2022.03.31

共生社会の実現に必要なインクルーシブ教育とは?どのような授業?

インクルーシブ教育

共生社会の実現に必要なインクルーシブ教育とは?どのような授業?

将来的に共生社会を実現するために求められている教育が、「インクルーシブ教育」です。今のこどもたちに障がい者を差別しないことや、ともに生きていくことを教えるために大切な教育です。インクルーシブ教育とはなにか、メリットやデメリット、具体的な事例をご紹介します。

 

インクルーシブ教育とは

インクルーシブ教育とは、障がいのある子どもと、障がいのない子どもを一緒に教育を受けさせる考え方のことを指します。インクルーシブには「包括的」といった意味があります。

2006年に「障がい者の権利に関する条約」が採択され、その条約には「障がいなどによって教育を受ける場が限定されることなく、工夫をして課題を解決し、すべての子どもがともに学べるようにしよう」という理念が示されました。2007年に日本もこの条約に署名し、「インクルーシブ教育システム」の考え方が始まりました。

インクルーシブ教育が導入されることにより、障がい児を「特別支援学校」や「支援級」に分けることなく、同じ教室で健常児と障がい児が一緒に授業を受けることになります。

共生社会を実現するために必要な教育です。共生社会の実現について、くわしくは以下の記事をご覧ください。

共生社会の実現とは?具体的に何をする?私たちにできることは

 

インテグレーション教育との違いは?

インテグレーション教育は、「同じ教室で健常児と障がい児に一緒の授業を受けさせる」だけです。インクルーシブ教育は、同じ教室で一緒に授業を受けるほかに、「それぞれの配慮を得ながら同じように学びを得られるように工夫すること」を指します。

そのため、インクルーシブ教育には「合理的配慮」が必要になります。

合理的配慮の例
・光がまぶしいと感じる子は席を移動させる、パーテーションで区切る

・聴覚に障がいがある子は支援員がサポートをしながら授業を受ける

・授業が終わるまで落ち着いていられない子は、その日の学習の流れを説明するなどして見通しをもたせ、安心して授業を受けられるようにする など

 

 

インクルーシブ教育のメリット・デメリット

インクルーシブ教育は、「本人」「まわりの生徒」「教師」など、さまざまな面にメリット・デメリットがあります。

 

インクルーシブ教育のメリット

教師側のメリット

・さまざまな子どもと関わるため教育スキルが身につきやすい

・障がいや療育に関する知識も身につく

 

障がい者本人のメリット

・教育を受ける場を自由にえらべるようになる

・地域の学校に通うことができる

 

まわりの生徒のメリット

・障がいや共生社会への理解を深めることができる

 

 

インクルーシブ教育のデメリット

教師側のデメリット

・支援がいきわたらない場合がある

・授業が遅れることがある

・障がい児への合理的配慮をどこまでおこなうか考える必要がある

・合理的配慮の結果、業務がふえる可能性がある

 

障がい者本人のデメリット

・合理的配慮をひいきだととらえられて「いじめ」の対象になるおそれがある

 

まわりの生徒のデメリット

・授業が遅れる(高校受験などがあると影響する)

・障がい児へ許容以上の配慮をしなければいけないことがある

 

 

日本のインクルーシブ教育の現状

欧米など多くの先進国でインクルーシブ教育はすすんでおり、支援学校や支援級がなくなっている国もあります。

インクルーシブ教育がすすんでいる国の教室は、1クラス20人ほど。支援員やボランティアが複数配置され、生徒たちを支援しています。

日本の教育は1クラス40人ほどで1人の先生が受け持っているので、この状態を目指すことはむずかしいのが現状です。

しかし、少ないながらも、実現に向けてすすんでいる県もあります。

 

神奈川県の「インクルーシブ教育実践推進校」

神奈川県ではインクルーシブ教育に力をいれており、「インクルーシブ教育実践推進校」と呼ばれる高校があります。

インクルーシブ教育実践推進校とは、知的障がいのある子どもの学ぶ機会をふやし、みんなで一緒に過ごし、お互いのことをわかり合っていくことを目指した高校です。

令和2年度には、県で14校がインクルーシブ教育実践推進校に指定されています。

神奈川県のインクルーシブ教育実践推進校一覧

 

知的障がいのあるお子さんが40人ぐらいの学級で生活し、複数の先生の支援を受けながら、ほかの生徒たちと一緒の授業を受けることができます。また相互理解を深めるために、「講演会」や「パラスポーツ体験」などの活動を積極的におこなっています。

 

 

まとめ

インクルーシブ教育の「インクルーシブ」には「包括的な」という意味があり、すべての子どもが等しく学べる場を提供する考え方のことを指します。人格形成に関わる子どもの時期に、障がいをもつ人と深く関わり、同じ教育を受けることで、障がいや共生社会への理解を深めることができます。神奈川県や東京都でも少しずつインクルーシブ教育が導入されており、実現するまでそれほど遠くないかもしれません。

 

参考

インクルーシブ教育とは? 共生社会の構成と導入のメリット | ELEMINIST(エレミニスト)

インクルーシブ教育とは?障害を持つ子どもへの新しい教育法を解説 - 私学の教員採用・求人情報なら教員人材センター

インクルーシブ教育とは!?日本の失敗とこれからの課題 | CHANTO WEB

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