なので、複数のことを同時にしたり、いつもと違うことをしたりして脳を忙しくさせると、思い出し怒りは起きにくくなります。

新しい趣味を見つけたり、新しい目標をつくって勉強を始めたりしましょう。頭を使わなくていい単調な作業をするときは、同時に鼻歌を歌ったり、音楽などを聞いたりすると、思い出すことがへります。利き手と逆の手で作業をするだけでも、思い出し怒りをへらせます。

 

まとめ

発達障がいによる脳機能の偏りがあると、とくにいやな記憶のほうが残りやすく、タイムスリップ現象が起きることが多くあります。思い出し怒りで眠れない夜は、今日すること明日することを決めたり、余暇の過ごし方を変えたりして、眠りに入れるように工夫しましょう。

 

参考

嫌な思い出がフラッシュバックしたときの対処法 : 生活・考え方 - 株式会社Kaien

Microsoft Word - アスペハート20号特集・校正_編集_.doc

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